Contents
- 190年代北欧ギターヒーローの一角「マイケル・アモット」による次世代メロデス・バンドは、女性デスヴォーカルをフィーチャーして世界的ブレイクを果たし、“歌姫メタル”の最前線に躍り出る!
- 1...1アーク・エネミー?アーチ・エネミー?
- 1...2メロディック・デスメタルの代表的グループ??
- 1...3バンドマスター「マイケル・アモット」とは!?
- 1...4ARCH ENEMYのバンド体制は?
- 1...5ARCH ENEMYの音楽スタイルは!?
- 1...6フィメイル・メタル・ブームの功労者!?
- 1...7誰がベスト・ヴォーカリストなのか問題!?
- 1.1ARCH ENEMY|アーチ・エネミー|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Black Earth|ブラック・アース
- 1.1.2Stigmata|スティグマータ
- 1.1.3Burning Bridges|バーニング・ブリッジズ
- 1.1.4Wages of Sin|ウェイジズ・オブ・シン
- 1.1.5Anthems of Rebellion|アンセムズ・オブ・リベリオン
- 1.1.6Doomsday Machine|ドゥームズデイ・マシーン
- 1.1.7Rise of the Tyrant|ライズ・オブ・ザ・タイラント
- 1.1.8The Root of All Evil|ザ・ルート・オブ・オール・イーヴル
- 1.1.9Khaos Legions|ケイオス・リージョンズ
- 1.1.10War Eternal|ウォー・エターナル
- 1.1.11Will to Power|ウィル・トゥ・パワー
- 1.1.12Deceivers|デシーヴァーズ
- 2ARCH ENEMY関連バンド ◆ DISCOGRAPHY
- 2.1BLACK EARTH|ブラック・アース|DISCOGRAPHY
- 2.1.120 Years of Dark Insanity: Japan Tour 2016|20イヤーズ・オブ・ダーク・インサニティ:ジャパン・ツアー 2016
- 2.1.2Path of the Immortal|パス・オブ・ジ・イモータル:暗黒の地球
- 2.2CARNAGE|カーネイジ|DISCOGRAPHY
- 2.2.1Dark Recollections|ダーク・リコレクションズ
- 3ARCH ENEMYメンバー関連バンド紹介
- 4ヨハン・リーヴァ(JOHAN PATRIK MATTIAS LIIVA)関連 ◆ DISCOGRAPHY
- 4.1FURBOWL|ファーボウル|DISCOGRAPHY
- 4.1.1Those Shredded Dreams|ゾーズ・シュレッデッド・ドリーム
- 4.1.2The Autumn Years|ジ・オータムン・イヤーズ
- 4.2NONEXIST|ノンイグジスト|DISCOGRAPHY
- 4.2.1Deus Deceptor|デウス・デセプター
- 4.2.2From My Cold Dead Hands|フロム・マイ・コールド・デッド・ヘッズ
- 4.2.3Throne of Scars|スローン・オブ・スカーズ
- 4.2.4Like the Fearless Hunter|ライク・ザ・フィアレス・ハンター
- 4.3HEARSE|ハース|DISCOGRAPHY
- 4.3.1Dominion Reptilian|ドミニオン・レプティリアン
- 4.3.2Armageddon, Mon Amour|アーマゲドン,モナムール
- 4.3.3The Last Ordeal|ザ・ラスト・オーディール
- 4.3.4In These Veins|イン・ゾーズ・ヴェインズ
- 4.3.5Single Ticket to Paradise|シングル・チケット・トゥ・パラダイス
- 5クリストファー・アモット(CHRISTOPHER AMOTT)関連 ◆ DISCOGRAPHY
- 5.1ARMAGEDDON|アーマゲドン|DISCOGRAPHY
- 5.1.1Crossing the Rubicon|クロッシング・ザ・ルビコン
- 5.1.2Embrace the Mystery|エンブレイス・ザ・ミステリィ
- 5.1.3Three|スリー
- 5.1.4Captivity & Devourment|キャプティヴィティ・アンド・ディヴァウアメント
- 5.1.5Crossing the Rubicon (Revisited)|クロッシング・ザ・ルビコン(リヴィジテッド)
- 5.2CHRISTOPHER AMOTT Solo|クリストファー・アモット・ソロ|DISCOGRAPHY
- 5.2.1Follow Your Heart|フォロウ・ユア・ハート
- 5.2.2Impulses|インパルシーズ
- 5.2.3Electric Twilight |エレクトリック・トワイライト
- 6ダニエル・アーランドソン(DANIEL ERLANDSSON)関連 ◆ DISCOGRAPHY
- 6.1EUCHARIST|ユーカリスト|DISCOGRAPHY
- 6.1.1A Velvet Creation|ア・ヴェルヴェット・クリエイション
- 6.1.2W. A. R. Compilation - Volume One|W. A. R.コンピレーション・ヴォリューム・ワン
- 6.1.3Mirrorworlds|ミラーワールド
- 6.1.4I Am the Void|アイ・アム・ザ・ヴォイド
- 6.1.5The Demo Years 1989 - 1992|ザ・デモ・イヤーズ 1989 - 1992
- 7アリッサ・ホワイト - グラズ(Alissa White-Gluz)関連 ◆ DISCOGRAPHY
- 7.1THE AGONIST|ジ・アゴニスト|DISCOGRAPHY
- 7.1.1Once Only Imagined|ワンス・オンリィ・イマジンド
- 7.1.2Lullabies for the Dormant Mind|ララバイ・フォー・ザ・ドーマント・マインド
- 7.1.3Prisoners|プリズナーズ
- 7.1.4Eye of Providence|アイ・オブ・プロヴィデンス
- 7.1.5Five|ファイヴ
- 7.1.6Orphans|オーファンズ
- Black Earth|ブラック・アース
- Stigmata|スティグマータ
- Burning Bridges|バーニング・ブリッジズ
- Wages of Sin|ウェイジズ・オブ・シン
- Anthems of Rebellion|アンセムズ・オブ・リベリオン
- Doomsday Machine|ドゥームズデイ・マシーン
- Rise of the Tyrant|ライズ・オブ・ザ・タイラント
- The Root of All Evil|ザ・ルート・オブ・オール・イーヴル
- Khaos Legions|ケイオス・リージョンズ
- War Eternal|ウォー・エターナル
- Will to Power|ウィル・トゥ・パワー
- Deceivers|デシーヴァーズ
90年代北欧ギターヒーローの一角「マイケル・アモット」による次世代メロデス・バンドは、女性デスヴォーカルをフィーチャーして世界的ブレイクを果たし、“歌姫メタル”の最前線に躍り出る!
