Contents
- 1メランコリックでリリカルなメロディとサザンバンドならではの骨太なサウンドが見事に同居したサウンドで、グラムメタルムーヴメントの爛熟期のシーンで異彩を放った“ミュージシャンズ・ミュージシャン”系メロディックハード!!
- 1...1最後のグラムメタル!?
- 1...2異端のグラムメタル!?
- 1...3グランジ路線は望むところ!?
- 1...4解散からスティーブ・ブレイズの個人バンドへ!?
- 1...5地道な活動の成果で各シーンで再評価!?
- 1...6意外にも幅広いファミリー・ツリー!?
- 1.1LILLIAN AXE|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Lillian Axe|リリアン・アクス
- 1.1.2Love & War|ラヴ・アンド・ウォー
- 1.1.3Poetic Justice|ポエティック・ジャスティス
- 1.1.4Psychoschizophrenia|サイコスキゾフレニア
- 1.1.5Fields of Yesterday|フィールズ・オブ・イエスタデイ
- 1.1.6Waters Rising|ウォーターズ・ライジング
- 1.1.7Sad Day on Planet Earth|サッド・デイ・オン・プラネット・アース
- 1.1.8Deep Red Shadows|ディープ・レッド・シャドウズ
- 1.1.9XI The Days Before Tomorrow|イレヴン・ザ・デイズ・ビフォアー・トゥモロウ
- 1.1.10(1987-1989) Out of the Darkness - Into the Light|アウト・オブ・ザ・ダークネス - イントゥ・ザ・ライト
- 1.1.11Live 2002|ライヴ 2002
- 1.1.12One Night in the Temple|ワン・ナイト・イン・ザ・テンプル
- 1.1.13PSALMS FOR ETERNITY|サルムス・フロム・エターニティ
- 1.1.14From Womb to Tomb|フロム・ウーム・トゥ・トゥーム
- Lillian Axe|リリアン・アクス
- Love & War|ラヴ・アンド・ウォー
- Poetic Justice|ポエティック・ジャスティス
- Psychoschizophrenia|サイコスキゾフレニア
- Fields of Yesterday|フィールズ・オブ・イエスタデイ
- Waters Rising|ウォーターズ・ライジング
- Sad Day on Planet Earth|サッド・デイ・オン・プラネット・アース
- Deep Red Shadows|ディープ・レッド・シャドウズ
- XI The Days Before Tomorrow|イレヴン・ザ・デイズ・ビフォアー・トゥモロウ
- (1987-1989) Out of the Darkness – Into the Light|アウト・オブ・ザ・ダークネス – イントゥ・ザ・ライト
- Live 2002|ライヴ 2002
- One Night in the Temple|ワン・ナイト・イン・ザ・テンプル
- PSALMS FOR ETERNITY|サルムス・フロム・エターニティ
- From Womb to Tomb|フロム・ウーム・トゥ・トゥーム
メランコリックでリリカルなメロディとサザンバンドならではの骨太なサウンドが見事に同居したサウンドで、グラムメタルムーヴメントの爛熟期のシーンで異彩を放った“ミュージシャンズ・ミュージシャン”系メロディックハード!!
LILLIAN AXE(リリアン・アクス)は、アメリカ南部のルイジアナ州ニューオーリンズを拠点とするハードロックバンド。
最後のグラムメタル!?
LILLIAN AXEは、80年代末のグラムメタル/LAメタルムーヴメント末期に登場したグループで、グラムメタルシーンの中ではSKID ROW(スキッド・ロウ)やEXTREME(エクストリーム)などと並んで最後発のグループにあたります。
この時期は、メインストリームでのバブル期を迎えたグラムメタルと、のちにそれに取って代わる、当時はオルタナティヴな存在だったグルーヴメタルやグランジなどが台頭してくる端境期と言えました。
異端のグラムメタル!?
この時期に登場したグラムメタルバンドには、自然とそれら両方の要素を持っていたり、やむなくグラムメタルとして世に出ただけで、その類型からはみ出す音楽性を持っていたケースも見られました。
LILLIAN AXEも同様で、耳なじみの良いキャッチーなポップネスを重視したスタイルではあるものの、やはりグラムメタルの類型に収まらない音楽性を、そこに内包したグループです。
その大きな特徴は、グラムメタル特有のイケイケで能天気なポピュリズムによるバブリーサウンドとは一線を画した、リリカルなメランコリアの漂う独自のポップセンスした。
グランジ路線は望むところ!?
