Contents
- 1ヘヴィグルーヴ/インダストリアルの異端派フロントマンとして頭角を現し、ハリウッドで活動する世界的なホラー映画監督としての地位を築いた、サブカル・メタルのカリスマの音楽活動の評価は?
- 1...1メタルバンドとホラー監督を兼ねるマルチクリエイター!!
- 1...2ヘヴィロック新時代の顔となったWHITE ZOMBIE!!
- 1...3ロブ・ゾンビはマリリン・マンソンのライバル!?
- 1...4WHITE ZOMBIEの音楽性!!:アングラ時代
- 1...5WHITE ZOMBIEの音楽性!!:ヘヴィグルーヴ時代
- 1...6WHITE ZOMBIEの音楽性!!:インダストリアル・メタル時代
- 1...7ROB ZOMBIE名義でインダストリアル・メタルを展開!!
- 1...8ロブ・ゾンビとROB ZOMBIEの現在の活動は!?
- 1.1WHITE ZOMBIE|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Soul Crusher|ソウル・クラッシャー
- 1.1.2Make Them Die Slowly|メイク・ゼム・ダイ・スロウリィ
- 1.1.3La Sexorcisto: Devil Music Volume One|ラ・セクソシスト:デヴィル・ミュージック・ヴォリューム・ワン
- 1.1.4Astro-Creep:2000 - Songs of Love, Destruction and Other Synthetic Delusions of the Electric Head|アストロ-クリープ:2000 - ソングス・オブ・ラヴ, デストラクション・アンド・アザー・シンセティック・デリューションズ・オブ・エレクトリック・ヘッド
- 1.1.5Supersexy Swingin' Sounds|スーパーセクシィ・スウィンギン'・サウンズ
- 1.1ROB ZOMBIE|ロブ・ゾンビ|DISCOGRAPHY
- 1.1.5.1ニューメタルの主力グループとして活躍!!
- 1.1.5.2ROB ZOMBIEのバント体制と活動状況!!
- 1.1.6Hellbilly Deluxe: 13 Tales of Cadaverous Cavorting Inside the Spookshow International|ヘルビリィ・デラックス:13テイルズ・オブ・カダヴァラス・インサイド・ザ・スプークショウ・インターナショナル
- 1.1.7American Made Music to Strip By|アメリカン・メイド・ミュージック・トゥ・ストリップ・バイ
- 1.1.8The Sinister Urge|ザ・シニスター・アージ
- 1.1.9Educated Horses|エデュケーテッド・ホーセズ
- 1.1.10Hellbilly Deluxe 2: Noble Jackals, Penny Dreadfuls and the Systematic Dehumanization of Cool|ヘルビリー・デラックス 2:ノーベル・ジャッカルズ, ペニー・ドレッドフル・アンド・ザ・システマティック・ディヒューマナイゼイション・オブ・クール
- 1.1.11Mondo Sex Head|モンド・セックス・ヘッド
- 1.1.12Venomous Rat Regeneration Vendor|ヴェノモス・ラット・リジェネレーション・ヴェンダー
- 1.1.13The Electric Warlock Acid Witch Satanic Orgy Celebration Dispenser|ジ・エレクトリック・ウォーロック・アシッド・ウィズ・サタニック・オージィ・セレブレーション・ディスペンサー
- 1.1.14The Lunar Injection Kool Aid Eclipse Conspiracy|ザ・ルナー・インジェクション・クール・エイド・エクリプス・コンスピラシィ
- Soul Crusher|ソウル・クラッシャー
- Make Them Die Slowly|メイク・ゼム・ダイ・スロウリィ
- La Sexorcisto: Devil Music Volume One|ラ・セクソシスト:デヴィル・ミュージック・ヴォリューム・ワン
- Astro-Creep:2000 – Songs of Love, Destruction and Other Synthetic Delusions of the Electric Head|アストロ-クリープ:2000 – ソングス・オブ・ラヴ, デストラクション・アンド・アザー・シンセティック・デリューションズ・オブ・エレクトリック・ヘッド
- Supersexy Swingin’ Sounds|スーパーセクシィ・スウィンギン’・サウンズ
ヘヴィグルーヴ/インダストリアルの異端派フロントマンとして頭角を現し、ハリウッドで活動する世界的なホラー映画監督としての地位を築いた、サブカル・メタルのカリスマの音楽活動の評価は?
