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★ GALACTIC COWBOYS(ギャラクティック・カウボーイズ) ディスコグラフィー ★ メタリカ・ミーツ・ビートルズ!? アメリカ南部が生んだヘヴィなのにポップなオルタナティヴ・プログレ・メタル!!…必聴アルバムは?

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“メタリカ・ミーツ・ビートルズ”と呼ばれる、ヘヴィながらも親しみやすいポップなモダン・オルタナプログレ・サウンドで注目を集めた、“ミュージシャンズ・ミュージシャン”を地でゆく通好みの職人バンド!!

GALACTIC COWBOYSのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

GALACTIC COWBOYS(ギャラクティック・カウボーイズ)は、アメリカ南部のテキサス州を拠点とするヘヴィメタル/ハードロックバンド。

『METALLICA meets BEATLRS』と呼ばれたバンド!?

GALACTIC COWBOYSは、スラッシュメタル/グルーヴメタルの流れをくむ、ヘヴィなサウンドとリフワークに、キャッチーでポップなメロディやコーラスワーク、親しみやすい作風を同居させたスタイルが大きな特徴としています。

その作風に対しては、“METALLICA meets BEATLRS”のキャッチフレーズも用いられており、90年代前半のデビュー当初には、ヘヴィメタル界隈のみならず広く注目を集めていました。

そのGALACTIC COWBOYSのサウンドは、一般的には『オルタナティヴ・メタル』、あるいは『プログレッシヴ・メタル』にカテゴライズされています。

幻のプルグレ・メタル・バンドがリニューアル!?

GALACTIC COWBOYSは、1990年代にアルバムデビューを果たした新世代プログレハード・バンド、〈THE AWFUL TRUTH(ジ・オウフル・トゥルース)〉を母体として、リニューアル・デビューしたグループ。

その〈THE AWFUL TRUTH〉の中心的なメンバーで、〈RAMONES〉のディー・ディー・ラモーンの従兄弟としても知られる、モンティー・コルヴィン(Ba.)と、アラン・ドス(Dr.)によって、GALACTIC COWBOYSは結成されました。

〈THE AWFUL TRUTH〉はダークで哀愁漂うサウンドを持ち味としていましたが、GALACTIC COWBOYSでは、南部ローカルの牧歌的な雰囲気とユーモアが漂うスタイルへと移行しており、サウンドのイメージは大きく変化しています。

プログレッシヴ・メタルとしてのGALACTIC COWBOYS!?

プログレッシヴ・メタルの枠で扱われることもあるGALACTIC COWBOYSですが、一般的にイメージされるプログレッシヴ・メタルのスタイルとは一線を画したものです。

技術面ではプログレッシヴ・メタルの必要レベルはクリアしており、音楽的にもその要素はありますが、“過剰な技巧性”、“過剰に複雑で手の込んだ作風”、“過剰にドラマティックな展開”…といった、一般にイメージされがちなプログレッシヴ・メタルの類型的な表現様式とは、適度な距離を置いています。

“楽曲の長尺傾向”や“工夫を凝らした曲展開”は若干ながら見られますが、それも過度な大作主義には陥っておらず、あくまでもコンパクトなポップ・ミュージックの枠組みを基本に置き、そこにツイストの効いた変則展開や、ストレンジなセンスを織り込むというものです。

GALACTIC COWBOYSのバックグラウンドである、『オルタナティヴ・ロック』は、『プログレッシヴ・ロック』の要素をも内包するジャンルであり、GALACTIC COWBOYSの“プログレ的手法”は、グランジの「古典的ハードロックの脱構築」と、ミクスチャーロックの「異ジャンルとのクロスオーバー」が基調となっています。

このように、GALACTIC COWBOYS“プログレ様式”との距離感と音楽的手法は、〈PRIMUS(プライマス)〉などと同様に、『オルタナティヴ・ロック』を経由することで確立された面が強いものとも考えられます。

オルタナティヴ・メタルとしてのGALACTIC COWBOYS!?

GALACTIC COWBOYSは、90年代初頭アメリカのにおいて、グランジなどのオルタナティヴ・ロックがメインストリームにまで進出していた時期に、そのブームを背景に持って登場したグループです。

そのスタイルは、グルーヴメタル,グランジ,ハードコアはもとより、〈FAITH NO MORE〉〈JANE’S ADDICTION〉〈LIVING COLOUR〉〈THE SMASHING PUMPKINS〉といった、ハードロック寄りのオルタナティヴ・ロックの影響下にあるものであり、それが大きな特徴となっています。

特に直接的な影響を受けているのは、オルタナティヴ・ロック/オルタナティヴ・メタルのパイオニアのひとつに数えられ、バンドとしても交友関係にある〈KING’S X〉です。
「プロデューサーのサム・テイラー手によって世に出た『CCM』バンド」…というバックグラウンド(後述)のほか、コーラスワークを多用した、明快なメロディを持つポップな作風などに共通点が見て取れます。

GALACTIC COWBOYSはクリスチャンメタル?

