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★ MEKONG DELTA(メコン・デルタ) ディスコグラフィー ★ ドイツの異能派スラッシャーが紡ぎ出す変態クラシカル・プログレッシヴ・テクニカル・スラッシュ!!…必聴アルバムは?

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Contents

  1. 腕ききプロデューサー、バカテク・ミュージシャン、レコード会社社長…いくつもの顔を持つジャーマンメタルの鬼才が変態テクニカル・サウンドを追求する、異色のクラシカル・プログレッシヴ・スラッシュメタル・バンド!!
        1. ジャーマンメタルの鬼才ラルフ・ヒューベルトとは!?
        2. MEKONG DELTAはテクニカル・スラッシュ!?
        3. RAGEのメンバーら有名実力派ミュージシャンが参加!?
        4. ライヴで再現不可能とされた超絶技巧サウンド!?
        5. 活動休止〜復活〜現在の活動状況!?
  • MEKONG DELTA |DISCOGRAPHY
    1. Mekong Delta|メコン・デルタ
    2. The Music of Erich Zann|ザ・ミュージック・オブ・エーリッヒ・ツァン
    3. The Principle of Doubt|ザ・プリンシパル・オブ・ダウト
    4. Dances of Death (And Other Walking Shadows)|ダンセズ・オブ・デス(アンド・アザー・ウェイキング・シャドウズ)
    5. Live at an Exhibition|ライヴ・アット・アン・エキシビジョン
    6. Kaleidoscope|カレイドスコープ
    7. Classics|クラシックス
    8. Visions Fugitives|ヴィジョンズ・フュージティヴス
    9. Pictures at an Exhibition|ピクチャー・アット・アン・エキシヴィジョン
    10. Lurking Fear|ラーキング・フィアー
    11. Wanderer on the Edge of Time|ワンダラー・オン・ザ・エッジ・オブ・タイム
    12. Intersections|インターセクションズ
    13. In a Mirror Darkly|イン・ア・ミラー・ダークリィ
    14. Tales of a Future Past|テイルズ・オブ・ア・フューチャー・パスト
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  • 腕ききプロデューサー、バカテク・ミュージシャン、レコード会社社長…いくつもの顔を持つジャーマンメタルの鬼才が変態テクニカル・サウンドを追求する、異色のクラシカル・プログレッシヴ・スラッシュメタル・バンド!!

    MEKONG DELTAのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

    MEKONG DELTA(メコン・デルタ)は、ドイツのスラッシュメタル/プログレメタル・バンド。

    ジャーマンメタルの鬼才ラルフ・ヒューベルトとは!?

    実質的にMEKONG DELTAは、中心人物のラルフ・ヒューベルト(Ralph “Ralf” Hubert)によるプロジェクト体制のグループです。

    ヒューベルトは、MEKONG DELTAでのミュージシャンとしての活動のほか、プロディーサーやエンジニアとしても、KREATORをはじめ多数のバンドを手がけてきた、ジャーマンメタル・シーンの人物のひとり。

    そのほかにも、HOLY MOSES, LIVING DEATHなど、個性的なバンドを取り扱ってきたドイツのインディペンデント・ヘヴィメタル・レーベル、『アーグ(Aaarrg Records)』のオーナーとしても知られています。

    MEKONG DELTAはテクニカル・スラッシュ!?

    MEKONG DELTAは、スラッシュメタルのシーンにおいては、特に技巧的で実験的なスタイルで知られており、テクニカル・スラッシュの代表的グループのひとつに数えられています。

    また、テクニカル・スラッシュ界隈の中でも、特にクラシック音楽とプログレッシヴ・ロックの影響が強く、それがダイレクトにバンド・サウンドへ反映されており、ムソルグスキーなどのクラシック音楽家やプログレッシヴ・ロック・グループのカバーも度々試みてきました。

    しかし、クラシック志向のヘヴィメタルが陥りがちな、キーボードをフィーチャーしたネオクラシカル系パワー/スピードメタルの類型的なサウンドに陥ることはなく、独自のメソッドによる独自のサウンドをつくり上げています。

    RAGEのメンバーら有名実力派ミュージシャンが参加!?

