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★ GRIP Inc.(グリップ・インク) + DESPAIR(デスペア-) etc ディスコグラフィー ★ スラッシュ・シーンのカリスマ・ドラマーとアートメタルの鬼才が合体!最先端ポスト・スラッシュを完成させたカルト・バンド!!…必聴アルバムは?

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元SLAYERのUSスラッシュ最強のカリスマ・ドラマーとジャーマン・スラッシュの異能派マルチ・ミュージシャンがタッグ結成!日本でもヒットを飛ばした異色のポスト・スラッシュ・グループ!!

GRIP Inc.のディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

GRIP Inc.(グリップ・インク)は、アメリカ合衆国はカリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動した、多国籍ポストスラッシュ/ヘヴィメタル・バンド。

スラッシュメタル・シーンのドリームチーム!?

GRIP Inc.は、当時『SLAYER』を脱退してフリーで活動していた、カリスマ・ドラマーのデイヴ・ロンバードと、プログレ的な独自のアート・センスで定評のあった、ドイツの個性派スラッシュメタル・バンド『DESPAIR』のギタリストだったヴァルデマー・ゾリヒタが中心となったユニット。

フロントマンには、90年代に元THIN LIZZYのスコット・ゴーハムが結成した『21 GUNS』のガス・チェンバースを迎えています。

ベーシストは流動的で、デビュー当初は現在は再結成『EXHORDER』に在籍するジェイソン・フィーブルックスが担当していたほか、『OVERKILL』の初期メンバーだったボビー・グスタフソンも、一時期は名を連ねていました。

当時は、知名度・人気で勝るロンバードの存在が喧伝されていましたが、基本的にはゾリヒタ主導のグループであり、音楽性にもそれが強く反映されています。

GRIP Inc.の活動に影響を与えたVOODOOCULTとは!?

ゾリヒタとロンバードは、GRIP Inc.とほぼ同時期に、インダストリアルメタル・ユニット、VOODOOCULT(ヴードゥーカルト)にも共に参加していました。

VOODOOCULTは、スラッシュメタル界隈の著名ミュージシャンが参加したドリーム・プロジェクトで、ゾリヒタはプロデュースやエンジニアのほか、曲作りにも携わるなど、サポートながら重要な立場にもあり、ここでの経験もGRIP Inc.に反映されています。

VOODOOCULTについては、別項で詳しく解説しています。

GRIP Inc.はスラッシュ?ポストスラッシュ!?

GRIP Inc.は、スラッシュ・ムーヴメント収束後の90年代に登場したグループですが、スラッシュメタルシーンのメンバーが中心となっていることから、スラッシュメタルと見なされることもあります。

事実、スラッシーな疾走曲も取り扱っているものの、基本的となるのは、グルーヴメタルやインダストリアルなどの周辺ジャンルの要素も取り入れた、より広義的な意味でのヘヴィメタルを展開しています。

スラッシュからのネクスト・ステップを見据えた脱スラッシュ・アプローチが、音楽性の軸になっているため、一般的にはそれらのスタイルを指す、『ポスト・スラッシュ』ジャンルに位置付けられる傾向にあります。

GRIP Inc.の音楽性は!?

GRIP Inc.はロンバードのリーダーバンドと見なされていますが、曲づくりについてはゾリヒタが中心であり、その持ち味が発揮されたものとなっています。

そのため、オリエンタル・テイストや、ゴシック的ともいえるダークな耽美メタルのエッセンスと、スラッシュ的なアグレッション凝縮された、ゾリヒタ特有の、ややつかみどころのない特異なオルタナ・プログレ・メタル・サウンドが音楽性の主軸。
そこに、チェンバースのハードコアに寄せたパンキッシュなヴォーカルは乗るというのが、GRIP Inc.スタイルとなっています。

しかし、ロンバードの存在がある以上、その手数の多さとテンションの高さが特徴的なドラミングが映えるファストなスラッシュ・ナンバーが期待されるのは確実で、事実、それらのリスナーが期待するであろう、スラッシーなファスト・チューンも収録されています。

GRIP Inc.の活動の顛末は!?

