Contents
- 1『ベイエリアクランチ家元』『ベイエリア最強のリフ職人』とも称されるキラー・クランチ・リフの波状攻撃で、ストロングスタイルなスラッシュメタルの覇道を行くベイエリアの重鎮!
- 1...1EXODUSはベイエリア・スラッシュの筆頭格!?
- 1...2“ベイエリア・クランチ”のリフマスター!?
- 1...3EXODUSはBIG4に匹敵するグループ!?
- 1...4EXODUSの音楽性の変遷!?
- 1...5スラッシュメタルの衰退とEXODUS解散!?
- 1...6EXODUSの再結成後の活動は!?
- 1.1EXODUS|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Bonded by Blood|ボンデッド・バイ・ブラッド
- 1.1.2Pleasures of the Flesh|プレジャーズ・オブ・ザ・フレッシュ
- 1.1.3Fabulous Disaster|ファビュラス・ディザスター
- 1.1.4Impact Is Imminent|インパクト・イズ・イミネント
- 1.1.5Force of Habit|フォース・オブ・ハビット
- 1.1.6Tempo of the Damned|テンポ・オブ・ザ・ダムド
- 1.1.7Shovel Headed Kill Machine|ショベル・ヘッデッド・キル・マシーン
- 1.1.8The Atrocity Exhibition: Exhibit A|ジ・アトロシティ・イグジヴィション:イグジビット・エー
- 1.1.9Let There Be Blood|レット・ゼア・ビー・ブラッド
- 1.1.10Exhibit B: The Human Condition|イグジビット・ビー:ザ・ヒューマン・コンディション
- 1.1.11Blood in, Blood Out|ブラッド・イン・ブラッド・アウト
- 1.1.12Persona Non Grata|ペルソナ・ノン・グラータ
- 1.2EXODUS|エグゾダス|DISCOGRAPHY|ライヴアルバム
- 1.2.1Another Lesson in Violence|アナザー・レッスン・イン・ヴァイオレンス
- 1.2.1.1◎ EXODUSはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
- Bonded by Blood|ボンデッド・バイ・ブラッド
- Pleasures of the Flesh|プレジャーズ・オブ・ザ・フレッシュ
- Fabulous Disaster|ファビュラス・ディザスター
- Impact Is Imminent|インパクト・イズ・イミネント
- Force of Habit|フォース・オブ・ハビット
- Tempo of the Damned|テンポ・オブ・ザ・ダムド
- Shovel Headed Kill Machine|ショベル・ヘッデッド・キル・マシーン
- The Atrocity Exhibition: Exhibit A|ジ・アトロシティ・イグジヴィション:イグジビット・エー
- Let There Be Blood|レット・ゼア・ビー・ブラッド
- Exhibit B: The Human Condition|イグジビット・ビー:ザ・ヒューマン・コンディション
- Blood in, Blood Out|ブラッド・イン・ブラッド・アウト
- Persona Non Grata|ペルソナ・ノン・グラータ
『ベイエリアクランチ家元』『ベイエリア最強のリフ職人』とも称されるキラー・クランチ・リフの波状攻撃で、ストロングスタイルなスラッシュメタルの覇道を行くベイエリアの重鎮!
EXODUS(エグゾダス)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州、サンフランシスコを拠点とするスラッシュメタル・バンド。
EXODUSはベイエリア・スラッシュの筆頭格!?
俗に“ベイエリア”と呼ばれる、サンフランシスコを中心とした“サンフランシスコ湾岸地域”は、多くのスラッシュメタルが登場…あるいは拠点としてシーンを形成しており、“スラッシュメタルの聖地”とも呼ばれていました。
METALLICAやTESTAMENTをはじめとしたそれらのグループは、“ベイエリア・スラッシュ”とも称されてそのシーン特有のスタイルも確立されていますが、EXODUSはその中でもパイオニアにあたる存在とみなされています。
EXODUSのアルバムデビューは1985年で、シーン全体で見るとそれほど早いわけではありませんが、“ベイエリア・スラッシュ”のみならずスラッシュメタル・シーン全体の中でも、EXODUSはMETALLICAと並んで最も古いキャリアを誇っており、スラッシュ最古参グループに位置しています。
“ベイエリア・クランチ”のリフマスター!?