    MEKONG DELTAは、デビュー後しばらくは覆面バンドとして活動しており、その時期には、RAGEやLIVING DEATHといったジャーマン・メタルシーンのトップグループのメンバーも匿名で参加していました。

    当初はヒューベルトは、MEKONG DELTAのブレインとしてバンドの総指揮を行っていましたが、当時ベース&ヴォーカルを担当していたピーヴィー・ワグナー(RAGE)の脱退を期に、ヒューベルト自身もビョルン・エルクンド(Björn Eklund)名義で参加、ワグナーに代わってベーシストをつとめるようになります。

    ライヴで再現不可能とされた超絶技巧サウンド!?

    初期のMEKONG DELTAは、作品リリースのみの活動に終始していたこともあり、“複雑怪奇”と評されることもあった変則的なテクニカルサウンドに対して、「ライヴでの再現は不可能」と主張する声も少なくありませんまでした。

    しかし、まさにその声に対抗するかのようなタイミングで、ライヴツアーも実行に移され、そこでアルバムと全く違わぬテクニカル・サウンドを展開されたことで、ライヴでの演奏の再現に対して疑念を抱いていたリスナーを驚愕させます。

    この際のライヴ音源は、後にライヴアルバムとしてもリリースされ、得体の知れないB級バンドと見下していた一般メタルリスナーにまでも、その力量のほどを知らしめることになりました。

    活動休止〜復活〜現在の活動状況!?

    MEKONG DELTAは、ヒューベルトの音楽活動からセミリタイア状態となり、海外放浪生活を送るようになったことから、90年代の末期ごろから長いあいだ活動が途絶えていました。

    しかし、スラッシュメタル・リヴァイヴァルの動きが盛んになっていた、2007年には活動を再開して新作もリリース。
    その後も、決してハイペースではないものの、アルバム・リリースを含むコンスタントな活動を続けています。

    次ページはMEKONG DELTAのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

    MEKONG DELTA |DISCOGRAPHY

    Mekong Delta|メコン・デルタ

    オリジナルアルバム 1作目 – (1987年)

    デビュー作となる本来は、ヒューベルトがピーヴィーを含むRAGE初期メンバーを迎えて制作していたアルバム。
    しかし、レコーディングの前にピーヴィーは脱退となり、仮名でのクレジットのみが残っています。

    この時点では、プログレッシヴ・メタルというほどに技巧主義的でも大仰な作風でもなく、気持ち程度テクニカルなスラッシュの範囲内に収まる程度の、比較的ストレートな作風です。
    そのため、MEKONG DELTAの代名詞でもある変態的/変則的な要素は希薄ですが、純粋に、完成度の高い上質なスラッシュメタルとして聴くことができる唯一の作品という意味では、スラッシャーに取っても貴重な1枚といえます。

    |スラッシュ度:★★★★★
    |プログレ度:★★☆☆☆
    |変態度:★★☆☆☆
    |クラシク度:★☆☆☆☆
    |スピード:★★★★☆
    |総合評価:★★★★☆

    代表作 入門盤 通好み 実験作

    The Music of Erich Zann|ザ・ミュージック・オブ・エーリッヒ・ツァン

    オリジナルアルバム 2作目 – (1988年)

    現在ではメタラーにはお馴染みとなったアメリカのカルトなホラー作家で、ヒューベルトが好んで題材に取り上げるP.H.ラヴクラフトの作品から、代表作のひとつ『エーリッヒ・ツァンの音楽』をテーマにしたアルバム。

    本格的に、MEKONG DELTA流のプログレメタル/テクニカル・スラッシュへと一歩を踏み出して、テクニカル&フリーキーなプログレ色が一気に強化されており、テクニカル・スラッシュとしては、最高峰に位置する1枚と言っても過言ではない出来栄えを見せています。

