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★ BIOHAZARD(バイオハザード) ディスコグラフィー ★ 90年代ヘヴィグルーヴ世代を牽引したニューヨーク最強のメタリック・ハードコア!?…必聴アルバムは? 

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PANTERAやHELMETとともに90年代ヘヴィグルーヴ・ムーヴメントをつくりあげ、ニューヨークが誇るストロング・スタイルのラッピング・グルーヴコアはニューメタル/メタルコアの原点!!

BIOHAZARDのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

BIOHAZARD(バイオハザード)はニューヨークはブルックリンのヘヴィメタリック・ハードコアバンド

ハードコアシーンのヘヴィグルーヴ代表!!

BIOHAZARDは、PANTERAやHELMETとともに90年代初頭のヘヴィグルーヴ/グルーヴメタル黎明期から新世代ヘヴィミュージックをリードしたグループです。

PANTERAがヘヴィメタル・シーン、HELMETがオルタナティヴ・ロック/ポストハードコア・シーンをヘヴィグルーヴ代表する存在とするなら、BIOHAZARDはハードコア/クロスオーバーシーンを代表するグループと言えます。

BIOHAZARの展開するヘヴィグルーヴとは!?

エクストリーム・ミュージック/ヘヴィ・ミュージックを中心とした、ロックシーンの動乱の時代だっ90年代初期に全盛期を迎えたジャンルのひとつが、これらヘヴィグルーヴ勢でした。

これらは、ヘヴィメタル/ハードコアの周辺シーンから同時多発的に発生したムーヴメントで、広義の意味でのオルタナティヴ・ロックの一環でといえるものです。

バック・グラウンドや活動のフィールド、下地となった音楽などの違いはあるものの、ほぼ同時期にミドルテンポ主体のグルーヴを追求した新世代のヘヴィサウンドが表舞台に躍り出ます。

これらは、BIOHAZARD, PANTERA, HELMETを中心に、アメリカのヘヴィメタル・シーンのみならず全世界のヘヴィミュージック・シーンをも塗り替えてゆき、その影響は現在にまで続いています。

いくつものジャンルに重なるサウンド!?

BIOHAZARDの音楽的なベースは、80年代にジャンルのるつぼニューヨークをメッカとして一時代を築いた、ハードコアとスラッシュメタルが融合である『クロスオーバー・スラッシュ』にあります。

そのため、一般にはハードコアバンドと認識されていますが、ハードコアとメタルの両シーンをフィールドにして、双方のファンに支持されていました。

また、ヘヴィグルーヴ・サウンドに、メタルギターとラップ風のヴォーカルスタイル乗るスタイルが持ち味だったことから、『グルーヴコア』や『ラップコア』などとも呼ばれていました。

近年では、BIOHAZARDに代表されるヘヴィグルーヴ世代のメタリック・ハードコアを指して『ヘヴィハードコア』と称することもあるようです。

ニューメタル/メタルコアのルーツ!?

BIOHAZARDの後世への影響は甚大で、のちに21世紀ヘヴィミュージックのメインストリームとなるニューメタルも、彼らヘヴィグルーグ第1世代が生み出したサウンドを直系のルーツとしたものです。

BIOHAZARDらグルーヴコアのサウンドは、それ続く、よりヘヴィメタルの比重を増したNSHC(ニュースクール・ハードコア)にも受け継がれ、それを経由してそのまま現在のメタルコアへとシフトしていきます。

その意味で、同時期のヘヴィグルーヴ第1世代とともに、90年代以降のヘヴィ・ミュージックの原型を作ったイノベイターでありマイルストーンのひとつと言えます。

彼ら自身も、ヘヴィグルーヴのパイオニアとしての役目を終えたこともあって、ニューメタルなど同時代的なサウンドに接近した新展開を試みてゆきます。

バンドの失速からの解散と再結成!?

