Contents
- 1メタル・シーンにおいてはMETALLICAも跪くカリスマとして、UKインダストリアル/メタリック・サイケトランスの歴史を築いた、ニューウェイヴ/ポストパンクの最重要カルト・バンド!!
- 1...1UKインダストリアル/インダストリアル・メタルの立役者!?
- 1...2METALLICA効果でメタルシーンでも知名度アップ!?
- 1...3KILLING JOKEの音楽性は!?:80年代:インダストリアル時代
- 1...4KILLING JOKEの音楽性は!?:80年代:シンセポップ・テクノポップ時代
- 1...5KILLING JOKEの音楽性は!?:90年代:インダストリアル・メタル時代・第一期
- 1...6KILLING JOKEの音楽性は!?:00年代:インダストリアル・メタル時代・第二期
- 1...7意外な安定感のKILLING JOKEのバンド体制!?
- 1.1KILLING JOKE|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Killing Joke|キリング・ジョーク:黒色革命
- 1.1.2What's This For...!|ホワッツ・ディス・フォー...!:リーダーに続け
- 1.1.3Revelations|レヴェレイションズ:神よりの啓示
- 1.1.4"Ha"|“ハ!!”:キリング・ジョーク・ライヴ
- 1.1.5Fire Dances|ファイアー・ダンス
- 1.1.6Night Time|ナイト・タイム:暴虐の夜
- 1.1.7Brighter than a Thousand Suns|ブライター・ザン・ア・サウザンド・サンズ:漆黒の果て
- 1.1.8Outside the Gate|アウトサイド・ザ・ゲート
- 1.1.9The Courtauld Talks|ザ・コートールド・トークス
- 1.1.1Extremities, Dirt and Various Repressed Emotions|エクストリミションズ, ダート・アンド・ヴァリアス・リプレスド・エモーション:怒涛
- 1.1.2Pandemonium|パンデモニウム
- 1.1.3Democracy|デモクラシー
- 1.1.4Killing Joke|キリング・ジョーク
- 1.1.5Hosannas from the Basements of Hell|ホナンザ・フロム・ザ・ベースメント・オブ・ヘル
- 1.1.6Absolute Dissent|アブソリュート・ディセント:宣戦布告
- 1.1.7MMXII|MMXII
- 1.1.8Pylon|パイロン
- Killing Joke|キリング・ジョーク:黒色革命
- What’s This For…!|ホワッツ・ディス・フォー…!:リーダーに続け
- Revelations|レヴェレイションズ:神よりの啓示
- “Ha”|“ハ!!”:キリング・ジョーク・ライヴ
- Fire Dances|ファイアー・ダンス
- Night Time|ナイト・タイム:暴虐の夜
- Brighter than a Thousand Suns|ブライター・ザン・ア・サウザンド・サンズ:漆黒の果て
- Outside the Gate|アウトサイド・ザ・ゲート
- The Courtauld Talks|ザ・コートールド・トークス
- Extremities, Dirt and Various Repressed Emotions|エクストリミションズ, ダート・アンド・ヴァリアス・リプレスド・エモーション:怒涛
- Pandemonium|パンデモニウム
- Democracy|デモクラシー
- Killing Joke|キリング・ジョーク
- Hosannas from the Basements of Hell|ホナンザ・フロム・ザ・ベースメント・オブ・ヘル
- Absolute Dissent|アブソリュート・ディセント:宣戦布告
- MMXII|MMXII
- Pylon|パイロン
メタル・シーンにおいてはMETALLICAも跪くカリスマとして、UKインダストリアル/メタリック・サイケトランスの歴史を築いた、ニューウェイヴ/ポストパンクの最重要カルト・バンド!!
KILLING JOKE(キリング・ジョーク)は、イングランドを拠点に、インダストリアル/インダストリアル・メタルを代表するグループ。
UKインダストリアル/インダストリアル・メタルの立役者!?
