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★ MORGOTH(モーゴス)ディスコグラフィー ★ アルバムごとに独自のスタイルを極めた実験精神にあふれたジャーマン・デスメタルの重鎮!!…必聴アルバムは?

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ブルータル・デスメタルからインダストリアル・メタルまで、作品ごとに先進的な作風を極めて我が道を行くも歴史の影に消えた、通好みな実験的なジャーマン・デスメタルの名バンドの足跡は!?

MORGOTHのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

MORGOTH(モーゴス)は、ドイツを代表するデスメタル・バンドのひとつ。

ジャーマン・デスメタル・シーンの傾向は!?

ドイツは、エクストリーム・ミュージック先進国のイギリスや北欧を除くヨーロッパエリアでは、フランス,オランダと並んで、トップ両国に続くデスメタル第三勢力と見なされています。

ドイツは、スラッシュメタル・ムーヴメントの中で、HOLY MOSES(ホーリィ・モーゼス)やPROTECTOR(プロテクター)といった、デスメタルに匹敵するブルタリティを有する、プロト・デスメタル・バンドをいくつも輩出していました。

その反動からか、デスメタル・ムーヴメントの全盛期にも、それ以降においても、それほど活況を呈して大きな存在感は示すには至らず、第三勢力に甘んじていましたが、MORGOTHを筆頭に実力派のグループを輩出しています。

ジャーマン・デスメタルのトップ・グループ!?

MORGOTHと時期を同じくした活動していたジャーマン・デスメタルのグループには、〈ATOROCITY(アトロシティ)〉〈OBSCENITY〉〈FLESHCRAWL〉〈LEMMING PROJECT〉などがあります。

これらは、そのいずれもがオールドスクールなデスメタルからスタートして、それぞれが異なるアプローチを追求してゆきますが、この中でMORGOTHは、〈ATOROCITY〉と共に早くから実験的で野心的なアプローチに取り組んでいたグループでした。

MORGOTHは、活動においては長いブランクもあって、作品数も多くはありませんが、独自性,技量,楽曲クオリティの全てにおいて、〈ATOROCITY〉と共々抜きんでた存在であり、この2バンドはジャーマン・デスメタルの代表格とも見なされており、共に日本盤デビューも果たしています。

MORGOTHの音楽性は!?:デスメタル期

MORGOTHは、それほど長くないキャリアと多くはないカタログの中においても、何度となく音楽性の変更を行っています。

シングル主体で活動していた最初期は、比較的オーソドックスなスタイルのブルータル・デスメタルを追求していましたが、デビューアルバムにおいては、ゴシック的な欧州暗黒耽美趣味をまとった、禍々しくもスタイリッシュなデスメタルへと到達。

これが、類型的なデスメタル・サウンドや、アイデアやセンスが伴わないB級デスメタルに飽きてきていた、先鋭的なリスナーの注目を集めます。

MORGOTHの音楽性は!?:ポスト・デスメタル期

1stアルバム以降は、オーソドックスなデスメタルから距離を置いて、アルバムごとに新たな試みを用いて作風を大きく変化させ、『ポスト・デスメタル』を模索するアプローチを見せます。

2ndアルバムでは、スラッシュメタル/ハードコア寄りの作風に移行しつつ、ヘヴィグルーヴやインダストリアル・テイストを取り入れた作風を展開。

3rdアルバムにおいては、完全にデスメタルから脱却して、本格的なインダストリアル・メタルへと変貌を遂げまていました。

しかし、これらの実験的アプローチが保守的なデスメタルのリスナーには不評だったこともあってか、そのまま活動停止となる事態となります。

MORGOTHの音楽性は!?:再結成後

00年代のスラッシュメタル・リバイバルを経て、オールドスクール・デスメタルのリバイバルの機運も高まったことを追い風に、MORGOTHも2010年に活動を再開します。

