Contents
- 1ゴスでグラマラスなショック・インダストリアルメタルで一時代を築いた、ナードな90年代トラウマロックの代表格にしてアート系ビジュアル系/コスプレ系メタルの火付け役!その活躍の余波で墓の中のショックロックレジェンド達も息をふきかえす!!
- 1.1MARILYN MANSON|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Portrait of an American Family|ポートレイト・オブ・アン・アメリカン・ファミリー
- 1.1.2Smells Like Children|スメルズ・ライク・チルドレン
- 1.1.3Antichrist Superstar|アンチクライスト・スーパースター
- 1.1.4Mechanical Animals|メカニカル・アニマルズ
- 1.1.5Holy Wood (In the Shadow of the Valley of Death)|ホーリー・ウッド〜イン・ザ・シャドウ・オブ・ザ・ヴァリー・オブ・デス
- 1.1.6The Golden Age of Grotesque|ザ・ゴールデン・エイジ・オブ・グロテスク
- 1.1.7Eat Me, Drink Me|イート・ミー, ドリンク・ミー
- 1.1.8The High End of Low|ザ・ハイ・エンド・オブ・ロウ
- 1.1.9Born Villain|ボーン・ヴィラン
- 1.1.10The Pale Emperor|ザ・ペイル・エンペラー
- 1.1.11Heaven Upside Down|ヘヴン・アップサイド・ダウン
- 1.1.12We Are Chaos|ウィ・アー・ケイオス
- 1.1.13The Last Tour on Earth|ザ・ラスト・ツアー・オン・アース
- 1.1.14Lest We Forget The Best Of|レスト・ウィ・フォーゲット
ゴスでグラマラスなショック・インダストリアルメタルで一時代を築いた、ナードな90年代トラウマロックの代表格にしてアート系ビジュアル系/コスプレ系メタルの火付け役!その活躍の余波で墓の中のショックロックレジェンド達も息をふきかえす!!
MARILYN MANSON(マリリン・マンソン)は、自らのステージネームをバンド名とするマリリン・マンソンを中心とした、アメリカのインダストリアルバンド。
アンダーグラウンドで活動していた時期に、NINE INCH NAILSのとして一時代を築いたUSインダストリアルのカリスマ、トレント・レズナーによって見出され、そのサポートを得た“”兄弟分“, 盟友”的な存在という触れ込みでメジャーデビューを果たして大ブレイク。PVもヘヴィローテーションとなって、一気にヘヴィムージックのメインストリームへと登りつめます。
MARILYN MANSONはインダストリアルメタルとしては、第二世代以降に属するグループ。これらは、ポストパンク時代のエレポップ/シンセポップ、ノイズミュージックや実験性の強い電子音楽、あるいはEBM(エレクトリック・ボディ・ミュージック)と呼ばれるダンスミュージックを基盤に持ち、プログラミングやサンプリング主体で楽器を用いないケースも多かった初期のインダストリアルメタルアーティストとは異なり、あくまでもバンド体制でのオーソドックスなロック/ヘヴィメタルに基づいています。
やはり同時期にバンド体制による独自のインダストリアルメタルを確立させていた、WHITE ZOMBIE(ROB ZOMBIE), FEAR FACTORY, PRONGらとともに、バンドサウンド主体の新世代アメリカン・インダストリアルメタルの急先鋒としてシーンの最前線で活躍しました。
MARILYN MANSONは、メタルシーンでは単なるチープなキワモノに過ぎないものが多かった奇抜なメイクや特殊な衣装を、アーティスティックなセンスで洗練させコンセプチュアルなコスプレ系メタルの発展させ、再びメジャーに押し上げた火付け役としてブームの一翼を担います。
そのビジュアルコンセプトは、後年のSLIPKNOTや一部のエンタメ系ブラックメタルと並んで、各地で一定のシェアを持つまでに定着したのコスプレメタルや、日本のビジュアル系バンドにも多大な影響を与えて築地従者を生み、グラムロック以来のコスプレムーヴメントに拡大します。
MARILYN MANSONの登場は、マッチョイズムの傾向強い従来のアメリカンヘヴィメタルとは異なるアート系, 文科系, ナード系のアーティストがメインストリームで幅をきかせるきっかけにもなります。
アンチマッチョやスクール内のアウトカーストの鬱屈、幼少期のトラウマなどをアピールし、トレント・レズナーやKORNらと共に新世代ナード/サブカル系ヘヴィメタルの本格的な幕開けを告げた存在でもあり、現在でも一部のエモ系バンドやブラックメタルバンドと共に、いわゆる“厨二系”やナードクラスタのカリスマ的存在とみなされています。
また、ショックロック/ショックメタルの現代的センスによるリバイバルという側面が、そのルーツにあたるALICE COOPER(アリス・クーパー), W.A.S.P.(ワスプ), LIZZY BORDEN(リジー・ボーデン)といったのバンドに再びスポットを当て、バンドによっては再結成に導くという波及効果も生みました。
