Contents
- 1グラムメタル・ムーヴメントが燃え尽きる直前に輝きを放ったアイドル・バンドは、ストロング・スタイルの90年代型ヘヴィメタルへと変貌を遂げて時代の寵児に!?
- 1...1アイドル人気で一躍スターダムに!?
- 1...2グラムメタルの最後の輝き!?
- 1...3同名バンドから権利を買い取る!?
- 1...4最もヘヴィなグラムメタル!?
- 1...5オルタナメタル路線が不評!?
- 1...6ヴォーカリストの脱退で解散!?
- 1...7新ヴォーカルを迎えて再始動!!
- 1...8更なるメンバーチェンジを重ねて活動中!?
- 1.1SKID ROW|DISCOGRAPHY|スタジオアルバム
- 1.1.1Skid Row|スキッド・ロウ
- 1.1.2Slave To The Grind|スレイヴ・トゥ・ザ・グラインド
- 1.1.3Subhuman Race|サブヒューマン・レース
- 1.1.4Thickskin|シックスキン
- 1.1.5Revolutions Per Minute|レヴォリューション・パー・ミニット
- 1.2SKID ROW|DISCOGRAPHY|ライヴ/コンピレーション
- 1.2.1B-Side Ourselves|ビー・サイド・アワセルブス
- 1.1PRUNELLA SCALES|プルネラ・スケールズ|DISCOGRAPHY
- 1.1.1.1オルタナ・ハードの実力派が集結!!
- 1.1.2Dressing Up The Idiot|ドレッシング・アップ・ザ・イディオット
- 1.2THE LAST HARD MEN|ザ・ラスト・ハード・メン|DISCOGRAPHY
- 1.2.1The Last Hard Men|ザ・ラスト・ハード・メン
- 1.3SEBASTIAN BACH|セバスチャン・バック|DISCOGRAPHY
- 1.3.1Bring 'Em Bach Alive!|ブリング・エム・バック・アライヴ!
- 1.3.2Bach 2: Basics|バック・トゥー・ベーシックス
- 1.3.3Finding My Way|ファインディング・マイ・ウェイ
- 1.3.4Angel Down|エンジェル・ダウン
- 1.3.5Kicking & Screaming|キッキング・アンド・スクリーミング
- 1.3.6Give 'Em Hell|ギヴ・エム・ヘル
グラムメタル・ムーヴメントが燃え尽きる直前に輝きを放ったアイドル・バンドは、ストロング・スタイルの90年代型ヘヴィメタルへと変貌を遂げて時代の寵児に!?
SKID ROW(スキッド・ロウ)は、アメリカ合衆国ニュージャージー出身のメタル/ハードロック・バンド。
アイドル人気で一躍スターダムに!?
SKID ROWは、中心人物であるレイチェル・ボラン(Ba.)と、ジョン・ボン・ジョビの幼馴染としても知られるデイヴ・スネイク・セイボ(Gt.)が中心となって結成されました。
追って加入したフロントマンのセバスチャン・バックは、その端整なルックスとパワフルな歌唱が注目を集め、アイドル人気とそれにとどまらない評価を獲得したことで、バンド人気のブースターとしての役割を果たします。
グラムメタルの最後の輝き!?
SKID ROWは、グラムメタル・ムーヴメントの中では最終盤にあたる時期にデビューしており、シーンの中でもかなりの後発グループに属しています。
ヴーム末期の後発グラムメタル・バンドとしては、一時はグラムメタル・シーンの主流を“バッドボーイ系ロックンロール”に一新するほどの巨大な存在となった、〈GUNS N’ ROSES〉を別格とすれば、異例の人気を獲得した出世頭とも言えるグループでした。
同名バンドから権利を買い取る!?
SKID ROWを巡る大きなトピックのひとつに、1970年前後のアイルランドにも同名のバンドが存在していたことが挙げられます。
この〈元祖SKID ROW〉は、〈THIN LIZZY〉やソロで…そして後年はブルーズマンとして活躍した、アイリッシュ・ギターヒーローのゲイリー・ムーアがでデビューしたバンドとしても著名で、そのアルバムはプログレ/ジャズロックのクラシックとして世に多く流通しています。
そのため、少なくないリスナーが音楽ソフト購入の際に、混乱したり取り違えた経験を持っています。
また、〈元祖SKID ROW〉が名義の権利を所有していたことから、両陣営の間で名義をめぐって協議が行われており、後発である彼らは名義使用料を払ってSKID ROW名義を使用することで決着となりました。
最もヘヴィなグラムメタル!?
SKID ROWは、ロックンロール・テイストを持つポップなハードロック・サウンドとメタリックな質感を持った、典型的なグラムメタルとしてデビューしています。
しかし、当初よりシーンに中でも特にヘヴィなサウンドを持ち味としており、グラムメタルに否定的なリスナーからも比較的人気の高いグループとなっていました。
その後、グラムメタルへのカウンターとして勢力を拡大したスラッシュメタルや、次のヘヴィ・ミュージックのトレンドとして盛り上がりを見せていたグランジやグルーヴメタルの台頭を視野に入れ、いち早くそれら90年代型のヘヴィネスをも取り入れた、よりヘヴィでメタリックなサウンドに移行して好評を得ます。
オルタナメタル路線が不評!?