“ベイエリア・スラッシュ”の大きな特徴のひとつに、“ベイエリア・クランチ”と呼ばれるスタイルがあります。
これは、硬いものを嚙み砕く様を表す“クランチ”に由来する、“クランチ・リフ”呼ばれるザクザクしたギターサウンドによる、歯切れのいい軽快なリフワークを主体にしたサウンドを指します。
EXODUSは、『リフマスター』や『リフ職人』の異名をとるギタリスト、ゲイリー・ホルトによる多彩なリフワークを楽曲の主軸に据えた作風で、“クランチ・リフ”の特性も強く感じられることから、“ベイエリア・クランチ”の代表的なグループとも見なされています。
EXODUSはBIG4に匹敵するグループ!?
METALLICA,MEGADETH,ANTHRAX,SLAYERのいわゆる、スラッシュBIG4の称号は、キャリアの古さや後続への影響力、スラッシュメタルとしての存在感以上に、商業的な実績や知名度を重視して選ばれていました。
00年代以降のスラッシュ・リバイバルによってスラッシュ界隈の認知度が上がってからは、スラッシュBIG4の認定に疑問もの声も多くなります。
その中で、EXODUSもまた、TESTAMENTやOVERKILLらとともにそれに匹敵する実績を持つグループと評価され、各媒体・個人ごとに『BIG〇〇』の枠を拡張したり、別途新たな称号を定義する動きも目立ちます。
EXODUSの音楽性の変遷!?
EXODUSは、デビュー当初はオールドスクールなヘヴィメタルをそのまま発展させた、スピードメタル/パワーメタルに近いサウンドを展開していました。
その後、多彩なクランチ・リフワークを繰り広げるEXODUS流のスラッシュメタルを完成させ、スラッシュメタル・シーンの中核として活躍。
同時に、よりポップでキャッチーな作風、ダウンテンポな曲調、ファンクメタルのテイスト…などを取り入れた多彩な楽曲アプローチも展開してゆきます。
スラッシュメタルの衰退とEXODUS解散!?
90年代に突入すると、スラッシュメタルのムーヴメントが完全に終息し、METALLICA,MEGADETH,ANTHRAXらビッグネームが脱スラッシュを図ったことで、多くのスラッシュメタル・バンドがそれに同調することになりました。
EXODUSも例外ではなく、スラッシュメタル以上に、過去に試みてきたいくつかの実験的なアプローチやグルーヴメタルなど要素の比重を増し、ダウンテンポ主体の広義的な意味でのヘヴィメタルへと変化を遂げます。
しかし、支持リスナー層の違いもあってか、高評価を得て新たなユーザーまで獲得したBIG4とは異なり、商業的には成功には至らず、バンド内やレーベルとの問題もあって1993年にはバンドは解散を迎えまます。
EXODUSの再結成後の活動は!?
1997年には、初代ヴォーカリストのポール・バーロフを迎えた体制で再結成して、ライヴツアーを開催、
この時期の音源によるライヴアルバムもリリースされますが、この活動はレーベルとの問題もあって1年足らずで終結し、再び解散状態へと突入しまていす。
しかし、2001年には再び活動を再開して、音楽性も同時代的なモダン・スラッシュメタルへと変貌を遂げ、この時期からのスラッシュメタル・リバイバルも追い風となって、比較的コンスタントな活動を展開します。
この間、何度かヴォーカルを含むメンバーチェンジが行われますが、現在はヴォーカリストに黄金期のスティーヴ・ゼトロ・スーザを、ギタリストに元HEATHEN〜DIE KRUPPのリー・アルタスを迎えた体制で、現在も活動を続けています。
EXODUS|DISCOGRAPHY
Bonded by Blood|ボンデッド・バイ・ブラッド
オリジナルアルバム – 1作目 (1985年)
初代パーマネント・ヴォーカリストのポール・バーロフが在籍した、唯一のスタジオアルバム。
音の感触こそスラッシーで勢いもありますが、この時点での楽曲の基本スタイルは、実のところオールド・スクールなパワーメタルを軸にしています。
また、曲づくりについては発展途上もいいところで、まだまだ練り込みも甘くフックも脆弱なので、練り上げられた完成度の高い本格的なスラッシュメタルや、全盛期のような“クランチ・リフの宝石箱”を期待すると、肩スカしかもしれません。
それでも、一部のスラッシャーから熱心な支持を得ている理由は、やはり熱狂的なファンも多いポール・バーロフの存在感に尽きるでしょう。
おそらく支持要因の70%(推定)くらいは、この中毒性の高いヴォーカルによると思われ、「これこそEXODUS!」「EXODUSはここまで!」という、狂信的な声も多々聞かれます。
バーロフのヴォーカル・スタイルは、基本的にはメタル特有のハイトーン・シャウトで、ハッキリいうと“ヘタウマ”という言葉でお茶を濁すのも苦しいくらいに下手なのですが、ヒステリックで狂気すら感じさせるほどのハイテンションな絶叫シャウトには、確かに聴き手に良くも悪くも強烈なインパクトを与えます。