KILLING JOKEは、1970年代末からニューウェイヴ/ポスト・パンクのシーンにおいて活動を始めており、1996年〜2002年の活動停止期間を除いては、その時期ごとに音楽性を変化させつつ現在も活動を続けている古参グループです。
一般的にKILLING JOKEは、最初期の『インダストリアル(ロック)』、90年代以降の『インダストリアル・メタル』のジャンルでとして認識されています。
ただし、80年代には、ゴシックテイストのポップロックや、よりニューウェイヴの主流に近い『シンセポップ/エレポップ/テクノポップ』などのアプローチも試みており、それらのジャンルの枠で語られることもあります。
METALLICA効果でメタルシーンでも知名度アップ!?
ニューウェイヴ/ポストパンク・シーンの中でも好事家向けの存在だったKILLING JOKEが、ヘヴィメタル界隈でも高い知名度を持つようになった要因は、バンド本来のヘヴィメタリックなサウンドによる部分もありますが、主にMETALLICAがカバー曲に取り上げた影響が大きいと見られています。
METALLICAは、1987年にリリースした、トリビュート・カバー集のハシリにも近いEP『The $5.98 EP – Garage Days Re-Revisited(メタルガレージ)』において、NWOBHM系の楽曲と並んでKILLING JOKEの1st収録曲『The Wait』を取り上げており、これが閉鎖的/保守的な一般のメタルリスナーにまでも、その存在を広める契機にもなりました。
KILLING JOKEの音楽性は!?:80年代:インダストリアル時代
80年代の『インダストリアル』『インダストリアル・ロック』のジャンルは、後の『インダストリアル・メタル』と異なり、ノイズやアバンギャルドな電子音楽などの実験音楽の特徴や、サイケデリックやアンビエントの要素も持った、より実験性の強いnものでした。
KILLING JOKEは、それらのグループに限定して見れならば、比較的明快なロック的ダイナミクスやカタルシスを感じさせるスタイルを個性としていたと言えます。
『インダストリアル』特有のノイジーな電子音/サンプリングに加え、アフロビート・ファンク・トライバルなどを元にしたダンサブルなリズムワークなどのが、KILLING JOKEの特徴となっていますが、この時期のおいては、何よりメタリックでソリッドな質感を持つヘヴィサウンドが大きな持ち味となっていました。
この時期におけるKILLING JOKEのサウンドは、アメリカのSWANS(スワンズ)などと並んで、ニューウェイヴ/インダストリアル・ロックのジャンルとしては最もヘヴィなスタイルに位置しており、これによって、ヘヴィメタルやハードコアのシーンにおいても、少なからず影響力を与える存在となりました。
KILLING JOKEの音楽性は!?:80年代:シンセポップ・テクノポップ時代
デビューアルバム以降のKILLING JOKE作品は、メタリックなヘヴィネスは次第に後退を見せるようになり、当時のニューウェイヴ/ポスト・パンク界隈に見られた、ゴシックロック的な耽美テイストや、エスニック&トライバルなエッセンス、ダンサブルなビートなどの、各要素を強調させるアプローチを試みるようになります。
その傾向は、アルバムを重ねるごとに強まってゆき、80年代の後半には、よりポップでスタイリッシュにソフィスティケートされた、ニューウェイヴの主流的サウンドを展開するようになります。
この時期のKILLING JOKEの音楽性は、『シンセポップ/テクノポップ/エレポップ』などと呼ばれる、電子音/シンセ・サウンドをフィーチャーたポップロックのジャンルとしてもカテゴライズされています。
KILLING JOKEの音楽性は!?:90年代:インダストリアル・メタル時代・第一期
90年代に入ると、この時期の『インダストリアル・メタル』ジャンルの台頭を背景に、そのルーツのひとつとしてのKILLING JOKE再評価が進んだこともあり、それを視野に入れて、再びヘヴィメタリックなサウンド・アプローチを展開するようになります。
同時に、この時期にユース(Ba.)が傾倒していた、サイケデリック・トランスやサイケなアンビエントなどの影響もサウンドに表出すようになり、それらのアレンジによるEDM系リミックス曲のリリースも行われています。