WHITE ZOMBIE(ホワイト・ゾンビ)/ROB ZOMBIE(ロブ・ゾンビ)は、いずれもアメリカ合衆国のインダストリアル・メタル/オルタナティヴ・メタル・バンド。
メタルバンドとホラー監督を兼ねるマルチクリエイター!!
WHITE ZOMBIEとROB ZOMBIEは、いずれもフロントマンのロブ・ゾンビを中心としたグループ。
ロブ・ゾンビは、デザイン/アート系のスクールで学んだ人物で、WHITE ZOMBIE時代より、音楽活動と同時に、バンドのアートワークのイラストやデザインを手がけていたほか、テレビの映像制作のアシスタントの経験も持っています。
また、ロブ・ゾンビは熱心なホラー映画マニアとしても知られ、映画の制作を行っていたことが乗じて、2003年には『マーダー・ライド・ショー(邦題)』で映画監督デビューを果たしています。
のちにはジョン・カーペンター監督作品『ハロウィーン』という、超メジャー作品のリメイクの監督にも選ばれるまでとなり、現在もバンドと並行して映画監督としても活動も行っおり、一般層にはむしろ映画監督として知られている面さえ強くなっています。
ヘヴィロック新時代の顔となったWHITE ZOMBIE!!
WHITE ZOMBIEは、ロブ・ゾンビと当時のガールフレンドだったベーシストのシーン・イスールトを含め、同じデザインスクールに通っていた友人を中心に結成されたグループです。
当初はアンダーグラウンドな活動を展開していましたが、3rdアルバムの『La Sexorcisto: Devil Music Volume One』でメジャーデビューを果たし、新世代のヘヴィロック・グループとして一気に知名度を高め流ことに成功します。
さらに、インダストリアル・メタルへと移行した、続く4thアルバムの『Astro-Creep:2000 〜』で本格的なブレイクを果たし、日本においても一般メタルファンにも知られるほどの存在となります。
ロブ・ゾンビはマリリン・マンソンのライバル!?
WHITE ZOMBIE〜ROB ZOMBIEは、サブカルチャー/アート/コンセプト志向の、独自性の強いヘヴィロック・グループとして、カルト的な人気を確立します。
その意味においては、MARILYN MANSONと同様の位置付けにあり、他にも、インダストリアル・メタルの新世代グループとみなされていたこと、ホラーをテーマにした奇抜なファッションやビジュアルを含めたコンセプト、中心人物のイラスト/アート/映像なども守備範囲としたマルチクリエイター志向、などの点において共通しています。
そのため、MARILYN MANSONと同列に語られたり比較されることも多く、90年代の『カルト・サブカル・メタル』の2大巨頭と見なされる立ち位置にもありました。
WHITE ZOMBIEの音楽性!!:アングラ時代
WHITE ZOMBIEの結成は、1985年にまでさかのぼることができ、メジャーデビュー以前から編んだグラウンドのシーンにおいて、アルバムのリリースを含めた活動を展開していました。
