Contents
- 1ニューメタルに多大な影響を与えたフリーキーなヴォイスパフォーマンス系ヴォーカルと、個性的すぎるヘヴィサウンドで新時代のプログレッシヴロックを生みだしたオルタナティヴシーンのカリスマバンド!!
- 1.1FAITH NO MORE|DISCOGRAPHY
- 1.1.1We Care a Lot|ウィ・ケア・ア・ロット
- 1.1.2Introduce Yourself|イントロデュース・ユアセルフ
- 1.1.3The Real Thing|ザ・リアル・シング
- 1.1.4Angel Dust|エンジェル・ダスト
- 1.1.5King for a Day, Fool for a Lifetime|キング・フォー・ア・デイ,フール・フォー・ア・ライフタイム
- 1.1.6Album of the Year|アルバム・オブ・ジ・イヤー
- 1.1.7Sol Invictus|ソル・インヴィクタス
- 1.1.7.1◎ FAITH NO MOREはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
ニューメタルに多大な影響を与えたフリーキーなヴォイスパフォーマンス系ヴォーカルと、個性的すぎるヘヴィサウンドで新時代のプログレッシヴロックを生みだしたオルタナティヴシーンのカリスマバンド!!
FAITH NO MORE(フェイス・ノー・モア)は、華やかなグラムメタルとエクストリームなスラッシュメタルが拮抗していたや80年代から、RED HOT CHILLI PEPPERSやJANES ADDICTIONなど並んで活動を続けていた、いわゆる“オルタナティヴ・ロック”系アーティストを代表するメジャー級グループのひとつ。
その最初期は、ファンクロック/ファンクメタル系グループとしてスタートしており、HIPHOPの影響が濃いラップメタルが主流となる以前のミクスチャーロックシーンでは、RED HOT CHILLI PEPPERSに次ぐ存在として知られていました。
のちに新たなヴォーカリストとして加入したマイク・パットンのヴォイスパフォーマー的な変幻自在のヴォーカルスタイルと、アーティスティックな前衛志向をサウンドに反映させていったことで、計算された整合感と構築美を備えたモダンな新世代プログレッシヴロックと呼ぶにふさわしい相応しい作風となりますが、結果的にはこれが大ヒットに結びつききます。
彼らが調子に乗りやすいだけなのかマスコミが意図的にフォーカスしたのか、当時のメタルシーンを揶揄するようなコメントが多かった上に、ヘヴィメタルマンと呼ばれバンド随一のメタルシンパとして知られていた、ギタシストのジム・マーティンを音楽性の相違を理由に解雇したことなどから、アンチメタル系リスナーやマスコミに持ち上げられメタルリスナーから敬遠される傾向がありました。
そんなアンチメタル急先鋒というイメージのわりにはメタリックな要素はかなり強めで、3rdにはBLAC SABBATHのカバー曲も収録していたほどでしたし、ヘヴィメタルマンジム・マーティン脱退後もメタル度は薄まるどころか、逆によりヘヴィネスとアグレッションを増したハードロック/ヘヴィメタルに寄った作風となります。
むしろ、その類型的なメタル様式と一線を画したハードなヘヴィサウンドとマイク・パットンのフリーキーでエクストリームな歌唱スタイルがのちのニューメタルに多大な影響を与えたことや、パットンが元SLAYERのデイヴ・ロンバート(Dave Lombardo ),Melvinsのバズ・オズボーン(Buzz Osborne)とのプロジェクトFantômasを結成したことなどから、逆にメタルシーンとの縁は深まりメタルクラスタからの注目と再評価が高まる結果となりました。
FAITH NO MORE|DISCOGRAPHY
We Care a Lot|ウィ・ケア・ア・ロット
オリジナルアルバム 1作目 – (1985年)
この時点ではファンクメタルとしてRED HOT CHILI PEPPERSに続く存在とみなされていたが、すでにプログレ色は濃厚でベーシックな個性は確立されている。ヴォーカルを務める前任のチャック・モズレイはパットンとの比較で必要以上に格落ちあつかいされがちだが、芸域が狭いだけでそれほど悪いわけではない。
ファンク度:★★★★☆|マニア度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Introduce Yourself|イントロデュース・ユアセルフ