グラムメタル・ブームの完全な終息を迎えた後、シーンの趨勢を静観しつつアクションを起こす機会を探すため、SKID ROWはしばらくインターバルを設けますが、95年にはグラムメタルを脱却してグランジ/グルーヴメタルを大幅に取り入れた作品をリリースします。
これは賛否両論で、好意的な評価もあったものの、同様のアプローチを選んだ多くグループと同様に、オールドファンの不評を買うこととなって失速する結果になりました。
ヴォーカリストの脱退で解散!?
失速気味となったSKID ROWは、内部でも問題が勃発します。フロントマンのセバスチャン・バックが要望した〈KISS〉リユニオンの前座を、バンドが拒否したことで関係が悪化。バックはそれを理由に脱退してしまいます。
このため、1996年からはしばらくの間活動休止なり、メンバーは各々が個別の活動を展開していました。
新ヴォーカルを迎えて再始動!!
1999年には、後任のフロントマンとしてジョニー・ソーリンガーを迎えて活動再開。2枚のアルバムをリリースしています。
しかし、SKID ROWは前任者バックのアイドル人気に支えられた面も大きかっただけに、後のグラムメタル・リバイバルの際にも、それに便乗して完全復活とはなりませんでした。
更なるメンバーチェンジを重ねて活動中!?
活動再開以来、ソーリンガーをフロントマンに活動を続けていましたが、ソーリンガーは2015年に突如解雇されます。
その後、80年代グラムメタル・ブームの中で脚光を浴びた、ノルウェーの〈TNT〉のフロントマンとして知られるトニー・ハーネルのスポット参加を経て、2016年からはイギリスの新世代パワーメタルバンド〈DRAGONFORCE〉を脱退したZPサートを、パーマネントなヴォーカリストとして迎えます。
現在もその体勢で活動を継続しており、新作のアナンスもありましたが現時点ではリリースは発表されていません。(2022年現在)
SKID ROW|DISCOGRAPHY|スタジオアルバム
Skid Row|スキッド・ロウ
オリジナルアルバム – 1作目 (1989年)
過去のバンドのノウハウの蓄積を活かせるという後発バンドの利点と、バンド本来のセンスが有効に反映された、適度にフックの効いたソツのない仕上がりのアルバム。
キャッチーでロッキンなメタリック・ハードという、グラムメタル類型の枠からは一歩も出ない作風で、取り立てて独自性が感じられないあたりは評価が分かれるところでしょう。
とはいえ、80年代特有のフラッシー路線に傾し過ぎすことのない、グラムメタルとしては比較的ヘヴィなサウンドは、バンドの一応の持ち味となっています。
それに加え、グラマラスなメイクや衣装ではなくストリート系のビジュアルを選択しているあたりには、新世代らしく時流を見据えている様子も透けて見えます。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 賛否両論
Slave To The Grind|スレイヴ・トゥ・ザ・グラインド
オリジナルアルバム – 2作目 (1991年)
本格的にブレイクを果たす切っ掛けになっただけでなく、この時代のメタル・シーンを象徴する1枚にまでなった、SKID ROWの代表作。
基本ラインは前作を踏襲しながらも、90年代型のヘヴィ・サウンドへのにマイナー・チェンジが進んだアルバムで、当時ヘヴィ・ミュージックの新トレンドとしての萌芽を見せていた、グランジやグルーヴメタルのエッセンスも大胆に導入しつつ、ヘヴィメタリックな質感を強めています。
中でも、パワーメタル/スピードメタルとも呼べそうなファスト・チューンT-02は、バンドの史上最強のアンセム曲となりました。
そのバランスの良さから、従来のポップなグラムメタルのファンに加えて、オールドスクールなリスナーやモダン志向の新世代にまでアピールできたことで、幅広い層に支持を得ることに成功しています。
ただ、全体的に適度にフックのあって佳曲も曲多いものの、特に際立ったっているのは上記のT-02程度であり、またそのT-02と同路線の曲が他に見られるわけでもないで要注意。
徹頭徹尾ヘヴィ&ファストなストロング・スタイルを期待すると肩スカシとなる恐れがあります。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップネス:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Subhuman Race|サブヒューマン・レース
オリジナルアルバム – 3作目 (1995年)
80年代グラムメタルの名残をのあるサウンドから、完全に90年代の空気をまとったグランジ&グルーヴメタル路線へと移行を果たし、それによって、当然のように賛否両論を招く結果となったアルバム。
エッセンスとしては【グランジ=8:グルーヴ=2】くらいのバランスで、サウンドの質感はグランジに大きく傾いており、特に〈ALICE IN CHAINS〉あたりからの影響が濃厚で、曲によってはメロディもある程度重視されています。
本作は、数あるグラムメタル・バンドのグランジ・アプローチの中では、〈MÖTLEY CRÜE〉のセルフタイトル・アルバムなどと共に数少ない成功例のひとつとして挙げられ、比較されることも少なくありません。
しかし、グラムメタルのバブルにズブズブな上にその歴史を背負う立ち位置でもある〈MÖTLEY CRÜE〉が、そのシガラミからオールド・ファンの顔色をうかがわずにおれないのに対し、SKID ROWは後発組らしいフットワークの軽さで完璧なまでの脱却を果たしています。
