★ ANTHRAX(アンスラックス)ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|USスラッシュメタルBIG4(四天王)No.1の風見鶏バンド…必聴アルバムは?

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オールドスクールな様式美パワーメタルバンドはどうやってクールでヒップなストリート系スラッシュメタルバンドにへと転身したのか?

ANTHRAX(アンスラックス)はニューヨークのスラッシュ/ヘヴィメタルバンドで、アメリカのメタル界を代表するUSスラッシュメタルBIG4の一画で、NUCLEAR ASSAULT(ニュークリア・アサルト)〜BRUTAL TRUTH(ブルータル・トゥルース)のダン・リルカー(Dan Lilker)が在籍していたことでも知られています。

ANTHRAXは一般的には、ハードコアやミクスチャーの影響が強いストリートカルチャー/スケーターカルチャーに根ざしたバンドとされていますが、音楽的にも初期の頃はスラッシュメタルの中ではオールドスクールなメタル様式の強いパワーメタル寄りの作風でした。ヴォーカルもハイトーンで歌い上げる典型的なヘヴィメタルスタイルの“お達者系歌唱”で、初期のスラッシュシーンの中では保守的なメタルファンからの支持も高いバンドのひとつでした。

その後、フットワークの軽さと交友関係の広さを生かして、ハードコアバンドやHIPHOPユニットとのコラボレーションなど異ジャンルとの交流を重ねるようになります。その結果、次第にヒップなイメージを強めストリート感覚を全面に押し出してゆくようになります。

二作目から参加してスラッシュ全盛期を支えたヴォーカリストのジョーイ・ベラドナは、5作目の完成させたのち1992年に脱退してソロへと移行。バンドはパワフルな歌唱で知られるARMORED SAINT(アーマード・セイント)のジョン・ブッシュ(John Bush)を後任に招き、より幅広い音楽性を持つ作風を確立。スラッシュメタルの枠を超えヘヴィメタルシーンを代表する存在として黄金期を迎えます。

その後、00年代のオールドスクール・スラッシュメタルのリバイバルに乗じ、 2005年にベラドナをヴォーカルに迎えてリユニオン活動を行います。その流れで2010年にはベラドナが完全復帰、アルバムもリリースして現在も同じ体制で活動を続けています。

ANTHRAX|DISCOGRAPHY

Fistful of Metal|フィストフル・オブ・メタル

ANTHRAX_fistful_of_metal

オリジナルアルバム – 1作目 (1984年)

NUCLEAR ASSAULT〜BRUTAL TRUTHのダン・リルカー在籍時の唯一のアルバム…と言われるとつい期待してしまいますが、ここで聴けるのはスラッシュメタル未満のチープでオールドスクールなパワーメタル。

スピード感はあるものの、特筆するようなスタイルでもなければ突出した完成度でもありません。
ヴォーカルは、この作品のみで脱退する初代のニール・タービン(Neil Turbin)ですが、むしろ人気の高い2代目のジョーイ・ベラドナ(Joey Belladonna)よりもはるかに力強さが感じられます。

スラッシュ度:★★★☆☆|ヘヴィネス:★★☆☆☆|スピード:★★★★☆
ポップネス:★★★☆☆|グルーヴ:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論

Spreading the Disease|狂気のスラッシュ感染 / スプレッディング・ザ・ディジーズ

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オリジナルアルバム – 2作目 (1985年)

重量感が増しリフもややスラッシーになって完成度も上がりましたが、曲調を含めまだオールドスクールなパワーメタルの域をでていません。
ジョーイ・ベラドナは歌唱力至上主義の保守メタラーに人気の高いヴォーカルですが、個人的にはパワー不足であまりスラッシュメタル向きとも思えませんし、個性もあまり感じられません。
ヴォーカルの弱さをカバーするようにシンガロングコーラスを加えるスタイルは、すでにこの作品の時点で見ることはできるので、バンド側としてもパワー不足は自覚していたのでしょう。

スラッシュ度:★★★☆☆|ヘヴィネス:★★★☆☆|スピード:★★★☆☆
ポップネス:★★★★☆|グルーヴ:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論 実験作

I’m the Man|アイム・ザ・マン

ANTHRAX_i'm_the_man

ミニアルバム  (1987)

ANTHRAXがミクスチャー/ラップメタルに挑戦したタイトル曲を含むミニアルバム。
曲の出来としては、お遊び的な一発ネタの域を出るものではありませんが、前年にはるかに完成度の高い“RUN-DMC(ラン-ディー・エム・シー)&AEROSMITH(エアロスミス)”のコラボ、Walk This Way(ウォーク・ディス・ウェイ)という偉大な前例もあったとはいえ、彼らのトレンドを察知するアンテナ力とフットワークの軽さ(節操の無さ)を確認することはできます。

スラッシュ度:★★★☆☆|ヘヴィネス:★★★☆☆|スピード:★★☆☆☆
ポップネス:★★★☆☆|グルーヴ:★★★★☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 通好み 実験作