ARCH ENEMY(アーク・エネミー/アーチ・エネミー)は、スウェーデンを拠点とするデスメタル/メロディック・デスメタルのグループ。
アーク・エネミー?アーチ・エネミー?
ARCH ENEMYの日本語表記は、「アーク・エネミー」「アーチ・エネミー」の2通りが用いられています。
本来の発音は、「アーチ・エネミー」に近く、現在ではそれに合わせて大半は「アーチ・エネミー」表記に統一されています。
しかし、レーベル側がデビュー以来長年にわたって「アーク・エネミー」表記を用いていたために、リスナーにもそれに慣れ親しんだ層が多く、「アーク・エネミー」表記も間違いとは言いづらい状況となっています。
メロディック・デスメタルの代表的グループ??
ARCH ENEMYは、一般的には北欧メロディック・デスメタル(以下メロデス)の代表的グループと見做され、媒体によっては時にメロディック・デスメタルのパイオニアのひとつとして扱われることもあります。
特に日本においては、メディアの先導によるメロデスブームの到来にデビュー時期が重なって、一気に人気メロデス・バンドの座に着いたこともあり、メロデスの元祖と誤認されるケースも少なくありません。
しかし、ARCH ENEMYがデビューした1996年には、すでに世界各地におけるメロディックなデスメタルが同時発生が完了しており、スウェーデンにおいてもメロデスシーンの基盤が形成され、多種多様なスタイルが生まれていました。
90年代前半はシーンの移り変わりが激しいこともあって、実際のところARCH ENEMYは、メロデスとしては「後塵を拝した」とも「満を持しての登場」ともいえる登場を果たしており、ムーヴメントの中では後発組の第2世代にあたるグループに置かれるべき存在と言えます。
バンドマスター「マイケル・アモット」とは!?
ARCH ENEMYは、ギタリストのマイケル・アモットを中心としたグループ。
マイケル・アモットは、実質的な〈DISMEMBER〉の母体となる存在であり、〈ENTOMBED〉〈DARK TRANQUILLITY〉などのビッグネームのメンバーを輩出したことで知られる伝説的グループ、〈CARNAGE〉に在籍していたスウェディッシュ・デスの古参ミュージシャンのひとり。
のちに、イギリスのグラインドコア/デスメタル・バンド〈CARCASS〉のリード・ギタリストに起用され、そのメロディック路線でのブレイクにもに寄与したことで知名度を高め、日本においてもそれを契機として注目を集め広く知られるようになります。
アモットは、日本人気の高いマイケル・シェンカーを敬愛し、その影響を受けたメロディアスなギターソロを最大の武器としており、プレイスタイルが日本人好みであったことから、日本でも一気に次世代カリスマ・ギター・ヒーローとして人気が高まったこともり、活動初期には日本をメイン・マーケットにもしていました。
また、〈CARCASS〉脱退後のアモットは、ドゥーム/ストーナー系グループ〈SPIRITUAL BEGGARS〉を始動させており、長期にわたってARCH ENEMYと並行した活動を続けていました。
ARCH ENEMYのバンド体制は?
ARCH ENEMYは、〈CARCASS〉を脱退したマイケル・アモットが、〈SPIRITUAL BEGGARS〉に続いて立ち上げたグループです。
最初期の他のメンバーは、マイケル・アモットの実弟で後に〈ARMAGEDDON〉を結成するクリストファー・アモット(Gt.)。
マイケル・アモットの〈CARNAGE〉時代の盟友で、その後は〈FURBOWL〉などに在籍していたヨハン・リーヴァ。
〈DARK TRANQUILLITY〉と並んで“元祖メロデス”として挙げられる〈EUCHARIST〉のダニエル・アーランドソン という顔ぶれ。
なお、当初ベーシストは不在で、マイケル・アモットがベースを兼任していました。
1998年にシャーリー・ダンジェロ(Ba.)が加入後は、ヴォーカルとサイドギター以外は完全に固定されており、現在に至るまで変更が行われることなく活動を続けています。
ARCH ENEMYの音楽スタイルは!?
メロディック・デスメタルとしてのARCH ENEMYのスタイルは、作品によって若干の差異があるものの、基本となるのは、ブルータルなデスメタルサウンドの端々にメロディパートを挿入しつつ、メロディアスなギターソロをクライマックスに用いるという手法。
これは、主にアモットが在籍時していた〈CARCASS〉が成功を収めた手法にヒントを得て、それをスウェディッシュ・デスメタルへ流用したものと考えられます。
このスタイルが幸いして、ギターソロには頼りすぎずリフワークそのものにメロディやエモーションを織り込んでゆく…、というスタイルが主流となってたスウェーデンのメロデスシーンにおいては、結果的に多少なりとも差別化を図ることが出来ていたとも言えます。
一方で、あまりにもギターソロに主眼が置かれ、楽曲中の他のパートが間を持たすための単なるつなぎに近い扱いとなり、ルーチン化/類型化する傾向が見られる…と批判を受けることも少なくありません。
フィメイル・メタル・ブームの功労者!?