    プログレメタルとは言っても、DREAM THEATERなどに代表される、アメリカン・プログレハードをベースにした古典的なものではなく、あくまでもスラッシュメタルを基調としたテクニカル・スラッシュです。

    後に、類型的なプログレ・アプローチに傾く彼らですが、この時点では、スラッシュメタルに根ざしていたことによって、登場時からすでに様式美化が進行していたブログレメタル勢とは、完全に一線を画しています。
    結果的にはこれが功を奏して、彼らを先鋭的な独自性を持った存在とすることに成功しています。

    |スラッシュ度:★★★★☆
    |プログレ度:★★★☆☆
    |変態度:★★★☆☆
    |クラシク度:★★☆☆☆
    |スピード:★★★★☆
    |総合評価:★★★★★+

    殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

    The Principle of Doubt|ザ・プリンシパル・オブ・ダウト

    オリジナルアルバム 3作目 – (1989年)

    スラッシュ・テイストはまだ受け継がれているものの、純粋なスラッシュメタルからはかなり距離を感じるものとなるほど薄められおり、反面、音楽性の幅は広がって、より広義の意味でのヘヴィメタルとして聴けるサウンドへと変化を遂げた意欲作と言えます。

    スラッシュ・テイストが希薄になったとはいえ、安易に類型的なプログメタルには陥ったわけではなく、多彩な作風で完成度の高い個性的な楽曲が並んでおり、初期の代表作として推されることが多いのも納得の、クオリティ/アベレージの高さです。

    楽曲によっては、ある意味ではVOIVODなどにも通じるような、サイケデリックでスペーシーな感触も漂わせています。

    |スラッシュ度:★★★☆☆
    |プログレ度:★★★☆☆
    |変態度:★★★★☆
    |クラシク度:★★☆☆☆
    |スピード:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★★+

    殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

    Dances of Death (And Other Walking Shadows)|ダンセズ・オブ・デス(アンド・アザー・ウェイキング・シャドウズ)

    オリジナルアルバム 4作目 – (1990年)

    20分弱の大長編曲T-01に10分強長編曲T-04という、ふたつの長尺曲が収められたこともあり、いかにも“プログレ的”な印象が一気に強まったアルバム。
    このアプローチを好意的に捉えるならば、「スラッシュメタルのテイストも踏襲しつつ、その枠から逸脱を狙った」…との解釈もできますが、逆に言うならば、類型的なプログレ好きの思考パターンに囚われた結果ともいえます。

    プログレ志向のメタルバンドの多くは、こういった超大作を試みたいという欲求から逃れられない宿命にあるようですが、多くの場合は尺を保たせるので手一杯で、単に冗長なだけに終わっています。

    それらと比較すると、T-01はいくつかの短い曲を組み合わせた組曲形式なので、純粋な長尺曲よりもハードルが格段に低いとはいえ、間延びすることなく最後までスリリングでテンションが落ちないだけでも、評価に値すると言っていいでしょう。

    ただし、T-04の『禿山の一夜』は、その名のとおりベタなのクラシックカバーであり、特にツイストを効かせたアレンジに仕上がっているわけでもありません。
    このカバー曲をあくまでオマケと捉えるならば、実質30分弱のミニアルバム程度のボリュームとなってしまうので、聴きごたえや密度という点でも今ひとつです。

    |スラッシュ度:★★★☆☆
    |プログレ度:★★★★★
    |変態度:★★★☆☆
    |クラシク度:★★★★★
    |スピード:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★☆

    代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

    Live at an Exhibition|ライヴ・アット・アン・エキシビジョン

    ライヴアルバム (1992年)

    MEKONG DELTAにとっては現時点では唯一のライヴ・アルバムで、後にリリースされるライヴ映像作品も、会場は違えどこのツアーからのものとなっています。

    本作は、複雑なテクニカル・サウンドを持ち味として、当時は、評論家やミュージシャンの間で「アルバム収録曲のライヴで再現するは不可能」とまことしやかに囁かれていた彼らが、「そこまで言うなら…」とばかりに実現させたライヴ・ツアーの音源を収録した1枚。
    ここで、スタジオ盤と変わらぬ超絶パフォーマンスを披露したことで、あらためて彼らの実力を世界に証明することとなりました。

