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★ DANZIG(ダンジグ) ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|MISFITSのカリスマ・ヴォーカリストが率いるドゥーミィ&ゴシカルなUSカルト・ヘヴィロック・バンド!……必聴のオススメアルバムは?

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Contents

  1. USハードコア・シーンのカルト・ヒーローとカリスマ・プロデューサーの手で生み出された、ヘヴィ&ダウナーかつロッキンに迫る究極的ゴシック・ドゥーム・アメリカーナのオリジン!
        1. ハードコアのカリスマ『グレン・ダンジグ』とは!?
        2. グレン・ダンジグが在籍したMSFITSとは!?
        3. MSFITSからSAMHAINを経てDANZIGへ!?
        4. DANZIGの音楽性は!?:初期〜中期・黄金時代編
        5. DANZIGの音楽性は!?:中期〜末期・迷走時代編
        6. DANZIGはリック・ルービンの秘蔵っ子!?
        7. DANZIGの後続バンドへの影響は!?
        8. PRONGとTYPE O NEGATIVEとジョイント!?
  • DANZIG|DISCOGRAPHY
    1. Danzig|ダンジグ
    2. Danzig II:lucifuge|ダンジグII:ルシフュージ
    3. Danzig III:How the Gods Kill|ダンジグIII:第三の大罪~ハウ・ザ・ゴッズ・キル
    4. Thrall-Demonsweatlive|スレール – デーモン・スウィートライヴ:背信~ダンジグ・ライヴ
    5. Danzig:4|ダンジグ:4
    6. Danzig 5:Blackacidevil|ダンジグ 5:ブラック・アシッド・デヴィル
    7. Danzig 6:66:Satans Child|ダンジグ 6:66:サタンズ・チャイルド
    8. Live on the Black Hand Side|ライヴ・オン・ザ・ブラック・ハンド・サイド
    9. Danzig 777:I Luciferi|ダンジグ 777:アイ・ルシフィリ
    10. Circle of Snakes|サークル・オブ・スネイク
    11. The Lost Tracks of Danzig|ザ・ロスト・トラック・オブ・ダンジグ
    12. Deth Red Sabaoth|デス・レッド・サバス
    13. Skeletons|スケルトンズ
    14. Black Laden Crown|ブラック・レーベル・クラウン
    15. Danzig Sings Elvis|ダンジグ・シングス・エルヴィス
  • SAMHAIN|サムヘイン|DISCOGRAPHY
    1. Initium|イニシウム
    2. Unholy Passion|アンホリィ・パッション
    3. Samhain III: November-Coming-Fire|サムヘイン3:ノヴェンバー・カミング・ファイア
    4. Final Descent|ファイナル・ディセント
    5. Samhain Live ’85–’86|サムヘイン・ライヴ ’85–’86
  • GLENN DANZIG|グレン・ダンジグ ソロプロジェクト
    1. Glenn Danzig/Black Aria|グレン・ダンジグ/ブラック・アリア
    2. Glenn Danzig/Black Aria II|グレン・ダンジグ/ブラック・アリア II
  • DANZIGはこれを聴け!?ライターおすすめアルバム!
      1. 『デフ・アメリカン』在籍時のオススメアルバムは!?
      2. 初期のファンにもオススメの後期の名盤!!
      3. 『デフ・アメリカン』離脱後のオススメアルバムは!?
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  • USハードコア・シーンのカルト・ヒーローとカリスマ・プロデューサーの手で生み出された、ヘヴィ&ダウナーかつロッキンに迫る究極的ゴシック・ドゥーム・アメリカーナのオリジン!

    DANZIGのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

    DANZIG(ダンジグ)は、アメリカ合衆国ニュージャージー出身のミュージシャン、グレン・ダンジグのソロ・プロジェクトとしてのヘヴィロック・グループ。

    ハードコアのカリスマ『グレン・ダンジグ』とは!?