当時のオルタナティヴロック・シーンにおいても、WHITE ZOMBIEはそれほど知名度の高い存在ではなく、知る人ぞ知るバンドというポジションにありました。
この時期の音楽性は、初期のHELMETやSONIC YOUTHなどに代表される、『ノイズロック/ジャンクロック』と呼ばれるオルタナティヴ・ロックのいちジャンルに属するもので、そのスタイルで2枚のアルバムを残しています。
WHITE ZOMBIEの音楽性!!:ヘヴィグルーヴ時代
メジャーデビューとなった、3rdアルバムの『La Sexorcisto: Devil Music Volume One』は、ヘヴィグルーヴのムーヴメント全盛期を迎える中でリリースされ、音楽性もそれを反映したものとなります。
ヘヴィなグルーヴを押し出し同時にサイケデリアを漂わせた、レイドバックしたヘヴィロックあ、そのキャッチーでクオリティの高いサウンドでスマッシュヒットとなり、グルーヴメタルとニューメタルのムーヴメントの間の空白帰化を埋める世代として一時代を築きます。
また、ハマーホラーなどキッチュなのレトロホラー・テイストを元に、スクリーミン・ロード・サッチ,スクリーミング・ジェイ・ホーキンスなど流れをくむ、新世代ショックロック系としてのレトロ&キッチュなビジュアル/スタイルも、派手さと洗練が両立されたものへと発展しました。
WHITE ZOMBIEの音楽性!!:インダストリアル・メタル時代
WHITE ZOMBIEのオリジナル・スタジオ・アルバムとしては、最終作となる『Astro-Creep:2000 〜』では、インダストリアル・メタルへと移行。
前作の雰囲気を踏襲しつつも、ダンサブルでアッパーなナンバーを軸に据えた、独自の次世代型インダストリアル・メタルを確立させます。
これは、ソロ転向後のROB ZOMBIE名義においても基本スタイルとして踏襲され、その後のニューメタル・ムーヴメントにおける、第3世代型インダストリアルメタル/サイバーメタルの原型にもなっています。
なお、この時期のラインナップには、元EXODUSのジョン・テンペスタが加わっており、これもヘヴィメタル界隈で注目を集める要因となりました。
ROB ZOMBIE名義でインダストリアル・メタルを展開!!
ロブ・ゾンビとイスールトが袂を別つなどいくつかの要因が重なったことで、WHITE ZOMBIEは1998年には解散となり、ロブ・ゾンビは新たに本人名義のバンド/プロジェクトとしての『ROB ZOMBIE』での活動へと移行。
他のメンバーも、ミュージシャン,プロデューサーなど個別の活動を展開してゆきますが、WHITE ZOMBIEとしての音楽性は、唯一ROB ZOMBIEのみに受け継がれています。
末期WHITE ZOMBIE〜ROB ZOMBIEでのサウンドは、FEAR FACTORY,PRONG,MARILYN MANSONらと同様の次世代型インダストリアル・メタルとして、ニューメタル・ムーヴメントにおける基本モードのひとつとなり、ロブ・ゾンビの実弟スパーダー・ワン率いる『POWERMAN5000』をはじめ、多数のグループに影響を及ぼしています。
ロブ・ゾンビとROB ZOMBIEの現在の活動は!?
