Contents
- 1古典的な様式美パワーメタルを展開していたスラッシュ四天王最弱?のバンドは、どうやってクールでヒップなストリート系ヘヴィバンドにへと転身したのか?
- 1...1USエクストリームの重鎮ダン・リルカーも在籍!
- 1...2ストリートに根ざしたヒップなメタルバンド!?
- 1...3フットワークもマインドも羽毛のように軽い!
- 1...4ヴォーカルチェンジでスラッシュの枠を超える!!
- 1...5当然のようにスラッシュリバイバルに便乗!!
- 1.1ANTHRAX|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Fistful of Metal|フィストフル・オブ・メタル
- 1.1.2Spreading the Disease|狂気のスラッシュ感染 / スプレッディング・ザ・ディジーズ
- 1.1.3I'm the Man|アイム・ザ・マン
- 1.1.4Among the Living|アマング・ザ・リヴィング
- 1.1.5State of Euphoria|ステート・オブ・ユーフォーリア
- 1.1.6Persistence of Time|パーシステンス・オブ・タイム
- 1.1.7Attack of the Killer B's|アタック・オブ・ザ・キラー・ビーズ
- 1.1.8Sound of White Noise|サウンド・オブ・ホワイト・ノイズ
- 1.1.9Stomp 442|ストンプ442
- 1.1.10Volume 8: The Threat Is Real|ヴォリューム8:スレット・イズ・リアル
- 1.1.11We've Come for You All|ウィ・ハヴ・カム・フォー・ユー・オール
- 1.1.12The Greater of Two Evils|ザ・グレーター・オブ・トゥ・イーヴルス
- 1.1.13Worship Music|ワーシップ・ミュージック
- 1.1.14For All Kings|フォー・オール・キングス
- 1.1.14.1◎ ANTHRAXはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
- 1.1S.O.D. (Stormtroopers of Death) |DISCOGRAPHY
- 1.1.1Speak English or Die|スピーク・イングリッシュ・オア・ダイ
- 1.1.2Live at Budokan|ライヴ・アット・ブドーカン
- 1.1.3Bigger than the Devil|ビガー・ザン・ザ・デヴィル
- 1.1.3.1◎ S.O.D.はコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
- Fistful of Metal|フィストフル・オブ・メタル
- Spreading the Disease|狂気のスラッシュ感染 / スプレッディング・ザ・ディジーズ
- I’m the Man|アイム・ザ・マン
- Among the Living|アマング・ザ・リヴィング
- State of Euphoria|ステート・オブ・ユーフォーリア
- Persistence of Time|パーシステンス・オブ・タイム
- Attack of the Killer B’s|アタック・オブ・ザ・キラー・ビーズ
- Sound of White Noise|サウンド・オブ・ホワイト・ノイズ
- Stomp 442|ストンプ442
- Volume 8: The Threat Is Real|ヴォリューム8:スレット・イズ・リアル
- We’ve Come for You All|ウィ・ハヴ・カム・フォー・ユー・オール
- The Greater of Two Evils|ザ・グレーター・オブ・トゥ・イーヴルス
- Worship Music|ワーシップ・ミュージック
- For All Kings|フォー・オール・キングス
古典的な様式美パワーメタルを展開していたスラッシュ四天王最弱?のバンドは、どうやってクールでヒップなストリート系ヘヴィバンドにへと転身したのか?
ANTHRAX(アンスラックス)は、ニューヨークを拠点とするスラッシュ/ヘヴィメタルバンド。スラッシュBIG4(四天王)一角としても知られています。
USエクストリームの重鎮ダン・リルカーも在籍!
ANTHRAXは、スラッシュメタルの黄金期とアメリカのメタル界を代表格として、USスラッシュメタルBIG4に名を連ねる栄誉を受けた、アメリカン・ヘヴィメタル・シーンのビッグネーム。
さらには、クロスオーバー・スラッシュの名バンドNUCLEAR ASSAULT(ニュークリア・アサルト)を経てBRUTAL TRUTH(ブルータル・トゥルース)を結成し、アメリカン・グラインドコアのカリスマとなる、ダン・リルカー(Dan Lilker)が在籍していたことでも知られています。
なお、リスカーはANTHRAXメンバーによるハードコアユニット、S.O.D.にもフル参加してクロスオーバーに貢献しています。
ストリートに根ざしたヒップなメタルバンド!?