復活後は、キャリアの総決算的な作風のアルバムをリリースしますが、結果的にその1枚のみで打ち止めとなり、2020年には再び解散状態へと突入しています。

なお、アルバムデビューから最初の解散までは、メンバーの変更は行われていませんでしたが、再結成後にはオリジナルメンバーは、ツイン・ギタリストのハラルド・ブッセとセバスチャン・スワート(再結成後はベースを担当)のみとなり、それ以外は総入れ替えとなっています。

次ページはMORGOTHのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

MORGOTH|DISCOGRAPHY

Pits of Utumno|ピッツ・オブ・ウトゥムノ

デモ (1988年)

Resurrection Absurd|リザレクション・アブザード

ミニアルバム (1989年)

スラッシュメタルの延長上にある、ストレートな突進型デスメタル路線ながら、アメリカ系イギリス系とも北欧系ともひと味異なる個性を持った基本的な作風はこの頃から完成されています。

楽曲は荒削りで音質も良いとは言えず、完成度にはムラも見られるものの、この時代のデスメタルの平均レベルは軽くクリアしており、バンドのポテンシャルは感じられます。
また、アートワークはいかにもデスメタルな悪趣味なものですが、MORGOTH特有の美意識の一端もうっすらとながらのぞかせています。

|王道デス度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

賛否両論 通好み

The Eternal Fall|ジ・エターナル・フォール

ミニアルバム (1990年)

音楽性からジャケットに至るまで前作と全く同路線で、現在では、その2作品のスプリットを中心に出回っています。

音質がやや向上した印象もありますが、根本的に大きな変化や進化は見られず、本格的な独自性の確立にはデビュー・フルアルバムを待つしかありません。

MORGOTHのキャリアとしての中では、あくまでも過渡期の1枚に過ぎませんが、この時期のオールドスクール・デスメタル特有の、アングラなB級感覚を好むリスナーも少なくはないでしょう。

|王道デス度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|ゴシック度:☆☆☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

賛否両論 通好み

Cursed|カースド

オリジナルアルバム – 1作目 (1991年)

フルレンスのデビューアルバムとなる本作は、音楽性の基盤となるのは、これまでの延長上にあるブルータルなオールドスクール・デスメタルですが、ここでは、洗練と進化を経て驚くほどの成長を遂げ、印象も新たになりました。

本作の最大の特徴となる要素は、同時期の初期ゴシックメタルにも通じるヨーロッパ的暗黒耽美趣味。
ゴシックメタル化したわけではありませんが、イントロ/アウトロや部分的なフレーズなど随所に耽美的な演出を施すことにより、エクストリームなブルータル・サウンドはそのままに、ゴシカルな美意識にあふれた作風へと変化を見せています。

アートワークも、これまでのいかにもなB級テイスト漂うグロテスクな悪趣味ホラー路線から、耽美的で洗練されたなものとなり、従来路線からは完全に一新されたたことを印象付けています。

|王道デス度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ゴシック度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤 実験作

Odium|オディウム

オリジナルアルバム – 2作目 (1993年)

この時期は、〈ENTOMBED〉などオールドスクールなデスメタルのパイオニア世代の中で、オーソドックスなデスメタル・サウンドから脱却した“ポスト・デスメタル”を目指す流れが目立った時期で、本作もそれを意図したと思しきアプローチをとっています。

前作で導入したゴシック・テイストを強めるかと思いきや、一転して、耽美的なデコレーションを取り払った、タイトでソリッドなサウンドへと変貌と遂げており、スラッシュメタルのテイストやハードコアな質感を強めたほか、ヘヴィなグルーヴやインダストリアル風のハンマービートも導入しています。

デスメタルのスタンダードから距離を置いたサウンドは、同時期の〈ENTOMBED〉を想起させる部分もあり、リアルタイムでは、オールドファンからおおむねブーイングで迎えられたという点でも同様です。