    自身の名を冠した、DANZIG名義のグループとして活動するグレン・ダンジグは、アメリカの伝説的ハードコア・シーンの古参グループとして、レジェント的な位置付けにある、〈MSFITS(ミスフィッツ)〉のカリスマ的なフロントマンで、同バンドのコンセプターでもある人物です。

    アメリカのオールディズ音楽も好んでおり、近年では〈エルヴィス・プレスリー〉のカバー・カバーアルバムをリリースしたことでも話題になりました。

    音楽以外では、自身でコミックレーベルルの運営も行うほどのコミックファンとして知られるほか、その短躯マッチョな体格とルックスから、X-MENの映画化の際にウルヴァリン役でオファーを受けた経歴もあります。
    また、永井豪をはじめとした日本の漫画にも造詣が深く、海外でのハードコア/メタル界隈を中心とした当時の日本マンガブームにも影響を及ぼしています

    グレン・ダンジグが在籍したMSFITSとは!?

    DANZIGがかつて在籍していた(現在復帰)〈MSFITS〉は、カルト的な人気を持つアメリカのホラーパンク・ジャンルのパイオニアで、いわゆる“スカルメイク+デビロックヘア”という、ホラーパンクの定番ファッションも生み出したことでも知られています。

    のちに、その音楽性/ビジュアルはひとつのモードとなり、日本も含めた各国でフォロアーが続出したほか、近縁ジャンルでもあるサイコビリーのシーンへも影響を及ぼしています。

    ハードコア, パンク, ロックンロールのシーンみならず、ヘヴィメタル界隈にも支持者が多く、中でも、〈METALLICA(メタリカ)〉は度々カヴァー曲として取り上げており、それによってメタルクラスタにも広く知られるようになりました。

    MSFITSからSAMHAINを経てDANZIGへ!?

    〈MSFITS〉解散後のグレン・ダンジグは、新たな活動の場として〈SAMHAIN(サムヘイン)〉を結成します。

    そこでは、〈MSFITS〉時代のキッチュでファニーな要素が濃い作風から、自身のゴシカルな美意識を押し出したシリアスでダークなスタイルへと移行し、 その活動の中で、次第にDANZIGでのスタイルを形成してゆきます。

    その後、DANZIG名義での活動へ移ることになりますが、〈SAMHAIN〉の主要メンバーはそのままDANZIGの初期メンバーもつとめており、〈SAMHAIN〉は名実ともにDANZIGの前身となったバンドでもあります。

    DANZIGの音楽性は!?:初期〜中期・黄金時代編

    DANZIGの音楽性は、〈MSFITS〉〜〈SAMHAIN〉までのパンク色の強いものとは全く異なり、一般的にもハードロック/ヘヴィメタルのジャンルとして扱われています。

    DANZIGサウンドのベースとなるのは、ブルーズやロックンロールからカントリーにまでわたるアメリカン・ルーツミュージックと、70年代のハードロック/ヘヴィロックで、そこにハードコア/パンク、ヘヴィメタルなど様々なエッセンスを取り込んだスタイルが基本です。

    これは、当時のルーツロック・リバイバルの機運も反映されたものであり、その当時のDANZIGの所属レーベル「デフ・アメリカン」自体もそのムーヴメントの中核となっていました。

    DANZIGのサウンドは、のちのドゥームメタル/ゴシックメタルにも通じるものがありますが、それらのシーンとは全く異なる流れにあり、独自に醸成されたものと考えるべきでしょう。

    ドゥーム的なダークでヘヴィでディープなサウンドではありながらも、それはドゥームメタルの主流をなす〈BALACK SABBATH〉フォロアートア一線を画したものですし、ゴシック的な耽美趣味とナルシシズムについても、ゴシックメタルの欧州的なサウンドとは異なり、80年代のゴシックロックのルーツでもある〈THE DOORS(ドアーズ)〉や〈THE VELVET UNDERGROUND(ベルベット・アンダーグラウンド)〉などのアメリカン・アートロックの流れをくむものといえます。

    DANZIGの音楽性は!?:中期〜末期・迷走時代編

    のちにグレン・ダンジグは、インダストリアル的なアプローチを志向するようになり、所属レーベルからの離脱やオリジナルメンバーの脱退を機に、本格的にヘヴィなインダストリアル・メタルへと移行します。

    その後は、インダストリアル・テイストにはさほどこだわらず、ヘヴィネスを強調した同時代なメタル/ロックサウンドを展開するようになります。

    近年では、再び初期のスタイルに回帰して、レイドバックしたオーガニックなヘヴィロックへのリバイバルを見せたほか、エルヴィス・プレスリーのカバーアルバムをリリースして話題にもなりました。

    DANZIGはリック・ルービンの秘蔵っ子!?

