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★ ROB HALFORD(ロブ・ハルフォード) 関連〈FIGHT〜TWO〜HALFORD〉ディスコグラフィー ★ 進化系ヘヴィメタルの追求のためにJUDAS PRIESTを脱退したメタルゴッドが繰り広げた華麗なるソロワーク!!…必聴アルバムは?

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Contents

ヘヴィメタルの様式美を創り上げてアップデートを続けた、メタル・アイコンにしてイノベイターのロブ・ハルフォードが、JUDAS PRIESTと決別してまでも追求した先鋭的メタルサウンド!!

ロブ・ハルフォードのソロワーク関連ディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

ロブ・ハルフォード(ROB HALFORD)は、イングランド出身のヘヴィメタル・シンガー/ミュージシャン。

メタルゴッドと呼ばれるJUDAS PRIESTのフロントマン?!?

ハルフォードは、一般的にはJUDAS PRIEST(ジューダス・プリースト)のフロントマンとして知られています。

JUDAS PRIESTのヴォーカリストとしては、アル・アトキンスに続く2代目となりますが、デビュー以来のパーマネントなメンバーであり、1992年〜2003年脱退期間を除いては、常にバンドの顔として活動を続けています。

JUDAS PRIESTのメンバーとしては、曲づくりを含めたバンドの中心的な位置にあり、70年代の後半にはヘヴィメタルの原型ともいえるサウンドを生み出し、ヘヴィメタルの様式を確立。
その後は、それにそれぞれの時代に合わせてアップデートを行って、トラディショナルなヘヴィメタルを牽引してきました。

その実績から、ヘヴィメタルの神…『メタルゴッド』の二つ名でも呼ばれ、ヘヴィメタルシーンの代名詞でもあるメタル・アイコンと広く認められています。

ゲイゴッドとしてのロブ・ハルフォード!?

ロブ・ハルフォードは自身がゲイでることを公表しており、ハルフォードが取り入れたことでメタル・ファッションのスタンダードとして定着した、スタッド(鋲)デコレーションを施したブラック・レザーウェアも、パンクファッションとゲイファッションをミックスしたものとされています。

これについては、以前は公然の秘密といった扱いで、ヘヴィメタルのマッチョイズムを押し出したいメディアなどは触れようとしませんでしたが、90年代後半にカミングアウトしてからは自伝本などでも触れるなど、一般層にも周知の事実となっています。

ヘヴィメタルの最新モードを追い続けたロブ・ハルフォード!?

『メタルゴッド』と呼ばれるだけに、ハルフォードにはヘヴィメタル・アイコンとして“トラディショナルなメタル様式の権化”といったイメージも定着しています。

しかし、その一方でハルフォードは、時代ごとのミュージックシーンのトレンドをつぶさに捉えて、それをJUDAS PREASTのサウンドへも適宜反映させててきた、バンドのアンテナとしてのポジションにあったことでも知られています。

JUDAS PREASTが過去に導入を試みたアプローチには、未来的でサイバーなメタル・サウンド, 愛国のレゲエブームを反映したレゲエロック,大陸的なアメリカン・ハードロック, 80年代風のシンセポップやUS産業ロック/ポップメタル,ドイツ風のメロディック・パワーメタル,スラッシュメタルなどがあります。

これらは、時に賞賛され時に批判を浴びてきましたが、いずれにせよ、その時代ごとの先端サウンドとのクロスオーバーする、この野心的な展開も、ハルフォードの存在があればこそと考えられます。

理想のヘヴィメタルを求めてJUDAS PREASTを離脱!!