WHITE ZOMBIE時代から続く活動の結果、ROB ZOMBIEは、メタル/ヘヴィミュージックのシーンの中で、独自性の強いサブカル/アート系のヘヴィロック・グループとして、代替の効かないニッチなポジションを確立したカルトスターとなっています。
ロブ・ゾンビは、ROB ZOMBIEバンドと映画制作共に、現在にいたるまでコンスタントな活動を続けており、長年にわたって決してシーン最前線のフラッグシップの位置には立たないものの、常に一線に近いところに独自のポジションを築いてそこに収まっています。
WHITE ZOMBIE|DISCOGRAPHY
Soul Crusher|ソウル・クラッシャー
オリジナルアルバム 1作目 – (1987年)
グラムメタルの陰で活発化していた、ニューヨーク・アンダーグラウンドの、オルタナティヴ・ロック・シーンに属していた時期のデビューアルバム。
メジャー進出後とは全く異なる、ノイズロック/ジャンクロックに近いスタイルの、チープなアングラ・ローファイ・サウンドで、ヘヴィメタルテイストはそれほど強くありません。
また、ファンションについても、この時期はまだそれほど奇抜で派手なものではありませんでした。
音楽性においては、当時として特に新規性が強かったわけでもなく、また、経年によって価値が退化しないスタイルでも、現在でも通用する普遍性を持つサウンドでもありませんが、同様のジャンルの中ではクオリティは高い方で、聴きどころも多くユニークさも感じられます。
|ジャンク度:★★★★☆
|ダンス度:★☆☆☆☆
|サイケ度:★★☆☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み 実験作
Make Them Die Slowly|メイク・ゼム・ダイ・スロウリィ
オリジナルアルバム 2作目 – (1989年)
この2ndアルバムでは、フリージャズ/アバンギャルド/エスノミュージックなどの界隈での活動で知られ、当時はオルタナティヴ・ロック/ミクスチャー・シーンでの活動も目立っていた、鬼才、ビル・ラズウェルを迎え、マーティン・ビシがエンジニアを務めるなど、プロダクションは一気に豪華過ぎるほどの布陣となりました。
音楽的には、やはりジャンク&ノイジーなサウンドではあるものの、やや整合感が強まったヘヴィメタリックな仕上がりになっており、毎度のように顔をのぞかせる、定番のヴォーカルラインやフレージングも見られます。
これについては、ロブ・ゾンビがスラッシュメタルをはじめとしたエクストリーム・メタルに傾倒しはじめたことが理由に挙げられており、そのために、パンク/オルタナ界隈では前作より評価が下がりがちな反面、ヘヴィメタル界隈ではそれが逆転する傾向にあります。
バンドと制作サイドに見解の相違があったようで、ケミストリーが発生しなかったことも影響してか、その顔ぶれから来る期待値を超えてゆくほどの出来栄えには至っていません。
|ジャンク度:★★★☆☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|サイケ度:★★☆☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み 実験作
La Sexorcisto: Devil Music Volume One|ラ・セクソシスト:デヴィル・ミュージック・ヴォリューム・ワン
オリジナルアルバム 3作目 – (1992年)
リック・ルービン人脈のアンディ・ウォレスをプロデューサに迎えたメジャーデビュー作で、かつてのオルタナティヴ・ロックが完全にメインストリームの座に上りつめた時期だけに、過去作とはうって変わって、メインストリームでも通用し得る一線級のクオリティを持ったサウンドへと生まれ変わりました。
音楽性も、ジャンクなヘヴィメタルから、レトロなサイケデリック・テイストを持った、レイドバックしたヘヴィグルーヴ・サウンドへと変貌を遂げ、グルーヴメタル,ストーナーロック,グランジなどのジャンルともリンクする、普遍的でありながら極めで個性的、かつ特徴的でキャッチーなフックが満載のサウンドを確立しています。
音楽面の成長に加えて、ビジュアルやコンセプトの面でも明確な洗練やクオリティの向上が見られ、これまではただ単にチープでしかなかったものが、キッチュな魅力を漂わせたものとなっています。
これによって、スクリーミン・ロード・サッチやスクリーミング・ジェイ・ホーキンスなどの系譜に連なる、ショックロックの伝統を受け継ぐ存在となります。