    DANZIGが初期に展開したルーツロック系のヘヴィロック路線は、当時所属していたデフ・アメリカン(現アメリカン・レコーディングス)のオーナーでカリスマ・プロデューサーである、〈リック・ルービン〉の意向も影響を及ぼしています。

    当時ロック一般からHIPHOPや〈SLAYER(スレイヤー)〉まで様々な個性派アーティストを手がけていたルービンは、“オルタナティヴの米国ルーツロック・リバイバル”とでもいうべきコンセプトで、新世代アメリカンロックを次々と送り出していました。

    メインストリームに躍り出た〈BLACK CROWS(ブラック・クロウズ)〉が、その出世頭でしたが、その他にも80年代USドゥームの立役者〈TROUBLE(トラブル)〉や、今ではストーナー・シーンのカリスマとなったクリス・ゴス率いる〈MASTER OF REALITY(マスター・オブ・リアリティ)〉などが挙げられます。

    DANZIGもまたその一角であり、それらの中では最もヘヴィでダークな空気を発散させた異色の存在でありながらも、看板バンドのひとつとして推されていました。

    ルービンは初期4作品でプロデュースを努めていますが、その際には、音楽的コンセプトについてもグレン・ダンジグと共に練り上げたとされています。

    DANZIGの後続バンドへの影響は!?

    DANZIGのヘヴィでダウナーなドゥーム/ゴシック・アプローチは、ゴシックメタルやドゥームメタルの台頭やシーン形成にも先んじた先鋭的なものでした。
    そのサウンドは、シーンの主流になることはありませんでしたが、一部の後続グループに対しては多大な影響を及ぼしています。

    その代表格には、のちにUSゴシックの代名詞となる〈TYPE O NEGATIVE(タイプ・オー・ネガティヴ)〉があり、そのサウンドは完全にDANZIGのメソッドとスタイルの流れをくむものでした。

    また、主に北欧を中心としたヨーロッパにおけるデス&ロール/ゴス&ロールのシーンにも、DANZIGの影響下にあるグループが多数見られます。

    PRONGとTYPE O NEGATIVEとジョイント!?

    ルービンとの不和からメジャーのデフ・アメリカンから離れて、〈SAMHAIN〉時代からの盟友達とも袂を分かったグレン・ダンジグは、インディペンデント・シーンでの趣味性の強い活動を選び、作品も自身のレーベルからリリースが中心となっています。

    バンドも完全なソロ体制となって、メンバーが安定しな買った時期も長く、一時は短期間ながら〈TYPE O NEGATIVE〉のジョニー・ケリー(Johnny Kelly)とケニー・ヒッキー(Kenny Hickey)を迎えて、2世代USドゥーム・ゴスのドリームバンド状態で活動したこともありました。

    なお、ジョニー・ケリーは、〈TYPE O NEGATIVE〉のフロントマンだったペーター・スティール亡き後は、DANZIGのパーマネントメンバーとして参加しており、現在は、そこに〈PRONG〉のトミー・ヴィクターと、かつての盟友イーリー・フォンや〈MSFITS〉のドイルの同級生スティーブ・ジンを加えた編成が、現行DANZIGの基本形となっています。

     

    次ページはDANZIGのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

    DANZIG|DISCOGRAPHY

    Danzig|ダンジグ

    オリジナルアルバム – 1作目 (1988年)

    この時期にリック・ルービンが『デフ・アメリカン』から送り出した、新世代アメリカンロックの中では、80年代ドゥームの代表格だった〈TROUBLE〉と並んで、もっともヘヴィな1枚だったのがこのアルバム。

    ブルーズ,ロックンロール,カントリーなどのルーツミュージックとヘヴィメタル,ハードロックが渾然一体となって、ゴシック的なダークな美意識で味付けされたヘヴィ・ロックンロールに、“邪悪なエルビス”などとも表現されジム・モリソンも彷彿させるグレンのディープな歌声が乗るサウンドは、古くて新しく、どこかにありそうでどこにも無かったワン・アンド・オンリーなものでした。

