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USスラッシュメタルのみならず、すべてのヘヴィメタルを代表しシーンに君臨する超大物バンドたち…BIG4(スラッシュ四天王)とは?
BIG4とはスラッシュメタル出身のアメリカの大物メタルバンド、METALLICA(メタリカ),SLAYER(スレイヤー),MEGADETH(メガデス),AMTHLAX(アンスラックス)の4バンドの総称のことです。
どのバンドもスラッシュメタル第一世代のオリジネイターといえる存在からスタートして、アメリカの音楽シーンのみならず世界スケールで名を成したビッグネームで、日本では『スラッシュ四天王』と呼ばれています。
スラッシュメタル界のBIG4(四天王)と言いつつも、音楽的な変遷を経て今ではスラッシュメタルとは呼べないスタイルになっているバンドもいたりするので、実際のところは、「スラッシュメタル出身で、その後メジャー化して大ヒットを飛ばしBIGになった殿堂入りバンド」ぐらいに考えた方がいいかもしれません。
コアなスラッシュフリークからは「こんなの奴をスラッシュなんて呼ぶな!」、「売れ線に転んだスラッシュの面汚し!」的な扱いも受けたりもしていますが、どのバンドもかつてはスラッシュメタルの歴史に残る名盤を生み出したのは確かです。
さらに、キャリア・知名度・セールス・存在感・影響力など総合的に見れば、やはりBIG4と呼ばれるに恥じないメンツでもあり、客観的に見ればまぁ納得するしかないでしょう。
それではこのBIG4をひとつずつ紹介していきましょう。
四天王の壱▶︎ANTHLAX|アンスラックス
ニューヨーク出身のANTHLAX(アンスラックス)は、BIG4の中でもストリート的なセンスや垣根の低さを持っていて、メタルバンドにありがちなナル感やイキリ感をあまり感じさせない愛され系バンドです。
初期の頃はスラッシュメタルと呼ばれていながらも、実際はオールドスクールなヘヴィメタルに近いパワーメタル寄りのスタイルでした。
その後、お遊びのハードコアユニット「S.O.D.」での経験をバンドにフィードバック、モッシュパートなどで緩急をつける、上手いことは上手いが線が細いハイトーン系ヴォーカルをシンガロングコーラスでカバーするなどしてパワーアップ。スラッシュメタルとして一皮むけました。
このANTHLAXを表す言葉を選ぶとすれば「機を見るに敏」「大体友達」「無節操」といったところでしょう。
スラッシュメタルとしてもエポックメイキング的な作品も生み出すだけの力を持ったバンドではあるんですが、むしろ上に挙げたの「S.O.D.」や、ヒップホップユニットPUBLIC ENEMY(パブリック・エナミー)とのコラボレーションといった“課外活動”の方の印象が強く、実際そちらの方が歴史的にも重要な実績と言えます。
また、シーンの流行や時流を嗅ぎとる嗅覚と、それを速攻で取り入れる行動力と柔軟性(悪く言えば変わり身の早さ)も大きな特徴です。
例えば、上記のS.O.DやPUBLIC ENEMYとのミクスチャーユニットに始まり、METALLICA(メタリカ)・MEGADETH(メガデス)の路線変更でメタルシーンの潮目が変わったと思えば、サウンドをそちらに寄せてさらにパワフルなヴォーカルに入れ替えて同様のヘヴィグルーヴ路線へ。