現在のARCH ENEMYは、女性ヴォーカルをフロントに据えたフィメイル・デスメタルバンドの代表格と見なされています。
このアプローチは、〈THE GATHERING〉らに代表されるフィメイル系ゴシックメタルのブレイクに端を発するものですが、それらによるメタルシーンにおけるフィーメイル・ヴォーカル・ブームも追い風となって、ARCH ENEMYはフィーメイル・デスメタルの火付け役としてさらなる成功を収め、それらのトップグループとして世界的な名声をも獲得しました。
2000年までの初期3作を担当したヨハン・リーヴァを、パフォーマンスの技量不足を理由に解雇した後は、ドイツ出身でアルバムデビュー前の〈ASMODINA〉や〈MISTRESS〉といったマイナーバンドに在籍していたアンジェラ・ゴソウが加入し2014年までの6作を担当していました。
マイケル・アモットの公私のパトナーの立場に収まったゴソウが、2014年に脱退してマネジャーに転向した際も、後任にはスタイルが近い女性ヴォーカリストを選ぶこととなり、カナダの〈THE AGONIST〉で活動していたアリッサ・ホワイトを起用。現在も引き続き在籍しています。
ゴソウとホワイトの歴代フロント・ウーマンは、いずれも本格的なデス・ヴォーカルとして評価され、女性デスメタル・ヴォーカリストのアイコン的存在にもなっていました。
誰がベスト・ヴォーカリストなのか問題!?
かつては、初代ヴォーカリウトであるヨハン・リーヴァの技量不足の評価に同調するリスナーも多く、ゴソウとホワイトの歴代フロント・ウーマンは、いずれも概ね好意的に迎えられていました。
しかし、ニューメタル/メタルコアのブームを背景としたデスヴォイスの一般化と、インターネットの普及による情報の平均化によって、トレーニング次第で誰にでも可能な「喉に優しい“デスヴォイス”発声メソッド」が世界的に広まったあたりからやや風向きが変わります。
それ以降は、ブルータルであっても単調で画一的な“ヴォイトレ系”デスヴォイスよりも、よりナチュラルな地声を生かした発声のデスヴォイスや、独自性と表現力を重視したデスヴォイスが評価する流れが広まってゆきます。
これらの要因もあり、次第にナチュラルで個性と表現力を持ったヨハン・リーヴァの再評価と待望論が広まってゆき、そこに、ARCH ENEMY自体の音楽的な停滞も重なったこともあって、初期メンバーによるリユニオン的プロジェクト〈BLACK EARTH〉の始動にまで至りました。
ARCH ENEMY|アーチ・エネミー|DISCOGRAPHY
Black Earth|ブラック・アース
オリジナル・スタジオアルバム – 1作目 (1996年)
“ヨハン・リーヴァ三部作”の第一弾にあたるこのデビューアルバムの本作は、本国にも先駆けて日本先行リリースとなっており、このあたりは当時の日本でのメロデスの上り調子ぶりと、〈CARCASS〉でブレイクしたアモットのギターヒーロー人気がうかがえます。
この段階ではまだベーシストが在籍しておらず、マイケル・アモットがギター&ベースを兼任しています。
ここでの音楽性は、まさに〈CARCASS〉のメロデス手法をスウェディッシュ・デスに置き換えたもので、オールドスクールなスウェディッシュ・デスメタルをベースに、キャッチーなメロディパートやギターソロを大胆に挟み込んでゆくスタイルです。
これは、〈DARK TRANQUILLITY〉〈AT THE GATES〉〈EDGE OF SANITY〉といった先達ほどには尖ったものではなく、それらが登場する以前の北欧プロト・メロデスの定番スタイルをそのまま発展させたようなもの。
すでに後続グループが続出してメロデス・シーンが形成され、それらのフォーマットとなるスタイルも出そろっていた時期でもあり、上記パイオニア勢のような時代を変えるほどの鮮烈な独自性や新規性/革新性は一切見られません。
しかし、ここではアモット兄弟のメロディセンスがまだスリ減っていないこともあって、効果的なフックを織り込んだファストチューン主体の楽曲の完成度については全キャリア中でも群を抜いていますし、そのセンスがARCH ENEMYの“らしさ”として効果的に作用しています。
また、これはあくまでも怪我の功名でしょうが、いわゆる“イエテボリ”系メロデスが幅を利かせつつある当時のシーンの中では、本作のアプローチは意外にもありそうで無かったスタイルであり、結果的にフラッグシップ級のバンドとは多少なりとも差別化を図ることにも成功。
ボーナストラック抜きで全9曲で36分弱というコンパクトさも、無駄な凡曲を減らして楽曲レベルを底上げすると同時に、潔さを感じさせ好印象を与えるなどプラスに働いています。
なお、本作のプロデュースは、〈DARK TRANQUILLITY〉〈AT THE GATES〉らを手がけて、イエテボリ/メロデス界隈のカリスマ・プロデューサー/エンジニアとして名を挙げたフレドリック・ノルドストロームと、マイケル・アモットの連名で、ノルドストロームはサポートメンバーとしてキーボードも担当しています。
|メロエモ度:★★★★☆
|モダン度:★★★☆☆
|メタル様式度:★★☆☆☆
|独 創 性:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Stigmata|スティグマータ
オリジナル・スタジオアルバム – 2作目 (1998年)
当初は地元と日本のみでのリリースにとどまっていたデビュー作とは異なり、メタル・レーベルとしては大手の「センチュリー・メディア」へ移籍して世界展開のスタートとなった2ndアルバム。
“絶賛ファン層拡大中”で上り調子だった時期で、本作がARCH ENEMYとの馴れ初めという層も少なくないためか、意外にも思い入れを持つリスナーも多く、近年では時に最高傑作と推す向きも見られる1枚でもあります。
メンバー中2人がワンポイント・リリーフという、比較的体制が安定している彼らとしてはややイレギュラーな1枚で、専任ベーシストとして参加した元〈ARMAGEDDON〉現〈LECHERY〉のマーティン・ベングソンは、次作では早々に現在のシャーリー・ダンジェロへ交代。
さらに、創設時から現在までドラムスを務めるダニエル・アーランドソンの一時脱退(2曲のみ参加でクレジットはあり)により、〈Agretator〉〜〈Darkane〉に在籍しながら多数のサポート経験を持つピーター・ウィルドアーが叩いています。