クオリティは上々で、キャッチーな冒頭のT-01, T-02をはじめ、パンキッシュなファスト・チューンのT-03, T-07、ヘヴィでダウナーなT-08など佳曲も多く、アベレージでは前作を上回ってすらいます。
しかし、これだけでは微妙に出遅れたトレンド・フォロワー以上のものではなく、それを払拭する存在感を確立するには、さらに大きなプラスαが必要なのも事実。
前作から間を空けることなくリリースを重ねていれば、その中で何か独自のスタイルがつかめていたかもしれません。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Thickskin|シックスキン
オリジナルアルバム – 4作目 (2003年)
バックに代わる後任のフロントマンとして、ジョニー・ソーリンガー(R.I.P)を迎えた復活第一弾アルバム。
また、本作でのドラム・パートは、レイチェル・ボランがプロジェクト〈PRUNELLA SCALES〉で組んだ元〈SAIGON KICK〉のフィル・ヴァローネが担当しています。
「ヘヴィなだけではオールド・ファンはついて来てくれないけれど、グラムメタルに回帰する気はない」…ということなのか、わかりやすいポップネスを強調させながらも、80年代とは異なった90年代以降の『オルタナ・ハードロック』に生まれ変わるという選択を、ここでの落としどころとしています。
そのため、同様の方法論でつくられた『PRUNELLA SCALES』を思わせる部分もありますが、それ以上にスコットランドの〈THE ALMIGHTY〉あたりに限りなく近い印象を受ける仕上がり。
そのパンキッシュでロッキンなハードロックの合間に、〈MARILYN MANSON〉風, ポップパンク調, ポストグランジ風、などの曲が挿入されるという具合です。
相変わらず無難でソツのない出来栄えを見せてはいますが、この時代に替えのきかないポジションを確立するには独自性や新規性に乏しいため、90年代の先人の焼き直しに過ぎないと言われればそれまでです。
かといって、純粋にクオリティで勝負するにしても、「アンセム級の傑出した曲が満載!」というわけでもないため、強烈な説得力や決め手を欠いているのは大きな弱みとなっています。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
Revolutions Per Minute|レヴォリューション・パー・ミニット
オリジナルアルバム – 5作目 (2006年)
基本的な作風はほぼ前作から変化はなく、レイチェル・ボランのソロ・プロジェクト〈PRUNELLA SCALES〉に準じた、パンキッシュでポップなオルタナ・ハードロックで、UK界隈の〈THE ALMIGHTY〉や〈THE WILDHEARTS〉も想起させるサウンド。
あえて言えば、アルバム中の数曲おいて明確なカントリー・サウンドを導入している点が、本作で新たに加わったポイントであり、曲によってはサーフロック風のテイストも感じられます。
楽曲面では、本作もおおむね及第点には達した無難な出来栄えではあるものの、取り立てて際立った曲が見られないという弱点についても同様で、残念ながら前作から飛躍的な向上は感じられません。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
レボリューションズ・パー・ミニット/CD/FATCD-653
SKID ROW|DISCOGRAPHY|ライヴ/コンピレーション
B-Side Ourselves|ビー・サイド・アワセルブス
コンピレーションアルバム (1992年)
タイトルどおり、シングルのB面曲を集めたコンピレーションですが、全曲カバー曲で構成されており、カバー・ミニアルバムと呼べる体裁です。
取り上げたバンドは、〈RAMONES〉,〈KISS〉,〈JUDAS PREAST〉,〈RUSH〉,〈JIMI HENDRIX〉らのビッグネーム。
なお、〈JUDAS PREAST〉のカバーでは、ロブ・ハルフォードもゲスト参加しています。
アレンジは比較的ストレートですが、マイナス印象には傾かないパワフルでアグレッシヴなな仕上がりで、選曲もナイス。
全5曲という、ヒネリのないアレンジでも飽きのこない適度なボリュームも幸いし、チャート入りを果たしてスマッシュヒットとなりました。
|アレンジ:★★★☆☆
|意 外 性:★★☆☆☆
|メタル度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
オリジナルアルバム – 1作目 (1998年)
ノイジーでパンキッシュなヘヴィロック/ロックンロールや、ローファイでストレンジなポップ・チューンが入り混じる、オルタナティヴ・ロックのひとつ典型的なスタイル。
ポップと表現できる作風であるとはいえ、キャッチーでわかりやすいポピュラリティとは無縁のサウンドですし、メタルテイストも希薄です。
少なくとも、往年のSKID ROWファンが、バックの一人舞台やそのスクリームが活かしたメタル・チューン、ポップなグラムメタルを期待して聴くべきものではありません。
アルバムには〈アリス・クーパー〉と〈SCORPIONS〉のカバーも含まれており、当初は限定盤としてリリースされましたが、のちに収録曲に変更を加えたものが一般向けに流通されています。