Among the Living|アマング・ザ・リヴィング

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オリジナルアルバム – 3作目 (1987年)

ハードコアユニットSOD(エス・オー・ディー)での経験がフィードバックされるようになったのか、ようやくスラッシュメタルとしての独自性が生まれてきました。
アルバム全体に前のめりな勢いがあって心地よく聴くことができる反面、楽曲のツメの甘さも目について出来不出来のムラも目立つので、アルバム通して聴くと部分的にしか印象に残らないのは相変わらずですね。

個人的には、ヴォーカルスタイルが肌に合わないだけでなく楽曲的にも何か物足りないものを感じていて、ベラドナ時代の作品にはあまりハマることはなかったんですが、それでも過去作と比べるとフックの効いた完成度の高い楽曲も多く、初期の代表作とされるだけの存在感があるのは認めざるをえません。
シンガロングコーラスがさらに多用されるようになり、力強さと個性に欠けるヴォーカルを力技で強引にカバーしています。

スラッシュ度:★★★★☆|ヘヴィネス:★★★☆☆|スピード:★★★★☆
ポップネス:★★★★☆|グルーヴ:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤 実験作

State of Euphoria|ステート・オブ・ユーフォーリア

ANTHRAX_state_of_euphoria

オリジナルアルバム – 4作目 (1988年)

ファンからも「やや印象が薄い」と言われがちなアルバムですが、確かになかなか難しい作品です。
前作にはまだ残っていた様式美的なパワーメタル色が薄まり、ANTHRAX流のスラッシュスタイルを本格的に確立したと言える1枚で、アルバムから感じられる勢いや熱気、キメ曲の突出度という点では前作がリードしていますが、サウンドの個性やユニークさ,フックの強さ,楽曲クオリティの平均値では今作の方が上回っています。
ただ、前作にはメタル様式的な起承転結がはっきりしたわかりやすい曲が多かったのに対して、今作は例えばEXODUS(エグゾダス)のような「かっこいいリフワークが聴けて印象的なフレーズもあるけれど、長くてメリハリに欠けてなんか気が付いたら終わっている曲」が多いのが惜しいところです。

スラッシュ度:★★★★★|ヘヴィネス:★★★☆☆|スピード:★★★★☆
ポップネス:★★★★☆|グルーヴ:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Persistence of Time|パーシステンス・オブ・タイム

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オリジナルアルバム – 5作目 (1990年)

疾走感重視のスラッシュ路線をやりつくして限界を感じたのか、ミドルテンポでヴルーヴ感を強調した作風にシフトしたアルバム。次作での変化を予兆させる部分も多々ありますが、あそこまでラジカルな変化は見られず、あくまでも基本的には今までの延長線上から外れないサウンドです。
ベラドナのヴォーカルは上手さはあっても旨さや巧さは感じられないので、グルーヴィーにうねるサウンドでメリハリをつけるような表現力には乏しく単調。今までは疾走感と勢い重視のパワーメタルナンバーとそこにシンガロングコーラスを加えることでごまかせていた欠点が、作風の変化が大きくなった前作〜今作で露呈してしまいました。
前作同様にやや存在感の薄いアルバムですが、もしジョン・ブッシュ(John Bush)が今作から歌っていたならその評価は大きく変わっていたかもしれない…と考えるとなんとも惜しい一枚ですね。

スラッシュ度:★★★★☆|ヘヴィネス:★★★★☆|スピード:★★☆☆☆
ポップネス:★☆★★☆☆|グルーヴ:★★★★☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Attack of the Killer B’s|アタック・オブ・ザ・キラー・ビーズ

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ミニアルバム (1991年)

ライヴやカバーを含む企画盤のミニアルバムですが、ボリュームはフルアルバム級。
最大の目玉は、ヒップホップのビッグネームPUBLIC ENEMYのChuck DとFlavor Flavを迎えた本格的なラップメタルナンバーのT-07。
他にも、やはりラップメタルナンバーの再録曲I’m the Man ’91、ハードコアレジェンドDISCHARGEやS.O.D.、KISSなどをはじめとした多数のカバー曲など、彼えらのバックグラウンド多彩さと、ストリート感覚が発揮された充実した内容です。ジョーイ・ベラドナ(Joey Belladonna)在籍時ではある意味もっとも聞き応えがあって歴史的な価値の高い作品かもしれません。

スラッシュ度:★★★☆☆|ヘヴィネス:★★★☆☆|スピード:★★★☆☆
ポップネス:★★★★★|グルーヴ:★★★★☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作

Sound of White Noise|サウンド・オブ・ホワイト・ノイズ

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オリジナルアルバム – 6作目 (1993年)