音楽性については、スウェディッシュ・デスにメロディパートやギターソロを盛り込む手法は前作と同様ですが、前作の主軸だった疾走曲/疾走パートが激減し、ダウンテンポ主体となった点が大きな変化。
ファストな曲はT-01,T-07,T-09程度で、それ以外は全てミッド〜スローのナンバーのみで、全体的には、いわゆる『ドゥームデス』や90年代的な『グルーヴデス』の要素の濃いアルバムに仕上がっています。
また、本作においては、デスメタルパートとメロディパートがかなりはっきりと分離されがちで、同時に、メロディの折り込み方においてはギターソロに任せるスタイルをとるなど、メロデスとしての手法にも多少の変化が見られます。
作風の変化それ自体をむやみに否定すべきではありませんし、評価が聴き手の嗜好に左右される面もありますが、問題はそれが成功して効果を上げているとは到底言えないことでしょう。
ファストチューンは上々の仕上がりで、中でもT-09は名曲に数えることも可能な出来栄えですが、大半を占めるダウンテンポ曲に冴えが見られず、また、ギターソロ頼りで構成の単純化された本作は、メロデス手法に多様性と工夫が見られた前作と比較するとアイデアが乏しく、全体的にフラットで淡々としたつくりになっています。
本作を高評価する層からは、デスメタル度の強さやそこに漂うオールドスクールな匂い、ギターソロにスポットを当てたことによるメロディパートの充実ぶりがポイントとして挙がりますが、曲の弱さは如何ともしがたく、好意的に見ても「好みの分かれる賛否両論アルバム」がせいぜいの落とし所でしょう。
|メロエモ度:★★☆☆☆
|モダン度:★★☆☆☆
|メタル様式度:★★☆☆☆
|独 創 性:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Burning Bridges|バーニング・ブリッジズ
オリジナル・スタジオアルバム – 3作目 (1999年)
パフォーマンスの弱さを理由にファイヤードされる初代ヴォーカリウト、ヨハン・リーヴァが在籍した最後のアルバムであり、初期のみならず全キャリア通しての代表作に挙げられることも多い1枚で、その意味では1stと双璧と言えます。
評価が割れたダウンテンポの前作から一転して、今回はファスト〜アップテンポ主体のスタイルへと回帰していますが、作風についてより特徴的なのは、メロディやギターソロがさらに過剰なほどに強調されていることと、メロデスの枠内ながらも音楽性の拡散傾向が見られることでしょう。
本作では、従来のオールドスクールなスウェディッシュ・デスを基調とした曲に加え、“イエテボリ系メロデス/デスラッシュに近いスタイルの曲”、“スラッシュメタルやパワーメタル、さらにはよりオーソドックスなヘヴィメタルに近い曲調”…など、ベースとなるスタイルに多様性が増しているのが過去作との相違点。
曲調の幅広さはキャリア中でも最高クラスで、そのため、ファストチューン主体のメロデスであっても、決まったスタイルの中で工夫を凝らしていた1stとは、かなり印象の異なる仕上がりとなっています。
個々の楽曲の出来栄えのみを見るならば、フッキーなキラーチューンT-01,T-04,T-09を中心におおむね水準以上をキープしていますが、前記した作風の変化によってアルバムとしては賛否両論の傾向があります。
作風の幅が広がった点は評価しても、ブルータルなデスメタル・テイストが薄まった点に不満を漏らすデスメタラーは少なくありませんし、メロデスとしてもメロディと曲の一体感が薄く感じられたり、既存の手法の借り物に近い曲が見られる点もマイナス要因となりえます。
また、今作はギターソロがあまりに旧来のメタル様式に傾き過ぎており、往年のギターヒーローばりに主張が過剰なこともあって、聴き手によってはトゥーマッチにも感じられますが、そこは聴き手によって美点にもなりえるポイントでしょう。
|メロエモ度:★★★★★
|モダン度:★★★☆☆
|メタル様式度:★★★★☆
|独 創 性:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論
Wages of Sin|ウェイジズ・オブ・シン
オリジナル・スタジオアルバム – 4作目 (2001年)
技量不足を理由にリーヴァを解雇し、マイケル・アモットと恋愛関係にあり現在はマネージャーを務める女性ヴォーカリスト、アンジェラ・ゴソウを迎えての第一弾となるアルバム。
ゴソウのヴォーカルは、アモットが名を上げた〈CARCASSの〉ジェフ・ウォーカーと比較されることがありますが、そこまでアクが強いわけでもない比較的オーソドックスなシャウト系デスヴォです。
ヴォイトレ系のようで、前任者よりも安定感があって無難ということもできますが、同時に発声の維持で精一杯でノビシロはあまり期待できないタイプ。
そのため、個性や表現力、生々しさなどを含めたデスヴォイスとしての幅や奥行きは少なく、ウォーカーはおろかリーヴァにも大きく遅れをとっています。
作風としては、大雑把に例えるなら『Stigmata(2nd)』と『Burning Bridges(3rd)』の中間とでもいったところで、デス/デスラッシュ色の強めなものから、ほぼデスヴォーカルを乗せたパワー/スピードメタルといったものまでと、幅のある作風は『Burning Bridges(3rd)』寄り。
一方、スピード控えめでグルーヴの強調が目立つ点は『Stigmata(2nd)』に通じる部分ですが、本作でのそれはアメリカ市場も視野に入れてのアプローチという印象で、さらにはニューメタルに近いリフワークなどトレンドへの接近した曲も見られ、結果的にこれらは後のメタルコアに通じる仕上がりとなっています。
また、本作でのアグレッションとメロディの配分などは時に『Rust in Peace』の頃の〈MEGAETH〉を想起させ、事実、T-02などの明らかにその影響下にあるような曲も確認できます。
ミュージシャンとしての創造性は停滞気味ですし、純粋な楽曲クオリティについてもデビュー作や前作には大きく水をあけられ、今後もグレードは右肩下がりとなってゆきます。