    しかし、ライヴ作品として見るならば、ライヴならではの臨場感を感じられたり、スタジオ盤では聴けないアレンジやインプロが堪能できる類のものではありません。
    確かに演奏力の確かさは賞賛されてしかるべきですが、結果として本作の意義は、ライヴでスタジオ・アルバムの楽曲再現が可能という事実を確認する実例、あるいはベストアルバムの代用品という枠に止まっています。

    実際のところ、それを実証するのためだけに、ツアーが行われてライヴ盤がリリースされたとさえ思えるほどで、それを自分の耳で体験して確認できるという一点においては、確かに重要な作品ではあります。

    |スラッシュ度:★★★★☆
    |プログレ度:★★★☆☆
    |変態度:★★★★☆
    |クラシク度:★★☆☆☆
    |スピード:★★★★☆
    |総合評価:★★★★★

    代表作 入門盤 賛否両論 通好み

    Kaleidoscope|カレイドスコープ

    オリジナルアルバム 5作目 – (1992年)

    大作主義の前作から一転して、5〜6分前後の比較的コンパクトな楽曲が主体の作風となっており、アグレッシヴなスラッシュサウンドも踏襲しながらも、その枠に止まらない幅広い楽曲が並ぶスタイルは、3作目の『The Principle of Doubt』に近く、その発展系ともこれまでの総決算ともいえるものです。

    スラッシュメタル・フィールドからのプログレ・アプローチ、予測不能で変則的な楽曲展開、スペーシーなサイケデリック・テイストなど、音楽性は異なるものの要素だけを見れば、同時期のVOIVODなどに通じる部分も見られます。

    スラッシュメタルからの逸脱傾向も見られるものの、決して類型的なプログレメタル様式に堕したわけではありませんし、緻密に構築されたユニークで完成度の高い楽曲については過去最高のレベルにあり、キャリア中期の代表作と呼ぶにふさわしい名盤と言えるでしょう。

    本作には2曲のカバー曲が収録されており、恒例クラシック・カバーはハチャトゥリアンの『剣の舞(T-07)』で、これはさすがにギャグスレスレで少し浮いていますが、GENESISのカバーT-03は絶妙な選曲&アレンジでうまく馴染んでいます。

    |スラッシュ度:★★★☆☆
    |プログレ度:★★★★☆
    |変態度:★★★★☆
    |クラシク度:★★☆☆☆
    |スピード:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★★+

    殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

    Classics|クラシックス

    オリジナルアルバム 5作目 – (1992年)

    過去に発表した、クラシックの名曲を元にした、カバー・トラック(トワイライトゾーンのテーマも含む)を集めたアルバム。
    すでにオリジナル・アルバムを持っていれば特に意味は無く、よほどのMEKONG DELTAサポーターか、カバーアルバム専門の収集マニアでもなければ不要でしょう。

    この後のMEKONG DELTAが、ヒューベルトの趣味性の強いシンフォ・サウンドをフィーチャーしたクラシカル・プログレ路線に傾いていくことを考えると、このタイミングで本作がリリースされたことは何か象徴なものにも思えます。

    |スラッシュ度:★★★☆☆
    |プログレ度:★★★☆☆
    |変態度:★★☆☆☆
    |クラシク度:★★★★★
    |スピード:★★★☆☆
    |総合評価:★★★☆☆

    賛否両論 お布施

    Visions Fugitives|ヴィジョンズ・フュージティヴス

    オリジナルアルバム 6作目 – (1994年)

    サンプリングを用いた擬似オーケストレーションを導入した組曲形式のアルバムという、これまでからは考えられないほどベタなクラシカル・プログレ路線へと走ったアルバム。

    T-02などのように、部分的には彼ららしい変態性も感じられるのですが、初期のスリリングなテクニカル・スラッシュからも、前作『Kaleidoscope(5th)』のオルタナティヴ・メタルからもかけ離れたものとなり、当時あふれかえっていたDREAM THEATER以降の複雑で大仰なだけのプログレメタルと化しています。
    もっとも、それらの中では頭ひとつ以上は抜きん出ているので、割り切って聴けるならば、それなりには楽しめる要素はあるでしょう。