その後も再度ハードコアシーンが盛り上がればそのエッセンスも取り入れてきた上に、さらにはS.O.D.まで再結成。
初期スラッシュメタル再評価の機運が高まってきたら、ヴォーカルをあっさり前任者にすげ替えてスピード重視のパワーメタル路線に…。
という具合で、あまりに見事なフットワークの軽さにホレボレするほど。
ANTHLAXは出来不出来のムラが激しく、作品も当たり外れが激しいこともあって本業での実績は実は今ひとつ。どちらかというと流行をキャッチする「アンテナ力」に加え、「要領の良さ」や「立ち回りの上手さ」「憎まれないキャラ」で成り上がって生き延びてきた印象がどうしても強いですね。
四天王キャラで言えば、間違いなくイチバン最初にやられて「ヤツは四天王の中では最弱!」と言われてしまう存在でしょう。
その後は調子の良さを生かして、コメディリリーフやオドロキ役と言ったにぎやかしのオモシロキャラとしてしつこくサバイヴしていくタイプですね。
ANTHLAX|アンスラックスおすすめアルバム
Among the Living
スラッシュ度:★★★★☆/クオリティ:★★★★☆
スラッシュ度:★★★☆☆/クオリティ:★★★★☆
State of Euphoria
スラッシュ度:★★★★★/クオリティ:★★★★☆
Sound of White Noise
スラッシュ度:★★★☆☆/クオリティ:★★★★★
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四天王の弐▶︎MEGADETH|メガデス
メガデスの中心人物のデイヴ・ムステインはかつてMETALLICA(メタリカ)の初期メンバーでしたが、ファーストアルバムのレコーディングを目前にして、素行の悪さを理由に何の告知もなく強制的にバンドから追い出されてしまいます。
それにショックを受けたムステインが、「METALLICAを超えるバンドを作り上げて見返してやろう」という怨念を原動力にして、作り上げたバンドがMEGADETHです。
バンドというよりムステインの個人のユニットといった方が適切で、デビュー後の初期とチャート入りして売れていた時期こそメンバーが固定していましたが、それ以外の時期は右腕的存在でベーシストのデイヴィッド・エリフソンを除いて頻繁に入れ替わっています。
今では歌謡曲好きで日本通のおもしろ外人としてTVでも知られる、ギタリストのマーティ・フリードマンも一時期在籍していました。
自ら「インテレクチュアル・スラッシュ」と名乗っているだけあって、勢いやノリ重視ではなくテクニカルで計算された複雑な曲展開や、メタルとしてはポリティカルなメッセージ要素もある歌詞などが特徴。さらにムステインの経歴や性格に由来する、ヒリヒリした緊張感やクールな質感・シニカルさも魅力になっています。
純粋にスラッシュメタルと呼べるのはごく初期のみで、時流に合わせた音楽スタイルの変化も多少はありますが、「ムステイン節」ともいうべきカテゴライズを超える強烈な個性と安定感を持っています。
また、メタルの枠を大きく外れることもないので、スラッシャー以外のメタルファンにも支持者が多いバンドです。
四天王キャラ的には、仲間の裏切りで闇落ちしたクールな技巧派キャラとして腐女子に人気が出て、薄い本が出まくるタイプでしょう。
メガデスおすすめアルバム
KILLING IS MY BUSINESS …AND BUSINESS IS GOOD!