しかし、この時点ではまだシーン全体における平均程度の出来栄えはキープできていますし、何より本作の意義は、ゴシックメタル以外のエクストリームメタル界隈の第一線でフロント・ウーマンを起用に成功して、それがこれ以降の流れに続くこととなった点に尽きるでしょう。
|メロエモ度:★★★★☆
|モダン度:★★★★☆
|メタル様式度:★★★★☆
|独 創 性:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 賛否両
Anthems of Rebellion|アンセムズ・オブ・リベリオン
オリジナル・スタジオアルバム – 5作目 (2003年)
Doomsday Machine|ドゥームズデイ・マシーン
オリジナル・スタジオアルバム – 6作目 (2005年)
Rise of the Tyrant|ライズ・オブ・ザ・タイラント
オリジナル・スタジオアルバム – 7作目 (2007年)
The Root of All Evil|ザ・ルート・オブ・オール・イーヴル
オリジナル・スタジオアルバム – 8作目 (2009年)
ルート・オブ・オール・イーヴィル/CD/QATE-10014
Khaos Legions|ケイオス・リージョンズ
オリジナル・スタジオアルバム – 9作目 (2011年)
War Eternal|ウォー・エターナル
オリジナル・スタジオアルバム – 10作目 (2014年)
Will to Power|ウィル・トゥ・パワー
オリジナル・スタジオアルバム – 11作目 (2017年)
Deceivers|デシーヴァーズ
オリジナル・スタジオアルバム – 12作目 (2022年)
ARCH ENEMY関連バンド ◆ DISCOGRAPHY
BLACK EARTH|ブラック・アース|DISCOGRAPHY
〈ARCH ENEMY〉の初期3作に参加した初代ヴォーカリストのヨハン・リーヴァに、初代ギタリストのクリストファー・アモットという創設メンバー迎えた、初期ラインナップによるリユニオン・プロジェクト。(シャーリー・ダンジェロ(Ba.)のみ3rdアルバムからの参加メンバー。)
バンド名はもちろん、〈ARCH ENEMY〉のデビュー・アルバムのタイトル『Black Earth』に由来しています。
BLACK EARTHの活動は現時点でもアクティブ状態とされてはいるものの、本来が〈SPIRITUAL BEGGARS〉のような〈ARCH ENEMY〉と並行して継続的な活動を続けるバンドというわけではなく、あくまでも単なるリユニオンのために便宜的に結成されたに過ぎません。
そのため、このBLACK EARTH名義での作品は、現状はライヴアルバムの音源とリーヴァ在籍時のベスト・アルバムのみであり、オリジナル・スタジオ・アルバムの新作などはつくられていませんが、ベスト・アルバムには2曲の新曲も含まれていました。
このBLACK EARTHの始動については、〈ARCH ENEMY〉が歌姫系デスメタルの代表格として広く人気を獲得したものの、その反面クリエイティヴ面ではヨハン・リーヴァの在籍時に届かず低迷したためか、リーヴァ期のアルバムの再評価の機運が高まったことも影響していると思われます。
20 Years of Dark Insanity: Japan Tour 2016|20イヤーズ・オブ・ダーク・インサニティ:ジャパン・ツアー 2016
ライヴ・アルバム (2017年)
Path of the Immortal|パス・オブ・ジ・イモータル:暗黒の地球
コンピレーション・アルバム (2019年)
CARNAGE|カーネイジ|DISCOGRAPHY
CARNAGEは、かつて〈ARCH ENEMY〉のマイケル・アモット(Gt.)とヨハン・リーヴァ(Vo.)らによって結成されたデスメタル・バンド。
1988年から1990年まで活動を続け、1枚のフルアルバムを残して活動を終えています。(リーヴァはアルバムリリリース時には脱退しており不参加)
他のメンバーには、当時すでに〈DISMEMBER〉を始動していたフレッド・エストビー(Dr.)とマッティ・カルキ(Vo.)をはじめ、〈DISMEMBER〉〈ENTOMBED〉〈CARBONIZED〉などのバンドに関わり、スウェーデンのデスメタル・シーンを動かしていたミュージシャンが名が連ねていました。
そのため、やはりスウェーデンの初期デスメタル・ムーヴメントにおける重要バンド〈ENTOMBED〉〈UNLEASHED〉などのメンバーによって結成された〈NIHILIST〉と併せて、スウェディッシュ・デスメタルのビッグネームを輩出した伝説的グループとして賞賛されています。
音楽的には荒削りな部分が目立ちますが、ハードコアとスラッシュメタルの影響を色濃く残したスウェディッシュ・デスメタルの原型は、このCARNAGE時代にすでに完成されています。
Dark Recollections|ダーク・リコレクションズ
オリジナル・アルバム – 1作目 (1990年)
|ハーコー度:★★★☆☆
|スラッシュ度:★★★☆☆
|メロエモ度:★☆☆☆☆
|パイオニア度:★★★★★
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 通好み スルメ盤 実験作
ARCH ENEMYメンバー関連バンド紹介
ヨハン・リーヴァ(JOHAN PATRIK MATTIAS LIIVA)関連 ◆ DISCOGRAPHY
マイケル・アモットとは〈CARNAGE〉時代からの付き合いでありながら、パフォーマンスの力量不足という理由で〈ARCH ENEMY〉を解雇された初代ヴォーカリストのヨハン・リーヴァは、〈ARCH ENEMY〉在籍時以外の時期は自身のグループを立ち上げたり、他所からの声がけでいつかのバンドに参加するなど、独自の活動を行っていました。
それらの活動では〈ARCH ENEMY〉ほどの大きな成功を収めることも、後のシーンに大きな影響を及ぼすこともありませんでしたが、マニアックなリスナーを中心に高い評価を得ることも少なくはありませんでした。
FURBOWL|ファーボウル|DISCOGRAPHY
FURBOWLは、〈CARNAGE〉での活動を終えたヨハン・リーヴァ(Vo.)と、マックス・ソーネル(Dr.)によって1991年に結成されたグループで、解散までに2枚のアルバムを残しています。