    同じ組曲形式も用いた『Dances of Death(4th)』では、まだ刺激を感じられていたことを考えると、当時まだ先鋭性の名残を保っていたスラッシュメタルに、頭までズッポリではなくても片足程度だけでも身を置いていたことが、彼らの独自性に反映されていたのは間違いないでしょう。

    |スラッシュ度:★☆☆☆☆
    |プログレ度:★★★★★
    |変態度:★★☆☆☆
    |クラシク度:★★★★☆
    |スピード:★☆☆☆☆
    |総合評価:★★★☆☆

    賛否両論 スルメ盤

    Pictures at an Exhibition|ピクチャー・アット・アン・エキシヴィジョン

    オリジナルアルバム 7作目 – (1997年)

    ムソルグスキーの『展覧会の絵』を、メタルアレンジでカバーしたアルバム。
    ヒューベルトが敬愛しMEKONG DELTAのサウンドコンセプトのヒントにもなった、EL&P(EMERSON, LAKE & PALMER(エマーソン・レイク・アンド・パーマー))と同じ題材を用いて、アプローチもそれに類するものですが、EL&Pバージョンのカバーではなく独自のアレンジを施してあります。
    なお、サンプリングによる擬似オーケストレーション・バージョンとのカップリング盤も存在します。

    メタルバンドがクラシックのメソッドを取り入れることの評価については、聴き手の好み次第ではあるとしても、EL&Pバージョンが世に出た1971年とは異なり、もはやこういった試み自体に特別な意味性や批評性がある時代でもないため、結論的には、ヒューベルトの自己満足という印象しか残りません。

    ヒューベルトに心酔してそのアプローチに傾倒できるか、あるいは原曲自体に興味があるか、単純に“カバー曲マニア”ということでもなければ、無理に聴く必要はないアルバムと言えるでしょう。

    |スラッシュ度:★★☆☆☆
    |プログレ度:★★☆☆☆
    |変態度:★☆☆☆☆
    |クラシク度:★★★★★
    |スピード:★☆☆☆☆
    |総合評価:★★★☆☆

    賛否両論 実験作 お布施

    Lurking Fear|ラーキング・フィアー

    オリジナルアルバム 8作目 – (2007年)

    解散こそしていなかったものの、長いブランクを経ての再始動となったアルバムで、メンバーは総入れ替えされています。

    スラッシュメタル再評価によるリバイバルの波に乗るためか、ヒューベルトのクラシック趣味も極力抑え、プログレメタル様式も控えめとなっており、ここでは、全盛期の作風に近い複雑でトリッキーなテクニカル・スラッシュ・サウンドを追求しています。

    結果的に、全盛期の作品にも匹敵するほどの、スリリングで高品質なアルバムに仕上がっており、復活後のアルバムの中では例外的な、オールドファンも手に取る価値のある満足度の高い1枚と言っていいでしょう。

    |スラッシュ度:★★★★☆
    |プログレ度:★★★☆☆
    |変態度:★★★★☆
    |クラシク度:★★★☆☆
    |スピード:★★★★☆
    |総合評価:★★★★★+

    殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

    「Lurking Fear」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

    Wanderer on the Edge of Time|ワンダラー・オン・ザ・エッジ・オブ・タイム

    オリジナルアルバム 9作目 – (2010年)

    前作で好調な走り出しを見せたかと思いきや、早速ヒューベルトのクラシック&プログレ嗜好が頭をもたげ、またしても組曲形式がとられている上に、一般的/類型的なプログレメタルに大きく接近したアルバムとなりました。