ANTHRAXは一般的には、ハードコアやミクスチャーの影響が強い、ストリート・カルチャー/スケーター・カルチャーに根ざしたバンドとされています。
にもかかわらず、最初期の彼らは、スラッシュメタルの中でもオールドスクールなメタル様式の強い、パワーメタル寄りのサウンドを展開していました。
ヴォーカルもハイトーンで歌い上げる典型的なヘヴィメタルスタイルの“お達者系歌唱”で、これらの特徴によって、初期のスラッシュシーンの中では保守的なメタルファンからの支持も高いバンドのひとつとなります。
フットワークもマインドも羽毛のように軽い!
ANTHRAXの最大の持ち味は、良くも悪くもフットワークの軽い音楽センスと、人当たりの良さからくる多岐に渡った交友関係の広さで、この二つで業界をサバイヴしてきたバンドとも言えます。
その立ち回りのうまさを生かして、ハードコアバンドやHIPHOPユニットとのコラボレーションなど、勢いのある異ジャンルとの交流を重ねるようになり、その結果、次第にヒップなイメージを強めストリート感覚を全面に押し出してゆくようになります。
ヴォーカルチェンジでスラッシュの枠を超える!!
二作目から参加してスラッシュ全盛期を支えたヴォーカリストのジョーイ・ベラドナ(Joey Belladonna)は、5作目の完成させたのち1992年に脱退してソロへと移行。バンドはパワフルな歌唱で知られるARMORED SAINT(アーマード・セイント)のジョン・ブッシュ(John Bush)を後任に招き、より幅広い音楽性を持つ作風を確立。スラッシュメタルの枠を超えヘヴィメタルシーンを代表する存在として黄金期を迎えます。
当然のようにスラッシュリバイバルに便乗!!
その後、00年代のオールドスクール・スラッシュメタルのリバイバルに乗じ、 2005年にベラドナをヴォーカルに迎えてリユニオン活動を行います。その流れで2010年にはベラドナが完全復帰、アルバムもリリースして現在も同じ体制で活動を続けています。
ANTHRAX|DISCOGRAPHY
Fistful of Metal|フィストフル・オブ・メタル
オリジナルアルバム – 1作目 (1984年)
NUCLEAR ASSAULT〜BRUTAL TRUTHのダン・リルカー在籍時の唯一のアルバム。……といわれると、そうしてもエクストリームなサウンドをつい期待してしまいますが、ここで聴けるのはスピード感こそあるものの、現在の感覚ではスラッシュメタル未満の、オールドスクールなヘヴィメタルベースのサウンド。
「スラッシュメタル=過激なヘヴィメタル」くらいの感覚もあって、スラッシュメタルとパワーメタルにグラデーションがあったという時代性もありますが、ヴォーカルスタイルも含めて限りなくパワーメタルに近く、近年では『パワー・スラッシュ』などとも呼ばれるようなスタイルです。
好事家にとっては、チープで荒々しいプリミティヴなサウンドは魅力と映るかもしれませんが、BIG4ので原点ということで期待したスラッシュフリークは、肩スカシを食らう可能性大です。
ヴォーカルは、この作品のみで脱退する初代のニール・タービン(Neil Turbin)ですが、人気の高い2代目のジョーイ・ベラドナよりも力強さが感じられ、悪い印象はありません。
ポップネス:★★★☆☆|グルーヴ:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論
Spreading the Disease|狂気のスラッシュ感染 / スプレッディング・ザ・ディジーズ
オリジナルアルバム – 2作目 (1985年)
ジョーイ・ベラドナがヴォーカルの座に着いた本作は、重量感がアップしてリフもややスラッシーになっており、完成度も大幅に上がりました。
とはいえ、完全にスラッシュとして評価できるのはT-06, T-09程度で、全体的にはパワーメタルの域を出るものではありません。
ただし、そういうスタイルと割り切って聴けるならば、高水準なキャッチーなトラックが目白押しでキラーチューンも多い好盤で、オールドファンの人気が高いのも納得です。
オールドスクールなメタル・ハイトーンが持ち味のベラドナは、歌唱力至上主義の保守メタラーに人気の高いヴォーカルですが、アグレッシヴなスラッシュサウンドに対抗するには線が細くパワー不足。また、表現力もイマイチで個性もあまり感じられません。
そのヴォーカルの弱さを、シンガロングコーラスを加えてバックアップするスタイルは、すでにこの作品の時点で見ることはできるので、バンド側としてもその点は自覚していたのかもしれません。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|グルーヴ:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 賛否両論 実験作
