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★ MACHINE HEAD(マシーン・ヘッド) ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|初代PANTERA, 二代目SEPULTURAに次ぐ第三の“純メタル系”ヘヴィグルーヴバンド!!…必聴アルバムは?

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スラッシュメタルから奇跡の転身を果たし、メタルファンの期待を一心に集めたグルーヴ・メタルのブライテスト・ホープは、なぜハイプなポーザー・バンドとしてバッシングを浴びるまでになったのか?!

MACHINE HEADのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

MACHINE HEAD(マシーン・ヘッド)は、アメリカ合衆国はカリフォルニアを拠点とするグルーヴメタル/ニューメタル・グループ。

ベイエリア・スラッシュ期待の若手だった男!?

MACHINE HEADは、かつてスラッシュメタルの本場だったベイエリア・シーンで活動を続けていた、フロントマン兼ギタリストのロブ・フリン(Robb Flynn)が中心となったグループ。

フリンは10代の頃からベイエリアのスラッシュメタル・シーンに身を置き、後発グループの中では比較的高い知名度を持つFORBIDDENの前身、FORBIDDEN EVILにも在籍していました。

ブーム収束で夢破れたスラッシャーの逆襲!?

のちにフリンは、同じくムーヴメント末期の代表的グループ、VIO-LENCEのギタリストとしてメジャーデビュー、期待の新鋭として知られるようになります。

フリンが在籍するVIO-LENCEは、程なく収束を迎えて一気に衰退が進むことになる、末期スラッシュメタル・ムーヴメントの中で活動を続けていました。

しかし、音楽性の相違からVIO-LENCEでの活動に見切りをつけて脱退し、MACHINE HEADの活動をスタートさせます。

スラッシュからグルーヴへ!?

MACHINE HEADの音楽性は、PANTERAによって確立され、SEPULTURAによってスラッシャー向けのメソッドが開発された、一般に“グルーヴメタル/ヘヴィグルーヴ”と呼ばれるものです。

同じスラッシュメタル出身ということもあってか、特にSEPULTURAの影響を色濃く受け継いだスタイルでした。

そのため、のちに続出するスラッシュメタルから転向したバンドによるグルーヴメタル、あるいはスラッシュ色の強いグルーヴメタルを意味する、“ポストスラッシュ”としてカテゴライズされこともあります。

メタラーに愛されたグルーヴメタル!?

当時のグルーヴメタル/ヘヴィグルーヴ・シーンとは、本来がハードコアシーンやオルタナティヴロックなど、広義的なヘヴィミュージック全域にわたる同時発生的ムーヴメントでした。

その中でMACHINE HEADは、例外的にPANTERA, SEPULTURAに次ぐ第三の純メタルバンドだったこともあって、シーンの中では特にメタルクラスタからの支持の高いバンドとなっていました。

時代と寝すぎて己を見失う!?

MACHINE HEAD…何よりフリンは、手段を選ばずトレンドに寄り添ってサバイヴする、いわゆる「時代と寝る」タイプのミュージシャンという本性が、次第に明るみになってゆきます。

そのため、グルーヴメタルを皮切りにラップメタル, インダストリアルメタル, ニューメタル, スラッシュリバイバルなど、アルバムリリース時期によって異なる注目のトレンドを取り入れて、音楽性をシフトしてきました。

また、KORNやMARILYN MANSONによるトラウマロック・ブームの最盛期に、いきなり過去の家族問題やネグレクトを盛んにアピールしだしたことも、顰蹙を買って批判的に捉えられました。

開き直った“ポーザー”バンドの明日はどっち!?

