Contents
- 1グルーヴコアとNSHCのはざまに位置するサウンドで、メタルコア黎明期の90年代NYハードコアシーンを彩った、ストロングなグルーヴィー・クロスオーバー!!
- 1...1ニュースクール・ハードコアの新世代!!
- 1...2グルーヴコアとメタルコアの間に!!
- 1...3ヘヴィメタル界隈でもブレイク!?
- 1...4NYストロング・スタイルの伝統を受け継ぐ!!
- 1...5寡作で不安定ながら息の長い活動!!
- 1.1MERAUDER|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Master Killer|マスター・キラー
- 1.1.2Five Deadly Venoms|ファイヴ・デッドリィ・ヴェノムス
- 1.1.3Bluetality|ブルタリティ
- 1.1.4Master Killers: A Complete Anthology|マスター・キラーズ:アコンプリート・アンソロジィ
- 1.1.5God Is I|ゴッド・イズ・アイ
- 1.1MERAUDERはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
グルーヴコアとNSHCのはざまに位置するサウンドで、メタルコア黎明期の90年代NYハードコアシーンを彩った、ストロングなグルーヴィー・クロスオーバー!!
MERAUDER(マローダー)は、アメリカンハードコアのメッカのひとつであるニューヨークを拠点とする、チカーノ系メタリック・ハードコア・バンド。
ニュースクール・ハードコアの新世代!!
MERAUDERは、90年代の半ばのニューヨークのハードコアシーンでも勢力を伸ばしつつあり、現在まで続くメタルコアの原点で、シーン丸ごとがその母体となったN.S.H.C.(ニュースクール・ハードコア)シーンから登場したグループ。
このN.S.H.C.は、80年代のクロスオーバー・スラッシュと〈PANTERA〉,〈BIOHAZARD〉ら90年代型のヘヴィグルーヴをベースに、さらにメタリックな質感を強化した、90年代型のメタリック・ハードコア。
デスメタルやドゥーム/スラッジなどのエッセンスもミックスされ、叙情的なギターソロの導入で大きくヘヴィメタルに接近しています。
グルーヴコアとメタルコアの間に!!
MERAUDERは一般的にメタルコア/メタリックハードコアとして語られていますが、その音楽性を考えるなら、むしろ〈BIOHAZARD〉らグルーヴコアの第二世代に近い位置付けにあると言えます。
デビューの時期的にも、グルーヴメタル/グルーヴコアの全盛期と重なるN.S.H.C.の初期グループと、ニューメタルや北欧メロデス/デスラッシュからの影響が強いメタルコア・ムーヴメント世代の間に位置する存在です。
ヘヴィメタル界隈でもブレイク!?
MERAUDERはその初期においては、ハードコア系のリスナーや、ハードコアをも守備範囲とする一部のメタルリスナーに支持されるにとどまっていました。
しかし、のちにヘヴィメタル界隈でもこういったスタイルの認知度が高まったことや、バンド自身もよりヘヴィメタル様式の強い音楽性にシフトしていったことで、ヘヴィメタルクラスタにも知られるようになります。
NYストロング・スタイルの伝統を受け継ぐ!!
MERAUDERが登場した時期には、ニューヨークのN.S.H.C.シーンも、ドゥーム/スラッジばりのスロー&ダウナーなサウンドや、デスメタルに接近したブルタリティを主張するバンドが目立っていました。
MERAUDERの音楽性も、御多分に洩れずかなりヘヴィメタリックなものでしたが、スラッシュメタルなどのエッセンスを取り入れつつも、〈BIOHAZARD〉の直接的な影響下にあるストロング・スタイルのニューヨーク・グルーヴコアに根ざしたサウンドを展開していました。
寡作で不安定ながら息の長い活動!!