I’m the Man|アイム・ザ・マン
ミニアルバム (1987)
ANTHRAXがミクスチャー/ラップメタルに挑戦したタイトル曲を軸に、そのバージョン違いやライヴ音源などで構成されたミニアルバム。T-03ではBLACK SABBATHのカバーも聴かせます。
肝心のラップメタル曲は、あくまでもお遊び的な一発ネタの域を出るものではなく、その出来栄えだけを評価するならそれほどの逸品とは言えません。
さらに言えば、前年にはこれよりもはるかに完成度の高い、“RUN-DMC(ラン-ディー・エム・シー)&AEROSMITH(エアロスミス)”の『Walk This Way(ウォーク・ディス・ウェイ)』という、コラボ系ラップメタルの偉大な先達があり、それと比較すると見劣りするのは否めません。
とはいえ、彼らのトレンドを察知するアンテナ力とフットワークの軽さ(節操の無さ)を確認することはできますし、この時期にメタルサイドからこのアプローチを展開したという事実が何より重要です。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|グルーヴ:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み 実験作
Among the Living|アマング・ザ・リヴィング
オリジナルアルバム – 3作目 (1987年)
一般的にANTHRAXの代表作とされ、「スラッシュ名盤〇〇選」にはほぼ確実にピックアップされるアルバム。
バンドOBのリルカーや現M.O.D.のビリー・ミラノとのクロスオーバー・ユニット、S.O.D.(エス・オー・ディー)での経験がフィードバックされたのか、オールドスクールなメタル様式が薄れ、ようやくスラッシュメタルとしての独自性が育ってきました。
決してスキの無い完璧な作品というわけではなく、楽曲によっては一本調子やツメの甘さの目につきますが、フックの効いた完成度の高いキャッチーな楽曲が満載で、ライヴの定番となったアンセムも多数収録されています。
何より、全体に前のめりな勢いがあって全編にわたって心地よく聴くことができるアルバムで、初期の代表作とされるだけの存在感は認めざるをえないでしょう。
ヴォーカルの弱さは根本的には解消されていませんが、前作にも増してシンガロングコーラスが多用されるようになり、力強さと個性に欠けるヴォーカルを力技で強引にバックアップしているので、ライヴではともかく本作を聴く限りではではそれほど気になりません。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|ポップネス:★★★★☆
|グルーヴ:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
輸入盤 ANTHRAX / AMONG THE LIVING LTD LP
State of Euphoria|ステート・オブ・ユーフォーリア
オリジナルアルバム – 4作目 (1988年)
代表作に続いてアップグレードを試みたアルバムの宿命か、ファンからは「印象が薄い」と評されがちで、確かに作風も立ち位置もナカナカに難しいところあります。
勢いや熱気、キメ曲のインパクトという点では前作がリードしていますが、総合的に見た場合のサウンドの個性や、ユニークさ,フックの強さ,楽曲クオリティの平均値では今作の方が上。
前作では引きずっていたオールドスクールなメタルテイストはやや薄まり、メロディラインにもパンキッシュともオルタナティヴとも呼べそうな要素が強まっていますが、これらの融合がによる様式美からの逸脱は、魅力と個性にプラスにはたらいており、独自のANTHRAX流スラッシュメタルがここにきて本格的に確立されたといえる1枚です。
ただ、前作にはメタル様式的な起承転結がはっきりしたわかりやすい曲が多かったのに対して、今作は例えばEXODUS作品に見られる、「リフワークがカッコ良くて印象的なフレーズもあるけれど、長くてメリハリに欠けて気づいたら終わっている曲」が多いのが惜しく、評価も別れるポイントでしょう。
ともあれ、あくまでもスラッシュメタルの枠で評価するのであれば、全作中でもトップの仕上がりと言ってもいいかもしれませんし、ベラドナ向きの作風なのか歌唱のアラも目立ちません。