リーヴァは1994年に脱退しており、その後、残るメンバーはバンド名を〈WONDERFLOW〉と改めて活動を継続したものの、アルバムのリリースには至らず1996年には活動を終えることになります。
音楽性は、当初は比較的オーソドックスでオールドスクールな、スウェディッシュ・デスメタルを展開いていましたが、2ndアルバムの『The Autumn Years』では〈ENTOMBED〉風のヘヴィグルーヴ&デス’ン’ロール.サウンドや、メロデス,ドゥームメタル,ゴシックメタルの要素を取り入れた、ロッキンなデスメタルへと移行。
その2ndアルバムでは、メロデス人気の高まりを含むシーンの趨勢が味方したこともあって、日本盤デビューも実現しました。
なお、FURBOWLの最初のデモにおいては、マイケル・アモットがプロデュースとゲスト・ギタリストで参加しています。
Those Shredded Dreams|ゾーズ・シュレッデッド・ドリーム
オリジナル・アルバム – 1作目 (1992年)
|オースク度:★★★★★
|ロッキン度:★★☆☆☆
|メロエモ度:★☆☆☆☆
|独 創 性:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
The Autumn Years|ジ・オータムン・イヤーズ
オリジナル・アルバム – 2作目 (1994年)
|ドゥーム度:★★★☆☆
|ロッキン度:★★★☆☆
|メロエモ度:★★★☆☆
|独 創 性:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
NONEXIST|ノンイグジスト|DISCOGRAPHY
NONEXISTは、ゼロ年代に活躍したスウェーデンのプログレメタル・バンド〈ANDROMEDA(いちおう現役)〉でギタリストを務め、近年は〈DARK TRANQUILLITY〉に加入して話題となったヨハン・レインホルツが、自身のサイドプロジェクトとして立ち上げたメロデスバンド。
ここでもヨハン・リーヴァがフロントマンに起用されており、デビュー以来2015年に脱退するまで全作品に参加しています。
アルバムデビューは2002年と、メロデスとしてはかなりの後発のグループであり、また、音楽性においても独創性や個性は希薄なため、シーンにおいて強い印象を残したりカルト人気を得るような存在ではありません。
とはいえ、メロデスの最大公約数的なスタイルながらも、クオリティについてはいずれのアルバムも及第点レベルには達していることや、リーヴァの参加というトピックもあって、90年代からさらに世界的にシェアを拡大し続けて百花繚乱となるメロデスシーンを彩る存在として、それなりの知名度は獲得しています。
また、日本ではリーヴァの元〈ARCH ENEMY〉のブランド力によるものか、デビュー以来全てのアルバムが国内盤でリリースされています。
Deus Deceptor|デウス・デセプター
オリジナル・アルバム – 1作目 (2002年)
|メロエモ度:★★★☆☆
|モダン度:★★☆☆☆
|メタル様式度:★★★☆☆
|独 創 性:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 スルメ盤
From My Cold Dead Hands|フロム・マイ・コールド・デッド・ヘッズ
オリジナル・アルバム – 2作目 (2012年)
フロム・マイ・コールド・デッド・ハンズ/CD/QATE-10041
Throne of Scars|スローン・オブ・スカーズ
オリジナル・アルバム – 3作目 (2015年)
Like the Fearless Hunter|ライク・ザ・フィアレス・ハンター
オリジナル・アルバム – 4作目 (2020年)
Nonexist / Like The Fearless Hunter
HEARSE|ハース|DISCOGRAPHY
HEARSEは、ヨハン・リーヴァが〈ARCH ENEMY〉から追放された後に、〈FURBOWL〉でのバンドメイトだったマックス・ソーネルと共に始動させたグループ。
バンド体制は、リーヴァはヴォーカル専任で、ソーネルがベース,ギター,ドラムを受け持ち、リードギターにマックスの友人でセッション・ミュージシャンに近いマティアス・リュングを迎えるという変則3ピースです。
音楽性のベースとなるのは、〈ENTOMBED〉の影響でスウェディッシュ・デス界隈に多発した、ヘヴィグルーヴやデス&ロール,ドゥームメタル,デスラッシュなどの要素を取り入れたロッキンなデスメタルで、そこにメロディアスなギターソロの多用などメロデスの要素が多分に加味されたスタイル。
ややメロデス要素が強まっているものの、基本的には、バンドの前身である〈FURBOWL〉の延長上にある、その発展系といえるもので、実質的にその後継バンドの位置付けと考えても差し支えないでしょう。
ゼロ年代に精力的な活動を展開しており、その間に5枚のスタジオ・フルレンスをリリースして、そのいずれもが高水準な仕上がりを見せるも、他のリーヴァ関連バンドと同様にそれほど大きな成功には至っていません。
バンドは現在もアクティヴな状態とされていますが、2009年の5thアルバムリリース以降目立ったアクションは無く、リーヴァもバンドからフェイドアウト状態にあるなど、解散宣言こそなされていないものの実質的には開店休業状態が続いています。
Dominion Reptilian|ドミニオン・レプティリアン
オリジナル・アルバム – 1作目 (2002年)
|ドゥーム度:★★★☆☆
|ロッキン度:★★★☆☆
|メロエモ度:★★☆☆☆
|独 創 性:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 通好み スルメ盤
Armageddon, Mon Amour|アーマゲドン,モナムール
オリジナル・アルバム – 2作目 (2004年)
The Last Ordeal|ザ・ラスト・オーディール
オリジナル・アルバム – 3作目 (2005年)
In These Veins|イン・ゾーズ・ヴェインズ
オリジナル・アルバム – 4作目 (2006年)
Single Ticket to Paradise|シングル・チケット・トゥ・パラダイス
オリジナル・アルバム – 5作目 (2009年)