その後、1996年〜2002年の活動停止期間に突入して、メンバー個別の活動へと移るため、90年代の活動はアルバム2枚のみで終わりとなりました。
なお、この時期のユースは、自らのレーベル『ドラゴンフライ(Dragonfly Records)』で、サイケデリック・トランス/ゴアトランス/アンビエント作品のディストリビューションを行うほか、音源制作やDJ活動も行っています。
そのため、サイケデリック・トランス/ゴアトランスのシーンにおいては、顔役のひとりでありレジェンドでもあるという位置付けで、知らぬ人はいない存在となっていました。
KILLING JOKEの音楽性は!?:00年代:インダストリアル・メタル時代・第二期
2002年に活動を再開したKILLING JOKEは、エクストリーム・ミュージックがメインストリームの一角を占めるようになった、シーンの趨勢を反映して、よりヘヴィメタリックでアグレッシヴな『インダストリアル・メタル』を展開するようになります。
同時に、サイケデリック,ゴシック,トライバル,シンセポップ,トランス etc…といった、デビュー以来導入を試みてきた様々な音楽エッセンスをも再び取り入れた、キャリアの総決算的なアプローチも見せるようになりました。
この音楽性の変化や、エクストリーム・ミュージックの一般層への浸透も重なり、ヘヴィメタルやニューメタル/メタルコアなどのファンも含めた、より幅広い新規リスナーを獲得することにも成功します。
意外な安定感のKILLING JOKEのバンド体制!?
KILLING JOKEの創設メンバーの中で、デビュー以来の活動期間において継続的に在籍を続けているのはジャズ・コールマン(Vo.Key)とジョーディー・ウォーカ(Gt.)のみで、ユース(Ba.)とポール・ファーガソン(Dr.)はバンドを離れていた期間が長く、その期間は何度かのメンバー交代を重ねています。
その間の代替要員としては、ベースには主にポール・レイヴン(MINISTRY,GODFLESH,PRONG 他)で、一時的にデイブ・タイフ・ボール(PHILLIP BOA,VOODOOCULT 他)が在籍。
ドラムにはマーティン・アトキンス(WARRIOR SOUL,MURDER, Inc. 他)やジェフ・ダグモア(セッション・ドラマー)らが起用されていました。
その後、2008年にユースとファーガソンも復帰し、以来このデビュー当時の顔ぶれによってコンスタントな活動を続けています。
アルバムを含めた新作のリリースは2015年来止まっていましたが、2022年の3月には、7年ぶりとなる新曲収録のEPがリリースされています。
KILLING JOKE|DISCOGRAPHY
Killing Joke|キリング・ジョーク:黒色革命
オリジナルアルバム 1作目 – (1980年)
ノイジーでソリッドなインダストリアル・サウンドに、ファンク/アフロ・ビートやトライバル/エスニックなエッセンス、耽美的なメロディやサイケデリック・テイストなど、多彩な要素が織り込まれ、当時勢いを増していたヘヴィメタルのサウンドで仕上げられた、唯一無二のウルトラヘヴィ・ニューウェイヴサウンド。
80年代の中盤以降になると、ニューウェイヴ/ポスト・パンクのシーンでも、犬猿の仲だったハードロック/ヘヴィメタルへの接近が目につくようになりますが、この時点においては、とりわけ際立ってヘヴィでメタリックなサウンドを確立させていた異色のアルバムでした。
ロック史的重要作という側面を抜きにしても、サウンド自体の存在感や衝撃は今も失われておらず、現在の視点でも十分に楽しめる名盤です。
なお、METALLICAがカバーしたことでメタル界隈にも知れ渡った、メタルギターとトランス的アッパー・ビートが特徴的なヘヴィな名曲T-05『The Wait』は、本作に収録されています。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★☆☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
What’s This For…!|ホワッツ・ディス・フォー…!:リーダーに続け
オリジナルアルバム 2作目 – (1981年)
KILLING JOKE初期の名盤で代表作とし、前作と並び称され語り継がれているアルバム。
ほぼ前作のスタイルが踏襲されたスタイルで、当時のニューウェイヴ/ポスト・パンクのシーンにおいては、ヘヴィなサウンドではあるものの、前作と比較するとヘヴィメタリックな過剰さや重さはそれほど強調されていません。