オリジナルアルバム 2作目 – (1987年)
一般的には前作をブラッシュアップさせた作品とされており、サウンドの厚みが増しアップテンポな楽曲目立つようになった。個性はいくぶん強固になったものの作風の幅はやや狭まった印象があるが、ここまでで完成されたスタイルのベーシックな部分は後年まで踏襲されている。
ファンク度:★★★★☆|マニア度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
通好み スルメ盤
The Real Thing|ザ・リアル・シング
オリジナルアルバム 3作目 – (1989年)
“歌える変態”マイク・パットンを迎えた作品で、ヴォーカルの表現力と芸域は格段に広がっている。基本的なスタイルに大きな変化はないがプロダクションが向上してサウンドの厚みが増し、メタル的なヘヴィネスも大幅にアップしており、彼らのブレイクスルーとしてメインストリームな存在に押し上げた重要作。
ファンク度:★★☆☆☆|マニア度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 通好み 実験作
Angel Dust|エンジェル・ダスト
オリジナルアルバム 4作目 – (1992年)
彼らのキャリアのピークでもある作品で、多彩な音楽的バックグラウンドを反映させた、多面的な作風を持った実験性の強いオンリーワンの作風。90年代オルタナティヴロックを代表する名盤にして、それ以降の新世代プログレッシヴロック/メタルの基礎のひとつとなった重要作。
ファンク度:★☆☆☆☆|マニア度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
King for a Day, Fool for a Lifetime|キング・フォー・ア・デイ,フール・フォー・ア・ライフタイム
オリジナルアルバム 5作目 – (1995年)
前作から一転してアグレッシヴな作風が増した、キャリア中もっともヘヴィメタル/ハードコアのエッセンスが濃厚なアルバムで、当初は否定的に捉えられていたが、パットンのヴォーカルスタイルとともにニューメタル/メタルコアにも影響を及ぼした作品として後年評価が高まりました。
ファンク度:★☆☆☆☆|マニア度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論
Album of the Year|アルバム・オブ・ジ・イヤー
オリジナルアルバム 6作目 – (1997年)
前作同様ヘヴィな音作りが目立つ作風で、ニューメタルに近い質感も見せるようになりました。作品自体は新奇性には欠けやや地味ではあるものの高水準で、凝り過ぎてない分だけ新規リスナー向けとも言えます。
オールドファンには不評で新規リスナーの耳には届かずで、セールスも振るわず解散という結果になりますが欧州や豪州などでは高評価を受けていました。
ファンク度:★☆☆☆☆|マニア度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
Sol Invictus|ソル・インヴィクタス
オリジナルアルバム 7作目 – (2015年)
メタルシーンを中心とした再評価の高まりを受けての復帰作で、前作に近い総決算路線の作風ですがいくぶん実験的な作風も見られるようになっています。
無難な仕上がりで全盛期のインパクトは期待できませんが、ニューメタル/メタルコア世代の入り口にはいいかもしれません。
ファンク度:★☆☆☆☆|マニア度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 実験作
◎ FAITH NO MOREはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
新規リスナーでも聴きやすい作風とモダンな音作りということで選ぶなら、解散前の総決算的なアルバム“Album of the Year(6th)”か、同路線で現代的なエッセンスを増した“Sol Invictus(7th)”との直近2作がとっつきやすくてオススメです。
しかし、個性の強い作風で頂点を極めた彼ら本来の魅力を堪能したければ、実験性とポップネスが共存した音の宝石箱的プログレ路線の“Angel Dust(4th)”か、デスメタルにも匹敵するエクストリミティで現代ヘヴィミュージックの原点のひとつとなった“King for a Day, Fool for a Lifetime(5th)”から入るべきでしょう。