BIOHAZARDのニューメタル・アプローチは、それによる新規ファン開拓という意味では大きな成果を残せず、結果的にオールドファンとの断絶を進めるだけに終わり、急速に失速してゆきます。
その後の何度かのアルバムリリースでも勢いは取り戻せず、2006年には解散を迎えました。

2008年には早くも再結成が実現し、2012年には新作アルバムもリリース。2015年には新作のアナウンスがあったものの、メンバーの離脱などもあって不安定な状況となり、新作リリースも止まっています。

現状、活動は存続中ということになっていますが、実質的には開店休業状態にあり、メンバーはPOWERFLOやBILLYBIOといった個別の活動へと移っています。

次ページはBIOHAZARDのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

BIOHAZARD|DISCOGRAPHY

Biohazard|バイオハザード

オリジナルアルバム – 1作目 (1990年)

プロダクションのためか、この後と比較するとサウンドはやや荒く重量感にも欠けますが、ヘヴィメタリックなグルーヴコア・サウンドの上に、ラップ風のパーカッシヴなヴォーカルを乗せたBIOHAZARDサウンドの基本形はほぼ完成を見ています。

リードギターも、次作以降ほどではないにしても適宜切り込んできて、メタル度をアピールしており、また曲によっては、いわゆる“ブレイクダウン”展開も用いられています。

ハードコア相手に指摘しても野暮で場合によっては褒め言葉かもしれませんが、どうしても曲の練り込みの荒さは目につき、過渡期特有のの空気も漂わせます。

|メタル度:★★★★☆
|ハーコー度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ミクスチャ度:★★★☆☆
|モッシュ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤  実験作

Urban Discipline|アーバン・ディシプリン

オリジナルアルバム – 2作目 (1992年)

90年代ヘヴィ・ミュージックをリードしたメタル・レーベル大手、ロードランナーからのリリースとなった出世作。
本作によって、PANTERA, HELMETと並ぶヘヴィグルーヴ/グルーヴメタルの旗手として、世界的に一躍名を挙げることになりました。

音楽性については、前作から全くと言っていいほど変化はありませんが、本作の看板的な名曲T-02をはじめ、全体的にフックの効いた曲が目につくようになり、曲の完成度は確実に向上しています。

また、プロダクションも向上して、90年代の新世代ヘヴィミュージックにふさわしい、ヘヴィサウンドに仕上がっています。

曲数の割には曲調の変化やバリエーションに乏しく、密度が薄くなって後半までテンションが続かずにダレ気味になるという、BIOHAZARDのお家芸はここでも健在、
とはいえ、適所にキャッチーな曲やファストパートを織り込んで、それをカバーしようという努力は見られます。

プロデュースはNYノーウェイブのミュージシャンとして知られ、HELMET, DINOSAUR JR, WHITE ZOMBIE, QUICKSANDなど、90年代オルタナティヴ・グループを多く手がけたウォートン・ティアズ。

|メタル度:★★★★☆
|ハーコー度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ミクスチャ度:★★★☆☆
|モッシュ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤

State of the World Address|ステート・オブ・ザ・ワールド・アドレス

オリジナルアルバム – 3作目 (1994年)

大手メジャーのワーナーに移籍となったアルバムで、そのせいもあってかオールドファンからは批判もありますが、BIOHAZARDキャリア全盛期の代表作であり、こちらも前作に続いてグルーヴコアの名盤。

基本的には…というよりほぼ全てにわたって前作を踏襲した作風ですが、サウンドが前作と比較すると若干エッジの鈍いものとなり、古典的なヘヴィメタル風からやや離れて、オルタナティヴな現代的ヘヴィネスに接近した印象です。
ただし、ボビー・ハンベルのギターは、本作でも全編にわたって頻繁にフィーチャー。ヘヴィメタル的なギターフレーズを弾きまくっているので、メタラーも安心…だったのですが、このヘヴィメタルマンたるハンベルは本作を最後に脱退。今後に不安を残します。

変化に乏しく時折ダレる点や、曲の出来不出来にややムラがある点は毎度のことですが、T-04は歴代のもトップクラスのアンセム的キラーチューンですし、ゴシック的なメロディの長めのイントロから始まるT-09, T-14は一応の新機軸と言えます。