METALLICA(メタリカ)で言えばMetallica(ブラックアルバム)、MEGADETH(メガデス)ならCountdown To Extinction(破滅へのカウントダウン)にあたるアルバム。
それらのアルバムと同様にスラッシュ的な要素は薄れていますが、もともとスラッシュメタルとしては存在感が薄いバンドなので、スラッシュ色の減退は全く問題ありません。
むしろ、ジョン・ブッシュ(John Bush)へのヴォーカルチェンジの効果もあって力強さが大きくアップ。ここにきて、ようやく彼らなり独自のヘヴィメタルサウンドを完成させました。

楽曲の出来不出来の差が激しくて名曲が少ない割に駄曲が目立つ彼らですが、この作品に限っては全編にわたって完成度が高く、フック満載の印象的な楽曲が立て続けに繰り出され、最後まで飽きることがありません。アルバムとしての密度が高く聴き応えは抜群ですし、得られる満足感から考えれば間違いなく彼らのピークの作品で全キャリア中でも最高の一枚です。

スラッシュ度:★★★☆☆|ヘヴィネス:★★★★☆|スピード:★★★★☆
ポップネス:★★★★★|グルーヴ:★★★★☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作

Stomp 442|ストンプ442

ANTHRAX_stomp_242

オリジナルアルバム – 7作目 (1995年)

前作で広義的なヘヴィメタルへと広がった多彩な作風を踏襲しつつ、ハードコア, グルーヴメタル, ラップメタルなどを取り入れてストリート感覚を増した作風。
やはりポップネスを持ってフックの効いた楽曲がそろっており、前作とは一味違った魅力がありますが、やや楽曲の出来不出来に波が大きく、楽曲単位でもアルバム単位で見ても前作には今一歩及びません。
さらに、トレンドに接近したことで初期ファンからの評価も散々で、ベラドナ復帰後はライヴで取り上げられることもなくなりましたが、近年の作品よりもはるかに上質なのでオールドスクールスラッシュにこだわらなければ一聴の価値ありです。

スラッシュ度:★★★☆☆|ヘヴィネス:★★★★☆|スピード:★★★★☆
ポップネス:★★★★★|グルーヴ:★★★★★|総合評価:★★★★★

殿堂入り 入門盤 賛否両論 実験作

Volume 8: The Threat Is Real|ヴォリューム8:スレット・イズ・リアル

ANTHRAX_volume_8

オリジナルアルバム – 8作目 (1998年)

前作に続いてスラッシュメタルとは呼び難い当時のモダンヘヴィメタルに接近した作風で、今回はPRONG(プロング)あたりを思わせるインダストリアルテイストも取り入れているほか、カントリーやブルーズ風のフレーズもフィーチャーしてサザンメタルに近いテイストも感じさせる曲もあります。
本作もやはり、オールドスラッシャーからは散々な評価を受けて過小評価傾向がありますが、ANTHRAXが時流に寄り添ってサバイブしてきたという意味では、十分に“らしい”1枚と言えるでしょう。
実のところ佳曲は多いのですが、この時期特有の不必要に収録曲数を増やす傾向がたたって、本来ならアウトテイクレベルの曲も収録していることで、アベレージをかなり下げる結果になっています。

スラッシュ度:★★★☆☆|ヘヴィネス:★★★★☆|スピード:★★★★☆
ポップネス:★★★★☆|グルーヴ:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

賛否両論 通好み 実験作

We’ve Come for You All|ウィ・ハヴ・カム・フォー・ユー・オール

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オリジナルアルバム – 9作目 (2003年)

総合評価:★★★☆☆|スラッシュ度:★★★☆☆|マニア度:★★☆☆☆
スルメ盤

The Greater of Two Evils|ザ・グレーター・オブ・トゥ・イーヴルス

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セルフカバーアルバム (2004年)

総合評価:★★★★☆|スラッシュ度:★★★☆☆|マニア度:★★☆☆☆
入門盤

Worship Music|ワーシップ・ミュージック

ANTHRAX_worship_music

オリジナルアルバム – 10作目 (2011年)

総合評価:★★☆☆☆|スラッシュ度:★★★☆☆|マニア度:★★☆☆☆
賛否両論 お布施

For All Kings|フォー・オール・キングス

ANTHRAX_for_all_kings

オリジナルアルバム – 11作目 (2016年)

総合評価:★★☆☆☆|スラッシュ度:★★★☆☆|マニア度:★★★☆☆
賛否両論 お布施
◎ ANTHRAXはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!

スラッシュメタルBIG4としての実力を確認したければ、まずは代表曲が多くキャッチーな“Among the Living(3rd)”から入るべき…ということになるのでしょう。ただしAmong~は多分にパワーメタル寄りのサウンドなので、よりスラッシーなサウンドを求めるなら一般的には微妙な扱いですが“State of Euphoria(4th)”の方がいいかもしれません。
スラッシュから外れてもいいので、「とにかく純粋に完成度が高く名曲ぞろいな最高のメタルアルバムを聴聴きたい!」という人なら、“Sound of White Noise(6th)”から入るといいでしょう。

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