その意味では、微妙にタイプは違うものの、DESTRUCTIONのシュミーアKREATORのミレ・ペトロッツァ、あるいは初期ブラックメタルなどにも通じる面があり、好き嫌いは激しいものの、一度ハマると代わりが効かなくなるのも理解はできます。
|多様性:★☆☆☆☆
|ブルタル度:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み
Pleasures of the Flesh|プレジャーズ・オブ・ザ・フレッシュ
オリジナルアルバム – 2作目 (1987年)
ヴォーカルが、今に続くパーマネント・メンバーのスティーヴ・ゼトロ・スーザ(Steve “Zetro” Souza)へと代わった最初の作品。
本作もまた、前作同様に熱心なオールドファンから支持され、代表作に挙げられることも多い1枚です。
技巧派スラッシュのTESTAMENTの初期に在籍したゼトロは、それを引き継いだチャック・ビリーと同様に、スラッシュメタル界隈では希少な“歌えるエクストリーム・ヴォーカリスト”として知られています。
強烈でフリーキーなインパクトでは当時のバーロフには及ばなかったため、熱心なバーロフ・フリークには本作で離れたケースも見られますたが、そもそもバーロフの芸風は、アラビキ一発芸に近い飛び道具的なシロモノという面は否めないので、今後を考えるなら、この安定感があってソツがないゼトロへの交代は正解だったのでしょう。
スラッシュメタルとしてのEXODUSの独自性は、本作で大きく強化されてひとつの完成を見たと言えます。
しかし、前作と変わらぬ楽曲の構成力の弱さや、フックとメリハリの欠如はも気になるところで、リフワーク重視の手法に勝機を見出そうとした結果、“リフ依存”傾向が強まっただけに終わったとも考えられます。
そのため、歴史的キラーチューンと呼べるような名曲の有無については、METALLICAら同期のトップグループからは明確に遅れを取っており、良くも悪くもEXODUSがB級の呪縛から逃れられないのは、このスラッシュ・アンセムの有無も関わっています。
とはいえ、後に何も残らないのを承知で頭を空っぽにして聴いている間は、心地良いリフワークを楽しむことができます。
|多様性:★☆☆☆☆
|ブルタル度:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 実験作
プレジャーズ・オブ・ザ・フレッシュ/CD/KICP-3319
Fabulous Disaster|ファビュラス・ディザスター
オリジナルアルバム – 3作目 (1989年)
スマッシュヒットとなった名曲T-03『The Toxic Waltz(トキシック・ワルツ)』などの代表曲も生み出し、一般的には代表作とされるアルバム。
その反面、彼らのユーモラスでファニーな部分が、サウンドにも前面的に押し出されていることで、特にオールドファンからは賛否が分かれがちな傾向もあります。
EXODUSの全キャリア中でも、かなりバラエティに富んだアルバムに仕上がっており、ファンクバンドWAR(ウォー)の名曲『Low Rider』のカバーT-04などで、ANTHRAXとも一味違ったミクスチャー・センスも発揮しているあたりも、生粋のスラッシャーには好き嫌いが分かれる要因かもしれません。
その意味では、最大の問題作とされる『Force of Habit(5th)』との共通点も多く、その原点と考えることもできる作品です。
また、EXODUSにしては楽曲自体にも明確なフックがあり、従来路線でも単なるリフのごり押しに終わっていないなど、比較的練られた構成の曲が多いこともあり、完成度については初期作品も中でもひときわ際立っています。
スラッシュ・フリークのみならず、一般のメタル・リスナーまで楽しめる懐の深さもあるので、ビギナーの最初の一枚にはオススメと言えるでしょう。
|多様性:★★★★☆
|ブルタル度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Impact Is Imminent|インパクト・イズ・イミネント
オリジナルアルバム – 4作目 (1990年)
一般的には、初期のスピードスラッシュ路線へ回帰したアルバムと見なされていますが、前作に続いてミドルテンポも多用されており、ある意味では、この時期のスラッシュバンドに目立った“キャリアの集大成”的なスタイルという見方もできます。
しかし、そう評するには、スラッシュ路線へ的を絞ったことが枷となっており、音楽性の幅が狭まり過ぎています。
前作で自身の持ち味をが活きるスタイルを見出したことで、ようやくひと皮むけて次のステップアップを狙うかとも思われましたが、ここに来て、また初期のリフ偏重のスタイルに戻ってしまいました。
