Contents
- 1METALLICAの初期メンバーとして名曲の数々を生み出したデイヴ・ムステイン(Dave Mustaine)が作り出すクールなヒネクレメタルサウンド!
- 1.1NEGADETH|DISCOGRAPHY
- 1.1.1KILLING IS MY BUSINESS...AND BUSINESS IS GOOD!|キリング・イズ・マイ・ビジネス - (1985)
- 1.1.2PEACE SELLS...BUT WHO'S BUYING?|ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング? - (1986)
- 1.1.3SO FAR, SO GOOD... SO WHAT!|ソー・ファー,ソー・グッド…ソー・ホワット! - (1988)
- 1.1.4RUST IN PEACE|ラスト・イン・ピース - (1990)
- 1.1.5COUNTDOWN TO EXTINCTION|破滅へのカウントダウン - (1992)
- 1.1.6YOUTHANASIA|ユースアネイジア - (1994)
- 1.1.7CRYPTIC WRITINGS|クリプティック・ライティングス - (1997)
- 1.1.8RISK|リスク - (1999)
- 1.1.9THE WORLD NEEDS A HERO|ワールド・ニーズ・ア・ヒーロー - (2001)
- 1.1.10THE SYSTEM HAS FAILED|ザ・システム・ハズ・フェイルド - (2004)
- 1.1.11UNITED ABOMINATIONS|ユナイテッド・アボミネイションズ - (2007)
- 1.1.12ENDGAME|エンドゲーム - (2009)
- 1.1.13Th1rt3en|サーティーン - (2001)
- 1.1.14SUPER COLLIDER|スーパー・コライダー - (2013)
- 1.1.15DYSTOPIA|ディストピア - (2016)
- 1.1.15.1◎ MEGADETHはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
METALLICAの初期メンバーとして名曲の数々を生み出したデイヴ・ムステイン(Dave Mustaine)が作り出すクールなヒネクレメタルサウンド!
MEGADETH(メガデス)はMETALLICA(メタリカ)のメインソングライラーの一人だったデイヴ・ムステイン(Dave Mustaine)が素行の悪さを理由に解雇された後、METALLICAを越えるバンドと作品を作り上げて(特にラーズ・ウルリッヒへの)リベンジを果たすべく結成したグループです。
自らインテレクチュアル(知性的な)・スラッシュメタルと呼ぶ、プログレ的とも言える複雑で緻密な練りこまれたサウンドとポリティカルな要素もある歌詞を持ち味にしてます。
NEGADETH|DISCOGRAPHY
KILLING IS MY BUSINESS…AND BUSINESS IS GOOD!|キリング・イズ・マイ・ビジネス – (1985)
オリジナルアルバム – 1作目 (1985年)
この時点で持てる限りのアイデアと、METALLICAへの恨みつらみが詰め込まれたデビューアルバム。その甲斐あって奇跡的な傑作となったものの、予算を別のイロイロなことに使い込みすぎてアルバム制作環境につぎ込めなかっため、その結果の劣悪過ぎる音質がたたってメタラーからは過小評価を受け、後年のリマスター盤リリースまで長機にわたって顧みられ無い時期が続いた不遇の1枚です。
本作は、完全ムステイン主導のソロに近い作品ということですが、ジャズ畑のメンバーとの緊張感あふれるケミストリーは感じられます。二代目ギタリストのマーティ・フリードマン加入の影響から、洋式美寄りギターワークを好むのファンが増えしまったことも、この作品の評価を曇らせている原因となっていました。
後の作風からは考えられない、スリルと緊張感に満ちたスラッシュメタルの傑作が聞けるのはこのアルバムだけ、これ以降は作風が変わり一気に“脱スラッシュ”が進むので、本気のスラッシュファンなら何をおいてもまず最初に聴くべきMEGADETHタイトルです。
殿堂入り 賛否両論 通好み
PEACE SELLS…BUT WHO’S BUYING?|ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング? – (1986)
オリジナルアルバム – 2作目 (1986年)
一般的には初期の名盤とされ、最高傑作と呼ばれることも多いアルバム。作り込まれた楽曲は適度なフックがちりばめられ、前作ではテンションと熱量に飲まれて希薄に感じられたポップネスもはっきりと感じられます。