クリストファー・アモット(CHRISTOPHER AMOTT)関連 ◆ DISCOGRAPHY
クリストファー・アモットは、〈ARCH ENEMY〉の創設メンバーのひとりであり、そのメロディ面を支えるツインリードギタリスト、アモット兄弟の片割れでマイケル・アモットの実弟である人物。
クリストファー・アモットは、〈ARCH ENEMY〉と並行するかたちで自身のバンド〈ARMAGEDDON〉も始動させており、〈ARCH ENEMY〉脱退した後は〈ARMAGEDDON〉の活動をメインなものに切り替えていましたが、2018年にクリストファー・アモット自身により活動停止宣言が出されています。
その後クリストファー・アモットは〈DARK TRANQUILLITY〉に加入し、2023年現在も在籍中ですが、それと並行して本人名義によるソロプロジェクトも継続しています。
ARMAGEDDON|アーマゲドン|DISCOGRAPHY
ARMAGEDDONは、マイケル・アモット主導の〈ARCH ENEMY〉とは異なり、クリストファー・アモット(Gt.)が自身のプロジェクトとして主宰するグループです。
当初は〈ARCH ENEMY〉を兼任していたこともあり、断続的な活動にとどまっていたARMAGEDDONですが、2012年にクリストファー・アモットが〈ARCH ENEMY〉を完全に離れてからは、パーマネントなバンドとして活動を行っていました。
ARMAGEDDONの音楽性には何度かの変節があり、デビュー当初の『Crossing the Rubicon(1st)』と、パーマネント・バンドとして再結成された2012年以降は、〈ARCH ENEMY〉に通じるスタイルのメロディック・デスメタルを展開していましたが、その間の2〜3作目のアルバムでは、デスヴォイスを封印してより古典的なスタイルのパワーメタル/ヘヴィメタルを試みていました。
2018年にクリストファー・アモットにより活動停止が公表されたため、残るメンバーは、ARMAGEDDONの魂を受け継ぐと称しながらも〈ARCH ENEMY〉を意識したような、女性ヴォーカリストのメロデス・バンド〈DAUGHTER CHAOS〉を結成しますが、早々に2名が脱退して残党組はアンドリュー・ペヴニー(Ba.)を残すのみとなっています。
Crossing the Rubicon|クロッシング・ザ・ルビコン
オリジナル・アルバム – 1作目 (1997年)
|メロエモ度:★★★★☆
|モダン度:★★☆☆☆
|メタル様式度:★★★★☆
|独 創 性:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤
Crossing the Rubicon アルマゲドン Sweden
Embrace the Mystery|エンブレイス・ザ・ミステリィ
オリジナル・アルバム – 2作目 (2000年)
Three|スリー
オリジナル・アルバム – 3作目 (2002年)
Captivity & Devourment|キャプティヴィティ・アンド・ディヴァウアメント
オリジナル・アルバム – 4作目 (2015年)
Armageddon / Captivity And Devourment
Crossing the Rubicon (Revisited)|クロッシング・ザ・ルビコン(リヴィジテッド)
オリジナル・アルバム – 5作目 (2016年)
クロッシング・ザ・ルビコン リヴィジテッド/CD/QATE-10089
CHRISTOPHER AMOTT Solo|クリストファー・アモット・ソロ|DISCOGRAPHY
クリストファー・アモットは〈ARCH ENEMY〉〈ARMAGEDDON〉で活動と並行して、ソロ・プロジェクトの活動もスタートしていました。
音楽性は中期〈ARMAGEDDON〉以上にデスメタルから距離を置いたより多面的なスタイルを志向しており、70年前後の古典的ハードロックとプログレッシヴ・ロックに始まり、後の産業ロック系やポスト・パンク(ニューウェイヴ)系、オルタナティヴ・ロック系やゴシックメタル系ポストロック系など、各時代のプログレの最新モードを取り入れたスタイルを試みています。
メタル・テイストは部分的なものにとどめられ、また、プログレの大きな特徴である実験性や技巧性よりもメロディに重点を置き、そこに幻想的なアトモスフェアをからめてゆくスタイルが中心。
プログレ的な要素こそ含まれてはいるものの、むしろ『メロディック・ロック』『メロディック・ハード』などのラベリングの方が、より実態に近い音楽性の表現と言えるでしょう。
Follow Your Heart|フォロウ・ユア・ハート
オリジナル・アルバム – 1作目 (2010年)
Impulses|インパルシーズ
オリジナル・アルバム – 2作目 (2012年)
オリジナルアルバム – 1作目 (1988年)
Electric Twilight |エレクトリック・トワイライト
オリジナル・アルバム – 3作目 (2020年)
ダニエル・アーランドソン(DANIEL ERLANDSSON)関連 ◆ DISCOGRAPHY
〈ARCH ENEMY〉の創設時よりドラムスを務めるダニエル・アーランドソンは、一時的な脱退期間の後は現在に至るまでパーマネントなメンバーとして活躍していますが、同時にクリストファー・アモットのプロジェクト〈ARMAGEDDON〉のメンバーでもあり、それ以外にも〈CARCASS〉〈BRUJERIA〉といったビッグネームのサポートをはじめとして、いくつものグループで並行して活躍していました。
その中でも特に重要な活動としては、〈ARCH ENEMY〉加入以前にパーマネントなバンドとして活動を続けていた、メロデスのパイオニアの一角に数えられるグループ〈EUCHARIST〉が挙げられます。
EUCHARIST|ユーカリスト|DISCOGRAPHY
EUCHARISTは、ダニエル・アーランドソン(Dr.)がオリジナル・メンバーとして在籍していたグループ。
いわゆる『メロデス』のスタイルが確立されジャンルとして成立する以前から、メロディを多用したデスメタルを展開していたグループのひとつであり、やはり先駆的存在である〈DARK TRANQUILLITY〉や〈DESULTORY〉と同じく1993年にアルバムデビューを果たしてます。