また、本作のブレイクによって、ヘヴィミュージックのメインストリームで激戦区となっていた、アメリカン・ヘヴィグルーヴ・ムーヴメントに参戦、一気にその第一線へと躍り出て、トップを争うほどのポジションに上りつめて注目を集めました。
|ジャンク度:★★☆☆☆
|ダンス度:★★★☆☆
|サイケ度:★★★★☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 通好み 実験作
Astro-Creep:2000 – Songs of Love, Destruction and Other Synthetic Delusions of the Electric Head|アストロ-クリープ:2000 – ソングス・オブ・ラヴ, デストラクション・アンド・アザー・シンセティック・デリューションズ・オブ・エレクトリック・ヘッド
オリジナルアルバム 4作目 – (1995年)
前作をも上回る規模の大ブレイクを果たし、世界的なメジャーバンドのステージへと上りつめたにもかかわらず、WHITE ZOMBIEとしてはラストアルバムとなった作品。
キャッチーなヘヴィグルーヴも含め、前作での特徴的な要素も部分的には踏襲されているものの、本作では音楽性は根本から一新され、アッパーでダンサブルなエレクトロニック・サウンドをフィーチャーした、本格的なインダストリアル・メタルへと変貌を遂げました。
打ち込み主体のインダストリアル・メタル第1世代とは異なり、バンドサウンドを基調として、そこに電子音によるSEやエフェクト類を付加するという、第2世代以降に特有のメソッドですが、第2世代の筆頭格となる存在だけに、その手法を元に独自のサウンドへと昇華しています。
本作をもって、FEAR FACTORY,PRONG,MARILYN MANSONらと肩を並べ、次世代インダストリアル・メタルを牽引してゆく存在と認められるにとどまらず、間も無く勃発するニューメタル・ムーヴメントにおいては、音楽性の基本モードとして活かされ、時代の音として定着することとなります。
また、WHITE ZOMBIE解散後のニューメタル時代のロブ・ゾンビのプロジェクト、ROB ZOMBIEにおいても、基本的には本作の延長線上にあるサウンドが主体となっています。
|ジャンク度:★☆☆☆☆
|ダンス度:★★★★☆
|サイケ度:★★☆☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Supersexy Swingin’ Sounds|スーパーセクシィ・スウィンギン’・サウンズ
オリジナルアルバム 5作目 – (1996年)
FEAR FACTORYをはじめ、当時のインダストリアル・メタル界隈のグループを中心として、リリースが増えつつあったメタル系リミックス・アルバムの代表する1枚。
リミックスの人選は、豪華とも言えなければ意外性があるわけでもありませんが、原曲を生かしたミックスとしては高水準な仕上がりを見せています。
新たにおこしたEDMのビートに申し訳程度にサンプリングを加えたような、本格的なダンス・ミックスなどでは無いため、一般のメタルリスナーにも入りやすい仕上がりと言えます。
|ジャンク度:★☆☆☆☆
|ダンス度:★★★★☆
|スペシャル度:★★☆☆☆
|アレンジ:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
ROB ZOMBIE|ロブ・ゾンビ|DISCOGRAPHY
ROB ZOMBIE(ロブ・ゾンビ)は、WHITE ZOMBIE解散後の、ロブ・ゾンビによるソロ・プロジェクトにも近い体制のグループ。
ロブ・ゾンビと最終ドラマーだったジョン・テンペスタを除くメンバーは一新され、バンド名も本人名義に改められました。
ニューメタルの主力グループとして活躍!!
ROB ZOMBIEの音楽性は、末期WHITE ZOMBIEのインダストリアル・メタルを基調としつつも、ヘヴィネスがより強待ったと同時に、ホラー風味のダークなイメージを増しています。
ROB ZOMBIEは、ニューメタル・ムーヴメンの主力の一角として第一線での活動を続け、後続のニューメタルグループへの影響力も無視できない重要バンドとなる一方、サウンドの定型化/類型化も指摘されがちにもなりますが、後年は、ゴシック路線やサイケで陸路線など、作品ごとの展開も見せてゆきます。
また、その一方でこの時期は、映画監督としても活躍して知名度を高まってゆく過程にあり、バンドと並行して活動を展開してマルチクリエイターの印象を強めてゆきます。
ROB ZOMBIEのバント体制と活動状況!!
