サイトアイコン おとふり

★ STRATOVARIUS(ストラトヴァリウス) ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|メロディック&パワフルなサウンドで、新時代のシンフォニック/ネオクラシカル系北欧メタルを牽引したフィンランドの重鎮!!…必聴アルバムは?

STRATOVARIUS_Logo

90年代北欧メロディック・メタル・シーンをリードしたパワーメタル・バンドは、血で血を洗う内紛の末にフィンランドのイングヴェイことティモ・トルキを追放!名前はそのままにほぼ別のバンドへと変貌!!

STRATOVARIUSのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

STRATOVARIUS(ストラトヴァリウス)は、フィンランドを代表するメロディックパワー/スピードメタルバンド。

メタル振興国フィンランドの英雄!?

現在ではフィンランドは、国策としてヘヴィメタル産業を推進していることで広く知られていますが、そもそも北欧エリアは80年代よりヘヴィメタルの一大産地でした。

80年代の初期から中期にかけて、スウェーデンのEUROPE, SILVER MOUNTAIN, CANDLEMASS、ノルウェイのTNT、デンマークのPRETTY MAIDSやKING DIAMOND/MERCYFUL FATEといったグループが登場。北欧メタル(ノルディック・メタル/スカンジナビアン・メタルとも)シーンの基礎が形成されました。

1990年前後になると、北欧シーンもデスメタル, ブラックメタルなどのエクストリームメタルも幅をきかせるようになってゆきます。

北欧とドイツの伝統の融合!?

STRATOVARIUSは、1989年にアルバム・デビュー。80年代にEUROPE, SILVER MOUNTAINなどによって確立されたオールドスクールな北欧メタルを受け継ぎ、同時代的なスタイルへとアップデートした音楽性を追求していきます。

特に大きな功績は、HELLOWEEN以降のキャッチーなジャーマン・パワーメタルを取り入れ、それを、北欧メタルの特徴でもある、クールな哀愁を感じさせるメロディやネオクラ(ネオクラシカル)・テイストやシンフォ(シンフォニック)・テイストを持ったサウンドと一体化させたこと。

これにより、ブラジルの発祥国ドイツ以外のエリアで本格的に展開したグループとして知られるようになります。

シンフォニック・スピードメタルの元祖!?

この、ジャーマン・スタイルとスカンジナビアン・スタイルの融合によって生まれたサウンドは、のちにメロディック・パワーメタルやシンフォニック・スピードメタルなどど称され、世界的に広がっていきます。

同じフィンランドからも、NIGHTWISHやSONATA ARCTICAといった、シンフォ/ネオクラ新世代メロディック・メタルバンドがブレイクします。

STRATOVARIUSもまた、新世代欧州シンフォ/ネオクラ・メタルブームの先陣を切ったパイオニアとして、また、ドイツ以外のメロディックなパワーメタル/スピードメタルの第一人者として、これまで以上の人気を獲得してゆきます。

バンド内の確執と分裂!?

90年台の後半には、専任ヴォーカリストのティモ・コルペトに加え、RAGE, MEKONG DELTAなどジャーマンシーンを中心に、様々なバンドに参加して“渡り鳥ドラマー”とも呼ばれた実力派、ヨルグ・マイケルらを含むキャリア黄金期のメンバーがそろいます。

しかしSTRATOVARIUSの内情は、デビュー当時からの中核的存在であるティモ・トルキのワンマンバンドに近いもので、トルキ本来の癖の強い性格もあって円満な状態とはいえないようでした。

それに加えてトルキが精神を病んだことによって、さらに状況が悪化しバンドの状況悪化がさらに進行。最終的には分裂状態となり、解散という形でトルキ時代の終焉を迎えます。

トルキを追放して再始動!?

