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★ SACRED REICH(セイクレッド・ライク) ディスコグラフィー ★ ポリティカルなアティチュードとユーモアが同居したアリゾナのオールドスクール・スラッシャー!!…必聴アルバムは?

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ポリティアカルなハードコア・アティチュードと軽妙なユーモアセンスに、ヘヴィメタルならではの整合感を兼ね備えたサウンドで、スラッシュメタル全盛期を支えたアリゾナのクロスオーバー・スラッシャー!!

SACRED REICHのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

SACRED REICH(セイクレッド・ライク)は、アメリカ合衆国はアリゾナ州を拠点とする、スラッシュメタル・バンド。

SACRED REICHは後発スラッシャーの代表格!?

SACRED REICHは、スラッシュメタルのムーヴメントの中ではやや後発組にあたる、第2〜第3世代のグループのひとつです。

同郷アリゾナを拠点とし、〈METALLICA〉全盛期のベーシストを務めた、ジェイソン・ニューステッドが所属していたことで広く知られた、〈FLOTSAM AND JETSAM(フロットサム・アンド・ジェトサム)〉ら共に、スラッシュメタル最盛期のシーンを彩りました。

SACRED REICHは『クロスオーバー・スラッシュ』!?

SACRED REICHの音楽性は、パワーメタル寄りの〈FLOTSAM AND JETSAM〉とは異なり、ハードコアのエッセンスが濃厚な『クロスオーバー・スラッシュ』に近いスタイルを持ち味としています。

その特徴は、ヘヴィメタルの伝統を感じさせるスラッシュメタルに、パンキッシュなハードコア要素が同居した音楽性や、社会風刺を効かせつつも独自のユーモアを持った、ポリティカルなアティチュードにも現れています。

SACRED REICHの音楽性の変遷は!?

デビュー当初は、疾走型のハードコア・スラッシュ・ナンバーを中心とした作風を展開していましたSACRED REICHですが、スラッシュメタルとしては後発のグループだけに、デビューからさほど間を空けずに、スラッシュメタル・ブームの収束に伴う、ムーヴメントとシーンの変革期への突入に巻き込まれてしまいます。

そのあおりを受けて、その後は多くのスラッシュメタルのグループと同様に、ヘヴィミュージックのメインストリームの趨勢に寄り添うようなかたちで、ミッドテンポを主体としたアプローチや、グルーヴ・スラッシュに接近したスタイルへと移行することになります。

そのため、オーソドックスでストレートなスラッシュメタルを展開していた時期は、短期間に終わっています。

スラッシュメタルとSACRED REICHの終焉!?

スラッシュメタルのムーヴメントが完全な終息を迎えたのちも、音楽性をシフトしてしばらくは活動を続けていたSACRED REICHですが、新たなスタイルを確立して、ヘヴィミュージック激動期にともいえる90年代前期の、シーンの変遷を乗り切ることは出来ずにムーヴメント収束とともに勢いを失います。

そのため、1996年以降はアルバムのリリースも途絶えてしまい、2000年にはやはり多くのスラッシュメタルのグループと同様に、活動停止状態へと突入してしまいします。

SACRED REICHの再結成後の活動は!?

00年代以降の、スラッシュメタル・リヴァイヴァルのブームと、それに伴うオールドスクール・スラッシュ再評価の盛り上がりによって、スラッシュメタル・バンドの再結成や活動の活発化が表面化しますが、解散状態に入っていたSACRED REICHもまた、2006年には活動を再開しています。

再結成後も、長らくはライヴ活動や過去音源の再発に終始していましたが、2019年にはようやく新作のフルレンス・アルバムのリリースにこぎつけており、現在もバンドはアクティヴな状態で未だ活動を続けられています。

次ページはSACRED REICHのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

SACRED REICH|DISCOGRAPHY

Ignorance|イグノランス

オリジナルアルバム 1作目 – (1987年)

“D.I.Y.感”が漂うアートワークが象徴する様な、ハードコア風味も濃厚なストレートなクロスオーバー・スラッシュを展開するデビュー・アルバム。

ヘヴィメタル的な美意識は希薄ですが、ヘヴィメタル的な整合感は強めで、それがサウンドにも効果的に生かされていることもあり、ハードコア界隈に顕著な、悪い意味での“初期衝動の美学”にこだわり過ぎた結果、ただ単調で一本調子なだけに終わるという、ダメなクロスオーバーにありがちな事態に陥ってはいません。

さすがに、スラッシュメタル・シーンのトップに食い込めるほどの仕上がり、…とまではいえませんが、疾走感あふれる爽快な楽曲が中心となっており、その合間にダークで不穏なインストT-03なども挟まれるなど、彼らなりの工夫を凝らした高水準な力作と言えます。

|スラッシュ度:★★★★★
|ヘヴィネス:★☆☆☆☆
|スピード:★★★★☆
|ハードコア度:★★★★☆
|グルーヴ:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤

Surf Nicaragua|サーフ・ニカラグア

ミニアルバム – (1988年)

アルバム未収録の3曲に加え、〈BLACK SABBATH〉のカバーや1st収録曲のライヴ音源も含む、6曲入りのEP/ミニアルバム。

イメージキャラクターをフィーチャーした、ユーモラスなジャケットのインパクトも手伝って、ある面では知名度では1stすら超える面がありますが、それだけでなく、アンセム曲でもあるタイトルトラックT-01も収録された充実度の高い1枚と言えます。
後年では、スプリットや単体で何度となく再リリースされています。

|スラッシュ度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★☆☆☆☆
|スピード:★★★★☆
|ハードコア度:★★★★☆
|グルーヴ:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤

The American Way|ジ・アメリカン・ウェイ

オリジナルアルバム 2作目 – (1990年)

完全な終息を迎えつつあった当時のスラッシュ・シーンにおいて、トップグループからマイナーバンドにまでの間で活発化していた、次の時代を見据えての“ポスト・スラッシュ”の新展開を試みたアルバム。

とはいえ、完全な脱スラッシュのアプローチではなく、ここでは、オールド・スクールなスラッシュメタルの枠の中で、ミッドテンプ主体のグルーヴメタルに接近したような印象です。

ときおり疾走パートも織り込むなど工夫は見られ、タイトルトラックのT-02あたりは及第点ですが、ミッドテンポ一本槍で攻めるにはアイデアやセンスに欠けることもあり、アルバムとしてトータルで見ると低調で消化不良の印象は拭えません。

|スラッシュ度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
||スピード:★☆☆☆☆
|ハードコア度:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤 実験作

Independent|インディペンデント

オリジナルアルバム 3作目 – (1993年)

引き続き、ミッドテンポの楽曲を新機軸として模索しているアルバムで、前作よりもややスラッシュメタルからは距離を置いた曲が目立つようになりました。
必然的に、一般的にはスラッシャーからの評価はかんばしいものではなく、印象の薄い…というよりもむしろ悪い意味で印象の強いアルバムですが、意外にも作風の多様性を増しながらも充実度の高い力作です。

前作同様に時代を反映して、全体的にヘヴィグルーヴに重点を置いた作風となってはいるものの、手探り感の強かった前作と比較すると、スラッシュの定型にこだわり過ぎない分だけ、ミッドテンポもこなれて板についており、独自のグルーヴメタルの確立に近付きつつあります。

また、T-01を始めとしたファスト・チューンやファスト・パート込みの曲にも、再び比重が置かれるようになったほか、ドゥームメタル風のT-06や、アコースティックなインストT-05やスローなT-09などの、ダークでメロディアスなナンバーなどもあり、フラットな印象だけが残る前作から一転して、変化に富んだ多彩な構成となっています。

|スラッシュ度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ハードコア度:★★★★☆
|グルーヴ:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作

Heal|ヒール

オリジナルアルバム 4作目 – (1996年)

基本的には、前作と同様のヘヴィグルーヴ路線ですが、スラッシーな質感を残しつつもより一層ヘヴィネスを増して、同時代的なグルーヴメタルへと大きく接近。
雰囲気はややダークに傾いているものの、曲によってはPANTERAばりのサザンメタル風ナンバーも見られ、T-06ではファンキーでブルージーな軽妙なサウンドも聴かせます。

前作同様スラッシャーからは評価の低いアルバムながらも、単なるPANTERAフォロアーには陥らない、彼らなりのスタイルを貫いており、名盤には到底届かないものの楽曲も高水準な好盤で、総合力においてはは1st以降ではベストとも言えます。

ただし、どうしても「出遅れたトレンド追従」という印象はついて回り、そのそしりをモノともせずに新たなモードを確立させるだけの、圧倒的な独自性/圧倒的なクオリティを提示できているかと問われると、「NO」と答えるほかありません。

なお、T-08『Who Do You Want to Be?』はダニー・エルフマンのバンド〈OINGO BOINGO〉のカバー。
意外性のある選曲ですが、本来がパンキッシュなファストチューンだけに違和感はなく、絶妙な出来栄えを見せています。

|スラッシュ度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★☆☆☆
|ハードコア度:★★★☆☆
|グルーヴ:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

賛否両論 通好み 実験作

Still Ignorant (1987-1997)|スティル・イグノランス

ライヴアルバム (1997年)

Ignorance & Surf Nicaragua|イグノランス & サーフ・ニカラグア

カップリングアルバム – (2007年)

デビュー作と名ミニアルバムの代表作をカップリングして、レアトラックとライヴ映像も加えた決定版。

Awakening|アウェイクニング

オリジナルアルバム 5作目 – (2019年)

再結成から20年近くを経てようやくリリースされた、復活第一弾のスタジオフルレンス。

ハードコア風味のジャケットアートから、多くの再始動スラッシャーと同様の、初期への原点回帰が期待されますが、ややスラッシーな質感とでハードコア風味を強めたものの、ヘヴィグルーヴ要素も見られるなど、疾走曲中心の初期作に完全回帰したわけでもなく、過去の総決算的なスタイルと言っていいものです。

オールドスクール・スラッシュが、そのリバイバル以降一定のリスナー層を確立しているとはいえ、さすがにブームに便乗するには完全に種を逃しており、遅きに失した感は否めせんし、それを意識せずに済むほどの極上の出来栄えを見せているわけでもなく、曲数を抑えたわりには密度は薄めです。

とはいえ、及第点は軽くクリアしていますし、再結成スラッシュにありがちな、現代性を意識したただ速いだけの厚塗りスラッシュという、画一的なスタイル陥っていないあたりは評価できます。
また、フルアルバムで8曲30分強というコンパクトな仕様は、大容量時代から揺り戻しとはいえ、その潔さは好印象です。

|スラッシュ度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ハードコア度:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論
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