    初期のDANZIGの中でも、特にオーソドックスなメタル/ハードロックに近い本作は、その作風から〈MISFITS〉のパンキッシュなサウンドを期待するリスナーには不評でしたが、90年代に花開くドゥームメタル,USゴシックメタル,デスンロールなどに先鞭をつけた、「早すぎた1枚とも」呼べる重要作で、範囲は狭いものの確実にヘヴィミュージックシーンを侵食してゆき、フォロアーも少なからず生み出しています。

    DANZIGとしてのスタイルはこの時点ですでに完成を見ており、アルバムとしても捨て曲なしの充実度で、名盤ぞろいの「デフ・アメリカン」時代の中でも代表作に挙げられることの多い1枚です。
    また本作には、数少ないヒットナンバーでアンセム曲でもあるT-06『Mother』や、数々のロックバンドによってカバーされたブルースの名曲カバーT-09『The Hunter(オリジナルはアルバート・キング)』も収録されています。

    |メタル度:★★★★☆
    |ルーツ度:★★★☆☆
    |ロッキン度:★★★★☆
    |ドゥーム度:★★☆☆☆
    |ゴシック度:★★☆☆☆
    |総合評価:★★★★★+

    殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
    ハードロック¥1,069Danzig
    iTunes Store

    Danzig II:lucifuge|ダンジグII:ルシフュージ

    オリジナルアルバム – 2作目 (1990年)

    DANZIGのでディスコグラフィー中では、ヘヴィメタルテイストはやや控えめで、最もオーガニックな質感を持つアルバム。

    基本的には前作を踏襲したダークなヘヴィロックですが、よりブルーズ,カントリーなどのルーツミュージック色を増してレイドバックした、ブルージーでロッキンな楽曲が目立つ作風となっており、曲によっては、いわゆるゴシック・カントリーの先駆けと呼べそうなものも見られます。

    DANZIGがリック・ルービンと組んでいた初期作品は、どれをとっても見事な仕上がりを見せており、本作もまた、前作に引き続いて独創的でフックにあふれた捨て曲無しの必携盤です。

    〈エルヴィス・プレスリー〉のカバーアルバムでDANZIGに興味を持ったリスナーが、本格的なDANZIGワールドへの入り口とするなら、本作がイチ押しと言えるでしょう。

    |メタル度:★★★☆☆
    |ルーツ度:★★★★★
    |ロッキン度:★★★★★
    |ドゥーム度:★★☆☆☆
    |ゴシック度:★★☆☆☆
    |総合評価:★★★★★+

    殿堂入り 代表作 入門盤 通好み スルメ盤 実験作
    ハードロック¥1,324Danzig
    iTunes Store

    Danzig III:How the Gods Kill|ダンジグIII:第三の大罪~ハウ・ザ・ゴッズ・キル

    オリジナルアルバム – 3作目 (1992年)

    ベーシックな部分では従来のスタイル作風を踏襲しつつも、これまで以上にダーク&ダウナーな色合いを深めており、DANZIGが自身の流儀でドゥーム/ゴシック路線を追求したとも解釈できるアルバムです。

    過去作と比較するとヘヴィネス,ダークネス,ディープネス、どれもが大きく増しており、シリアスな圧力に満ちあふれた作品に仕上がっています。

    ドラマティシズムとロマンティシズムが増して、やや凝った展開が大仰な印象を与える作風は、前作までのリスナーには評価が分かれるところかもしれませんが、逆に、ドゥームメタル/ゴシックメタル系のクラスタも含むダーク志向のメタルリスナーにとっては、1st以上になじみやすい1枚と言えるかもしれません。

    アルバムのアートワークは、多くのメタル/ロックバンドのジャケットを飾り、メタル界隈でも欠かせない存在となったスイスのアーティスト〈H・R・ギーガー〉の手によるもので、数あるギーガージャケットの中でも強烈な印象を残す1枚です。

    |メタル度:★★★★☆
    |ルーツ度:★★★★☆
    |ロッキン度:★★★☆☆
    |ドゥーム度:★★★★☆
    |ゴシック度:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★★+

    殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

    Thrall-Demonsweatlive|スレール – デーモン・スウィートライヴ:背信~ダンジグ・ライヴ

    ミニアルバム (1993年)