しかし、過去作からの変化の乏しさはどうしても気になるところで、こういったアルバムごとの思い切った新たな上乗せの少なさが、彼らの失速を早めたとも言えます。

本作のプロデュースは、TALKING HEADSらとの仕事で知られ、LIVING COLOURのブレイクにも一役買ったエド・スタシアム。
また、本作ではT-05にCYPRESS HILLのセン・ドッグとLIMP BIZKITのDJ・リーサルがゲスト参加しています。

|メタル度:★★★★★
|ハーコー度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ミクスチャ度:★★☆☆☆
|モッシュ度:★★★★★
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤

Mata Leão|マータ・レオン

オリジナルアルバム – 4作目 (1996年)

JANE’S ADDICTIONやALICE IN CHAINSを手がて、90年代オルタナシーンではトッププロデューサーのひとりに数えられた、デイブ・ジャーデンを迎えたキャリア絶頂期のアルバム。

しかし、リードギタリストのボビー・ハンベルが脱退したことで、これまで曲の端々で切り込んできた“いかにも”なメタルフレーズ/ソロが姿を消えたことで、オールドファン…特にメタラーの不評を買う結果となりました。

サウンドもヘヴィではあるものの、質感はこれまでのメタリックなものから、ややロウでオーガニックなものへと変化しており、これもオールドファン…特にメタラーの不評を買います。

それに合わせて曲調にもいくらか変化が見られ、後続のDOWNSETあたりに近いノリのラップ/ファンクコア曲も交えたことで、またまたオールドファン…特にメタラーの不評を買います。

これらが重なって、ここから一気に失速気味になってしまいますが、品質自体は高く、モッシュ・ミュージックとしては上々の出来でこれはこれでありでしょう。T-01は文句なしの名曲。

|メタル度:★★☆☆☆
|ハーコー度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ミクスチャ度:★★★★☆
|モッシュ度:★★★★★
|総合評価:★★★★☆

入門盤 賛否両論

New World Disorder|ニュー・ワールド・ディスオーダー

オリジナルアルバム – 5作目 (1999年)

前作リリース後に加入し本作リリース後に早くも脱退することになる、元HELMETのロブ・エチェベリア(Gt.)唯一の参加作品。

それによって、前任者ほどベタなメタル路線ではないものの、ギターソロも聴けるようになり、サウンドの質感も再び硬質なヘヴィメタリックな要素を強めたほか、T-13などのようにHELMET風のリフやフレーズもときおり顔を出します。
音づくりはニューメタル風味が漂うものの、作風自体はそれほどそちらに傾いたものではありません。

ともあれ、ヘヴィネス自体は過去最高と言えるほどで、本作ではドゥーム/スラッジ風のアプローチも取り入れています。
中にはまさにBLACK SABBATHを想起させるような、ダーク&ドゥーミィなヘヴィ・チューンも見られ、T-11ではBLACK SABBATHを風のソロも聴かせます。

思い切ったアップデートも出来ずやや足踏み気味で、過去作のようなキャッチーなキラーチューンも見られませんし、評価も決して上々なものとは言えません。
とはいえ、引き出しは確実に増えて、新機軸も多少なりとも見られますし、音楽的にはブラッシュアップされて、アベレージも向上した良作ではあります。

T-14は、SEPULTURAのイゴール・カヴァレラ,FEAR FACTORYのクリスチャン・オールド・ウォルバースがゲスト参加した、ヒップホップ風ナンバー。

|メタル度:★★★★☆
|ハーコー度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|ミクスチャ度:★★★☆☆
|モッシュ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作

Uncivilization|アンシヴィリゼイション

オリジナルアルバム – 6作目 (2001年)

時はまさにニューメタル最盛期。BIOHAZARDもここにきて、ニューメタル的な質感の重層的なサウンドへと本格アップデートを見せています。

さらに、前々作〜前作がセールス面で伸び悩んだテコ入れか、本作はミクスチャーやインダストリアルシーン中心にメタル界隈でも一時流行した、ヘヴィミュージックシーンの大物を多数招聘してのコラボレーション・アルバムとなっています。

別記のとおり、多彩な豪華ゲストを招いた多彩な楽曲でアベレージも高く、いつものように途中で飽きることなく聴きとおせます。HIOPOHからの輸入かコラボブーム真っ盛りの時期で、メタルアルバムでも“feat.○○○”という表記がよく見られました。