その分だけ、やや変則的な実験色に振った作風ということも出来ますが、実験性によるインパクトに重きを置くならば、もっと振り切った尖ったバンドが世にあふれていた時期でもあります。
それらが相まって良くも悪くも落ち着いた印象が勝っており、インパクトについてはやや減退気味と言わざるを得ません。
本作ならではの際立った個性を欠くことから、前作の延長線上にある1枚、あるいは前作とこの後をつなぐ過渡期の1枚…という以上のものになり得ていないのが弱点ですが、あくまでも、前作の発展系/派生系的なアルバムと捉えて過度の期待を持たなければ、良作と割り切ることも出来るでしょう。
ここでは、後にPRONGに参加するポール・レイヴンは加入前ですが、T-01, T-03をはじめPRONGサウンドの原点と言える曲も多く、PRONGがかなりストレートの影響を受けていることがうかがえます
|サイケ度:★★☆☆☆
|マシーン度:★★☆☆☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|ポップ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み スルメ盤 実験作
Revelations|レヴェレイションズ:神よりの啓示
オリジナルアルバム 3作目 – (1982年)
前2作の音楽スタイルを踏襲しつつ、そこに、ある意味ゴシック的ともいえる耽美性を持ち込み、さらにダンサブルなテイストもいくぶん強調された作風となりました。
その音楽性の変化から、オールドファンには賛否両論で過小評価を受けがちな傾向もありますが、楽曲の出来栄えは極めて高い水準にあります。
KILLING JOKEにとっては、このアルバムが今後の音楽性の幅を広げて作風の変化を続ける起点となったことを考えると、作品単体としての完成度の高さを差し置いても、一般的なイメージや評価以上に重要な意味合いを持ったアルバムとも言えます。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★☆☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
“Ha”|“ハ!!”:キリング・ジョーク・ライヴ
ライヴアルバム – (1982年)
スタジオアルバム以上にヘヴィでトランシーな魅力にあふれた、初期の名盤ライヴ・アルバム。
アルバム未収録のシングルBサイド曲ながらも、インダストリアル・メタル/ボディ・ミュージック, サイケデリック・トランス…各ジャンルの原型となる重要曲でもある名曲T-01『Pssyche』を収録していることだけでも、ボンクラ風に言うなら1億点以上はカタいアルバム。
なお、現時点ではこの曲は本作かレアトラックスでしか聞くことができません。
ちなみに、ここからユースに変わり“インダストリアル界の仕事人”ポール・レイヴンがベースで参加となります。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★☆☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Fire Dances|ファイアー・ダンス
オリジナルアルバム 4作目 – (1983年)
メタリックなヘヴィネスが大きく後退した一方で、ダンサブルともいえるトライバル&エクニックな呪術的リズムワークが一気に濃厚になり、それを軸にした“原初の人力トランス”とでも呼べそうな曲が多くを占めるようになりました。
印象的なジャケットアートも含め、後に本格的に注目を集めるワールド・ミュージック・ブームの萌芽をも感じさせる1枚となっています。
しかし、そのトライバル&エクニック要素と前作から続く耽美路線との食い合わせは、ここでは今ひとつにも感じられますし、ダンスミュージックを意識した結果か、曲調にややミニマルで緩急を欠く傾向があるのはともかく、それが魅力へと直結するには至っていません。
似通った楽曲が多く、アルバム単位で見ても変化に乏しいこともあって、全体的にフラットな印象だけが残りがちですが、その中で異彩を放つポップなT-09は印象に残る仕上がりを見せており、本作の白眉とも言えます。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★☆☆☆