    アルバム未発表曲とライヴ音源で構成されたミニアルバム。

    2020年にリリースされるプレスリー・カバーアルバム『Danzig Sings Elvis』に先駆けた、エルヴィスのカバー曲『Trouble』も収録されており、DANZIGのエルヴィス・フリークぶりが確認できます。

    とはいえ、ここでは後の『Danzig Sings Elvis』とは異なり、かなりヘヴィメタリックなアレンジが施されています。

    |メタル度:★★★☆☆
    |ドゥーム度:★★★☆☆
    |ゴシック度:★★★☆☆
    |ルーツ度:★★★☆☆
    |マニア度:★★★★☆
    |総合評価:★★★★★

    殿堂入り 入門盤 通好み

    Danzig:4|ダンジグ:4

    オリジナルアルバム – 4作目 (1994年)

    名伯楽リック・ルービンと組んで、「デフ・アメリカン」からリリースされた最後のアルバム。
    音楽性は、前作『Danzig III:How the Gods Kill(3rd)』で舵を切ったゴシック/ドゥーム路線の流れの上にあり、ミッド〜スローテンポが主体でヘヴィネス重視のダークでドゥーミィな作風は前作同様ですが、よりゴシカルな耽美性が強調された作り込まれた作風となっています。

    楽曲バリエーションは豊富で、従来通りのヘヴィなロックンロールやドゥーム寄りのヘヴィ&ダウナーなナンバーから、エモーショナルでメロディアスなヘヴィバラッド、アンビエント風のナンバーまでと、多様性では全カタログ中でもトップに位置する1枚です。

    サウンドの質感にについても、前作までのオーガニックなテイストの強い音づくりから、ややマシーナリーで無機質なテイストを漂わせる端正なものへの変化が見られ、また、部分的にはインダストリアル風味のエレクトロニックなサウンド処理も施されています。
    このあたりからは、次作からのインダストリアル・メタル展開の予兆も感じさせますが、ここではあくまでも彩り程度に収まっており、デジタル風味が苦手なリスナーでもそれほど抵抗なく聴ける範囲でしょう。

    よりドゥーミィによりゴシカルに深化/進化して緻密に作り込まれた重厚なサウンドは、過去作にあった生々しさが薄れたたことで好みが分かれるかもしれませんが、それを差し引いても、総合的に見れば名盤といわざるをえないのは確実です。
    粒ぞろいの楽曲が並んだ一分のスキも無い充実作として、有無を言わさぬほどの圧倒的完成度を誇っている事実は揺るぎようがなく、第1期DANZIGの総決算にしてひとつの頂点と言っても過言ではありません。

    |モダン度:★★★★☆
    |ルーツ度:★★☆☆☆
    |ロッキン度:★☆☆☆☆
    |ドゥーム度:★★★☆☆
    |ゴシック度:★★★★☆
    |総合評価:★★★★★+

    殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
    ハードロック¥1,324Danzig
    iTunes Store

    Danzig 5:Blackacidevil|ダンジグ 5:ブラック・アシッド・デヴィル

    オリジナルアルバム – 5作目 (1996年)

    音楽性をめぐる確執からリック・ルービンの元を離れ、新興レーベル「ハリウッド」へ移籍、さらには、長年の盟友イーリー・フォン(Eerie Von:Ba.)や、チャック・ビスケッツ(Chuck Biscuits:Gt.)ら、これまでのメンバーとも袂を分かってワンマン状態となった作品。

    その背景が透けて見えるような、素人の手によるDTPワークが丸わかりなジャケットが物悲しさを漂わせる本作は、グレン・ダンジグ本人のインダストリアルサウンドへの興味と、ソロ状態で思うようにメンバーが集まらなかったことが理由と思われるインダストリアル路線の第一弾で、大いにファンの物議を醸すことになりました。

    かように評判はかんばしくないものの、楽曲自体はこれまでの延長線上にあるつくりであり、魅力的な上々の仕上がりを見せています。
    しかしDANZIG本来の持ち味と彼が導入したインダストリアルサウンドの相性が壊滅的なまでに悪く、数曲を除いては完全にお互いを相殺したことで印象を落としています。

    ヘヴィネスを欠いた上にインダストリアルならではの試みも特に見られず、単なるローファイな打ち込みサウンドに収まっていますし、ヴォーカルも高・中音域メインでエフェクトをかけてあるため、グレン・ダンジグの大きな魅力でもマッシヴでディープな歌声が台無しな上に、高音での線の細さが目立ってしまい良いところがありません。