今までどおりリフワークには光る部分もあり、楽曲単位ではT-01あたりは名曲の部類といえますが、トータルで見るならば、楽曲構成の甘さまで初期に回帰している上に、全体的に無駄な長尺化の傾向曲が著しいこともあって、フックの弱さとメリハリの無さだけが印象に残る結果となっています。
野心的な前作で一気に5歩ぐらい進んだところを、6歩くらい下がっている印象の本作を、安易な妥協による退行見なすか、原点回帰と評価するかで評価が分かれる面はありますが、完成度において後退していることだけは、否定しようのない事実でしょう。
|多様性:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
スルメ盤 お布施
Force of Habit|フォース・オブ・ハビット
オリジナルアルバム – 5作目 (1992年)
|多様性:★★★★★
|ブルタル度:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 実験作
Tempo of the Damned|テンポ・オブ・ザ・ダムド
オリジナルアルバム – 6作目 (2004年)
|多様性:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★★★
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Shovel Headed Kill Machine|ショベル・ヘッデッド・キル・マシーン
オリジナルアルバム – 7作目 (2005年)
|スピード:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★★★
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論
The Atrocity Exhibition: Exhibit A|ジ・アトロシティ・イグジヴィション:イグジビット・エー
オリジナルアルバム – 8作目 (2007年)
Let There Be Blood|レット・ゼア・ビー・ブラッド
オリジナルアルバム – 9作目 (2008年)
Exhibit B: The Human Condition|イグジビット・ビー:ザ・ヒューマン・コンディション
オリジナルアルバム – 10作目 (2010年)
エキシビットB:ザ・ヒューマン・コンディション/CD/KICP-1485
Blood in, Blood Out|ブラッド・イン・ブラッド・アウト
オリジナルアルバム – 11作目 (2014年)
ブラッド・イン・ブラッド・アウト(初回限定盤)/CD/VQCD-10410
Persona Non Grata|ペルソナ・ノン・グラータ
オリジナルアルバム – 12作目 (2021年)
ペルソナ・ノン・グラータ(DVD付)/CD/GQCS-91095
EXODUS|エグゾダス|DISCOGRAPHY|ライヴアルバム
Another Lesson in Violence|アナザー・レッスン・イン・ヴァイオレンス
ライヴアルバム (1997年)
初代パーマネント・ヴォーカリストのポール・バーロフが復帰しての再結成第1弾作品となるライヴアルバム。
セットリストは、そのバーロフ唯一の参加作『Bonded by Blood(1st)』をメインに最初期の楽曲で構成されています。
ライヴならではの生々しいサウンドと荒々しいテンションに、独自のアレンジも施されており、さほど多くはないEXODUSのライヴ作品の中でも、オールドファンを中心にオリジナル・アルバムを上回るとも言えるひときわ高い人気を誇る1枚です。
|多様性:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
◎ EXODUSはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
EXODUSはリフはかっこいいけど曲単位で聴くとあまり冴えないことが多いので、完成度や楽曲重視なら数少ないアンセム曲もある“Fabulous Disaster(3rd)”をオススメします。クオリティや作風はともかくイカレたハイテンションを体験したければ、何といっても“Bonded by Blood(1st)”。問題作“Force of Habit(5th)”は、余計な先入観を覚える前に聴いた方がその魅力を理解できるかもしれません。
再結成後はどれも水準以上ですが、特に第1弾の“Tempo of the Damned(6th)”か、名ギタリストのリー・アルタス参加後の会心作“Blood in, Blood Out(11th)”はアップデートされた現代的なスラッシュとして彼らの入り口にも最適。