ROB ZOMBIE名義となってからは、プロジェクトに近いグループにしてはバンドメンバーは比較的一定に保たれていますが、2004年〜2006年の間にロブ・ゾンビ本人を除くメンバーが総入れ替えとなり、体制が一新されています。
初期は、ロブ・ゾンビ本人とカナダ人プロデューサーのスコット・ハンフリーを中心とした体制であり、楽曲についても全て共同制作としてクレジットされていました。
2006年の3rdアルバムからは、新たにメンバーとして加わった元MARILYN MANSONバンドのジョン5が、クリエイティヴ面でのパートナーとなっており、それ以降は楽曲制作にも全面的に関わっています。
また2006年からの新体制でのメンバーは、ジョン5に加えてジンジャー・フィッシュの2名がMARILYN MANSONバンドの出身者となっており、両バンドの立ち位置の近さが承継されています。
Hellbilly Deluxe: 13 Tales of Cadaverous Cavorting Inside the Spookshow International|ヘルビリィ・デラックス:13テイルズ・オブ・カダヴァラス・インサイド・ザ・スプークショウ・インターナショナル
オリジナルアルバム 1作目 – (1998年)
WHITE ZOMBIE時代最大のヒット作となった『Astro-Creep:2000』での、インダストリアル・グルーヴ・メタル路線を踏襲した作風ですが、ニューメタル全盛期ということもあり、それらと拮抗するためにより厚みとヘヴィネスを増した作風となっています。
『Astro-Creep:2000』での軽妙さは感じられず、曲調もシンプルでヒネリの無いものとなっており、その代替品としては不満の残る仕上がりですが、T-02,T-03,T-04あたりは、キャッチーで無難に楽しめる佳曲。
ただし、それ以降は、ひたすらフックが弱い上に焼き直し感が強目な曲が連続して、決め手を欠きます。
それでも、適度にキャッチーなグルーヴ・インダストリアルではあるので、初聴リスナーや『Astro-Creep:2000』とは別ものと割り切れるのであれば、それなりに楽しめることでしょう。
|ジャンク度:★★☆☆☆
|ダンス度:★★★☆☆
|サイケ度:★☆☆☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 賛否両論
American Made Music to Strip By|アメリカン・メイド・ミュージック・トゥ・ストリップ・バイ
リミックスアルバム – (1999年)
WHITE ZOMBIE時代も含めると、2作目となるフルレンスのリミックス・アルバム。
前回同様に、原曲を生かした控えめなミックスとなっていますが、そもそも、原曲となるオリジナル・アルバム『American Made Music to Strip By』自体が、全曲キラーチューンぞろいと呼べるほどの、魅力的なものでは無いという問題があります。
それが気にならないほど大胆で魅力的なアレンジを施すことが可能でないのならば、デビュー直後でアルバム1枚のみというこのタイミングではなく、数作リリース後にベスト選曲でのリリースとするべきだったかもしれません。
|ジャンク度:★☆☆☆☆
|ダンス度:★★★★☆
|スペシャル度:★★☆☆☆
|アレンジ:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 賛否両論 実験作
The Sinister Urge|ザ・シニスター・アージ
オリジナルアルバム 2作目 – (2001年)
前作同様にアルバムとして及第点は超えていますし、個々の曲の出来栄えを見れば、アベレージは前作を上回っています。
キャッチーな曲もありますが、それらはタイアップの影響もあって耳に残っているだけであり、楽曲の焼き直し感についてはさらに進行しているため、いかんせん代わり映えのなさを気になり始めると、多少のクオリティ向上だけではカバーしきれません。
メニュー豊富な食堂で1ヶ月間3食同じメニューをオーダーするタイプのリスナー向きで、前作との二択であれば本作の方がオススメですが、他の作品を持っているようであれば、あえて手を出す必要な無いかもしれません。
|ジャンク度:★☆☆☆☆
|ダンス度:★★★☆☆
|サイケ度:★☆☆☆☆
|ゴシック度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論
Educated Horses|エデュケーテッド・ホーセズ
オリジナルアルバム 3作目 – (2006年)
映画監督としての活動を反映してか、ホラーサントラ風の、映像を想起させるようなアルバムで、これまでになく実験的で作風も多彩です。