GRIP Inc.は、日本においてもスラッシュメタルのファンを中心に、高いの知名度とカリスマ的な人気を誇る、ロンバードが在籍していたことが効いて、当時は日本でもかなり注目を集めており、来日公演も実現しています。

しかし、ロンバードの存在から期待されるスラッシュメタルとは、全く異質の音楽性が基調となっていたことから、人気は下降線を描いてゆくこととなりました。

それでも、単発的で終わるどころか比較的長期的なプロジェクトとなっており、活動停止までに4枚のアルバムを残しています。

2006年のバンド解散後は、ロンバード、ゾリヒタ共に個別の活動へと移行。
ゾリヒタはプロデュースやエンジニアを中心にセッション・ミュージシャンとして精力的な活動を続け、一方のロンバードはTESTAMENT,Mr.BUNGLE,FANTÔMASなど、複数のバンド/プロジェクトへ携わっています。

 

次ページはGRIP Inc.のディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

GRIP Inc.|DISCOGRAPHY

Power of Inner Strength|パワー・オブ・インナー・ストレングス

オリジナルアルバム 1作目 – (1995年)

ファストなスラッシュ・チューンを含めた、アップテンポな楽曲の存在が目立つデビューアルバム。

これらのアグレッシヴな楽曲は、過去の類型化したスラッシュメタルとも、当時勢いを増しつつあったメロディックなデスラッシュとも、一線を画したスタイルを確立しており、独創的な仕上がりを見せています。

一方で、ダークなアートメタル・ナンバーの数々によって、ゾリヒタ特有のアクの強いセンスも十二分に発揮されています。

わかりやすいアグレッションが生きたキャッチーな楽曲という意味では、全アルバム中でも最高の充実ぶりを見せているので、スラッシュメタルフリークなら最も満足度の高い1枚と言えるでしょう。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルーヴ度:★★★★☆
|ファスト度:★★★★☆
|オリエンタル度:★★★☆☆
|暗黒耽美度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤

Nemesis|ネメシス

オリジナルアルバム 2作目 – (1997年)

前作と比較すると、ファスト〜アップテンポの曲は目に見えて少なくなっており、ミッドテンポ中心のグルーヴメタル寄りの楽曲が幅を利かせています。

ゾリヒタ色の強いダークな作風という点はいつも通りではあるものの、ゾリヒタの特異なアクの強さはやや控えめになっており、より普遍的でオーソドックスなヘヴィメタルに接近してもいます。

その意味では、フルアルバム4作品の中では、一般メタラーにとっても最も間口の広い仕上がりとも言えますし、本作リリース後に来日公演を果たしているなど、日本に限っていえば人気のピークにあった時期のアルバムです。
これ以降は、ヘヴィメタルの多様化/細分化や、オールドスクール・スラッシュのリバイバルなどのあおりを受けたこともあり、やや存在感が薄れて失速気味にもなってゆきます。

|スラッシュ度:★★★☆☆
|グルーヴ度:★★★★☆
|ファスト度:★★★☆☆
|オリエンタル度:★★☆☆☆
|暗黒耽美度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論

Solidify|ソリディファイ

オリジナルアルバム 3作目 – (1999年)

1stの時点ではそれなりに感じられたスラッシュ・テイストは前作以上に薄まっており、脱スラッシュ傾向が強まっています。
アップテンポなナンバー自体は数曲収録されていますが、これまでのような突進力重視のストレートでわかりやすいスラッシュ・チューンとは異なり、ダウンテンポを織り込むなどツイストの効いた変則的なものです。

さらには、ゾリヒタ色がさらに強まったことで、全体的に末期CORONERや同時期のVIVODにも通じる、ダークでサイケなアートメタル感覚が濃厚に。
これは、一般的な日本のメタラー嗜好を考えるなら、通好みで食いつきの良く無い作風に向かっているのは間違いなく、スラッシャー向けとも言いかねますし、キャッチーなキラーチューンを欠くという弱みはあります。

しかし、楽曲自体はこれまで以上にアイデアを凝らして練り上げられており、完成度や楽曲アベレージでも過去作を上回ってさえいます。
そのため、ミドルテンポ主体であっても適度にアクセントが効いており、メリハリを失わないので、単調に陥ってダレることなくスムースに聴きとおすことができます。

|スラッシュ度:★★★☆☆
|グルーヴ度:★★☆☆☆
|ファスト度:★★☆☆☆
|オリエンタル度:★★★☆☆
|暗黒耽美度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 通好み 実験作

