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★ HYPOCRISY(ヒポクリシー) ディコグラフィー ★ 宇宙人メロデスからスタイリッシュなインダストリアルの新星へ転身を遂げたカリスマ・プロデューサー!?…必聴アルバムは?

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先鋭性と作家性が希薄な職人的プロデューサー兼ミュージシャンが、ライバルの背中を追い続け、インダストリアル・メタル・シーンで世界的ステイタスを築くまでに生み出された、デスメタル・アルバムの評価は?

HYPOCRISYのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

HYPOCRISY(ヒポクリシー)は、スウェーデンのデスメタル・バンド。

北欧の鬼才ペーター・テクレン率いるバンド!?

HYPOCRISYは、フロントマンのペーター・テクレン(Peter Tägtgren:Gt.&Vo.)を中心としたグループ。

テクレンは、パーマネントなバンドやサイド・プロジェクトで活動のほか、自身のスタジオも所有して、地元スウェーデンのアンダー・グラウンド・シーンを中心に、プロデューサー兼エンジニアとして数多くのバンドを手がけています、

また、様々なプロジェクトやバンドのサポートなどで多数のコラボ経験を持つ、セッション・ミュージシャンとしても幅広く活動しています。

HYPOCRISYのバンド体制は!?

HYPOCRISYはテクレン主導のグループで、プロデュース/ミキシングなども本人が手がけていますが、ソングライティングにおいては他のメンバーも積極的に関わっており、クレジットは常にバンド名義になっています。

5人編成のデビュー時のラインナップは、1stアルバムのみに終わり、それ以降はミカエル・ヘドランド(Ba.)とラーズ・セーケ(Dr.)の3人を中心とした体制となっていました。

なお、現在のオリジナルメンバーは、テクレンと創設時から現在までのパートナーであるヘドランドの2人のみとなっていますが、ペースは大きく落ちたものの、アルバムもリリースも含めて活動を続けています。

スウェディッシュ・デスのトップ・グループ!?

HYPOCRISYは、スウェーデンのオールドスクールなデスメタル・シーンにおいてトップグループの一角を占めていますが、やや後発ということもあって、一般的には、パイオニアにあたる〈ENTOMBED〉〈DISMEMBER〉〈GRAVE〉〈UNLEASHED〉の“BI4”に次ぐ二番手、三番手に位置付けられています。

中心人物のテクレンは、どちらかというと職人肌のミュージシャンでもあり、先鋭性や先見性,強烈な個性や作家性に秀でた部分は見られません。
しかし、既存のスタイルを組み合わせて水準以上のものを作り出す能力には長けており、それはHYPOCRISYのスタイルにも明確に反映されていますし、ビッグネームをから声がかかる一因かもしれません。

HYPOCRISYの音楽スタイルは!?

HYPOCRISYは、オーソドックスなスタイルのデスメタルとしてスタートしていますが、当初は、典型的なスウェディッシュ・オールドスクール・デスメタルとは、やや毛色の異なるサウンドを展開していました。

『ポスト・デスメタル』『ネクスト・デスメタル』の動きが盛んになった90年代の半ばからは、90年代型のスウェディッシュ・デスラッシュやドゥームメタルの要素も取り入れつつ、扇情的なメロディを強調したスタイルへとシフトしてゆきます。

これにより、同時期の〈DISMEMBER〉などにも近い、いわゆるメロディック・デスメタルにも通じる、メロディアスなデスメタルを展開するようになり、これがHYPOCRISYの基本スタイルとして定型化することになります。

ペーター・テクレンとダン・スウォノはライバル!?

テクレンは、やはりスウェーデンの鬼才と呼ばれるダン・スウォノとは、活動内容やシーンでの立ち位置などで重なる部分や共通点が多々見られます、
そのこともあって、バンドで共演するなど友好的な関係でありながらも、その先進的な活動に刺激を受けつつ、ライバル視していた節もあります。

デスメタルへの、エモーショナルなメロディやゴシック的耽美エッセンスの導入や、ゴシック/ニューウェイヴ・テイストを持ったソロプロジェクトの始動など、過去の活動の足跡などからは、意識してかせずか先行するスウォノに対抗してそれをトレースしたかのような形跡も見て取れます。

RAMMSTEINのメンバーとのタッグで世界的ミュージシャンに!?

テクレンは、サイド・プロジェクトのPAIN(ペイン)を中心としたインダストリアル・メタル路線にも重きを置いており、積極的な活動を展開していました。

その活動が実って、〈RAMMSTEIN〉のティル・リンデマンからプロジェクトのパートナーとして抜擢を受け、20021年までは〈LINDEMANN〉名義のユニットとしても活動を行っていました。

これにより、デスメタルの枠を超えて注目を集めたことも手伝い、インダストリアル・シーンにおいては、知る人ぞ知る存在として北欧のみならず世界的に知名度を高めています。

それも含め、一歩先を行くダン・スウォノの影を追うフォロアーに過ぎなかったテクレンも、世界的な知名度の高さとビッグメームとの共演という点においてはスウォノを超えるキャリアを実現したと言えます。

次ページはHYPOCRISYのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

HYPOCRISY|DISCOGRAPHY

Penetralia|ペネトレーション

オリジナルアルバム – 1作目 (1992年)