フリンとMACHINE HEADは、そのあまりのフットワークの軽さと清々しいまでの主体性の無さ、ビッグウェーブにうまく乗るためのあざといアピールなどから、次第に先鋭的なリスナーを中心に“ポーザー”, “ハイプ”という評価が定着するようになってゆきます。

しかし、一定のサポーターは獲得しているようで、デビュー以来メンバーチェンジはありつつも大きなブランクは無く活動を続け、コンスタントなアルバム・リリースを重ねています。

次ページはMACHINE HEADのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

MACHINE HEAD|DISCOGRAPHY

Burn My Eyes|バーン・マイ・アイズ

オリジナルアルバム – 1作目 (1994年)

〈PANTERA〉の登場以降、メタルからヘヴィグルーヴへのアプローチは一気に増加しますが、その中でパイオニアの〈PANTERA〉に匹敵しうる独自性とクオリティ提示できたのは、唯一〈SEPULTURA〉のみでした。
そこに、MACHINE HEADがこのアルバムをもって、第三勢力として名乗りを上げます。

本作での音楽性は、元祖の〈PANTERA〉よりもむしろ同じスラッシュ上がりの先輩格〈SEPULTURA〉に近いもので、スラッシュメタルのグルーヴ路線=グルーヴ・スラッシュとしては、ひとつの最適解と呼べるものでした。

アンセム曲が立て続けに繰り出される序盤の流れは完璧で、それ以降はコレといった決め曲を欠くものの、高水準な曲が並ぶスキの無い充実ぶりです。
スラッシュ上がりならではファストパートも充実しており、スラッシュを駆逐したグルーヴメタルに対して否定的だったスラッシャーまでも取り込むことに成功します。

クロスオーバーバンド〈ATTITUDE ADJUSTMENT〉に在籍していた、クリス・コントスのドラミングもサウンドのキモとなっており、これによって名を挙げましたが、脱退後は目立った活躍が無いのか惜しまれます。

プロデュースはソリッドで緻密な音づくりに定評のあり、デスメタルからニューメタルまで手がける重鎮コリン・リチャードソン(Colin Richardson)。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルメタ度:★★★★☆
|ヌーメタ度:★☆☆☆☆
|ラプメタ度:★☆☆☆☆
|あざとい度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 実験作

The More Things Change…|ザ・モア・シングス・チェンジ…

オリジナルアルバム – 2作目 (1997年)

〈KORN〉をはじめ〈WHITE ZOMBIE〉, 〈FEAR FACTROY〉などの、シーンを一変させたニューメタルのパイオニア勢が注目を集めた途端、早速それらの革新的個性派サウンドを取り入れました。
本来が、明確な独自の音楽的な主軸を持ったバンドではないこともあり、何よりもフリンのトレンド察知の嗅覚とフットワークの軽さが印象的なアルバムといえます。

上記バンドの個性は、その全てが強烈なインパクトを持つアクの強い劇薬的なものであるだけに、到底それを制御しきれているとは言えません。
しかし、基本の音楽性を完成度の高い前作に頼っていることや、続投となるコリン・リチャードソンによるサウンドメイクもあって、流用した強烈な個性に完全に飲み込まれないギリギリのバランスを保っています。

全体的にニューメタル的な混沌を意識したダークなダウナー路線に傾いて疾走パートが大きく減退したことから、前作を支持したリスナーからは賛否両論で、特にスラッシャーからは低評化の傾向があります。

もっとも、作風の変化を許容したとしても、アンセムと呼べるほどの曲も見られず、アベレージ面で数段落ちるのもまた事実。前作でも見られた楽曲ごとの波の荒さも顕著になっており、冒頭3曲はそれなりに聴かせるものの、それ以降は尻すぼみ状態が続きます。

それでも、彼らのカタログ中では1stに次ぐほどには突出した位置にあり、90s’グルーヴの定番として一聴の価値のはあるでしょう。

|スラッシュ度:★★★☆☆
|グルメタ度:★★★★☆
|ヌーメタ度:★★★☆☆
|ラプメタ度:★★☆☆☆
|あざとい度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤

The Burning Red|バーニング・レッド

オリジナルアルバム – 3作目 (1999年)