    〈ALICE IN CHAINS〉のギタリストジェリー・カントレルのゲスト参加や、〈BLACK SABBATH〉の名曲『Hand of Doom』のカバーもあまり意味を成していませんが、楽曲の骨子自体は悪くないだけに、ここは是非ともセルフリメイクが待たれるところです。

    |モダン度:★★★★☆
    |インダス度:★★★★★
    |ロッキン度:★★★☆☆
    |ドゥーム度:★☆☆☆☆
    |ゴシック度:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★☆

    賛否両論 通好み 実験作

    Danzig 6:66:Satans Child|ダンジグ 6:66:サタンズ・チャイルド


    オリジナルアルバム – 6作目 (1999年)

    前作に続いて、インダストリアル・メタル路線の一環とみなされているアルバム。

    ただし、本作はドラムも含めた完全なバンドサウンドに戻っており、サウンドも前作ほどにはデジタル色は濃厚でなく、部分的なデコレーション程度にとどまっています。

    前作に見られたダンサブルなナンバーは皆無で、3rdや4thあたりの作風に通じるディープでドゥーミィなヘヴィ・チューンが主体となっており、インダストリアル・ドゥームとでも呼べそうな作風も見られます。

    クオリティは決して低いわけではなく、楽曲を個別に聴き込めばそれなりに旨味も感じられるのですが、構成/展開が全体的にシンプルで、ややミニマル気味の楽曲が大半を占めており、過去作のような強烈なフックを持った曲は見られません。

    そういった作風に加え、アトモスフェア頼りの傾向が強いこともあって、アルバムを通して見るとやや変化に乏しくボンヤリとした印象があり、リスナーによっては聴き流し系アルバムで終わりかねない危惧もあり、やや聴き込みを要する1枚とも言えます。

    |モダン度:★★★★★
    |インダス度:★★★☆☆
    |ロッキン度:★☆☆☆☆
    |ドゥーム度:★★★★☆
    |ゴシック度:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★☆

    賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

    Live on the Black Hand Side|ライヴ・オン・ザ・ブラック・ハンド・サイド

    ライヴアルバム (2001年)

    Danzig 777:I Luciferi|ダンジグ 777:アイ・ルシフィリ

    オリジナルアルバム – 7作目 (2002年)

    基本的な音づくりは前作から大きな変化はありませんが、初期の「デフ・アメリカン」在籍時に近いロッキンなテイストも目立つようになり、曲によっては、この時期のマシーナリーなヘヴィサウンドで初期の楽曲を演奏しているような印象もあります。

    楽曲の多様性については前作から広がりを見せてはいるものの、なまじ初期に近い作風が目立つために、残念ながら、曲の出来栄えが初期の名曲群に全く及ばないことを実感させる皮肉な結末となりました。

    前作同様に、それなりに聴ける内容ではあるものの、初期の名盤と比較すると圧倒的にフックを欠いているという欠点は解消されておらず、あえて言えば、初期の作風とはやや毛色の異なるT-09が印象に残る程度。
    凡百のバンドならいざ知らず、DANZIG作品として判断するならギリギリ及第点に届くかどうかで、凡庸な仕上がりと言わざるを得ないでしょう。

    |メタル度:★★★★☆
    |ドゥーム度:★★★☆☆
    |ゴシック度:★★☆☆☆
    |ロッキン度:★★★☆☆
    |マニア度:★★★★☆
    |総合評価:★★★☆☆

    入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤

    Circle of Snakes|サークル・オブ・スネイク

    オリジナルアルバム – 8作目 (2004年)

    〈PRONG〉のトミー・ヴィクターが加わった最初のアルバム。これ以降ヴィクターは、〈PRONG〉や〈MINISTRY〉との掛け持ちながら、パーマネントなメンバーとして参加するようになります。

    前作でのロッキンな原点回帰的アプローチは無かったことに…とまではいかないものの、かなり控えめで、再び同時代的なモダンメタル・サウンドのを用いた、ドゥームメタル寄りのスロー〜ミッドテンポ主体の作風となりました。