GALACTIC COWBOYSは、『CCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)』として扱われることもあります。

『CCM』は、キリスト教をに根ざしたメッセージ性とアティチュードを持ち、時にゴスペル的な役割や、布教/啓蒙を目的とすることもある、ロック/ポップスなどの現代的な音楽を指すジャンル。
当然、『クリスチャン・メタル』もこれに含まれ、キリスト原理主義の勢力の強いアメリカ南部では特に盛んです。

やはり米国南部を拠点して交友関係にあり、音楽性にも共通点の多い〈KING’S X〉や〈ATOMIC OPERA(アトミック・オペラ)〉らもまた、同様に『CCM』に含まれます。

GALACTIC COWBOYSに限るならば、歌詞の一部や、“ゴスペル的”とも解釈できるコーラス・ワークを多用した作風に、『CCM』ならではの特徴も見られます。
ただし、本人たちは『CCM』としての意識は無いと公言しており、取り立てて宗教色や布教性を押し出すこともないので、背景を意識せず純粋に音楽だけを楽しめるグループと言えます。

GALACTIC COWBOYSのシーンでのポジションは!?

GALACTIC COWBOYSの音楽性は、本質的な『オルタナティヴ・ロック』や『プログレッシヴ・メタル』として固定するには憚られるもので、あえてに言い表すなら、ヘヴィな「ストレンジ・ポップ・メタル」「オルタナ・ポップ・メタル」あるいは「オルタナ・プログレ・メタル」とでも呼ぶべきものです。

明快なポップロックが基調でプログレ特有のマニアックな印象が薄い反面、ヘヴィメタルやハードコアからポップ・ソングまでこなす器用さと、特定のジャンルに特化しないスタイルは、シーンの中で収まりが悪く“一般向け”とも“マニア向け”とも言い難い面がありました。

そのため、幅広い層からの支持が期待されたにもかかわらず、その個性が仇となって明快なマーケティングが難しく、“ミュージシャンズ・ミュージシャン”として通好みなリスナー主体の支持にとどまるようになります。

GALACTIC COWBOYSは、2000年台突入とともに活動休止となってしまいますが、その後、何度かのリユニオンを挟みつつ2016年には活動を再開しており、それ以降は、寡作ながらアルバムもリリースも含めて活動を継続しています。

次ページはGALACTIC COWBOYSのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

GALACTIC COWBOYS|DISCOGRAPHY

Galactic Cowboys|ギャラクティック・カウボーイズ

オリジナルアルバム 1作目 – (1991年)

モダンなヘヴィネス,人懐っこいポップネス,そしてコーラスワーク…これらの融合を表した『METALLICA meets BEATLRS』というキャッチフレーズで登場したアルバムで、代表作に挙げられることも多い初期の名盤です。

“ダーク(Dark)”,“ダウナー(Downer)”,“ドゥーミィ(Doomy)”の“3Dヘヴィネス”の波が押し寄せていた時期に、それらの代表格であるグランジやドゥームメタルにも比肩しうるヘヴィネスと、スラッシーでメタルエッジなリフワークを展開しながら、牛の鳴き声のSEからスタートするような、牧歌的なポップネスに彩られた作風で注目を集めたアルバム。

聴き手を選ばないポップなヘヴィなサウンドに加え〈QUEEN〉などの人気からも見て取れる、日本人好みで受けの良いの叙情的なコーラスワークも聴けることから、日本のメタルファンも本作には注目して触手を伸ばしていました。

本作は、彼らのカタログでは最もメタル色が濃厚である一方で、明確にわかりやすいプログレ的な曲展開も見られ、次作以降とは表面的な印象は同じようでいて、その実かなり異なる作風となっています。

彼らの“プログレッシヴ・メタル”というラベルはここに起因する面が強く、彼らにプログレッシヴ・メタルを期待するならば、本作がベストチョイスかもしれません。

|メタル度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★★★
|ポップ度:★★★★★
|プログレ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み

Space in Your Face|スペース・イン・ユア・フェイス

オリジナルアルバム 2作目 – (1992年)

基本路線は前作同様で、“プログレ”と表現されながらも、壮大なドラマ性や技巧優先のスタイルではなく、ツイストを効かせたオーソドックスなハードロック…といった作風を展開しています。

〈METALLICA〉の『ブラック・アルバム』などに通じるヘヴィネス&グルーヴと、彼ら特有のポップネスはそのままに、メタルエッジなギターは十分に主張を見せている反面、コーラスワークは前作よりも抑えめで、使いどころを絞っている印象で、そのため、ハードコア/グランジ的な荒々しさと生々しさが、アップした印象もあります。