|ダンス度:★★★☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Night Time|ナイト・タイム:暴虐の夜
オリジナルアルバム 5作目 – (1985年)
前作以上の新境地を切り開き、これまでのイメージを一新した作風となりながらも、それが功を奏して、チャート/セールス面においては、KILLING JOKEのキャリア中でも最高位を誇るアルバムとなりました。
テクノポップ/エレポップ的な、ポップ&キャッチーでメロディを大きくフィーチャーしたサウンドへと舵を切っただけでなく、過去作以上にゴシック的な仄暗く不穏な耽美色に全体を覆われながらも、ダンサブルな躍動感をもった特異なスタイルとなっています。
オールドファンからは相変わらずの賛否両論ですが、ライヴの定番T-01, T-03, T-08をはじめ楽曲のクオリティは極めて高く、初期の作風に固執さえしなければ、聴きどころは満載な充実の野心作です。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★☆☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Brighter than a Thousand Suns|ブライター・ザン・ア・サウザンド・サンズ:漆黒の果て
オリジナルアルバム 6作目 – (1986年)
前作に引き続いて、ゴシカルな耽美テイストをまとったエレポップ/シンセポップ調の作風ですが、ダンサブルなエッセンスはやや薄れ、ヴォーカルラインも含めて一気にメロディアスな側面が強調されています。
不穏なジャケットに反して、従来のダークなテイストは薄れ、サイケデリアもダンサブルな要素もあまり感じられない、ポップでやや明るめの耳なじみのいいメロディを追求した作風となっています。
ひとつの作品としては及第点以上ではあるものの、前作と比較しても一枚落ちるのは確実ですし、なにより、KILLING JOKEならではの独自性は希薄なこともあって、アルバムとしての食い足りなさは否めませんが、T-08, T-09などついてはなかなかの出来栄であり、佳曲と言ってもよいでしょう。
|サイケ度:★★☆☆☆
|マシーン度:★★☆☆☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Outside the Gate|アウトサイド・ザ・ゲート
オリジナルアルバム 7作目 – (1988年)
基本的には、直近2作品のエレポップ寄りのダークな作風が踏襲されていますが、シンセサウンドはフィーチャーしつつも、よりオーソドックスなロックミュージックに接近しており、時には、ややオーガニックな質感をも感じさせる、ダイナミズムに満ちた作風となりました。
初期2作しか認めないオールドファンに不評なのはともかく、前作に続いて印象のやや薄いアルバムなのは確かですが、楽曲の幅はさらに広がっており、さらには、KILLING JOKE流のポップネスも前面に出て主張するようになっています。
ある意味プログレッシヴロックの一種としても聴ける作風でもあり、より広い層に受け入れら得るポテンシャルも感じられる1枚と言えるでしょう。
なお、クレジットにはありませんが、今回もベースはポール・レイヴンが担当。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★☆☆
|ダンス度:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★★★
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
The Courtauld Talks|ザ・コートールド・トークス
ライヴアルバム – (1989年)
Extremities, Dirt and Various Repressed Emotions|エクストリミションズ, ダート・アンド・ヴァリアス・リプレスド・エモーション:怒涛
オリジナルアルバム 8作目 – (1990年)
インダストリアル・メタルのムーヴメントが勃発して、シーンが活性化を見せたことも影響しているのか、この時点においては過去最高と言えるほどに、ヘヴィでハードコアなサウンドに仕上がったアルバム。