Incorporated|インコーポレイテッド

オリジナルアルバム 4作目 – (2004年)

ラストアルバムの本作に及んでも取り立てて劇的な変化は見せておらず、言ってしまえばいわゆる“キャリアの総決算”的な作風。
とはいえ、その手のアルバムによく見られる、単なる焼き直しや寄せ集めには陥っておらず、楽曲はさらに工夫を凝らつつも洗練させて練り上げられており、全キャリア中でも一二を争う出来栄えを見せています。

もちろん、ゾリヒタ印のクセの強い無国籍サウンドは健在ですが、前作ほどには通好みで人を選ぶ作風ではなく、フックが効いたわかりやすい仕上がりです。
さらには、前作では影を潜めていた、ストレートな突進型ファスト・スラッシュ.パートも復活し、楽曲のバリーションもさらに豊かになっているため、ゾリヒタ作品としては存外聴きやすいアルバムと言えるでしょう。

|スラッシュ度:★★★☆☆
|グルーヴ度:★★☆☆☆
|ファスト度:★★★☆☆
|オリエンタル度:★★★☆☆
|暗黒耽美度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤

Hostage to Heaven|ホステージ・トゥ・ヘヴン

EP (2015年)

次ページではDESPAIRとその他関連バンドのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

DESPAIR|デスペア-|DISCOGRAPHY

DESPAIRは、スラッシュメタル・ムーヴメントの末期にデビューを果たしたドイツのスラッシュメタル・バンド。
ヴァルデマー・ゾリヒタがバンドの中核となって活動していましたが、スラッシュムーヴメントの終息を迎えたこともあって、1993年には3枚のアルバムを残して解散していました。

デビュー当初においては、後発グループのわりには比較的ストレートでオーソドックスな、ジャーマン・スラッシュを展開していましたが、アルバムを重ねるごとにゾリヒタの持ち味が発揮され、後年の作品にも見られる変則的でテクニカルなテイストを強めてゆきます。

現時点(2022年)でのラストアルバムにして代表作である3rdアルバムにおいては、ゴシカルな欧州的耽美志向をも取り入れ、“アート・スラッシュ”,“プログレ・スラッシュ”とも呼べそうな、独創的なスタイルを確立しており、これは現在までゾリヒタ自身の持ち味となっています。

多くの古参スラッシュバンドが再結成した、00年代のスラッシュ・リバイバルの折にも、アクションは起こことなく過ぎ去りましたが、2017年になって突如活動を再開。
この際の、ゾリヒタを除くオリジナルメンバーは、SODOMやVOODOOCULTに在籍していたマーカス・フライヴァルト(Dr.)のみで、他にはMORGOTHのメンバーだったマーク・グリューらが参加していました。

History of Hate|ヒストリー・オブ・ヘイト

オリジナルアルバム – 1作目 (1988年)

Decay of Humanity|ディケイ・オブ・ヒューマニティ

オリジナルアルバム – 2作目 (1990年)

Beyond All Reason|ビヨンド・オール・リーズン

オリジナルアルバム – 3作目 (1992年)

EYES OF EDEN|アイズ・オブ・エデン|DISCOGRAPHY

EYES OF EDENはヴァルデマー・ゾリヒタによって結成された、女性ヴォーカルフィーチャーしたフィメイル・メロディック・メタル・バンド。

以前よりゾリヒタ関連作品に見られたゴシカルな欧州耽美志向とダークな叙情性を全開にした、ゴシックメタルとも呼べる作風ですが、ゾリヒタ特有のツイストの効いたアクの強い作風ではなく比較的ストレートなサウンドです。
ゾリヒタの持ち味でもあるエキゾチックなエッセンスを、ストレートな耳なじみの良いポップなメロディと、エッジの効いたヘヴィメタル・サウンドとのマッチングで聴かせるスタイルと言えます。