ポップな異色曲T-04は、フランスのメタルバンドTRUSTのカバーで、ライヴにも欠かせないアンセム。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|ポップネス:★★★★☆
|グルーヴ:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Anthrax アンスラックス / State Of Euphoria
Persistence of Time|パーシステンス・オブ・タイム
オリジナルアルバム – 5作目 (1990年)
ヘヴィグルーヴ時代の到来を察知したのか、疾走感重視のスラッシュ路線に限界を感じたのか、テンポを落としてヴルーヴを強調した作風へとシフトしています。
ここでの変化の多くは次作につながるものですが、そこまでラジカルではなく、あくまでも過去の延長線上から踏み外してはいません。
前作同様にカタログ中での存在感は今ひとつですが、グルーヴスラッシュのT-02は7分超の長尺が気にならない名曲ですし、JOE JACKSONのカバーT-08はナイスな選曲&アレンジで本作最大のキラーチューンです。
しかし、弱点はやはりベラドナのヴォーカルで。上手さはあっても旨さや巧さは感じられないので、グルーヴィーにうねる曲でメリハリをつけるには表現力に乏しく単調。今までは疾走感と勢い重視のサウンド、それとシンガロングコーラスでごまかせていた弱点が露呈しています。
もしジョン・ブッシュが今作から歌っていたならその評価は大きく変わっていたかも…と考えるとなんとも惜しい一枚です。
シリアスでヘヴィな作風と凝った展開に熱心なファンも多く、近年では再評価傾向もあります。
ただし、それらの言説には過大評価傾向も強く額面通り受けるのは危険。キャリア全体見るとあくまでも次作以降のの前哨戦に過ぎない1枚です。
|ヘヴィネス:★★★★☆|スピード:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|グルーヴ:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Attack of the Killer B’s|アタック・オブ・ザ・キラー・ビーズ
ミニアルバム (1991年)
87年にドロップした“I’m the Man”の拡大判といった印象の、ライヴやカバーなど既発曲も含む企画盤。EP扱いのミニアルバムですが、全12曲で40分超とボリュームはフルアルバム級です。
最大の目玉は、ヒップホップのビッグネームPUBLIC ENEMYのChuck DとFlavor Flavを迎えた、本格的なラップメタルナンバーのT-07で、前回の『I’m the Man』を超える出来栄え。また、その再録曲の『I’m the Man ’91』も収録されています。
他にも、ハードコアレジェンドDISCHARGEやS.O.D.、KISSなどをはじめとした多数のカバー曲など、彼らの多彩なバックグラウンドとストリート感覚が反映された、バラエティ豊かで充実した内容です。
ANTHRAXの評価は、スラッシュバンドとしての実績だけでなく、課外活動を含めたこういった異ジャンル交流の功績による部分が大きいことが理解できる作品で、ある意味ではベラドナ在籍時ではもっとも聴き応えがあって歴史的な価値の高い重要作品かもしれません。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★★
|グルーヴ:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
アタック・オブ・ザ・キラー・ビーズ!/CD/UICY-25625
Sound of White Noise|サウンド・オブ・ホワイト・ノイズ
オリジナルアルバム – 6作目 (1993年)
ジョン・ブッシュ(John Bush)へのヴォーカルチェンジに加え、独自の新たなヘヴィメタルサウンドにも挑んで大きなターニングポイントとなったアルバム。
METALLICAでいえば“Metallica(ブラックアルバム)”、MEGADETHなら“Countdown To Extinction(破滅へのカウントダウン)”にあたります。
確かに同様にスラッシュ要素は薄れ、これまでになくメロディも豊富になっていますが、上記作品ほどには変化の幅が極端なわけではなく、あくまで、基本は前作でのグルーヴスラッシュ路線を拡大しつつ押し進めたようなスタイル。とはいえ、当然のようにオールドファンには問題作として賛否両論です。