しかし、何故かインダストリアル・メタルのブームの波も、METALLICAのカバーによる知名度アップも、リアルタイムでの人気/セールスアップには直結せず、逆に、シーンでの存在感は薄まるという残念な結果になりました。
本来ならば、一気に上向いてしかるべきタイミングにもかかわらず、所属レーベルとの確執によりドイツのメタル専門レーベル『ノイズ』へと移籍した影響もあってか、本作は、KILLING JOKEのキャリア中で唯一、本国イギリスのチャートランク外に終わったアルバムとなり、知名度と評価共に今ひとつの印象の薄い存在へと追いやられています。
しかしながら、その実アグレッシヴな熱量に満ちた楽曲は粒ぞろいで、極めて高水準な仕上がりを見せており、充実ぶりは比類なきもの。
ヘヴィなサウンドも相まって、インダストリアルメタルのリスナーでも十分に楽しめる、“隠れた名盤”の称号に恥じない1枚となっています。
なお、次作ではユースが復帰を果たすため、ポール・レイヴンの参加は一旦は本作までとなります。
|サイケ度:★☆☆☆☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Pandemonium|パンデモニウム
オリジナルアルバム 9作目 – (1994年)
初期のインダストリアル・メタルのムーヴメントが絶頂にあった時期のアルバムで、それを反映したかのように前作にも匹敵するヘヴィなサウンドとなっていますが、ロック的なヘヴィネスやアグレッションに限って見れば前作に分がある印象。
ここでは、この時期にサイケデリック・トランスをメイン・フィールドとしていたユースの復帰が反映された面が強く、インダストリアル・メタル特有のメタルギターによるヘヴィサウンドの追求以と同等以上に、トランス,ダブ,アンビエントなどのEDMサウンドの導入による、ダンサブルでトランシーなサウンドの追求に注力されています。
それこそが、この時期のKILLING JOKEサウンドを形成する上での、重要なファクターとなっており、その点だけに目を向けるなら『Fire Dances(4th)』あたりに近いアプローチと見ることもできるでしょう。
メタルファン/ロックファンにとって本作は、キャッチーでわかりやすいカタルシスに欠けるためか、インダストリアル・メタルのシーンを一新するほどのインパクトは残せませんでしたが、メディアでも前作よりは大きく取り上げられて、英国ではチャート上位へのランクインも果たしました。
事実、純粋に作品としてのクオリティの面だけを見ても、作風の好き嫌い以外は文句のつけようのないの出来栄えで、絶品のヘヴィダンスチューンが並ぶ充実作として、前作ほどには隠れていない“隠れた名盤”と言えます。
|サイケ度:★★★★☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Democracy|デモクラシー
オリジナルアルバム 10作目 – (1996年)
基本的な方向性は、前作の延長線上にあるともいえる作風で、サイケデリック・トランスをはじめとしたトランシーでダンサブルなサウンドが、作品における重要なエッセンスとなっている点でも同様。
ただし、前作との比較の限りでは、メタリックな質感とヘヴィネスによるソリッドなエッジの立ったサウンドが、ここでは、やや角が取れたソフトでなめらかものとなっており、全体的に、過剰なヘヴィネスも抑えられて、まろやかでオーガニックな質感を強めた印象もあります。
序盤はそれが特に顕著で、やや陽性で穏やかな雰囲気を持った、ソフトでポップな曲調が目立つ流れとなっており、ダークでヘヴィな前作のイメージとの落差もあって、聴き手によっては刺激が足りずやや地味にも感じられるかもしれません
しかし、アルバムも中盤に差し掛かると、前作と同様のサイケデリック・トランスをベースとしたヘヴィなダンス・チューンも交えるようになり、フィジカルな高揚感も感じることができます。
ヘヴィネスとテンションの高さ、それによるインパクトに限るならばともかく、総合力では前作にひけをとるものではありませんが、サイケデリック/レイヴ・カルチャーに対する聴き手のリテラシーに、評価が左右される面は否めません。
|サイケ度:★★★★☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
賛否両論 通好み スルメ盤 実験
Killing Joke|キリング・ジョーク