グラムメタルムーヴメントが完全に収束して、一部ではメタル史の恥部とみなされるようにまでなった90年代には、多くのグラムメタル・バンドが方向性の転換もしくは解散を余儀なくされます。
LILLIAN AXEも同様で、グランジ/オルタナティヴシーンを意識したヘヴィネスとダークネスを強調した作風へと移行します。
しかし、彼らの持ち味であるメランコリックなメロディセンスは、むしろそれと相性の良いダークな作風の中でより際立つようになり、ヘヴィサウンドの中でもひとつも揺るがず相乗効果を見せました。
解散からスティーブ・ブレイズの個人バンドへ!?
これにより、あらためて評価が進み独自のファン層を広げてゆきますが、セールス面で恵まれているわけではなく、レーベルの倒産などもあって1995年には一時解散となります。
中心人物のスティーブ・ブレイズとドラマーでブレイズの実弟でもあるクレイグ・ヌネンマッハーはNEAR LIFE EXPERIENCEでLILLIAN AXEの作風にさらなるヘヴィネスと実験性を加えたサウンドを追求していましたが、1999年にはLILLIAN AXEをしての活動を再開させます。
以後、活動はやや不安定でメンバーの入れ替わりも激しく、現在のオリジナルメンバーは中心人物のスティーブ・ブレイズとベーシストのマイケル・マックス・ダービーのみとなりましたが、根強い活動を続けられています。
地道な活動の成果で各シーンで再評価!?
大きな成功には恵まれなかったLILLIAN AXEですが、それでもミュージシャンシップあふれた活動を続けた結果、“ミュージシャンズ・ミュージシャン”的な独自の立ち位置を築いて支持されています。
その活動が実ってか、これまではジャズ, ブルース, R&B, ロックンロールなど、ルーツミュージック系のアーティストによって占められていた『ルイジアナ音楽殿堂』に、ハードロック・バンドとして初めて選出されるという栄誉も得ています。
また、2015年にはDCコミックスのアメコミドラマ「コンスタンティン」にゲスト出演。劇中のクラブ出演バンドとして実名で登場しており、演奏シーンがインサートされました。
意外にも幅広いファミリー・ツリー!?
LILLIAN AXEは、意外なファミリー・ツリーを持っていることでも知られています。
クレイグ・ヌネンマッハー(Craig Nunenmacher)は、同郷のスラッジバンドCROWBARやBLACK LABEL SOCIETYでの活動を経て、現在ではサザンメタル/サザンスラッジシーンで名を知られる存在となっていいます。
また、同じくドラマーを務めたスコット(トミー)・スチュワートは、LILLIAN AXE解散にニューメタル系ポストグランジのハシリともいえるGODSMACKを結成。ニューメタル・ブームの渦中にはかなりの注目を集めた存在となっていました。
LILLIAN AXE|DISCOGRAPHY
Lillian Axe|リリアン・アクス
オリジナルアルバム – 1作目 (1988年)
グラムメタルムーヴメントの大多数のバンドと同様に、ポップメタルとも呼べる耳馴染みのいいポップネスを持ったスタイルですが、オーソドックスなアメリカンハードロックを基調とした比較的ヘヴィネス強めのサウンドと、独特な仄暗さを持ったメロディーラインという、類型的なバブルガムバンドとは異なる独自の個性はこの時点からすでに発揮されています。
収録曲の中には後年のアルバムに収録してもおかしくないようなナンバーも見られますし、ポップチューンも能天気なパーティロックに振り切らず、ほんのりと陰鬱さを漂わせるあたりに彼らのこだわりが感じられます。
叙情メロ度:★★★☆☆|80’sバブル度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 通好み スルメ盤
Love & War|ラヴ・アンド・ウォー
オリジナルアルバム – 2作目 (1989年)
デビュー作よりメジャー感のある音作りになっており、曲によってはメインストリーム寄りのキラキラ系ポップメタルテイストが強まっています。
その類のポップメタルナンバーも増えているため、アメリカンハードベースのヘヴィネスとメランコリアを持ったサウンドは変わらずですが、前作比較すると二極化が進んで散漫にも感じられますし、やや本来の持ち味が薄れた印象があります。
T-07はNWOBHMバンドGIRLのカバー。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★★★
|叙情メロ度:★★★☆☆
|80’sバブル度:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作
Poetic Justice|ポエティック・ジャスティス
オリジナルアルバム – 3作目 (1992年)
通好みなニューウェイヴ/オルタナティヴロックを中心にリリースしていた、『IRS Records』からの移籍第一弾で、グラムメタル/ポップメタルとしての知名度やセールス面だけであれば過去最高ということもあり、一応の代表作とされています。