JUDAS PREASTという枠に囚われた上でのアプローチに満足できなくなったハルフォードは、当時の最新モードとしてシーンを塗り替えつつあった、グルーヴメタルなどに受けた刺激をアウトプットすることを目的として、JUDAS PREASTと並行したソロプロジェクトの構想を実行に移します。

しかし、その活動をめぐってバンドやマネージメント側との間に齟齬が生じ、関係悪化の一途をたどった結果、1992年にはJUDAS PREASTからの脱退を余儀なくされます。

奇しくも翌年にはIRON MAIDENのブルース・ディッキンソンも、全く同様の原因によりバンドを脱退。
オールドスクール・ヘヴィメタルの代名詞である二大UKバンドのフロントマンが、同時代的なサウンドを実践するソロプロジェクト実現のために、守りに入ってしがらみとなったバンドと袂を別つという、激動の90年代ヘヴィミュージックを象徴するような事態となりました。

ロブ・ハルフォードのモダン・ヘヴィメタル遍歴!!

JUDAS PRIESTを脱退したハルフォードは、まずは無名の若手ミュージシャンを中心に起用したバンド『FIGHT(ファイト)』を結成します。

ここでは、PANTERAらグルーヴメタル/ヘヴィグルーヴ勢のスタイルを、ヘヴィメタルのひとつの進化系として高く評価していたハルフォードが、JUDAS PREASTを脱退してまで実現させたいと考えていた、ヘヴィグルーヴやダウナーなヘヴィネスを前面に押し出した、マッシヴなストロングスタイルのヘヴィメタルを展開。

続くプロジェクトの『TWO(トゥ)』では、USインダストリアルシーンのアイドルだったNINE INCH NAILSのトレント・レズナーをプロデューサーに迎え、インダストリアル・メタルに取り組みます。

これらのアクションの後は、自身の名を冠したHALFORDを始動。
ここでは、グルーヴとアグレッション重視の同時代的なヘヴィメタルをに立脚しながらも、オールドスクールなメタルサウンドへの回帰も見せたことで、これまでのソロプロジェクトにおける、トレンドへの接近に罵声を浴びせていた保守派メタラーにも、大歓迎で迎えられます。

ファンが待ち望んだJUDAS PRIESTへの復帰!?

ハルフォード脱退後のJUDAS PRIESTは、ヴォーカルん選定に苦労するも、ハルフォード匹敵するヴォーカリストと評されるティム・“リッパー”・オーウェンスを迎えて活動再開。

しかし、FIGHTに周回遅れで対抗したようなヘヴィグルーヴ・アプローチがが失敗して、マスコミ/ファンの評価からセールスまで全面的に落ち込むことになります。

しかし、同時期にハルフォードの先進的アプローチにも限界が見えて、HALFORDとしてオールドスクールへの接近を試みて両者の評価は完全に逆転していたことから、JUDAS PRIESTサイドのハルフォード復帰やむなしの判断を生み、オーウェンスに低迷の戦犯を押し付けるかたちで解雇し、ハルフォードを復帰させます。

それ以降、ハルフォードはバンドへの忖度(あるいは契約)もあってか、先端ヘヴィサウンドを取り入れることはなくなりましたが、現在もバンドの顔として活動を続けています。

次ページはFIGHT + TWOのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

FIGHT|DISCOGRAPHY

FIGHTは、PANTERAらヘヴィ・グルーヴメタル勢のサウンドに感銘を受け、新世代によるヘヴィメタルのひとつの進化系として高く評価していたロブ・ハルフォードが、本人もそれを取り入れたモダン・ヘヴィメタル・アプローチを試みるべく結成したプロジェクト。

そもそもは、JUDAS PRIEST在籍時から計画していたサイド・プロジェクトでしたが、そのプランを快く思わないバンド/レーベルとの間で確執が生じ、その結果ハルフォードは、JUDAS PRIESTを脱退してFIGHTを結成する道を選びます。

結果的には、JUDAS PRIESTを一時崩壊と長期活動休止に導いた要因となったことから、オールドファンや保守的なメタルクラスタからは、八つ当たりでバッシングされがちな傾向もありますが、後には再評価も進み、リマスタリング/リミックスを施した再発アルバムや、ボックスセットなどもリリースされています。