オリジナルアルバム 11作目 – (2003年)
6年あまりのブランクを挟んだのちの復帰第1作目となる本作は、時には解散以前のサイケ&ダンサブルな要素を交えつつも、KILLING JOKE史上でも最もヘヴィメタリックでエクストリームなアルバムとなりました。
本作が、この時期のニューメタルの隆盛による、シーンのヘヴィネス過剰化傾向を視野に入れていることは間違いの無いところでしょう。
しかし、それらの類型的なスタイル/メソッドには同調せず、自身の過去のアプローチとも一線を画しながらも、エクストリームなヘヴィミュージック最新モードにも匹敵する、最上級のヘヴィネスとアグレッションを持った、圧倒的なクオリティのインダストリアル・メタルを完成させています。
このあたりには、KILLING JOKEの音楽的なボキャブラリーの豊富さと、自身のスタイルの引き出しの多さが反映されており、さすがというほかありません。
本作において一新された独自のヘヴィサウンドは、新世代リスナーやメタルファンにもアピールしたことによってファン層も一層の広がりを見せただけでなく、これ以降もコンスタントな活動を続けることに成功しており、その意味においては、ややもすればロートル扱いさえされがちだった彼らを、新たなステージへと導くことになったターニングポイントに位置する重要作とも言えます。
|サイケ:★☆☆☆☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Hosannas from the Basements of Hell|ホナンザ・フロム・ザ・ベースメント・オブ・ヘル
オリジナルアルバム 12作目 – (2006年)
同時代的なヘヴィネスを持ったサウンドという意味では、本作もまた前作と同様のアプローチとも言えますが、ここでは、90年代に見られたダンサブルでトランシーな楽曲が増えており、同時に、楽曲の長尺化の傾向も目につくようになりました。
T-07のような、サイケデリック・トランス調の曲も見られますが、それらも、全体的には90年代のナンバーのようなEDMテイストは希薄で、ここでは、“ダンス対応も可能なヘヴィミュージック”と呼べる枠内に収められています。
作風については、フィジカルな機能性を追求するような傾向も見られるものの、楽曲は粒ぞろいであり、そのいずれもが印象的な仕上がりを見せるなど、その充実度と完成度については非常に高いレベルにあります。
個々の楽曲を見ると、前作より以前の過去の作風への回帰を意識したような一面もあり、バックカタログに見られる様々なエッセンスが、アルバムの端々で顔をのぞかせます。
サウンド面では、ヘヴィメタリックな質感は維持されてるので、前作ほど直接的なヘヴィメタル・サウンドではないものの、とりあえずは、メタラーでも楽しめる範囲内の変化にとどまっていると言っていいでしょう。
なお、今作ではユースが一時離脱しており、その専属交代要員と化していた故ポール・レイヴンが、再び加わっています。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Absolute Dissent|アブソリュート・ディセント:宣戦布告
オリジナルアルバム 13作目 – (2010年)
本作は、再結成以来のヘヴィなインダストリアル・メタル路線に、シンセポップ/テクノポップ路線のポップチューンを加えて多様性を持たせたような作風で、直近2作に特徴的だった、アグレッシヴなインダストリアル・メタル・ナンバーや、EDM系のダンサブルなナンバーの比重は減退しています。
ここでのシンセポップ路線は、『Revelations(3rd)』や『Night Time(5th)』あたりの作風にも通じるものながら、それらほどにはゴシック的な暗さは無く、むしろほの明るい雰囲気を漂わせており、その意味では『Democracy(10th)』に近い印象もあります。
シンセポップ系の楽曲がが従来のヘヴィチューンと同居したこともあり、また全体的に同時代的なヘヴィネスは抑え気味で、復帰直後の強烈なテンションとアグレッションも見られませんが、それでも、近作のファンでも許容できる必要十分な程度には維持されています。