その後、トルキを除くメンバーでSTRATOVARIUSを再始動させ、現在に至るまで順調な活動を続けています。

一方トルキは、いくつものプロジェクトで活動を重ねており、現時点では本人名義のソロプロジェクトのほか、AVALONなどがアクティヴなバンドとして動いています。

次ページはSTRATOVARIUSのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

STRATOVARIUS|DISCOGRAPHY

Fright Night|フライト・ナイト

オリジナルアルバム – 1作目 (1989年)

今となっては彼らのカタログ中でも異色といえる荒削りなパワー/スピードメタルで、ヴォーカルもティモ・トルキによるヘタウマに近いラフなものです。

メロディアスである以上にアグレッシヴでパワフルな作風が魅力なサウンドは、NWOBHMや初期のジャーマン・パワーメタルに通じるB級臭さやマイナー臭さが漂うものですが、のちの無難なメロディック・メタル・サウンドからは得られない独自の魅力があります。

STRATOVARIUSのメロディアス&シンフォニックな軟弱様式美サウンドというイメージを避けて、聴かず嫌いしているリスナーにこそ聴いて欲しい、“初期衝動型メロディック・メタル・アルバム”です。

|パワメタ度:★★★★★
|シンフォ度:★★☆☆☆
|スピード:★★★★★
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|多 様 性:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作

Twilight Time (Stratovarius II)|トワイライト・タイム

オリジナルアルバム – 2作目 (1992年)

本国フィンランドだけでなく日本を含めた他国でも、STRATOVARIUSがブレイクするきっかけとなった出世作。

当初は“Stratovarius II”のタイトルで、フィンランドのみでリリースされていましたが、のちにタイトルとアートワークを改めたものが各国でリリースされることになります。

本作の魅力は、何と言ってもキラーチューンのT-02『The Hands of Time』の存在につきます。この曲は、EUROPEの『The Final Countdown』を思い起こさせる(ある意味焼き直しともいえる)ものですが、バンドのアンセムと言っていい名曲。

これが日本のメタル系メディアで大プッシュされたこともあって、日本未発売でありながらヒットチューンとして彼らの名を知らしめ、本作は輸入盤店の目玉商品となり売上に貢献します。

前作と比較すると、いくぶんメロディ重視でシンフォニックな作風となり、プログレ風の長尺曲やドゥーミィともいえるダークなナンバーなど楽曲の幅も広がりました。
T-02あってのこそアルバムという印象は拭えませんが、どれも及第点には仕上がっています。

|パワメタ度:★★★★☆
|シンフォ度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情メロ度:★★★★☆
|多 様 性:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤

Dreamspace|ドリームスペース

オリジナルアルバム – 3作目 (1994年)

トルキがヴォーカルを担当する最後のアルバムとなる本作は、時代を反映してか収録曲数が過去作品との比較で50%増にも及び、14曲で64分という特大ボリュームとなりました。

このロングタイムをもたせるには力及ばなかったようで、T-01, T-06, T-13のように水準に達したの曲もあるものの、全体的には見所のない凡庸な捨て曲があふれてかえっています。
何より、前作の『The Hands of Time』ほどのキラーチューンが見当たらないのも大きな痛手です。

のちの大容量時代のピークを迎えても、10曲前後に抑えらてていることからも、本作の多すぎる収録時間はバンドの力量を超えて持て余していたことは確実でしょう。

|パワメタ度:★★★☆☆
|シンフォ度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|多 様 性:★★★☆☆
|総合評価:★★☆☆☆

賛否両論 スルメ盤

Fourth Dimension|フォース・ディメンション

オリジナルアルバム – 4作目 (1995年)

前作から大きな成長を遂げて、のちのシンフォニック・スピードメタルの原型として多方面に継承されるスタイルが本格的な確立を見たアルバム。
本作から専任ヴォーカリストとして、ティモ・コルペトを迎えています。

本作は、大仰なシンフォ装飾の度が過ぎないパワー/スピードメタルアルバムであり、このストレートなパワー/スピードメタル路線と、後年のシンフォ様式路線とのどちらを好むかで、微妙に評価が分かれてきます。
しかし、楽曲単位でもアルバムオリエンテッドな視点でも、STRATOVARIUSのカタログ中ではトップ。まさに、最高傑作と呼ぶに値する充実度を誇る一枚です。

近年では、知名度が高まった次作以降がバンドの黄金期とされがちですが、パワー/スピードメタルとしてのクリエイティビティについては本作がピーク。
実際、この路線での手札はここでほぼ切り尽くしており、ここから先のパワー/スピードメタル・ナンバーは、本作からの焼き直しが多くを占めるようになります

|パワメタ度:★★★★★
|シンフォ度:★★☆☆☆
|スピード:★★★★☆
|叙情メロ度:★★★★☆
|多 様 性:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門

Episode|エピソード

オリジナルアルバム – 5作目 (1996年)