他のメンバーは、要となるドラムには、同時期にJUDAS PRIESTに在籍しながらも、中途加入で比較的ニュートラルな立場だったと思しき、腕利きのスコット・トラヴィスを迎えていますが、それ以外は、マイナー・バンドのCYANIDEのメンバーら、当時は無名で目立った実績もない若手ミュージシャンを中心に起用していました。

残念ながら、活動は1992年〜1995年の短期間に終わり、スタジオ・フルレンスのオリジナル・アルバム2枚のみを残しています。

なお、ラス・パリッシュ(Gt.)は、後にSTEEL PANTHERに参加して名を上げており、また、元THE COUP DE GRACEのマーク・チョーシー(Gt.)は後にMARILYN MANSONのサポートなどもつとめています。

War of Words|ウォー・オブ・ワーズ

オリジナルアルバム – 1作目 (1993年)

70〜80年代と90年代を代表するヘヴィメタルのトレンド・サウンドを、匠の技で一体化させて練り上げた、新旧ハイブリッド・メタルの超傑作アルバム。

音楽性は、PANTERAやHEKMETらに代表される、当時の最先端ヘヴィミュージックだったグルーヴメタルを独自に解釈した、ヘヴィグルーヴィでパワフルなフィジカル系メタルサウンドに、JUDAS PRIEST由来の叙情性やメロディなどの、オールドスクールなメタル様式がアクセントとして加わえたスタイル。

後続の安易な便乗組とは異なり、双方の長所のみを生かしきって、相殺されることのない絶妙なバランスでクロスオーバーされており、既存のベテラン/中堅メタルグループのヘヴィグルーヴ・アプローチとしては、最上位に位置する理想的な仕上がりを見せています。

それらの中での際立った成功例は、実績はあれど世代的には新人レベルだったSEPULTURAやMACHINEHEADを除くと、IRON MAIDENのブルース・ディッキンソン、BLACK SABBATHのギーザー・バトラーと、このハルフォードという、超ベテランに集中していたというのは興味深い事実です。

|メタル度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★★★☆☆
|ヴルーヴ:★★★★★
|叙情度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作

Mutations|ミューテーションズ

コンピレーションアルバム (1994年)

当時、インダストリアルメタルやラップメタルの流行の流れから、ヘヴィメタル界隈でもポピュラーなものとなりつつあった、リミックスを施した別バージョン曲と、貴重なライヴ音源によって構成された編集盤。

マニアックなユーザー向きのファンアイテムであることは否めませんが、リミックス・バージョンの完成度は高く、原曲を上回割ろうかというカッコよさに仕上がっており、オリジナル盤が気に入ったリスナーなら必携と言っていいでしょう。

なお、リミキサーは、THE GATHERINGをはじめSCORPIONS,JUDAS PRIESTなどのエンジニア/ミックス/マスタリングなどをつとめるアッティ・バウ。

|メタル度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★★★☆☆
|ヴルーヴ:★★★★★
|叙情度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

A Small Deadly Space|ア・スモール・デッドリィ・スペース

オリジナルアルバム – 2作目 (1995年)

基本的には、前作の延長線上の…あるいはその派生系としてのヘヴィ・グルーヴ・メタルと呼び得るサウンドですが、1stに見られた、JUDAS PRIESTに通じる旧来のオールドスクールなメタル要素については、大きく後退しています。

本作は、グルーヴメタルのみならず、ドゥーム/スラッジやグランジに通じるダウナーでハード・ロッキンなヘヴィネスが濃厚で、加えて、後のニューメタルにも通じるようなエッセンスも見られ、そのプロトタイプとも呼べそうなサウンドも内包しています。

ヘヴィメタル的なドラマ性やダイナミクスが薄れたややミニマルなフラットなスタイルとなったことに加え、前作には存在した特に際立ったキラーチューンも見られないことから、前作を支持したリスナーからさえも賛否両論の結果に終わり、全体評価も下がることになりました。