PARADISE LOSTらゴシックメタルの先人の影響は濃厚ではあるものの、ドゥームメタルやデスメタルのテイストは皆無。
かといって90年代のにゴシックメタル顕著な、アトモスフェアやサイケデリアに傾いたアンビエントな作風でも、エクスペリメンタルあるいはオルタナティヴな作風でもないため、一般メタラーにも聴きやすいわかりやすさと間口の広さを持っています。

Faith|フェイス

オリジナルアルバム – 1作目 (2007年)

ENEMY OF THE SUN|エネミィ・オブ・ザ・サン|DISCOGRAPHY

ENEMY OF THE SUNは、ヴァルデマー・ゾリヒタがNEUROSISのサウンドに触発されて結成したと公言するグループで、バンド名もNEUROSISのアルバムのタイトルに由来しています。

NEUROSISは、新世代のエクストリーム・プログレとして注目を集め、90年代以降のエクスペリメンタルなポスト・ハードコア/ポスト・メタルの火付け役となったグループで、既存のバンドや後続バンドに多大な影響を与えて数多くのフォロアーを生み出し、90年代最重要バンドのひとつと見なされています。

ENEMY OF THE SUNの音楽性は、まさにGRIP Inc.とNEUROSISのミックスといったところ。
近年ではスラッジメタルにも括られるNEUROSISのダウナーなヘヴィ・サウンドに、DESPAIRやGRIP Inc.でも見せた、スラッシーなリスワークや変則的な曲展開、オリエンタルなメロディが組み合わされています。

とはいえ、ゾリヒタとしては比較的キャッチーでわかりやすい作風であり、多くのNEUROSIS系のグループほどには前衛的でもなく、ヘヴィメタル的な整合感が強くこともあって、メタラーにとってはむしろ後期GRIP Inc.よりも聴きやすいかもしれません。

メンバーに知名度の高いミュージシャンは皆無ですが、ゾリヒタの別ユニットEYES OF EDENの女性ベーシスト、アラ・フェディニッチも参加していました。

Shadows|シャドウズ

オリジナルアルバム – 1作目 (2007年)

「Shadows」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

Caedium|カエディウム

オリジナルアルバム – 2作目 (2010年)

「Caedium」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

VOODOOCULT|ヴードゥーカルト|DISCOGRAPHY

VOODOOCULTは、『PHILLIP BOA&THEVOODOOCLUB』として活動していたドイツのニューウェイヴ/ポストパンク系アーティスト、フィリップ・ボア(Phillip Boa)主導のインダストリアル・メタル・プロジェクトで、ボアとSOFT CELLやKILLING JOKEに参加していたデイヴ・タイフ・ボールが中心に活動していました。

1993年〜1996年の3年間の活動期間に2枚のアルバムを残していますが、スラッシュメタル界隈のシーントップ・ミュージシャンが参加したことでメタルファンにも話題になり、輸入盤店の売れ線商品となった結果、2作品共に日本盤もリリースされていました。

1stアルバムでは、ドラムにSLAYERのデイヴ・ロンバードを迎え、さらにゲストギタリストとして、ウォルデマー・ゾリヒタのほか、KREATORのミレ・ペトロッツァやDEATHの故チャック・シュルディナーらが参加していました。

ゾリヒタは、1stアルバムではプロデューサーやソングライティングも担当し、2ndアルバムではメンバー/ゲストとしては不参加ですが、エンジニアを担当しています。

ここでのコラボでの成果は、ロンバードとゾリヒタにとっても、のちにGLIP inc.のサウンドにも反映される重要なものですし、KREATORがインダストリアル/ゴシック路線を推し進めるブースターにもなりました。

2ndではゲストギタリストの参加はなく、FAITH NO MOREのジム・マーティンら、メタルファンへの知名度ではやや劣るラインナップとなりましたが、基本的な作風は変わらずでクオリティも全く落ちていません。

非メタル系のアーティストの主導らしく、メタル系のミュージシャンを迎えつつも、メタル系のバンドとは一線を画した独自のセンスによって、メタルバンドにのインダストリアル・アプローチとは一線を画したサウンドを展開していました。

Jesus Killing Machine|ジーザス・キリング・マシーン

オリジナルアルバム – 1作目 (1994年)

Voodoocult|ヴードゥーカルト

オリジナルアルバム – 2作目 (1995年)

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