前作とはやや作風が異なるものの引き続きクオリティはハイレベル。逆に、2作目にして良い意味でも悪い意味でも安定感が出てきてしまっており、テクニカルな展開も部分的には見られるものの、1stでは濃厚に満ちあふれていたスリルや緊張感はかなり薄まっています。
現在にまで続く、熱量を感じさせないクールな作風は完成に近づきつつありますが、反面スラッシュメタルならではのアグレッションは減退していており、敷居が下がったことで一般メタラーへの間口は広がりましたが、スラッシャーにとっては痛し痒しな面はあります。T-07はブルースマン“ウィリー・ディクスン”のカバーで、日本ではCMソングにも起用されました。
代表作 入門盤
SO FAR, SO GOOD… SO WHAT!|ソー・ファー,ソー・グッド…ソー・ホワット! – (1988)
オリジナルアルバム – 3作目 (1988年)
バンドとしての成熟度と比例するかのように、煮つまり具合も明確に感じられるようになったアルバム。
前作続いて、スラッシュメタルとは呼ぶのははばかられるサウンドになりつつありますね。
後のブレイクスルーにつながるようなポイントも目につきますし、佳曲もあり決して出来が悪いわけではありませんが、何かと詰めが甘くアンバランスなところがあります。
特に気になるのが唐突に飛び出すSEX PISTOLS(セックス・ピストルズ)の代表曲をカバーしたT-03。
これがMEGADETHとは思えないヒネリのない選曲な上にコピーバンドレベルの仕上がりで、カバーに欠かせないアレンジの意外性や面白みはゼロ。
バラードテイストで物議を醸したT-04以上に、アルバムの流れも含めいろいろと台無しにしています。
入門盤 賛否両論
RUST IN PEACE|ラスト・イン・ピース – (1990)
オリジナルアルバム – 4作目 (1990年)
メンバーチェンジの影響もあり、オールドスクールなヘヴィメタル/パワーメタル的要素が強まっています。
アグレッシヴなスラッシュメタル風サウンドとオールドスクールな様式美がうまく調和しており、特に保守派メタラーからの支持が高く代表作として押されることが多いのもわかります。
特に今作から加入した日本通/歌謡曲マニアとして知られるギタリストのマーティ・フリードマンが弾く日本人好みなメロディーは、バンドの日本人気に貢献しました。
確かに良くできた作品ではありますし、スラッシュメタル的なアグレッシションも健在ですが、初期のスリルや緊張感といったものは感じられず、単なるスピート感のあるヘヴィメタルといった趣きにとどまっています。
代表作 入門盤
COUNTDOWN TO EXTINCTION|破滅へのカウントダウン – (1992)
オリジナルアルバム – 5作目 (1992年)
METALLICAで言えばブラックアルバムに当たる作品。
音楽性は全く異なるものの、完成度ではそれに匹敵し個性では上回っているかもしれないアルバムです。メタリカが別のサウンドに寄っていったとすれば、こちらは別のサウンドを引き寄せてきたと言う印象。
スラッシュ色は更に減退して、普遍的なメタルサウンドとでも呼ぶしかないスタイルに近づきながらも、幅広い音楽要素を感じさせるMEGADETH流ヘヴィメタルを完成させています。
終盤ややダレル部分はありますが、楽曲はバラエティ豊かでそれぞれフックも効いていて粒ぞろいです。
間違いなく1stと並ぶ名盤にして彼らの作品で代表作のひとつ。メタルファンなら必聴の一枚です。
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
YOUTHANASIA|ユースアネイジア – (1994)
オリジナルアルバム – 6作目 (1994年)
基本は前作の延長線ながら、楽曲がバリエーションが豊富だった前作とは違い、MEGADETHなりのオーセンティックなヘヴィメタルモードに的を絞った作品。
歌とメロディを重視した曲やポップな曲が多いの特徴ですが、ここではそれが効果的にはたらいていていてまずは成功していると言えます。
結果的にやや似たような曲調が多くなりましたが、アイデアが豊富でよく練れられているので、曲数が多い割にはさほどダレることもなく聴き通せるのは大したものです。
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
CRYPTIC WRITINGS|クリプティック・ライティングス – (1997)
オリジナルアルバム – 7作目 (1997年)
低迷期に突入する契機となる作品。
好意的に捉えれば総決算的なアルバムということも出来なくはないですが、どちらかというと過去のアイデアのストックを使い回して何とか無理やりに一枚ひねり出したと言う印象で、それは後期の一連のアルバムにも通じるもの。
SLAYER(スレイヤー)でいうところのSeasons in the Abyss(シーズンズ・イン・ジ・アビス)に近い印象ですが、コレという決め曲に欠けるのが致命的な違い。