キャッチネスに欠けフッキーでもないため、前作ほどのわかりやすいインパクトは望むべくもないとはいえ、同時代的なヘヴィ・サウンドを咀嚼・消化しきった、独創的で上質な楽曲がそろっていることは間違いなく、後に10年余りを経てようやく時代が追いついたことで再評価の機運も高まり、リマスター音源もリリースされることになります。

|メタル度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★☆☆☆☆
|ヴルーヴ:★★★☆☆
|叙情度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

K5: The War of Words Demos|ケーファイブ:ウォー・オブ・ワーズ・デモズ

コンピレーションアルバム (2006年)

2000年代にFIGHT再評価の機運が高まったことから、お蔵入りだった関連音源までもが続々とリリースされることになります。
本作もその一環でリリースされたもので、『War of Words(1st)』のデモ音源を集めたもの。

確かに音質は“デモ音源相当”の荒々しいサウンドですが、これはこれで生々しい魅力がありますし、何よりここでしか聴くことの出来ない激レアな未発表曲も多数収録されているので、ファンならこれもまた見逃すわけにはいきません。

メタル度:★★★★★|ヘヴィネス:★★★☆☆|スピード:★★☆☆☆
マニア度:★★★★★|レ ア 度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

通好み スルメ盤 実験作

War of Words – The Film|ウォー・オブ・ワーズ – ザ・フィルム

ミュージックビデオ (2007年)

何ぶん活動期間が短かったため、今となってはかなり貴重で激レアなものとなった、ライヴ映像とPVを含む映像記録と音源のカップリング。

年寄りの冷や水と冷やかされながらも、スケーター系のストリート・ファッションを着こなして頑張るハルフォードが微笑ましく、ファンならば必携は間違いなしのマスト・アイテムです。

|メタル度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★★☆☆☆
|選  曲:★★★★★
|レ ア 度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤

Into the Pit|イントゥ・ザ・ピット

ボックスセット (2009年)

FIGHTの過去3枚のアルバムが、リマスターにより大幅アレンジされたサウンドで蘇ったボックスセット。

特にヘヴィネスが大幅増量されたメタリックなアレンジにより、別モノと言っていい仕上がりとなった『A Small Deadly Space(2nd)』の変貌ぶりは話題になりました。

このリマスター・アルバムは、再発日本盤以外では個別にはリリースされていないので、海外ではまさにここでしか聴くことのできない必携のボックスセットとなっています。

|メタル度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★★☆☆☆
|ミックス:★★★★☆
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作

Nailed to the Road|ネイルド・トゥ・ザ・ロード

ライヴアルバム (2008年)

こちらもファン必携の貴重なライヴ音源ですが、前記の『War of Words – The Film』からの音源で内容は同じなので、そちらを持っていれば不要です。

|メタル度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★★☆☆☆
|ヴルーヴ:★★★★★
|叙情度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 入門盤

TWO|DISCOGRAPHY

『TWO』は、ハルフォードが、インダストリアル・メタルのアプローチを試みるためのプロジェクトで、スタジオ・フルアルバム1枚のみを残して、事実上活動を終えています。

ここでは、NINE INCH NAILSのトレント・レズナーをプロデューサーに迎え、MARILYN MANSON ROB ZOMBIEのバンドでの活躍で知られるジョン5ことジョン・ロウリーら、インダストリアル・メタル界隈のミュージシャンを集めており、本格的にインダストリアル・メタルを追求する意思がうかがえる布陣となっています。

当然のように、保守的な旧来のファンに受け入れられることはなく、かといって、先鋭志向のメタルクラスタにも響かず、インダストリアル界隈でも注目を集めることはないままに、活動は立ち消えとなりました。

しかし、リスナーの志向の変化や入れ替わりもあってか、近年では一部で再評価の機運もあり、そこでは不評の反動からかカルト的に持ち上げられる傾向もあります。

Voyeurs|ヴォイヤーズ

オリジナルアルバム – 1作目 (1996年)

インダストリアル・メタルといっても、ここで聴けるのは、エクストリーム・メタルの一形態とも見なされた、かつてのデジタル・スラッシュ路線でも、ジャーマン系に目立つアッパーなダンス系でもなければ、ヘヴィ&ダウナーな英国流でも、ニューメタル系のサイバー・メタルでもありません。