〈KING’S X〉のファンク・テイストや、〈ATOMIC OPERA〉のアーシーな仄暗さなど、兄弟分バンドほどには際立った独自性は見られませんし、メロディセンスについては〈THE AWFUL TRUTH〉時代ほどの輝きは見られません。
とはいえ、ここでの「泥臭い90年代〈RUSH〉」とも表現できそうな、ストレンジなヘヴィポップ・サウンドもまた、ひとつの上質なハードロック/ヘヴィロックであることは間違いないでしょう。

なお、この時期の流行で、長いブランク・トラック後にシークレット・トラックが仕込まれていますが、デジタル時代の現在ではあまり意味をなしません。

|メタル度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップ度:★★★★★
|プログレ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み

Machine Fish|マシーン・フィッシュ

オリジナルアルバム 3作目 – (1996年)

ややダークでストレートになった作風から、当時は「ポップなメロディが減った!」「プログレ色が薄れた!」「グランジ化した!」などの理由で、不評を買ったアルバム。

それらの言い分については、いずれも否定はできませんが、もともとグランジ/オルタナティヴ・ロックの影響を反映したスタイルだけに、「グランジ化した」という批判はさすがに的外れ。
基本路線は前作から大きな変化はありませんし、メロディーのセンスについては、好みの問題はあるとはいえ、むしろ全体的には向上しています。
何かと批判されがちなダークでシリアスな作風に至っては、むしろヘヴィメタルの本来の美意識のひとつであり、それがリアルなものである限りはメタルファンとしては歓迎すべきものとも言えます。

あえて言うならば、職人バンドにありがちな手堅くまとまり過ぎる傾向があり、そこからはみ出す何かが全く見られず作家性が薄く感じられることと、アルバムごとの実験性が弱く変化にも乏しいことくらいでしょう。

|メタル度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|ポップ度:★★★★☆
|プログレ度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み スルメ盤

Feel the Rage|フィール・ザ・レイジ

ミニアルバム – (1996年)

The Horse That Bud Bought|ザ・ホース・ザット・バット・ブート

オリジナルアルバム 4作目 – (1997年)

At the End of the Day|アト・ジ・エンド・オブ・ザ・デイ

オリジナルアルバム 5作目 – (1998年)

Let It Go|レット・イット・ゴー

オリジナルアルバム 6作目 – (2000年)

Long Way Back to the Moon|ロング・ウェイ・バック・トゥ・ザ・ムーン

オリジナルアルバム 7作目 – (2017年)

「Long Way Back to the Moon」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

THE AWFUL TRUTH|DISCOGRAPHY

THE AWFUL TRUTHは、〈GALACTIC COWBOYS〉の中心メンバー、モンティー・コルヴィン(Ba./Vo.)と、アラン・ドス(Dr./Vo.)によって結成された、GALACTIC COWBOYSの前身にあたるバンドです。

オーソドックスなヘヴィメタル/ハードロックの枠に収まらない、プログレテイストとオルタナティヴなセンスを持っていたことと、コーラスワークを取り入れたポップネスを持ったスタイル…という点については、〈GALACTIC COWBOYS〉と共通しています。

ただし、THE AWFUL TRUTHでの作風は、よりヘヴィメタリックな音づくりと、メランコリックでダークなシリアスなスタイルで、牧歌的で明朗な印象の強い〈GALACTIC COWBOYS〉とは、一線を画したものです。

なお、隠れた名盤の誉れも高いTHE AWFUL TRUTH時代唯一のアルバムは、日本盤もリリースされていました。

The Awful Truth|ジ・オウフル・トゥルース

オリジナルアルバム – (1990年)

THE AWFUL TRUTHとしては唯一の作品となる、セルフタイトルのアルバム。
ここでは、〈GALACTIC COWBOYS〉での牧歌性や明朗さは微塵も感じさせない、メランコリックなエモーションに満ちたメロディと、時にスラッシーなに疾走しながらもクールな質感を失わない、ダーク&シリアスな作風を追求しています。

基本にあるオルタナ・プログレ的な方向性は共通すれど、「ダークになった」と言われがちな中期〈GALACTIC COWBOYS〉よりも、はるかに暗鬱で哀愁に満ちたサウンドは好き嫌いが別れがちですが、緻密に計算された計算された楽曲の展開、メランコリックながらもメロディセンス、その全てが独創的な魅力にあふれています。

それらにおいては、確実に〈GALACTIC COWBOYS〉時代よりを確実に凌駕しており、ひとつのアルバムとしても全編を通して一切中だるみなしの緊張感に満ちた名曲ぞろい…という、まさに新人離れした完璧な1枚で、1990年というロック/メタル激動の時代のはざまに、だからこそ生まれた奇跡の名作と言えます。

|メタル度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップ度:★★★★☆
|プログレ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
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