前作までのポップメタル路線もまだ引きずってはいるものの、これまで以上にヘヴィネスを増した骨太なサウンドとなって、そこに彼ら特徴的なメランコリアが合わさったメロディックハードロックとなり、次作から現在にまでつながるLILLIAN AXEスタイルも完成に近づきつつあります。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★★
|叙情メロ度:★★★★☆
|80’sバブル度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 スルメ盤 実験作
Psychoschizophrenia|サイコスキゾフレニア
オリジナルアルバム – 4作目 (1993年)
前作に続いて『IRS Records』よりリリースされた、解散前のラストアルバム。
時代はグランジ全盛のいわゆる“80’sハードロック総ダーク&ヘヴィ化時代”。LILLIAN AXEもそれとは無縁でいられませんでしたが、彼らの場合はそれが完全にプラスにはたらいています。
後世で色物のネタとしてしか振り返られることのない80年代グラムメタルの軽薄な音づくりや作風は、少なくともメランコリックな叙情派メロディが持ち味である彼らにとっては、過去作を聴く限り単なるマイナス要因でしかありません。
ここではそれが払拭されたことで、アルバムの品格が格段に押し上げられています。むしろ、現在では周知のこととなった、メランコリアとダークなヘヴィネスの抜群な相性の良さを証明しています。
力強いヘヴィネスと繊細なメランコリアに同時代的なダークネスが加味されたことでケミストリーが生じ、これまで以上に繊細ながらもツイストの効いたメロディが際立ったサウンドは実に魅力的。
楽曲も粒ぞろいでアルバムとしても完璧に近いもので、最高傑作と呼ぶにふさわしい完成度を誇る名盤です。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップネス:★★★★★
|叙情メロ度:★★★★★
|80’sバブル度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Fields of Yesterday|フィールズ・オブ・イエスタデイ
オリジナルアルバム – 5作目 (1999年)
『IRS Records』の倒産もあってインディーズ活動へと移行し、マイナーレーベル『Z Records』からのリリースとなったアルバム。
一応はフルレンスの新作アルバムという扱いになっていますが、実際は過去のデモ曲とアウトテイクで構成された編集盤です。
作風は前作と同じく、80年代風のバブル感が抜けた骨太なサウンドに、ツイストの効いたメランコリックなメロディが合わさったもの。
デモとアウトテイクがベースであることから、楽曲のアベレージやアルバムとして統一感含めた総合力では前作に及ぶべくもありません。
それでも、そんな“訳アリ曲”の寄せ集めとは思えない充実ぶりに彼らの地力は見て取れますし、前作に匹敵しうる上質なメロディックハード/ヘヴィロックアルバムであることは間違いありません。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップネス:★★★★☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|80’sバブル度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
Waters Rising|ウォーターズ・ライジング
オリジナルアルバム – 6作目 (2007年)
Sad Day on Planet Earth|サッド・デイ・オン・プラネット・アース
オリジナルアルバム – 7作目 (2009年)
Deep Red Shadows|ディープ・レッド・シャドウズ
オリジナルアルバム – 8作目 (2010年)
XI The Days Before Tomorrow|イレヴン・ザ・デイズ・ビフォアー・トゥモロウ
オリジナルアルバム – 9作目 (2012年)
(1987-1989) Out of the Darkness – Into the Light|アウト・オブ・ザ・ダークネス – イントゥ・ザ・ライト
コンピレーションアルバム (1991)
Live 2002|ライヴ 2002
ライヴアルバム (2002年)
One Night in the Temple|ワン・ナイト・イン・ザ・テンプル
ライヴアルバム (2014年)
PSALMS FOR ETERNITY|サルムス・フロム・エターニティ
コンピレーションアルバム (2022年)
From Womb to Tomb|フロム・ウーム・トゥ・トゥーム
オリジナルアルバム – 10作目 (2022年)