MERAUDERは比較的メンバーの出入りの激しいバンドで、度重なるメンバチェンジを経て現在ではオリジナルメンバーはフロントマンのホルヘ・ロサドのみとなっています。
また、寡作でキャリアのわりに作品リリースは少なく、2009年以来アルバムリリースも行っておらず現在はライヴ活動が中心となっているものの、結成以来明確な解散宣言や長期のブランンクを挟むことなく活動を続けています。
MERAUDER|DISCOGRAPHY
Master Killer|マスター・キラー
オリジナルアルバム – 1作目 (1995年)
N.S.H.C.がひとつのムーヴメントとして、単なるアンダーグラウンドの域を脱しつつあった時期のデビューアルバム。
プロデュースは、〈CRO-MAGS〉の“風見鶏”ことパリス・メイヒューによるものです。
メタル専門レーベルとしては大手の“センチュリー・メディア”からリリースされており、そのことからもヘヴィメタルに近い立ち位置だったことがわかります。
作風のベースとなるのは、N.S.H.C.やメタルコアよりは〈BIOHAZARD〉らのニューヨーク・グルーヴコアに近いスタイルですが、それらの特徴ともいえるラップ・ヴォーカルや、ファンキーなヘヴィ・グルーヴなどのミクスチャー要素はいくぶん抑え目。
その分、スラッシーなリフワークやギターソロなどの、ヘヴィメタルテイストが強まっています。
ただし、曲のテンポ自体にはいくらか多様性が見られるものの、作風自体はハードコア的な直球一本やりな傾向が強く、やや変化に乏しい印象もあります。
腐ってもハードコアバンドということかもしれませんが、ハードコアファン以外…特にメタラーにはやや一本調子でに感じられる恐れはあります。
それでも、キャリア上の代表曲と呼ぶべき、フックの効いたアンセム級キラーチューンが数曲とはいえ収録されており、荒さはあるものの曲のクオリティ/インパクトともに全カタログ中でも頭ひとつ飛び抜けています。
|ハーコー度:★★★★☆
|グルーヴ度:★★★☆☆
|ニュースク度:★★★☆☆
|メロギタ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Five Deadly Venoms|ファイヴ・デッドリィ・ヴェノムス
オリジナルアルバム – 2作目 (1999年)
メタル界隈からハードコア界隈まで、幅広いヘヴィミュージック・シーンで一躍注目を浴び、日本盤もリリースされていた出世作。
スロー〜ミドル〜ファストを織り交ぜた基本的なスタイルには変化はありませんが、よりヘヴィメタル寄りの作風となって整合感もアップ。
ラップ・ヴォーカルなどのミクスチャー・テイストはさらに薄まり、叙情的なギターソロも光っているため、メタラーにも聞きやすいサウンドに仕上がっています。
その反面、全体的にフックが弱まってており、前作ほどの際立った曲は見られないという看過できない欠点があるため、総合的には前作から一枚落ちる印象は否めません。
今回のプロデュースは、〈LEEWAY〉のメンバーで〈CRO-MAGS JM〉のサポートも務めるA. J. ノヴェロによるもの。
|ハーコー度:★★★☆☆
|グルーヴ度:★★★☆☆
|ニュースク度:★★★☆☆
|メロギタ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Bluetality|ブルタリティ
オリジナルアルバム – 3作目 (2002年)
メタル濃度高めのサウンドに変わりはないものの、ギターソロも含めて前作に見られたベタベタなメタル様式はかなり抑えられて、全体的にハードコアテイスト強め曲調が中心。いくらか『1st』時代に時代に戻ったような印象も受けます。
また、ヴォーカルの表現力が向上しており、デスメタリックなスタイルもこなすなど幅が広がっているのもポイントです。
『1st』には及ばないものの、前作よりは確実にアベレージが上がっており、なかなか聴きごたえのある上々の出来栄えです。
プロデューサーには、〈S.O.D.〉や〈M.O.D.〉での活躍で知られる、クロスオーバーの重鎮ビリー・ミラノを迎えています。
|ハーコー度:★★★★☆
|グルーヴ度:★★★☆☆
|ニュースク度:★★★☆☆
|メロギタ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論
Master Killers: A Complete Anthology|マスター・キラーズ:アコンプリート・アンソロジィ
コンピレーションアルバム (2007年)
God Is I|ゴッド・イズ・アイ
オリジナルアルバム – 4作目 (2009年)
再びメタル濃度がアップしたアルバムで、ここでは特に〈PANTERA〉を思わせるようなグルーヴメタル・テイストが強まっています。
また、これまでになくヘヴィネスが強調されたサウンドとなっており、過去作ではどうしてもぬぐい去れていなかったハードコア的な音の軽さを理由に、MERAUDERを敬遠していたリスナーも納得の仕上りです。
代表作の『Master Killer(1st)』には及ばないものの完成度は上々で、当時のモダン・メタルコア勢に全く見劣りしない、渾身のアルバムと言っていいでしょう。
|ハーコー度:★★★☆☆
|グルーヴ度:★★★★☆
|ニュースク度:★★☆☆☆
|メロギタ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 実験作
MERAUDERはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
知名度の高さで言えば、メタルファンにも知られるようになった出世作の『Five Deadly Venoms(2nd)』が一歩リードと言ったところ。
しかし、MERAUDERの顔と呼べる1枚を選ぶとなると、やはり看板となるアンセム曲を含む『Master Killer(1st)』を一押しの代表作に推さざるを得ないでしょう。
インパクトではそれに劣るものの、『Bluetality(3rd)』と『God Is I(4th)』も確かな成長の跡が見られ、聴いて損はないアルバムです。
特に、メタルファン向けという点においてならば、『God Is I(4th)』がベストかもしれません。