WHITE ZOMBIE時代の、『La Sexorcisto〜』に顕著だったレトロサイケ調への回帰傾向も見られるほか、時にゴシック的耽美性せも感じさせる意欲作です。
|ジャンク度:★☆☆☆☆
|ダンス度:★☆☆☆☆
|サイケ度:★★★★☆
|ゴシック度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Hellbilly Deluxe 2: Noble Jackals, Penny Dreadfuls and the Systematic Dehumanization of Cool|ヘルビリー・デラックス 2:ノーベル・ジャッカルズ, ペニー・ドレッドフル・アンド・ザ・システマティック・ディヒューマナイゼイション・オブ・クール
オリジナルアルバム 4作目 – (2010年)
本作では、ROB ZOMBIE名義となった直後の、1st~2ndアルバムも彷彿させる、毎度おなじみの定番スタイルに戻っています。
そうなると、音楽的なボキャブラリーと表現力の乏しさが気になってしまうのは、もはや宿命であり避けようがありません。
多様性については、やや増していると言ってもいいのですが、どうにも判で押したような曲が多く、熱心なサポーター向け商品の域は出ていません。
|ジャンク度:★☆☆☆☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|サイケ度:★☆☆☆☆
|ゴシック度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論
Mondo Sex Head|モンド・セックス・ヘッド
リミックスアルバム – (2012年)
WHITE ZOMBIE時代も含めると、通算3作目となるリフルレンスのミックス・アルバム。
これまでが、原曲を生かしてそれを大きく崩さない、メタラー向けのミックスだったのに対して、本作ではよりり本格的なEDMアレンジが中心となっています。
アレンジ自体は、EDM愛好家ならば何の抵抗なく聴き通せるものですが、オリジナル・アルバムに匹敵する…あるいは、異なるベクトルでオリジナルを凌駕できるほどか?というと大いに疑問。
EDMとしても凡庸なものが目立ちますし、ヘヴィミュージックの脱構築としての意味が見出せるほどの、ユニークなアプローチが見られるわけでもありません。
|ジャンク度:★☆☆☆☆
|ダンス度:★★★★☆
|スペシャル度:★★☆☆☆
|アレンジ:★★★☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Venomous Rat Regeneration Vendor|ヴェノモス・ラット・リジェネレーション・ヴェンダー
オリジナルアルバム 5作目 – (2013年)
再び、『La Sexorcisto〜』の頃の持ち味だった、レトロサイケ調のヘヴィネスを強めた作風で、ニューメタルの類型からは脱却し、広義の意味でのヘヴィロック・サウンドになりました。
聴きどころも多いので、あまりのマンネリぶりに見切りをつけたリスナーでも、方向性さえ好みに合うようならば一聴してみる価値は感じられる、ROB ZOMBIE時代には数少ない好アルバムです。
|ジャンク度:★☆☆☆☆
|ダンス度:★★★☆☆
|サイケ度:★★★★☆
|ゴシック度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
The Electric Warlock Acid Witch Satanic Orgy Celebration Dispenser|ジ・エレクトリック・ウォーロック・アシッド・ウィズ・サタニック・オージィ・セレブレーション・ディスペンサー
オリジナルアルバム 6作目 – (2016年)
ROB ZOMBIE時代初期の、わかりやすいキャッチーでポップなニューメタル・サウンドがやや影を潜めた、直近のここ数作と同様のアプローチ。
大多数の楽曲あ3分以下に抑えられているという、ロブ・ゾンビの全キャリア中でも、異例ともいえるコンパクトなつくりとなっています。
音楽性については、いくらかフリーキーな趣味性も感じられますが、全体的には実験性や新規性は薄目で、クオリティについてもどちらかというと低調の部類に入ります。
|ジャンク度:★★☆☆☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|サイケ度:★★☆☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤
The Lunar Injection Kool Aid Eclipse Conspiracy|ザ・ルナー・インジェクション・クール・エイド・エクリプス・コンスピラシィ
オリジナルアルバム 7作目 – (2021年)