テクレンのセルフ・プロデュースによるデビューアルバム。

この時点では、専任ヴォーカリストとして、後にDARK FUNERALやWITCHERYに参加するメッセ・ブロバーグ、リードギターのヨナス・オスターベルクを加えた5人編成となっており、その顔ぶれによる唯一のアルバムとなります。

オールドスクールなスウェディッシュ・スタイルながら、USデスメタル的なヘヴィな質感も兼ね備えた重厚感のある音作りは、スカンジナビア系に多いB級臭さをあまり感じさせません。

楽曲もややムラはあるものの、おおむね上々の仕上がりを見せており、光る部分も随所に見て取ることができます。

|王道デス度:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|独自性:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤

Osculum Obscenum|オスカラム・オブセナム

オリジナルアルバム – 2作目 (1993年)

リードギターのオスターベルクが抜けた、4人編成での唯一のアルバムで、一般的には初期の代表作にあげられることも多い作品です。

おおむね前作と同路線ですが、ややストレートなスタイルでブラッシュアップしたようなつくりで、クオリティについては代表作の名に恥じないトップクラスの出来栄えを見せています。

また、ギターの音色や質感については、前作と比較するとスウェディッシュ・テイストをかなり強めたものとなっています。

T-05『Black Metal』は、もちろん〈VENOM〉の看板曲のカバー。

なお、デスメタル・アートワークの重鎮、〈ウェス・ベンスコーター〉の手によるジャケット・アートは、かなりアタリ/ハズレの差が激しいことで知られていますが、本作についてはハズレを引いたと言わざるを得ないでしょう。

|王道デス度:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|メロディ度:★☆☆☆☆
|独自性:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤

The Fourth Dimension|ザ・フォース・ディメンション

オリジナルアルバム – 3作目 (1994年)

ブロバーグが脱退し、テクレンがヴォーカルも兼任する“パワートリオ”体制となって最初のアルバム、

デスメタルのパイオニア勢による、『ポスト・デスメタル』アプローチが活発化してきた時期であり、本作からはHYPOCRISYもまた、オールドスクールなスタイルからの脱却を意図したアプローチを展開しするようになります。

本作は、ヘヴィネス重視のダウンテンポ気味な作風で、ややドゥーミィ&グルーヴィなミドルテンポの楽曲が増えていますが、その一方で、〈AT THE GATES〉を思わせるようなメロディック・デスラッシュも導入されています。
また、この時期はメロデス黎明期にもあたり、日本でも注目が集まっていたこともあり、本作は日本盤デビュー作にもなりました。

独自性の薄さから、どうしても安易な後追いという印象は拭い去れませんし、楽曲クオリティもかろうじて及第点はキープしていますが、取り立てて際立った出来栄えとはいえず、キラーチューンと呼べるようなキメ曲は見当たないため、B級を超えるレベルには達していません。

|王道デス度:★★★★☆
|スピード:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|独自性:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Abducted|アブダクテッド

オリジナルアルバム – 4作目 (1996年)

前作の発展型と言って差し支えない作風で、ドゥームデスとデスラッシュの二本立てにメロディの比重を増した基本路線は、おおむね前作を踏襲したものですが、ここでは、メロディを強化しつつも大幅にブラッシュアップが施されています。

メロディの比重が一気に大増量されて、デスラッシュ曲については、まさにメロディック・デスメタルと呼んでも差し支えないものとなっていますし、ドゥームデス路線でもメロディが強調されており、ダン・スウォノ風のゴシック的な耽美ドゥームにも近い仕上がりを見せています。

「HYPOCRISYならではの独自性の確立」という重要課題については、全く進捗が見られませんが、漠然とでも方向性が定まったためか、作品としてのグレードは確実にアップしているので、オリジナリティを重視するか否かが評価はの分かれ目にもなるでしょう。

なお、本作から『UFOメタル』『エイリアン・メタル』路線を深めることになるため、その良し悪しは別として、テーマ性のみに絞れるなら一応の差別化は図れています。

|王道デス度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|メロディ度:★★★☆☆
|独自性:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論 実験作

The Final Chapter|ザ・ファイナル・チャプター

オリジナルアルバム – 5作目 (1997年)

Hypocrisy|ヒポクリシィ

オリジナルアルバム – 6作目 (1999年)

Into the Abyss|イン・トゥ・ザ・アビス

オリジナルアルバム – 7作目 (2000年)

Catch 22|キャッチ22

オリジナルアルバム – 8作目 (2002年)

The Arrival|ザ・アライヴァル

オリジナルアルバム – 9作目 (2004年)

Virus|ヴァイラス

オリジナルアルバム – 10作目 (2005年)

Catch 22 V2.0.08|キャッチ 22・バージョン2.0.08

オリジナルアルバム – 11作目 (2008年)

A Taste of Extreme Divinity|ア・テイスト・オブ・エクトリーム・ディヴィニティ

オリジナルアルバム – 12作目 (2009年)

End of Disclosure|エンド・オブ・ディスクロージャー

オリジナルアルバム – 13作目 (2013年)

Worship|エンド・オブ・ディスクロージャー

オリジナルアルバム – 14作目 (2021年)

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