    その意味では、『Danzig 6:66:Satans Child(6th)』に近いアプローチとも言えますが、〈BLACK SABBATH〉風の曲も見られるなど、よりオーソドックスなドゥーム/スラッジやグルーヴメタル/ニューメタルへの接近傾向が目立ちます。
    『Danzig 5:Blackacidevil(5th)』以降のインダストリアル路線に括られることもありますが、ヘヴィメタル的なソリッドなサウンドではあるとはいえ、インダストリアル風味は希薄です。

    00年代の作品としては、原点回帰風味の前作の方が評価される傾向があるものの、コンセプトの一貫性という点でも、楽曲アベレージにおいても、本作の方がいくらかリードしています。

    |モダン度:★★★★★
    |インダス度:★★☆☆☆
    |ロッキン度:★★☆☆☆
    |ドゥーム度:★★★★☆
    |ゴシック度:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★☆

    通好み スルメ盤 実験作

    The Lost Tracks of Danzig|ザ・ロスト・トラック・オブ・ダンジグ

    レアトラックアルバム (2007年)

    「The Lost Tracks of Danzig」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

    Deth Red Sabaoth|デス・レッド・サバス

    オリジナルアルバム – 9作目 (2010年)

    〈PRONG〉のトミー・ヴィクター(Gt.)に続いて、過去に2度ほど短期での参加経験がある元〈TYPE O NEGATIVE〉のジョニー・ケリー(Dr.)が、パーマネントなメンバーとして加入した最初のアルバム。

    前々作『Danzig 777:I Luciferi(7th)』以来の原点回帰路線ですが、申し訳程度の“なんちゃって原点回帰”だった前々作とは異なり、本腰を入れて本格的な原点回帰を目指しています。

    ここ数作とは異なるオーガニックな質感を強めた音づくりと、アップテンポなロックンロール・ナンバーも含むルーツアメリカン・テイストを強めた楽曲は、まさに初期3作品を意識した仕上がり。
    印象に残るフレーズやリフワーク、メロディが満載のフッキーな作風という点においては後期作品では随一ですし、それだけに佳曲も豊富で、聴き応えは申し分のない充実作と言えます。

    とはいえ、全体的にシェイプ不足でツメの甘さが目立ちますし、出来栄えだけを見るならば、さすがに名曲ぞろいで捨て曲なしの初期作品と比較すると見劣りはやむを得ないでしょう。

    そんな中で、メロディアスなヘヴィロック・ナンバーT-06は、初期の名曲に比肩しうるキャリア後期では屈指のキラーチューン。
    この名曲の存在は大きく、本作の骨子として全体の印象を決定づけるだけでなく、アルバムのグレードを一段も二段も引き上げています。

    「デフ・アメリカン」離脱以降のアルバムの中ではでは間違いなくベストの出来栄えであり、初期の名盤には一歩及ばないとはいえ、あえて“キャリア後期の名盤”称号を授けるとするなら本作をおいて他にありません。

    |メタル度:★★★★☆
    |ルーツ度:★★★★☆
    |ロッキン度:★★★★☆
    |ドゥーム度:★★★☆☆
    |ゴシック度:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★★

    殿堂入り 代表作 入門盤 通好み スルメ盤

    Skeletons|スケルトンズ

    カバーアルバム  (2015年)

    |メタル度:★★★☆☆
    |選  曲:★★★★☆
    |アレンジ:★★★★☆
    |意外性:★☆☆☆☆
    |そのまま度:★★☆☆☆
    |総合評価:★★★★☆

    通好み スルメ盤

    Black Laden Crown|ブラック・レーベル・クラウン

    オリジナルアルバム – 10作目 (2017年)

    |メタル度:★★★★☆
    |ルーツ度:★★★★☆
    |ロッキン度:★★★★☆
    |ドゥーム度:★★★☆☆
    |ゴシック度:★★★☆☆
    |総合評価:★★★★★

    入門盤 通好み スルメ盤

    Danzig Sings Elvis|ダンジグ・シングス・エルヴィス

    トリビュートカバーアルバム (2020年)

    |メタル度:★☆☆☆☆
    |選  曲:★★★☆☆
    |アレンジ:★★☆☆☆
    |意外性:★☆☆☆☆
    |そのまま度:★★★☆☆
    |総合評価:★★★☆☆

    通好み スルメ盤