知名度や影響力が肥大化したことから、アンチキリストなど反保守的でアンモラルでイメージが保守勢力の標的となり、犯罪の原因にも絡められ名指しでバッシングを受けることも多々あり、ライヴ会場の使用を禁止されるなど、メタルシーンでもひさ時差の本格的スケープゴートとしてやり玉に挙げられていました。
しかし、熱心なサポーターを獲得したためか、バンド自体はデビュー以来メンバーチェンジこそあれど大きなブランクもなく活動を続けており、スタジオアルバムも比較的コンスタントなリリースを重ねています。
MARILYN MANSON|DISCOGRAPHY
Portrait of an American Family|ポートレイト・オブ・アン・アメリカン・ファミリー
オリジナルアルバム – 1作目 (1994年)
このデビューアルバムは、本来はSWANSのロリ・モシマンのプロデュースで録音されていましたが、NINE INCH NAILSのトレント・レズナーのプロデュースのもと来録音やリミックウを重ねたものが、正式な音源としてレズナーのレーベル“ナッシング”からリリースされます。マンソンがモシマンによるシャープで緻密なサウンドに不満を持っていたらしく、リリース版はアングラ感を感じさせるややジャンクでノイジーな音作りとなりました。
バンドによるロックサウンドを基本とした曲づくりははこの頃から変化はなく、インダストリアルメタルというよりは“インダストリアルメタル風”といった作風です。やや雑に言うなら、のちのアルバムからフィジカルなアグレッシヴ路線とゴシック的な耽美/メロディ路線という、バンドの二大目玉となる楽曲を抜いたような内容。アルバムの軸となる曲もなければ際立った特徴もなく、全体的にフックの無いフラットな曲が続く仕上がりで、今となっては熱心なファン向けのアイテムどまりですね。
ラウド度:★★☆☆☆|メロ/エモ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Smells Like Children|スメルズ・ライク・チルドレン
ミニアルバム:EP (1995年)
ミニアルバムながら、MARILYN MANSONの名を世に知らしめた重要作。プロデュースはここでも、盟友であるNINE INCH NAILSのトレント・レズナーが手がけています。
曲数や収録時間を見るとフルアルバム並みですが、半数以上は演出的なインストやSEなので実質的には規格に相応なボリュームです。収録曲の軸となるのは、EURYTHMICSのT-06とパティ・スミスのT-15という名曲カバーの2曲。どちらも秀逸な仕上がりでバンドのアンセムにもなりましたが、特にダウナーなグルーミーなホラーゴシック調に大胆にアレンジされたT-06は出色。このPVがヘヴィーローテーションされたことで、ブレイクのきっかけにもなりました。
ラウド度:★★★★☆|メロ/エモ度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 通好み 実験作
Antichrist Superstar|アンチクライスト・スーパースター
オリジナルアルバム – 2作目 (1996年)
引き続きトレント・レズナーが共同プロデューサーをつとめるだけでなく、3曲でコンポーザーとしても参加ているメジャーデビューアルバム。タイトルはイエス・キリストをテーマにしらロックミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』に由来するもので、ここでも3部構成によるロックオペラという形式をとっています。
楽曲を見ると、冒頭の2曲は完璧2近い仕上がり。特にT-02は、オールタイムで最も知られている代表曲で、このマーチングメタル調のナンバーはMARILYN MANSONの定番となり、これ以降のアルバムでも繰り返し用いられるスタイルとなるだけでなく、後続のバンドや既存のメタルバンドまでこぞって流用することになります。
アグレッションやエクストリミティを押し出したインダストリアルメタルとしてはここがピークで、本作味付けを変えた程度の曲を量産するこの後の展開を見れば、この路線でのアイデアはここでほぼ絞りつくしていることがわかります。
ラウド度:★★★★☆|メロ/エモ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Mechanical Animals|メカニカル・アニマルズ
オリジナルアルバム – 3作目 (1998年)
アグレッシヴなサウンドで登り調子だった時期にもかかわらず、ニューウェイヴリバイバルの時流に乗ったエレポップ/シンセポップ色の強いサウンドへと大胆な路線変更を行ったアルバム。
トレント・レズナーは性格から外れ、RED HOT CHILI PEPPERSやSOUNDGARDENなどを手がけたマイケル・ベインホーンと、ロックバンドのミックスに多く携わるショーン・ビーヴァンを共同プロデューサーに迎えた他、非公式ながら、THE SMASHING PUMPKINSのビリー・コーガンが、コンサルタント/アドバイザー的な役割を務めたとも囁かれています。