しかし、そもそもがスラッシュメタルとしては存在感が薄いバンドなので、スラッシュ色の減退はそれほど問題ではありませんし、前作の時点でスラッシュメタルとしてはすでに限界にきていることが見て取れました。
波が荒くて名曲が少ない割に駄曲が目立つ彼らですが、この作品に限っては全編にわたって完成度が高く、フック満載の印象的な楽曲が立て続けに繰り出され、どの曲もおしなべて文句無しの完成度。やや長尺ながら密度も高く聴き応えも抜群で、最後まで飽きることがありません。
それらを考慮すれば、本作はブッシュ効果と新機軸でイメージ一新されたとはいえ、間違いなくクリエイティヴ面ではピークの作品で、全キャリア中でも最高の1枚。ここにきてこれほどの名盤を生み出したことは歓迎すべきでしょう。
なお、ブッシュはハイトーン命の典型的メタルスタイルではなく、裏声を使わないナチュラルでパワフルな独自の節回しと表現力で勝負するタイプ。その意味ではジェイムズ・ヘットフィールド(METALLICA)やチャック・ビリー(TESTAMENT)に近いのですが、それよりはチョイ技巧派寄りといったところです。
ちなみに、この時期の曲はベラドナには歌いこなせないのか、ベラドナ復帰後はライヴでもほとんど取り上げていません。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ポップネス:★★★★★
|グルーヴ:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Stomp 442|ストンプ442
オリジナルアルバム – 7作目 (1995年)
スラッシュメタルから、同時代的なセンスを持った広義的なヘヴィメタルへと音楽性を拡大した、前作での独自のサウンドと多彩な作風を踏襲しつつ、さらにハードコア, ラップメタルなども取り入れて、ヒップなストリート感覚を増したアルバム。
やはりポップネスを持ってフックの効いた楽曲がそろっており、前作とは一味違った魅力がありますが、やや楽曲の出来不出来に波が大きく、楽曲単位でもアルバム単位で見ても前作には今一歩及びません。
さらには、トレンドに接近したことも重なって初期ファンからの評価も散々で、ベラドナ復帰後はライヴで取り上げられることもなくなりましたが、近年の作品よりもはるかに上質なのでオールドスクールスラッシュにこだわらなければ一聴の価値ありです。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ポップネス:★★★★★
|グルーヴ:★★★★★
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 実験作
Anthrax アンスラックス / Stomp 442 アナログレコード
Volume 8: The Threat Is Real|ヴォリューム8:スレット・イズ・リアル
オリジナルアルバム – 8作目 (1998年)
前作に続いて、スラッシュメタルとは呼び難い当時のモダンヘヴィメタルに接近した作風で、今回はPRONG(プロング)あたりを思わせるインダストリアルなテクスチャーも取り入れているほか、カントリーやブルース風のフレーズもフィーチャーしてサザンメタルに近いテイストも感じさせる曲もあります。
本作もやはり、オールドスラッシャーからは散々な評価を受けて過小評価傾向がありますが、実のところ佳曲は多く作風が気にならなければ聴きどころは満載です。
ただし、この時期特有の“曲数ボリューミー”傾向がたたって、本来ならアウトテイクレベルの曲も収録していることで、アルバムとしてのアベレージをかなり下げる結果になっています。
何れにしても、時流に寄り添ったサバイブを狙ったという意味では、十分に“ANTHRAXらしい”1枚といえるでしょう。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ポップネス:★★★★☆
|グルーヴ:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み 実験作
ボリューム8:スフレット・イズ・リアル/CD/VICP-60319
We’ve Come for You All|ウィ・ハヴ・カム・フォー・ユー・オール
オリジナルアルバム – 9作目 (2003年)
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|グルーヴ:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
スルメ盤
ウィ・ハヴ・カム・フォー・ユー・オール/CD/VICP-61920