ただし、基本的には前作を踏襲したサウンドを基調としており、完成度についても前作に劣らぬ見事なもの。
その意味では、デスメタル・ジャンルにおける“過小評価アルバム”の代表例のひとつといえる位置付けに、長いこと置かれていましたが、近年ではやや再評価の気配も見られます。

|王道デス度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ゴシック度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
メタル¥1,833Morgoth
iTunes Store

Feel Sorry for the Fanatic|フィール・ソーリィ・フォー・ザ・ファナティック

オリジナルアルバム – 3作目 (1996年)

デスメタルはおろか、前作でのデスラッシュやグルーヴ・スラッシュ系のサウンドからも完全に脱却し、本格的なインダストリアル・メタルへと完全な変貌を遂げたアルバム。

ミッドテンポ主体で、時おりゴシカルな耽美要素も漂わせ、また時にはエレクトロニックなEDM展開も見せる、スペーシーなインダストリアル・メタルで、そのサウンドは、イギリスの元祖インダストリアル・バンド〈KILLING JOKE〉の90年代の作品を想起させます。

不評の要因の大半が、メタル保守のアレルゲン反応が現れただった前作はともかくとして、本作での音楽性の変化については、評価が割れるのは致し方ないところでしょう。

決定的な独自性の確立に届いていない点はマイナス要因とはいえ、クオリティについては申し分の無い出来栄えなのですが、残念ながら新たなファンを開拓することは叶わず、オールドファンを唖然とさせるだけに終わりました。

|王道デス度:☆☆☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|ゴシック度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★★★
|総合評価:★★★★★

賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

1987-1997: The Best of Morgoth|ザ・ベスト・オブ・モーゴス

ベストアルバム (2005年)

Cursed to Live|カースド・トゥ・ライヴ

ライヴアルバム (2012年)

彼らの代表作である名盤『Cursed(1st)』のタイトルを冠した、再結成後のライヴ・アルバムで、ジャケットもそれを意識したデザインとなっています。

確かに、その『Cursed』収録曲を中心としたセットリストなのですが、『Cursed』そのままなのはT-01〜04までの流れのみで、近年目立つようになった“アルバム完全再現ライヴ”というわけではありません。

God Is Evil|ゴッド・イズ・イーヴル

シングル (2014年)

Ungod|アンゴッド

オリジナルアルバム – 4作目 (2015年)

再結成後のMORGOTHにとっては、唯一となるオリジナル・フルアルバム。

スラッシュ/デス系に限らず、こういったリユニオン/再結成アルバムは、最大公約数的な総決算スタイルや、最も人気の高いアルバムに寄せた路線になりがちですが、本作もまた、ある意味ではそれに則っています。

ここで聴けるのは、過去3枚のアルバムでの作風をプラスして、さらに不評だったエレクトロニックな要素を払拭し、デスメタルへと回帰したようなサウンドです。
一聴すると想定の範囲内にも思えますが、よく聴けば、単なるにオールドファン接待系の、懐古的なオールドスクール・リバイバルにとは無縁な現在進行形サウンドに仕上げたあたりに、彼らの意地を感じることはできます。

とはいえ、ミッドテンポ主体でドゥーミィ&グルーヴィな作風と、厚みのあるヘヴィネスを強調させた重層的なサウンドは特に新奇ものではなく、あえていえば再結成後の〈CELTIC FROST〉が比較的近い質感で、また〈MORBID ANGEL〉のミッド・チューンにも近いイメージですし、シンセ抜きの〈SAMAEL〉といった印象もあります。

それほど多岐にわたって手を広げずに、やや生真面目に手堅くまとまってしまった無難な印象もあり、実験性重視のリスナーに取ってはやや不満も残りますが、逆にオールドファンから新世代リスナーにまでアピールし得る、普遍性を持った仕上がりと言えます。

|王道デス度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★★★☆☆
|ゴシック度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★

代表作 入門盤 通好み スルメ盤 実験作
メタル¥1,833Morgoth
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