Contents
- 180年代のメタルバブルと距離を置いたアメリカン・ドゥームBIG3の中でも、特にアンダーグラウンドでアウトローな匂いが充満した空気感で、孤高のカリスマの地位を築いた暗黒地下メタル・バンド。
- 1...1SAINT VITUSは80年代USドゥームの代表格!?
- 1...2SAINT VITUS全盛期のドゥーム・シーンは!?
- 1...3SAINT VITUSサウンドの特徴は!?
- 1...4USハードコア/オルタナの名門『SST』に所属!?
- 1...5メタルシーンとは一線を引いたフィールドで活動!?
- 1...6ドゥーム/ストーナー/スラッジのブームで再評価!?
- 1...7THE OBSESSEDは兄弟バンド!?
- 1.1SAINT VITUS|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Saint Vitus|セイント・ヴァイタス
- 1.1.2Hallow's Victim|ハロウズ・ヴィクティム
- 1.1.3The Walking Dead|ザ・ウォーキング・デッド
- 1.1.4Program: Annihilator - A Soundtrack for Destruction|プログラム:アナイアレーター - ア・サウンドトラック・フォー・デストラクション
- 1.1.5Born Too Late|ボーン・トゥ・レイト
- 1.1.6Mournful Cries|モーンフル・クライズ
- 1.1.7V|ファイヴ
- 1.1.8Live|ライヴ
- 1.1.9Heavier than Thou|ヘヴィアー・ザン・ザウ
- 1.1.10C.O.D.|シー・オー・ディー
- 1.1.11Die Healing|ダイ・ヒーリング
- 1.1.12Reunion 2003 - Live in Chicago|リユニオン2003 - ライヴ・イン・シカゴ
- 1.1.13The Walking Dead / Hallow's Victim|ザ・ウォーキング・デッド/ハロウズ・ヴィクティム
- 1.1.14Lillie: F-65|リリー:F-65
- 1.1.15Marbles in the Moshpit|マーベルズ・イン・ザ・モッシュピット
- 1.1.16Live Vol. 2|ライヴ・ヴォリューム2
- 1.1.17Let the End Begin...|レット・ジ・エンド・ビギン...
- 1.1.18Saint Vitus|セイント・ヴァイタス
80年代のメタルバブルと距離を置いたアメリカン・ドゥームBIG3の中でも、特にアンダーグラウンドでアウトローな匂いが充満した空気感で、孤高のカリスマの地位を築いた暗黒地下メタル・バンド。
SAINT VITUS(セイント・ヴァイタス)は、アメリカ合衆国はロスアンゼルスを拠点とするヘヴィロック・グループ。
SAINT VITUSは80年代USドゥームの代表格!?
SAINT VITUSは、90年代にCATHEDRALの登場によってドゥームメタルがジャンルとして確立され、ムーヴメントとした活性化する時期より、大きく先駆けて80年代より初期BLACK SABBATHの影響下にあるスタイルで活動していたグループ。
やはり同時期に同様のスタイルで活動していた、PENTAGRAM(ペンタグラム),TROUBLE(トラブル)と併せて80年代USドゥームBIG3とも称されています。
SAINT VITUS全盛期のドゥーム・シーンは!?
SAINT VITUSは、TYRANT(タイラント)で1978年代から活動を開始しますが、のちにに改めデビューを果たします。
なお、このバンド名は、BLACK SABBATHの名曲”St. Vitus Dance”に由来するものです。
SAINT VITUSらアメリカのドゥームBIG3にしても、英国のWITCHFINDER GENERAL(ウィッチファインダー・ジェネラル)や北欧のCANDLEMASS(キャンドルマス)といった先行ドゥーム・バンドにしても、ブームやムーヴメントとは無縁で、あくまで独自の立ち位置でドゥーム・サウンドを確立させたグループでした。
これらは、バックグラウンドも微妙に異なり、“BLACK SABBATHのインスパイア”スタイルとはいえど、それぞれが独自のサウンドを展開していました。
SAINT VITUSサウンドの特徴は!?
SAINT VITUSは、基本底には他のUSドゥームと同様、BLACK SABBATHを米国的流にチューニングすることで出来上がった、“アメリカン・サバス”的な作風です。
サウンド面では、過剰なまでにリバーブを効かせたトリッピーな音づくりが、大きな特徴となっています。
それに加えて、MOTORHEADをはじめとしたパンキッシュなグループも大きなバックボーンとなっており、ワイルドなハード・ロックンロール・テイストとバイカーロック的なやさぐれたアウトロー・テイストが大きな特徴となっていました。
しかし、次第にヘヴィ・スロー・ダウナー・ダークの4大エレメントを強調したサウンドを極めてゆき、次世代にも引き継がれる王道ドゥーム・サウンドのプロトタイプを確立していきます。
USハードコア/オルタナの名門『SST』に所属!?
SAINT VITUSは、メタル/ハードロック・フィールドのグループとしては例外的に、ハードコアとオルタナティヴ・ロック系のレーベル『SST Records』に所属していたことでも知られています。
この『SST Records』は、USハードコアのカリスマBLACK FLAG(ブラック・フラッグ)のギタリストであるグレッグ・ギン(Greg Ginn)が設立し、BAD BRAINSなどのハードコア勢やグランジのパイオニア勢を送り出したレーベル。
もっとも、BLACK FLAG自体がBLACK SABBATHフリークとしても有名で、その影響を反映させたダウナーなヘヴィサウンドも展開していましたし、『SST Records』にはSOUNDGARDENやSCREAMING TREESといった、ストーナーの元祖とも目されるグランジ・バンドも在籍していました。
それらを考えると、『SST Records』という選択もひとつの必然だったとも言えます。
メタルシーンとは一線を引いたフィールドで活動!?
SAINT VITUSは、音楽的にはヘヴィメタルに属するものでありながら、当時の地元LAシーンの主流派だったグラムメタル勢やそれに類するグループに抵抗を感じ、意図的にメタル・シーンとは距離をおいていたとされています。
その意味では、当時のスラッシュメタルと同様に、メインストリームに反旗を翻すオルタナティヴ・メタル・バンドとして、むしろオルタナティヴ・ロックのシーンにも近い立ち位置だったとも解釈できます。
ドゥーム/ストーナー/スラッジのブームで再評価!?
SAINT VITUSは、90年代のドゥームメタルやストーナー/スラッジのムーヴメントの中で、同時期のドゥーム勢とともに“ドゥーム・レジェンド”として祭り上げられるようになります。
また、ドゥームの多様化/細分化とファンの住み分けの影響もあり、SAINT VITUSや80年代ドゥーム勢や、それと共通する音楽性の後発グループに対して、『トラディショナル・ドゥーム』というラベルも与えられるようになります。
その時期を含めても、商業的な成功を収めたとはいえず、その活動も不安定で何度かのブランクも挟んでいますが、2008年に活動を再開して以降は、マイペースではあるものの作品リリースを重ねつつ、現在に至るまで活動を続けています。
THE OBSESSEDは兄弟バンド!?
なお、80年代からのフロントマンとして長年在籍し、中核的存在だったウィノ(Scott “Wino” Weinrich)は、脱退後SAINT VITUS加入以前に立ち上げていたTHE OBSESSED(ジ・オブセズド)を再始動。
90年代にはアルバム・デビューを果たしたており、同様に“ドゥーム・レジェンド”として崇められています。
ウィノ=THE OBSESSEDは、SAINT VITUSの兄弟バンドともいえるグループであり、今なお盟友といえる存在です。