90年代から続くニューウェイヴ・リヴァイヴァルの中で、インダストリアル界隈でもひとつの定番として固有のシーンを確立した、シンセポップ/テクノポップ路線ですが、この類に多い、単なるバブリーなシンセポップの焼き直しには陥らず、独自の味付けとツイストを加えているあたりは、オリジネイターたるKILLING JOKEの矜持といったところでしょう。
いずれにせよ、インパクトや即効性が薄くなった分だけ、楽曲の質が問われることになりますが、総合力においては極上クラスではないものの、T-03, T-05, T-10, T-12など佳曲も多く、及第点は余裕で飛び越えるスキの無い安定の仕上がりと言えます。
なお、今作からはユースが復帰しているため、代役のポール・レイヴンはお払い箱となっています。
|サイケ度:★★☆☆☆
|マシーン度:★★★☆☆
|ダンス度:★★★☆☆
|ポップ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
入門盤 賛否両論 スルメ盤
MMXII|MMXII
オリジナルアルバム 14作目 – (2012年)
復活直後には濃厚に充満していた圧倒的なヘヴィネスはいくぶん後退気味の落ち着いた印象で、ヘヴィチューンとやソフトなポップチューンを同居させてた構成…という意味では、今作もまた、おおむね前作を踏襲したものと言えます。
とはいえ、基本的なスタイルについては、前作と比較しても大きな変化が無いにもかかわらず、単なる前作の焼き直しに終始することは回避され、KILLING JOKEならではの独自性も強化されています。
本作は、ニューウェイヴ/シンセポップのリヴァイヴァルの追従したという空気は前作以上に抑えられていますが、これは、KILLING JOKEお得意のトランシーなサイケデリック・テイストを強化して主軸に据えたことによるところが大きく、それによって独自性がさらに強まり、サウンドの奥行きと深みも増しています。
また、また全体の雰囲気は、前作からややダークに傾いた傾向があるものの、ダンサブル路線やポップ路線など楽曲のバリエーションは豊富で、色調が単一でフラットな印象は与えず、それぞれの楽曲もよく練られておりアベレージも上々。
さすがに、ここまでくると新鮮味は薄いものの、類型化が進みがちなインダストリアル・メタルのシーンで異彩を放つ個性は健在で、確かな満足を感じることのできるの充実の1枚と言えます。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★★★
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Pylon|パイロン
オリジナルアルバム 15作目 – (2015年)
80年代〜90年代に展開した音楽性を、00年代以降のヘヴィサウンドに見劣りしないヘヴィネスを持たせた同時代性を持ったスタイルに再構築するという、復活以来のアプローチもひと段落となったようで、本作は、再結成KILLING JOKEにとってのいわゆる“キャリアの総決算的スタイル”を展開。
ヘヴィでアグレッシヴなエクストリーム・インダストリアル・メタル、サイケデリック・トランス路線などのヘヴィなダンスチューン、ニューウェイヴ・リヴァイヴァル系のメロディアスなシンセポップ。
これら、再結成以来繰り広げてきた各手法による曲がバランス良く配置され、特定のスタイルに偏ることはありませんが、全体的には、直近2作あたりよりもややヘヴィネスが強まり、アッパーでダンサブルな印象を強めています。
過去に持ち味としていた、エスニック/トライバルテイストや、ゴシックテイストなどが濃厚な曲は見られず、“トリッピーなサイケデリア”,“エクストリームなヘヴィネス”など、アルバム全体を方向性を決定づける明確なカラーもありませんが、それが、バラエティに富んだ仕上がりもにつながっています。
正直なところ、手札の数や組み合わせは底をついてきた印象は拭えませんが、それでも楽曲はブラッシュアップを重ねて練り上げられ、その水準は極上のグレードを維持していますし、時流のモードに安易に迎合することのない独自のアプローチは、ベテランらしからぬ現役感を存分に感じさせます。
00年代以降の、類型的なインダストリアル・メタルやニューウェイヴ・リヴァイヴァルとは明確に距離を置いた、KILLING JOKEならではの個性が発揮された会心作と言っていいでしょう。
|サイケ度:★★★★☆
|マシーン度:★★★★★
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作