そのことから、上記の〈DARK TRANQUILLITY〉や〈DESULTORY〉、〈THERION〉〈EDGE OF SANITY〉〈AT THE GATES〉らと共に、スウェーデンにおける“プロト・メロデス・バンド”と見なされているグループです。
音楽性は、過剰にメロディに比重を置きすぎないストロング・スタイルのメロデスですが、リフワークの中にメロディ/エモーションを織り込むという、メロデスのスタンダードとなる手法をデビュー当初から確立しており、それによって、上記のバンドの中でも〈DARK TRANQUILLITY〉らと同様に元祖メロデスと称されることもあります。
このようにEUCHARISTは、メロデス・シーンにおいて重要な存在であったにもかかわらず、メロデスであればB級バンドまで盛んに国内盤がリリースされていたメロデス人気全盛期の日本において、陽の目を見ることがなかった数少ないグループのひとつでしたが、根強い熱心なファンからは現在でも支持され続けています。
また、EUCHARISTが所属したメロデス主体のレーベル『W. A. R.Music(旧Wrong Again Records )』のサンプラーアルバムに楽曲が収録され、それがて日本盤もリリースされていたことや、〈ARCH ENEMY〉が注目を集めたこともあって、後には一部では再評価の傾向も見られました。
A Velvet Creation|ア・ヴェルヴェット・クリエイション
オリジナル・アルバム – 1作目 (1993年)
|メロエモ度:★★☆☆☆
|モダン度:★★☆☆☆
|メタル様式度:★★☆☆☆
|独 創 性:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 通好み スルメ盤 実験作
W. A. R. Compilation – Volume One|W. A. R.コンピレーション・ヴォリューム・ワン
コンピレーション・アルバム (1995年)
Mirrorworlds|ミラーワールド
オリジナル・アルバム – 2作目 (1997年)
|メロエモ度:★★★☆☆
|モダン度:★★☆☆☆
|メタル様式度:★★☆☆☆
|独 創 性:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
I Am the Void|アイ・アム・ザ・ヴォイド
オリジナル・アルバム – 3作目 (2022年)
The Demo Years 1989 – 1992|ザ・デモ・イヤーズ 1989 – 1992
コンピレーション・アルバム (2022年)
Eucharist / Demo Years 1989-1992 輸入盤
アリッサ・ホワイト – グラズ(Alissa White-Gluz)関連 ◆ DISCOGRAPHY
2023年現在〈ARCH ENEMY〉のフロントとして活躍する3代目ヴォーカリストのアリッサ・ホワイト – グラズは、スウェーデンではなくカナダ出身であり、〈ARCH ENEMY〉以前には地元のグループ〈THE AGONIST〉のフロントウーマンとして活動していました。
その時期に、女性ヴォーカリスト同士ということで〈ARCH ENEMY〉在籍時のアンジェラ・ゴソウと親交を深めるようになり、そのつながりが、ゴソウの後任としての〈ARCH ENEMY〉への移籍につながっています。
THE AGONIST|ジ・アゴニスト|DISCOGRAPHY
THE AGONISTは、アリッサ・ホワイト – グラズが〈ARCH ENEMY〉以前に在籍していた、カナダを拠点とするグループ。
音楽スタイルは、ゼロ年代以降にシェアを拡大する「メロデスコア」とも称されるメロデスの影響下にあるメタルコアの主流一形態で、ジャンルも一般にはメタルコアにカテゴライズされていますが、アルバムによってはよりメロデス色を強めることもあるために、メロディック・デスメタルとして扱われることもあります。
同ジャンルの基本モードである、疾走感のある北欧メロデスとダウンテンポ主体のN.S.H.C.(ニュースクール・ハードコア)を組み合わせ、ニューメタルのエッセンスも織り交ぜたスタイルが基調となっていますが、THE AGONISTの場合はホワイトのクリーンヴォイスを生かした「フィメイル・ゴシックメタル」の要素が強い点が大きな特徴です。
これは、オランダの〈THE GATHERING〉らに端を発し、シンフォニックメタルとも交合を重ねて欧州を中心にシーンを形成していったジャンル。
その影響が、〈EVANESCENCE〉らニューメタル界隈を含め、北米をはじめとした他のエリアにも波及した結果、現在は日本を含めた世界各地で一定のシェアを見込めるジャンルとなった、女性ヴォーカルをフィーチャーしたフィメイル・メタルの先駆け的な動きとして認められており、THE AGONISTの音楽性もまたそれらから多大な影響を受けています。
ホワイトはTHE AGONISTの初期メンバーでもあり、スタジオ・フルレンスとしては、デビュー作を含めた初期3作品に参加。
2014年にホワイトが〈ARCH ENEMY〉のスカウトに応えて移籍したのちは、やはり女性ヴォーカリストのヴィッキー・プサラキスを後任に迎え、同様のスタイルで活動を続けています
Once Only Imagined|ワンス・オンリィ・イマジンド
オリジナル・アルバム – 1作目 (2007年)
|メロエモ度:★★★☆☆
|モダン度:★★★☆☆
|メタコア度:★★★☆☆
|独 創 性:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
Lullabies for the Dormant Mind|ララバイ・フォー・ザ・ドーマント・マインド
オリジナル・アルバム – 2作目 (2009年)
ララバイズ・フォー・ザ・ドーマント・マインド/CD/POCE-16054
Prisoners|プリズナーズ
オリジナル・アルバム – 3作目 (2012年)
Eye of Providence|アイ・オブ・プロヴィデンス
オリジナル・アルバム – 4作目 (2015年)
Five|ファイヴ
オリジナル・アルバム – 5作目 (2016年)
Orphans|オーファンズ
オリジナル・アルバム – 6作目 (2019年)