    しかし、過去の組曲路線とは異なり、各章が独立して個別の曲として聴ける構成となっており、楽曲によっては作風も比較的多彩なもにとなっています。
    テクニカル・スラッシュのT-07やT-10などをはじめとして、ヘヴィなナンバーも多く、それぞれがよく練られた高水準な仕上がりなので、なんとか前作の延長線上の作品として十分に楽しめるアルバムに仕上げられています。

    |ヘヴィ度:★★★★☆
    |ハード度:★★★★☆
    |メロディ:★★★★☆
    |大作度:★★★★☆
    |マニア度:★★★★☆
    |総合評価:★★★★☆

    代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作

    Intersections|インターセクションズ

    オリジナルアルバム 10作目 – (2012年)

    MEKONG DELTAの過去作の楽曲を再録した“カバーベスト”であるため、当然のように素材自体の良さは文句無し…ということで、一定水準以上のクオリティは担保されていますが、かといってそれ以上のものにもなってはいません。

    以前よりヴォーカルの必然性が薄く、不要論さえ囁かれていたMEKONG DELTAですが、同じ曲で聴き比べると、現在のヴォーカルは存在感という意味でもあまりにも脆弱。
    歴代ヴォーカリストは、“異形の表現”というその一点だけにおいてでも、いくらかの効果を上げることにより、楽曲に貢献できていたていた事実だけは確認できます。

    |スラッシュ度:★★★★☆
    |プログレ度:★★★☆☆
    |変態度:★☆☆☆☆
    |クラシク度:★★☆☆☆
    |スピード:★★★☆☆
    |総合評価:★★★☆☆

    賛否両論 お布施

    In a Mirror Darkly|イン・ア・ミラー・ダークリィ

    オリジナルアルバム 11作目 – (2014年)

    今回は組曲形式ではなくなっており、曲数も全7曲とコンパクトな構成ですが、個々の楽曲はおおむね6分以上と、かなり長めなものになっています。

    楽曲を見ると、テクニカルな作風ではあるものの、以前と比較すると変態性の強い変則的な展開は少なめ。
    彼らの作品としては、かなりオーソドックスなテクニカル・スラッシュとして聴ける仕上がりなので、MEKONG DELTAブランドの中では、比較的聴きやすく間口の広いの低い部類に入るでしょう。

    ただし、全体的にテクニカルなわりには今ひとつスリルに欠けますし、やや作り込みが足りないのか冗長に感じられる部分も目立つので、「オールドファンでも納得!」…と、言い切れるレベルには至っていません。

    |スラッシュ度:★★★☆☆
    |プログレ度:★★★★☆
    |変態度:★★★☆☆
    |クラシク度:★★★☆☆
    |スピード:★★★☆☆
    |総合評価:★★★☆☆

    賛否両論 スルメ盤

    Tales of a Future Past|テイルズ・オブ・ア・フューチャー・パスト

    オリジナルアルバム 12作目 – (2020年)

    音づくりについては現代的なヘヴィサウンドですが、わかりやすいプログレ・テイストが大幅増量されており、過去のプログレッシヴ・ロック作品を思い起こさせるフレーズも、そこここで聴くことができます。

    ごく一部の楽曲を除けば、従来のテクニカル・スラッシュ路線からは完全に逸脱しており、スラッシュメタルとしてのMEKONG DELTAの姿は、もはやスラッシーなリフにその名残を留める程度。
    DREAM THEATERのブレイク以降に雨後の筍のように現れあふれかえった、量産型プログレ・メタル勢とさしたる差のないサウンドとなっており、マグナカルタ系のいちアーティストの作品と言われても納得できるほどです。

    それらの作品の中では、水準程度の出来栄えには達しているものの、彼らならではの独自性については、ほとんど感じられないレベルにまで後退しているので、ここに至っては、全く別のバンドと化したと割り切って考えた方が、色々な意味でよいかもしれません。

    |スラッシュ度:★★☆☆☆
    |プログレ度:★★★★★
    |変態度:★★☆☆☆
    |クラシク度:★★★☆☆
    |スピード:★★★☆☆
    |総合評価:★★★☆☆

    賛否両論 通好み 実験作
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