駄曲は少ないけれど最高でも70点どまりといったところで、トータルで見ると残念ながら凡作の域を出ませんが、それでも近年の作品に比較すればまだまだ聴きどころは多いアルバムです。
入門盤 賛否両論 スルメ盤
RISK|リスク – (1999)
オリジナルアルバム 8作目 (1999年)
もっとも評判が悪く、黒歴史に近い扱いをされている一枚。
巷で言われるほどポップ一辺倒というわけでなく、前半は比較的ヘヴィな作風で後半にポップでメロディ優先の楽曲が中心的に配置されるという構成。やはり問題は後半で、同じくポップ路線のYOUTHANASIAと比べると、こちらは地に足が付いていない印象です。
前半はそれなりにバラエティに富んでいて楽しめますが、後半にあまり様になっていないツメが甘い同じような雰囲気の曲が多く、時おり印象に残るパートはあるものの結局ダラダラと聴き流してしまいます。
メロディー重視のポップ路線が悪いというわけではなく、それがベタな産業ロック/歌謡曲的なポップソングとイコールである必要はないし、何より第一にクオリティが問われるべきということです。
セルフコピーに終始していた前作に比べれば意欲は買えますが、迷走感は拭えません。
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
THE WORLD NEEDS A HERO|ワールド・ニーズ・ア・ヒーロー – (2001)
オリジナルアルバム 9作目 (2001年)
THE SYSTEM HAS FAILED|ザ・システム・ハズ・フェイルド – (2004)
オリジナルアルバム 10作目 (2004年)
UNITED ABOMINATIONS|ユナイテッド・アボミネイションズ – (2007)
オリジナルアルバム 10作目 (2007年)
ENDGAME|エンドゲーム – (2009)
オリジナルアルバム 11作目 (2009年)
00年代の作品としては、比較的ファンからの評判がいいアルバム。
この前後の作品と比較して、とりわけ出来が良いわけでもスラッシュ色が強いわけでもありませんが、RUST IN PEACE(ラスト・イン・ピース)あたりに近いオールドスクールな様式美色があることと、後期作品としてはいくぶん疾走曲が目立つあたりに好評に理由があるのかもしれません
とはいえトータルで見れば、今までに吐き出したボキャブラリーだけで組み立てる、手癖に近い後期MEGADETHの典型的スタイルを一歩も出ていないので、初期のスリリングでスラッシーな作風や中期の無駄の無い練り上げられた作風を期待すると裏切られます。
他の後期作品同様に、悪くはないけど良くもない全曲アベレージギリギリのレベルで、お布施作品の域は出ていませんが、それでも最低限度のクオリティは保証されているのはさすがです。
お布施
Th1rt3en|サーティーン – (2001)
オリジナルアルバム 12作目 (2011年)
賛否両論 お布施
SUPER COLLIDER|スーパー・コライダー – (2013)
オリジナルアルバム 13作目 (2013年)
T-01はBLACK SABBATH(ブラック・サバス)のカバー…、かと思っていたら違いました。
T-11もTHIN LIZZY(シン・リジィ)のカバーみ見せかけて…、と思ったらこちらは本当にカバーでした。
そんな感じで、全体的にオールドスクールなハードロック的なテイストが強めで、結果的にCOUNTDOWN TO EXTINCTIONに近い印象も。
完全な成功作とはいいきれませんが、後期MEGADETHの水準ラインは軽くクリアしているので、あとはスラッシュ回帰を期待するか、実験性を歓迎するかで評価が変わるでしょう。
MEGADETHのスラッシュリバイバル路線は、小手先感が強くスリルにかけるので、そういう意味では本作での試みの方が面白さや興味深さでは確実に上ですね。
賛否両論 通好み スルメ盤
DYSTOPIA|ディストピア – (2016)
オリジナルアルバム 14作目 (2016年)
入門盤 賛否両論 お布施
◎ MEGADETHはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
MEGADETHは時期によって音楽性が大きく異なるので、好みによってオススメも変わります。スラッシュメタルを求めるならハイテンションなスリリングさではKILLING IS MY BUSINESS~(1st)、バランスの良さならPEACE SELLS~(2nd)がおすすめ。激しい中にも美メロやドラマ性などメタル様式美を求めるなら、RUST IN PEACE(4th)もいいでしょう。
スラッシュの枠を超えた広い意味でのヘヴィメタルとしてなら、代表作で歴史的名盤のCOUNTDOWN TO EXTINCTION(5th)はマストですし、よりメロディを追求したYOUTHANASIA(6th)も必聴です。