The Greater of Two Evils|ザ・グレーター・オブ・トゥ・イーヴルス
セルフカバーアルバム (2004年)
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|選 曲:★★★★★
|アレンジ:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤
グレイター・オブ・トゥー・イーヴルズ/CD/VICP-62639
Worship Music|ワーシップ・ミュージック
オリジナルアルバム – 10作目 (2011年)
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 お布施
For All Kings|フォー・オール・キングス
オリジナルアルバム – 11作目 (2016年)
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤 実験作
フォー・オール・キングス(初回限定盤)/CD/GQCS-90112
◎ ANTHRAXはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
スラッシュメタルBIG4としての実力を確認したければ、まずは代表曲が多くキャッチーな“Among the Living(3rd)”から入るべき…ということになるのでしょう。ただしAmong~は多分にパワーメタル寄りのサウンドなので、よりスラッシーなサウンドを求めるなら一般的には微妙な扱いですが“State of Euphoria(4th)”の方がいいかもしれません。
スラッシュから外れてもいいので、「とにかく純粋に完成度が高く名曲ぞろいな最高のメタルアルバムを聴聴きたい!」という人なら、“Sound of White Noise(6th)”から入るといいでしょう。
S.O.D. (Stormtroopers of Death) |DISCOGRAPHY
ANTHRAXのスコット・イアンとチャーリー・ベナンテ、ANTHRAXのOBで当時はクロスオーバーの『NUCLEAR ASSAULT』で活動していたダン・リルカー、ハードコアバンド『THE PSYCHOS』出身で、のちに『M.O.D.』を結成るビリー・ミラノ。この4名によって結成されたプロジェクトがS.O.D.です。
音楽性は、ハードコアとスラッシュメタルをクロスオーバー(掛け合せ)させたスタイルで、オールドスクールなメタル様式の強いANTHRAXの反動か、それとは正反対に、ミニマルでファストなハードコア色が強い初期衝動型サウンドを展開していました。
ジャンルとしては『クロスオーバー・スラッシュ』や『クロスオーバー・ハードコア』とカテゴライズされていますが、当時の界隈では単に『クロスオーバー』とも呼ばれていました。
S.O.D.はこの『クロスオーバー』のパイオニアのひとつと目され、同様のスタイルがメタルシーンのみならずハードコアシーンにも拡散する要因となっており、ある意味では現在のメタルコアの原点とも言えます。
また、S.O.D.での経験はANTHRAX本隊にもフィードバックされ、ANTHRAXがパワーメタルから本格的なスラッシュメタルのステージへと移行する要因にもなりました。
Speak English or Die|スピーク・イングリッシュ・オア・ダイ
オリジナルアルバム – 1作目 (1985年)
Live at Budokan|ライヴ・アット・ブドーカン
オリジナルアルバム – 1作目 (2000年)
Bigger than the Devil|ビガー・ザン・ザ・デヴィル
オリジナルアルバム – 2作目 (1999年)
◎ S.O.D.はコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
なにしろ、メイン音源はスタジオアルバムは2枚とライヴアルバム1枚だけなので、ハッキリ言えば全部押さえてしまえという話になってしまいます。
時代が影響して微妙に作風は異なれどクオリティは大差なく、歴史的な意義では圧倒的に“Speak English or Die(1st)”で、これ一択でもいいと言えばいいのですが、この手のサウンドに慣れてないリスナーは、多様性や工夫があって飽きない“Bigger than the Devil(2nd)”の方が聴きやすいかもしれません。
しかし、S.O.D.の本質が理解できるのは、お遊びカバーも多くファニーな雰囲気やムーヴメンド全盛期の熱気が伝わる“Live at Budokan(ライヴ)”がベストでしょう。