簡単に言えば、90年代からアメリカのシーンでもひとつの流れとなった、“ニューウェイヴ/ポストパンク・リヴァイヴァル”の一環にあるサウンドで、さらに端的に言うなら、FEAR FACTORYの浮遊感のあるクリーン・パートだけを取り出して引き伸ばしたような作風。

新奇性の面については、甘く見れば「かろうじて最新モードをカスっている」とねじ込めなくもないタイミングですが、『FIGHT』でのように、最新フォーミュラを自身のスタイルに落とし込んで、独自のサウンドへと再構築することは出来ていません。

メタル/ロック的なアグレッションやダイナミクス、ヴォーカルのメタル・スクリームの完全なオミットについては、意図的なものと考えられますが、それは、先端サウンドとのケミストリーを生むハルフォード最大の武器を自ら捨てたということ。

そのため、『FIGHT』のように新旧メタル・サウンドの衝突から、既存のスタイルに収まらない独自のサウンドを生み出すという奇跡は起り得ず、聴き手をうならせる新奇性も、理屈を超えた圧倒的で特異な魅力も見られません。
一定水準はクリアしているものの、アトモスフェア頼りでメリハリもフックも欠如した、凡庸な楽曲の羅列に終わっています。

メタル度:★★☆☆☆|ヘヴィネス:★☆☆☆☆|スピード:★☆☆☆☆
サイバー度:★★★★★|叙情度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆

代表作 賛否両論 スルメ盤
次ページはHALFORDのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

HALFORD|DISCOGRAPHY

ロブ・ハルフォードが1999年に新たに始動させた、自身の名義によるソロ・プロジェクト。

当初のメンバーは、ドラムにRIOTでの実績のある腕利きのボビー・ジャーゼンベクを置いた以外は、無名の若手ミュージシャンで固めるという『FIGHT』時代と同様の座組みでした。

しかし途中からは、ブルース・ディッキンソンのソロプロジェクトへのギタリスト/プロデューとして参加をはじめ、多数のベテラン/中堅をバックアップしたことで、オールドスクール再建屋として名を成すロイZ、LIZZY BORDENのベーシストだったマイク・デイヴィスら、実績のあるメンバーが加わっています。

一般的には、ロブ・ハルフォードがオールドスクールなヘヴィメタル回帰を狙ったプロジェクトと見なされており、それは一面では正解ですが、基本的には、グルーヴメタルやパワー/スラッシュメタルの要素も色濃い、同時代的にアップデートされたヘヴィメタルのスタンダードといった音楽性です。

その後、ロブ・ハルフォードはJUDAS PRIESTへと復帰を果たして、そちらを活動の中心に置きますが、HALFORD自体は現在もアクティヴな状態にあり、活動も継続されています。

ただし、JUDAS PRIEST本体の存在を脅かすような、本格的なメタル・アルバムの制作は遠慮せざるを得ないようで、ウィンター・シーズン向けの企画モノのアルバムなどの、中途半端な作品でお茶を濁しています

Resurrection|レザレクション

オリジナルアルバム – 1作目 (2000年)

オーソドックスな正統派ヘヴィメタルサウンドに回帰したとして、保守メタラーからも絶賛を持って迎えられたHALFORD名義での第一弾。

実際のところは、完全にオールドスクールなヘヴィメタルというわけではなく、あえて言うなら、現状では〈JUDAS PREAST〉最後の名盤である『Painkiller』に〈FIGHT〉の『War of Wordsr』の要素をミックスしたようなスタイル。

あくまでも、80年前後の古典的ヘヴィメタルとは異なる、スラッシュやヘヴィグルーヴの全盛期を通過した90年代以降の音づくりによるパワーメタルであり、本作は、それがヘヴィメタルのスタンダードと見なされるようになった、時代の趨勢を象徴するものとも言えます。