〈KORN〉を世に出しニューメタルの基礎を築いたカリスマ・プロデューサー、ロス・ロビンソンを起用して、さらなるメジャー展開を狙ったアルバム。

ダイレクトに〈KORN〉に寄せたサウンド、恥も外聞もないプロデューサー選出、パーカッシヴなラップメタル風のヴォーカルの導入、フリンのトラウマロック・ブームを意識した唐突な幼少期トラウマ・カミングアウト…などなど。
これらのあざと過ぎるアプローチ要素がこれでもかというほど湧いて出てきて、前作で「あれあれ?!」と思いつつも目をつぶってやり過ごしたリスナーでさえ、「これはダメなヤツだ…」とポーザー認定するにやぶさかではありませんでした。

案の定、このアルバムから、ミュージシャンとしての信頼性を失い、半笑いの生暖かい目で見られるバンドとなってゆきます。
前作で脱退したコントスの後任に、〈SACRED REICH〉のデイヴ・マクレーン(Dave McClain)が加入したという、ちょっといいトピックもあるのですが、もろもろのノイズにかき消されてしまいました。

それでも、純メタラーでも聴ける貴重なニューメタルとしての価値はありますし、そうでなくても、半端な“雨後筍”泡沫バンドよりはいくらか聴きどころが多いのも確か。

そんな本作の最大の目玉は、〈THE POLICE〉の名曲カバーT-08。
ほぼ、原曲の素晴らしさによるものですが、アルバムの中では桁違いの傑出した出来栄えを見せます。

|スラッシュ度:★★☆☆☆
|グルメタ度:★★★☆☆
|ヌーメタ度:★★★★☆
|ラプメタ度:★★★☆☆
|あざとい度:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論

Supercharger|スーパーチャージャー

オリジナルアルバム – 4作目 (2001年)

ニューメタル・ポーザー時代の第二弾で、プロデュースは〈MEGADETH〉のアルバムを手がけ現在はディー・スタイダー(Dee Snider)のバンドでギタリストを務めるジョニーK。

前作のニューメタル路線を維持しつつ、やや初期のテイストを取り入れた折衷的なサウンドとなっており、また、このスタイルにも多少はこなれたようで、前作よりはいくらかサマになった印象もあります。

当時の、“雨後筍”&“玉石混交”状態だったニューメタル・シーン全体を見渡すならば、その中では比較的水準は高い方ではある…という程度には褒めることはできます。

しかし、どうアピールしようが根本的にフリンは“ただのメタルの人”でしかないため、引き出しの少なさと懐の浅さ、微妙なセンスが足を引っ張って、現状から先のステージへと突き抜けることはできていません。

|スラッシュ度:★★☆☆☆
|グルメタ度:★★★★☆
|ヌーメタ度:★★★★☆
|ラプメタ度:★★★☆☆
|あざとい度:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論

Through the Ashes of Empires|スルー・ジ・アッシュズ・オブ・エンパイアーズ

オリジナルアルバム – 5作目 (2003年)

本作以降はロブ・フリン名義のセルフプロデュースとなり、「出来が悪いのはプロデューサーのせい」という言い訳は間違っても金輪際使えなくなります。

ラップメタルやニューメタルのテイストがやや薄れ、初期のグルーヴスラッシュ路線へと大きく回帰した作風ですが、残念ながら初期作品と比較するとクオリティでは遠く及びません。

さすがのフリンだけあって、トレンドのチェックは忘れてはおらず、メロデス風のフレーズやメタルコア系のサウンドなど、当時のシーンの最新モードを意識した面もあります。
しかし、それらの要素の使い方は相変わらずかなりベタベタで、ただ型をなぞってやってみたという印象が残るだけに過ぎず、そこはかとなくもの悲しさすら漂います。

|スラッシュ度:★★★☆☆
|グルメタ度:★★★★☆
|ヌーメタ度:★★☆☆☆
|ラプメタ度:★★☆☆☆
|あざとい度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤

The Blackening|ザ・ブラッケニング

オリジナルアルバム – 6作目 (2007年)

トレンドに寄り添って生きてきたロブ・フリンが、オールドスクール・スラッシュのリバイバルやネオスラッシュ/デスラッシュのメジャー化など、スラッシュメタル再評価の気配を見逃すわけなどありません。
それを打ち出したスラッシュ回帰アルバムが本作で、その甲斐あってか、彼らを見放していた一般メタラーもいくらか呼び戻すことに成功しました。

本作のタイトルは、〈MATALLICA〉のヒットアルバム『メタル・ジャスティス』収録の代表曲、“Blackend”を想起させますが、長尺に加えミッド&ファストで複雑な展開を織り交ぜたややテクニカルなスタイルの楽曲からして、その『メタル・ジャスティス』に対するオマージュであることは否定できないでしょう。

あえて“ジャスティス・インスパイア”を選んだのは、その作風が彼ら本来のヘヴィグルーヴや、ニュ−メタル, ジェントなどの当世風トレンドとの食い合わせがいいとの判断なのでしょう。

しかし、元になったアルバムにしても、MACHINE HEADというバンド自体にしても、ハイプ気味で実が伴っていないため、仕上がった作品は案の定、単に冗長なだけのものとなりました。

もちろん、本作もフリン名義のセルフ・プロデュースなので、「この有様はプロデューサーのせい」などという言い訳は使えません。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルメタ度:★★★☆☆
|ヌーメタ度:★★☆☆☆
|ラプメタ度:★☆☆☆☆
|あざとい度:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆

代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤

Unto the Locust|アントゥ・ザ・ローカスト

オリジナルアルバム – 7作目 (2011年)

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルメタ度:★★★☆☆
|ヌーメタ度:★★☆☆☆
|ラプメタ度:★☆☆☆☆
|あざとい度:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆

代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤

Bloodstone & Diamonds|ブラッドストーン・アンド・ダイアモンズ

オリジナルアルバム – 8作目 (2014年)

|スラッシュ度:★★★☆☆
|グルメタ度:★★★★☆
|ヌーメタ度:★★★☆☆
|ラプメタ度:★☆☆☆☆
|あざとい度:★★★★☆
|総合評価:★★☆☆☆

入門盤 賛否両論 スルメ盤

Catharsis|カタルシス

オリジナルアルバム – 9作目 (2018年)

|スラッシュ度:★★☆☆☆
|グルメタ度:★★★☆☆
|ヌーメタ度:★★☆☆☆
|メタコア度:★★★☆☆
|あざとい度:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論 実験作

「カタルシス」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

Of Kingdom and Crown|オブ・キングダム・アンド・クラウン

オリジナルアルバム – 10作目 (2022年)

次ページはライターが選ぶMACHINE HEADのおすすめアルバムを紹介!!▼リンクはページ下!▼

コレを聴け!! ライターおすすめアルバム!

MACHINE HEADは、『Burn My Eyes(1st)』が頂点であり全てと言っていも過言ではないので、事実上この1枚さえあれば問題ありません。

もう1枚というなら、『The More Things Change…(2nd)』は、やや変化に乏しいものの、まだくすぶった熱が残っていますし、コリン・リチャードソンのプロデュースによる佳作なので、押さえておいてもいいでしょう。

あくまで「ニューメタル・バブル」の一端を知るための資料や、その時代の狂騒を苦笑しつつ振り返るための“酔狂”として割り切るならば、その頂点『The Burning Red(3rd)』が二束三文で入手できるので、ネタとして仕入れるのもアリでしょう。

また、スラッシュ回帰とされる『The Blackening(6th)』『Unto the Locust(7th)』は、賛否両論で名盤にはとどきませんが、メタル界隈では比較的高評価。純メタラーであれば試してみるのもいいかもしれません。

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