参加ゲスト…T-05:ロジャー・ミレット [AGNOSTIC FRONT]、T-06:イゴール・カヴァレラ [SEPULTURA]、T-08:センドッグ [CYPRESS HILL]、T-09:フィル・アンセルモ [PANTERA]、T-10:コリィ・テイラー [SLIOKNOT],ジェイミィ・ジェスタ [HATEBREED]、T-11:アンドレアス・キッサーデリック・グリーン [SEPULTURA]、T-12:ピーター・スティール [TYPE O NEGATIVE]
|メタル度:★★★★★
|ハーコー度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|ミクスチャ度:★★☆☆☆
|モッシュ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 入門盤 賛否両論 実験作

Kill or Be Killed|キル・オア・ビー・キルド

オリジナルアルバム – 7作目 (2003年)

一部で原点回帰した作風でオールドファンに人気という声もありますが、初期のミッドチューンを主体としたメタリック・グルーヴコア・サウンドとは異なるもの。
これまでにも増してアップテンポの比率が高く、それがスロ〜ミッドのグルーヴパートと行き交うスタイルです。

初期のスラッシュやハードコアの影響も感じさせる、同時代的なクロスオーバーといったサウンドはは、HATEBREEDなどのストロング・スタイルなファスト系メタルコアにも近い印象を与えます。

テンポチェンジが効いて楽曲は緩急が生まれており、またBIOHAZARDにしては曲数が少な目で収録時間も短いので、ダレたり疲れることなく完聴できるコンパクトさもあります。
おかげで、これといったキラーチューンはないものの、聴きやすくバランスの良い仕上がりとなっています。

|メタル度:★★★★★ハーコー度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ミクスチャ度:★★☆☆☆
|モッシュ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

入門盤 賛否両論

Means to an End|ミーンズ・トゥ・アン・エンド

オリジナルアルバム – 8作目 (2005年)

Reborn in Defiance|リボーン・イン・ディファイアンス

オリジナルアルバム – 9作目 (2012年)

No Holds Barred|ノー・ホールズ・バード

ライヴアルバム (1997年)

4作目Mata Leãoまでの作品からの選曲による、ライヴアルバム。BIOHAZARDがもっとも勢いのあっただけに、ほぼ初期ベストと言っていい楽曲が並んだセットリストです。

ハードコアバンドとしては演奏は高水準で安定感があり音質も良好ですし、音の生々しさもライヴならではの臨場感として楽しめます。

何より彼らは(特に初期は)楽曲の出来不出来の波が激しいため、ビギナーなら無理に全作そろえるよりはベスト盤としても聴ける本作を入り口にするのもアリでしょう。

次ページはライターが選ぶBIOHAZARDのおすすめアルバムを紹介!!▼リンクはページ下!▼

BIOHAZARDはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!

キャリア絶頂期にある熱量のこもったBIOHAZARD本来のサウンドを聴くなら、代表曲も含む『Urban Discipline(2nd)』『State of the World Address(3rd)』を2作を押さえておけばOK。
ともに黄金期の代表作ですし、作風にも大きな差異はなくクオリティも遜色ないので、どちらから入っても問題ないでしょう。

その2作以外は、ファン評価の賛否両論となりますが、アルバムによって多少差はあれど、完成度で黄金期の2作に大きく劣るわけではありません。

初期の代表作を聞いた抑えたら、音楽性に幅と奥行きが出てトータルの完成度の高い『New World Disorder(5th)』に進むのもいいでしょう。

純粋に音楽としての充実度/完成度が高くメタルリスナーも含めた万人向けという意味では、メタルシーンのトップアーティストをゲストに招いて、楽曲の多様性も大幅アップした『Uncivilization(6th)』の方が、入り口としは最適かもしれません。

また、メタル度は薄れたものの、『Mata Leão(4th)』もモッシュ向けのフィジカルなラップメタルとしては十分に魅力的ですし、00年代以降のスラッシーな疾走型メタルコアが好みなら『Kill or Be Killed(7th)』はそれに近い感覚で聴けます。

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