とはいえ、完成度については申し分ない出来栄えなので、ハルフォードらしい最先端ヘヴィネスを導入した野心的アプローチや、真に伝統的/古典的と呼べるオールドスクール・メタルさえ期待しなければ、高品質なメタル・アルバムとして十分以上に楽しめる力作です。

メタル度:★★★★★|ヘヴィネス:★★★☆☆|スピード:★★★☆☆
ヴルーヴ:★★★☆☆|叙情度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★

代表作 入門盤 実験作

Crucible|クルーシブル

オリジナルアルバム – 2作目 (2002年)

かつてパワーメタルと呼ばれたスタイルが、オールドスクール・メタルの標準モードと認識されるようになった、90年代以降のモダン・ヘヴィメタル・スタンダード。
…その作風については、前作から大きな変化はなく、楽曲もファスト・チューンからヘヴォ&グルーヴィなダウンテンポ・チューンまで取りそろえたラインナップです。

前作との比較で言えば、保守メタラー受けするファスト・チューンの比率がやや増えた反面、グルーヴメタルのみならずニューメタルのエッセンスも取り入れるなど、モダンなアプローチもさらに強化されるという、二極化の傾向が見られます。

本作もまた、一級品のヘヴィメタル・アルバムであることは間違ないので、メタルファンなら聴いて損はありませんが、あくまでもオールドスクールな作法/様式美にこだわるリスナーには不満が残るかもしれません。

メタル度:★★★★★|ヘヴィネス:★★★☆☆|スピード:★★★☆☆
ヴルーヴ:★★★★☆|叙情度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 実験作

Halford III : Winter Songs|ウィンター・ソングス

オリジナルアルバム – 3作目 (2009年)

クリスマス〜ニューイヤーにかけての、ウィンター・ホリデー・シーズンをテーマにしたメタルアルバム。
とはいえ、メタル系クリスマス・アルバムによく見られる、いかにも企画モノ然としたユルさやノーテンキさは薄く、比較的シリアスでシットリとしたつくりとなっています。

ヘヴィネルやアグレッションよりも、叙情性を重視したメロウなサウンドが主体なので、ヘヴィメタルとして考えるなら大きく魅力に欠けますが、“クラシカル叙情派”や“クラシカル美メロ派”のリスナーには響くかもしれません。

|メタル度:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|ヴルーヴ:★☆☆☆☆
|叙情度:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論 スルメ盤 実験作

Halford IV : Made of Metal|メイド・オブ・メタル

オリジナルアルバム – 4作目 (2010年)

US風パワーメタルやジャーマン風メロディック・スピードメタルから、初期のJUDAS PREAST風ナンバー、スペイシーなスタイルやエスニック・テイストなど、これまでになく多彩な作風がそろった意欲作。

しかしながら、それが成功しているかどうかはまた別の話。
JUDAS PREASTとしての兼ね合いで遠慮/忖度があるのか、あえてメタル的ダイナミズムやカタルシスを抑えたようにも感じさせる楽曲は、フックの効き具合も脆弱でいまひとつ突き抜けたところがありません。
〈HALFORD〉名義のみに限っても、その初期と比較するとかなりアベレージが下がった、低調な仕上がりと言わざるを得ないでしょう。

|メタル度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ヴルーヴ:★☆☆☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

スルメ盤 お布施

Celestial|セレスティアル

オリジナルアルバム – 5作目 (2019年)

ウィンターアルバムの第二弾。
申し訳程度にメタル・ナンバーも収録されているものの、前作よりもベタなクリスマス・アルバムとなっています。
「ヘヴィメタルのクリスマス・ソングをどうしても入手する必要がある」…という特殊な事情にあるユーザー以外には、もはや、お布施以上の意味は残っていないアルバムといえます。

|メタル度:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ヴルーヴ:★☆☆☆☆
|叙情度:★★★☆☆
|総合評価:★★☆☆☆

賛否両論 お布施
クリスマス : ロック¥1,833ハルフォード
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