マンソンの敬愛するデヴィッド・ボウイから強くインスパイアされており、初期のショックロック的なスタイルからグラムロック色を強く感じらせるようになっており、ビジュアルも初期のジャンクでスカムなイメージからグラマラスでスタイリッシュな方向へ進んでいます。
アグレッションやヘヴィネスはやや抑えらた一方メロディが強調れており、楽曲もメロウでバッドドリーミーなゴシックポップが中心。アップテンポなナンバーもまだ健在で、大ヒットアンセム“Beautiful People”の流れをくんだマーチングメタルナンバーのT-04は、本作最大のスマッシュヒットとなります。
前作と並んでキャリアのピークにあたる代表作とされていますが、マンソンカタログ中でも楽曲のアベレージではひときわ群を抜いており、総合的には前作を上回るレベル。また、メタル的虚仮威し感が薄れたことから一般のロックメディアでも取り上げやすくなり、リスナー層を大き広げることにも貢献しました。
ラウド度:★★☆☆☆|メロ/エモ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Holy Wood (In the Shadow of the Valley of Death)|ホーリー・ウッド〜イン・ザ・シャドウ・オブ・ザ・ヴァリー・オブ・デス
オリジナルアルバム – 4作目 (2000年)
“Antichrist Superstar(2nd)”と“Mechanical Animals(3rd)”と合わせた三部作とされる、ロックオペラの最終章。当時の認識でも現在俯瞰的に見ても、バンドが一つのピーク終えつつあることがわかるアルバムで、人気はまだピークを維持して裾野の広がりを見せていたものの、エッジィなリスナーは見切りをつけるタイミングを探しはじめていました。
音楽性は、代表作となる過去二作をプラスした総決算的作風で、毎度おなじみのマーチングメタルも健在。また、近年に楽曲の大半を占めるようになる、ソフィスティケートされたメランコリックなゴシックチューンも印象に残るようになりました。
目玉曲のインパクトの強さでは2ndに、楽曲全体のアベレージでは3rdにそれぞれ軍配が上がりますが、楽曲にムラはありつつも及第点はクリアした無難な仕上がりで、T-04, T-11, T-14などフックの効いたキャッチーなトラックもあるので、ファンであれば聴いて損するということはないでしょう。
プロデュースはヘヴィ&ソッドなサウンドに定評があり、HELMET, COP SHOOT COP, BARKMARKETなど通好みなオルタナティヴロックから、各種サントラなども手がけるデイヴ・サーディ。
ラウド度:★★★★☆|メロ/エモ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論
The Golden Age of Grotesque|ザ・ゴールデン・エイジ・オブ・グロテスク
オリジナルアルバム – 5作目 (2003年)
USグラムメタルシーンで活動したSHOTGUN MESSIAHで、ポップ&ロッキンな個性派インダストリアルメタルを作り出して注目を集め、ドイツの大物KMFDMの常連構成員になったほか、本人名義のソロプロジェクトとしても活動するスウェーデンのミュージシャン/エンジニア、ティム・スコルド(TIM SKÖLD)が加入し、曲づくりからプロデュースまで全面的にバンドの中核として携わることになったアルバム。
スコルドはMARILYN MANSONに参加したことで世界的に知名度を高め、現在ではインダストリアルシーンの新たなカリスマとなっています。
前作を踏襲してMARILYN MANSONのパブリックイメージに準じた作風で、新しいアウトプットはさほど見られず、楽曲もバンドの水準を大きく上回るものでもないことから、聴き手によって評価は二分されがちです。
ラウド度:★★★☆☆|メロ/エモ度:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論
Eat Me, Drink Me|イート・ミー, ドリンク・ミー
オリジナルアルバム – 6作目 (2007年)
The High End of Low|ザ・ハイ・エンド・オブ・ロウ
オリジナルアルバム – 7作目 (2009年)
Born Villain|ボーン・ヴィラン
オリジナルアルバム – 8作目 (2012年)
The Pale Emperor|ザ・ペイル・エンペラー
オリジナルアルバム – 9作目 (2015年)
Heaven Upside Down|ヘヴン・アップサイド・ダウン
オリジナルアルバム – 10作目 (2017年)
We Are Chaos|ウィ・アー・ケイオス
オリジナルアルバム – 11作目 (2020年)
The Last Tour on Earth|ザ・ラスト・ツアー・オン・アース
ライヴアルバム (1999年)
Lest We Forget The Best Of|レスト・ウィ・フォーゲット
ベストアルバム (2004年)