スラッシュ度:★★★★★/クオリティ:★★★★★
スラッシュ度:★★★★☆/クオリティ:★★★★☆
COUNTDOWN TO EXTINCTION
スラッシュ度:★★★☆☆/クオリティ:★★★★★
YOUTHANASIA
スラッシュ度:★★☆☆☆/クオリティ:★★★★★
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四天王の参▶︎SLAYER|スレイヤー
SLAYER(スレイヤー)はBIG4の中で唯一、デビューから現在に至るまで音楽スタイルもパブリックイメージも一貫していて、大きな変化が無い“ブレない”バンドです。
疾走感のあるハードコアな高速スラッシュナンバーがデビュー時からの十八番ですが、ドゥーミーで重量感たっぷりのスロー/ミドルナンバーもモノにしていて、もはや二枚看板と言ってもいいくらいです。
レコード会社の要望があるのか、ときおり時流に合わせた要素も取り入れたりはしていますが、それすら自分たちのカラーに染まってしまうぐらい本来の個性が強烈です。
「お望みならやりますけど、我々の色になってしまいますよ?」と皮肉な笑みで答えるのが見えるようです。
歌詞や世界観は戦争や犯罪、アンチキリスト・サタニズムと言った宗教の暗部など、人間や歴史の闇や狂気がメインテーマになっています。
こういった悪趣味にもバカっぽくも見える、初期スラッシュならではのメタル的アングラ感・アンモラル感、それに加え“高品質金太郎飴”的に信頼感の高い「いい意味でワンパターン」な音楽性で、BIG4の中では最もコアなスラッシュメタルフリークの支持が高いバンドです。
音楽に限らず、キワモノ的で悪趣味なイメージやキャラの人ほど実は知性的な常識人で、かなり意識的・自覚的・戦略的にパブリックイメージ/ペルソナを作っているという傾向がありますが、その点ではスレイヤーもご多分にもれずです。
中でも、多くの残虐趣味満載な歌詞を手がけるベース&ヴォーカルのトム・アラヤは、敬虔なカトリック系クリスチャンで温厚な知性派として知られています。
四天王的には一見無骨で強面な脳筋っぽいけど、実際は頭脳派の切れ者で実質的には最強ポジション扱い…というわりと美味しいキャラになりますね。
SLAYER|スレイヤーおすすめアルバム
Reign in Blood
スラッシュ度:★★★★★/クオリティ:★★★★★
South of Heaven
スラッシュ度:★★★★☆/クオリティ:★★★★★
スラッシュ度:★★★★★/クオリティ:★★★★☆
スラッシュ度:★★★★☆/クオリティ:★★★★☆
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四天王筆頭▶︎METALLICA|メタリカ
一介のアングラなスラッシュメタルバンドからスタートして、メタル史に残る数枚の名盤を生み出し、スラッシュメタルの代表格〜ヘヴィメタル界の顔〜米国ロック界のアイコン〜世界的なセレブメタルバンドへとのし上がったMETALLICA(メタリカ)は、知名度・セールス共にBIG4の中でも別格の存在です。
その反面、賛否両論・毀誉褒貶が非常に激しいバンドでもあります。その大きな原因は、初期の名盤を生み出したスラッシュメタル時代の第1期METALLICAと、今のセレブ化した第2期METALLICAは全く別物だということです。
転機になるのは3rdアルバムリリース後に起きた、バンドの頭脳でメインソングライターだったベーシストのクリフ・バートンの事故死。
3作続けて名盤を生み出してスケール感もアップ、売上も人気も高まっていくものの、曲作りのカナメを失ったことで今までの音楽性のままクオリティを維持することが出来なくなり、人気と実力が伴わなくなっていきます。
そんなMETALLICAですが腕ききプロデューサーの助力もあって、当時のシーンで勢いがあったグランジ系のヘヴィなハードロック路線に活路を見出します。
これが予想外に上手くハマって、路線変更後の通称「ブラックアルバム」は文句なしの名盤に仕上がり歴史的大ヒット、一気に世界的なセレブバンドに成り上がります。
しかし、その後働かなくても食えるセレブの座について慢心した彼らは、「世界最強のメタルバンドという肩書きと人気に伴わない実力」「ファンの求めるものと自分たちに作れるものの違い」といった大きなギャップを抱えたまま、新作リリースの度に賛否両論を巻き起こし勘違い発言を繰り返しながら現在に至っているわけです。
四天王的に言うと…かつては最強と言われて四天王筆頭となったが、実は今いるのは影武者だった双子の弟で本人はすでに亡い。パワーはそこそこだが兄と違って技が無く実際は四天王でも最弱。四天王筆頭の威光と口八丁でなんとか強い敵をやり過ごしてごまかしている…そんな感じでしょう。
METALLICA|メタリカおすすめアルバム
Kill ‘em All
スラッシュ度:★★★★★/クオリティ:★★★★★
スラッシュ度:★★★★☆/クオリティ:★★★★★
Master of Puppets
スラッシュ度:★★★☆☆/クオリティ:★★★★★
Metallica
スラッシュ度:★★☆☆☆/クオリティ:★★★★★