T-01, T-05などのパワフルなスピードチューンについては、これまでに通りマンネリになりそうでならない安定の仕上がりでなかなかに魅力的。

それ以外の楽曲は、大半がミッド〜スローチューンとなっているものの、これが前作とは打って変わって肝心のクオリティがイマイチで、なんともパッとしない仕上がりです。

当然のように全体的に勢いを欠いており、楽曲の多様性が増しているわりには途中で退屈することも多く、一枚通して集中して聴き通すのはややストレスを感じるアルバムです。

|パワメタ度:★★★☆☆
|シンフォ度:★★★★☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|多 様 性:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤

Visions|ヴィジョンズ

オリジナルアルバム – 6作目 (1997年)

ジャーマン・メタルシーンの重鎮ヨルグ・マイケル(Dr.)が加入したことで、バンドの総合力はパワーアップ。
それもあって、00年代以降では代表作とされることの多いアルバムで、フィンランド本国でも長期間チャート入りするほどとなりました。

ただしその評価は、本作からその路線に突入したドラマティックでエピカルな大仰さを持った、シンフォ/ネオクラ系のメロディック・メタルとしてのものです。もちろん、それよって幅広いメタルファンにアピールしたことは事実。
とはいえ、メロディとアグレッションが同居したパワーメタル/スピードメタルとして見るならば、ふやけた使い回しに過ぎません。

もちろん、どちらに重点を置くかによって評価は変動しまますが、どちらにしても“Fourth Dimension(4th)”を差し置いてベストに挙げるほどかというと、これは甚だ疑問です。

|パワメタ度:★★★☆☆
|シンフォ度:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|多 様 性:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両

Destiny|デスティニー

オリジナルアルバム – 7作目 (1998年)

フィンランドのチャートで1位を記録したアルバムで、名実ともに完全にフィンランドの国民的バンドとしての地位を確立しました。

基本的には、前作からの流れをくむドラマティックなシンフォ系ヘヴィメタルで、パワー/スピードメタルと呼べる曲もあるものの、それほど比重は置かれていません。
また、今後の展開の予兆ともいえる、プログレ的な手の込んだ大作趣味も顔をのぞかせています。

前作が気に入ったリスナーであれば、その発展形として楽しむことは可能ですが、パワー/スピードメタルとしては魅力に欠けるため、往年とは別物としてのキッパリとした割り切りが必要です。

|パワメタ度:★★☆☆☆
|シンフォ度:★★★★★
|スピード:★★☆☆☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|多 様 性:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論

Infinite|インフィニット

オリジナルアルバム – 8作目 (2000年)

Elements Pt. 1|s・パート1

オリジナルアルバム – 9作目 (2003年)

Elements Pt. 2|エレメンツ・パート2

オリジナルアルバム – 10作目 (2003年)

Stratovarius|ストラトヴァリウス

オリジナルアルバム – 11作目 (2005年)

Polaris|ポラリス

オリジナルアルバム – 12作目 (2009年)

Elysium|エリジウム

オリジナルアルバム – 13作目 (2011年)

Nemesis|ネメシス

オリジナルアルバム – 14作目 (2013年)

Eternal|エターナル

オリジナルアルバム – 15作目 (2015年)

Survive|サーヴァイヴ

オリジナルアルバム – 16作目 (2022年)

次ページはライターが選ぶSTRATOVARIUSのおすすめアルバムを紹介!!▼リンクはページ下!▼

STRATOVARIUSはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!

STRATOVARIUSのおすすめアルバムは、バンドに対して何を評価して何を期待しているのかによって異なります。

STRATOVARIUSに、あくまでもパワーメタル/スピードメタルを期待するのならば、その路線での最高傑作は『Fourth Dimension(4th)』となります。

その次には、オールタイムでのSTRATOVARIUSの代名詞たる看板曲、“The Hands of Time”を含む『Twilight Time(2nd)』、B級ながらアグレッシヴな魅力あふれる『Fright Night(1st)』が続きます。

アグレッションは二の次で、シンフォニック・メタルとしての叙情的なメロディとドラマティックな展開を期待するのならば、『Visions(6th)』『Destiny(7th)』 あたりがベストでしょう。
それ以降は、大仰さや大作趣味が過ぎて、そもそものヘヴィメタルとしての魅力を欠いてしまいます。

どうしても新しめの作品を選びたければ、メロディックなパワーメタル/スピードメタルとしてバランスの良い出来栄えの、『Eternal(15th)』が一歩リードしています。

モバイルバージョンを終了