Contents
- 1 スウェーデンのプログレ志向の耽美派デスメタル・バンドは、様々な好機をものにして世界的有数のプログレメタル・バンドに成長、ヴィンテージ・メタルとしても新たな道を切り開く!?
- 1...1OPETHの音楽ジャンルは!?
- 1...2耽美系デスメタル第二・第三世代の出世頭!?
- 1...3OPETHの音楽性と位置付け!?:90年代
- 1...4OPETHの音楽性と位置付け!?:00年代
- 1...5OPETHの音楽性と位置付け!?:10年代
- 1...6OPETHのバンド体制は!?
- 1.1OPETH|オーパス|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Orchid|オーキッド
- 1.1.2Morningrise|モーニング・ライズ
- 1.1.3My Arms, Your Hearse|マイ・アームス、ユア・ハース
- 1.1.4Still Life|スティル・ライフ
- 1.1.5Blackwater Park|ブラックウォーター・パーク
- 1.1.6Deliverance|デリヴァランス
- 1.1.7Damnation|ダムネイション
- 1.1.8Ghost Reveries|ゴースト・レヴァリーズ
- 1.1.9Watershed|ウォーターシェッド
- 1.1.10Heritage|ヘリテイジ
- 1.1.11Pale Communion|ペイル・コミュニオン
- 1.1.12Sorceress|ソーサレス
- 1.1.13In Cauda Venenum |イン・カウダ・ヴェネノム
スウェーデンのプログレ志向の耽美派デスメタル・バンドは、様々な好機をものにして世界的有数のプログレメタル・バンドに成長、ヴィンテージ・メタルとしても新たな道を切り開く!?
OPETH(オーペス)は、スウェーデン出身のデスメタル/ヘヴィメタル・グループ。
OPETHの音楽ジャンルは!?
OPETHは、本来の音楽性がいくつかのジャンルの影響を反映したやや複合的なスタイルだったことと、そのキャリアの中で何度か主軸となる音楽性を更新していることから、複数のジャンルにカテゴライズされ、それら各々の文脈の中で語られています。
それらのジャンルには、「デスメタル」,「ブラックメタル」,「ドゥームメタル」,「ゴシックメタル」,「メロディック・デスメタル(以下メロデス)」,「プログレッシヴ・メタル(以下プログレ・メタル)」,「ヴィンテージ・メタル」,「トラッド・メタル」,「シンフォニック・メタル」などが挙げられ、加えるなら、より広義的な「ヘヴィメタル」として扱われることもあります。
耽美系デスメタル第二・第三世代の出世頭!?
90年代前半のスウェーデンでは、〈EDGE OF SANITY〉,〈DARK TRANQUILLITY〉,〈AT THE GATES〉,〈TIAMAT〉,〈THERION〉,〈KATATONIA〉,〈CEMETARY〉といった、のちに北欧の「メロディック・デスメタル」や「ゴシックメタル」のジャンルを形成し、そのパイオニアとして語られるメロディや叙情性/耽美性を押し出したデスメタル・グループが続々と登場します。
同時期のフィンランドでも、〈AMORPHIS〉,〈SENTENCED〉耽美路線が頭角を現し、「北欧耽美デス」のシーンが形成されます。
OPETHは、これらの影響下で登場した「北欧耽美デス」第二世代以降の代表的グループのひとつであり、その中でも、特にムーヴメント収束後の00年代〜10年代にかけて大きな躍進を見せ、同様のグループの中では異例とも言える、英米を含めた世界的な成功を収めたバンドとなりました。
OPETHの音楽性と位置付け!?:90年代
OPETHは、スウェーデンのミュージシャン兼プロデューサー、“ダン・スウォノ(スワノ)”によるプロデュース/サポートの元でアルバム・デビューを果たしています。
この初期の音楽性は、「メロデス」とドゥームデスをベースとした初期の「ゴシックメタル」が同居したスタイルでしたが、この当時よりプログレテイストは加味されていました。
ダン・スウォノは、〈EDGE OF SANITY〉の中心メンバーとして知られる人物ですが、アンダーグラウンド・シーンのプロデューサーやエンジニアとしても膨大な数のアーティストを手掛けています。
中でも、〈KATATONIA〉〈THEATRE OF TRAGEDY〉〈GODSEND〉〈NOVEMBRE〉ら耽美志向/プログレ志向のデスメタルを多数世に送り出したことで、それらの界隈では大家に近い位置にあり、名も知らぬ新人グループをその名ひとつで“スウォノ買い”するリスナーも多数存在していました。
OPETHがデビュー当初からそれなりのに注目を集めることができた要因には、若手の中では比較的秀でた技量もさることながら、初期に作品を手がけたスウォノのブランド力も無視することはできないでしょう。
なお、この時期のOPETHには、根本的な音楽性の変化は見られず、クリーンヴォーカルの導入や、耽美的アトモスフェアの強化など、デビュー当初のスタイルのソフィスティケート/ブラッシュアップに終始しています。
OPETHの音楽性と位置付け!?:00年代
90年代はマニア人気にとどまっていたOPETHですが、00年代に入ると転機が訪れます。
いくつかの要因が重なった幸運によって一気にブレイクを果たし、90年代とは比較にならないほど知名度を拡大、英米を含めた各国で商業的な成功を収めることに成功しました。
これには、「ニューメタル」ブームからの世界各国でのヘヴィメタル・リバイバルの勃発に加え、「ポストロック」「ポストハードコア」「ポストメタル」と称された、いわゆる“ポスト系”の次世代型プログレのブームを経ての、プログレ再評価/リバイバルの動きも影響しています。
さらに、大きな一因と考えられるのが、モダンプログレ界隈の顔役スティーヴン・ウィルソンのバックアップを得られたこと。
ウィルソンは、90年代以降の次世代UKプログレを代表するバンド、〈PORCUPINE TREE〉の創設者として知られる英国イングランドのミュージシャン。
他にも、ソロや複数のプロジェクトでの活動、他のグループへのゲスト参加、各種バンドのプロデュースやエンジニアリング…など、幅広い活躍を見せる才人でです。
現在のプログレ界隈では「ベテランも認める最も信頼の厚いブランド」ともいえる存在に成長しており、特に名盤リイシュー時のミキシングには引く手数多となっています。
OPETHの作品には、2001年の6作目『Blackwater Park』から続けて3作品にわたって参加。
プロデューサー/エンジニアの役割に加え、各種パートのサポート演奏/バッキング・ヴォーカルと全面的に関わっており、その後もミキシングなどで協力関係にあります。
ウィルソンとの本格的コラボレーションは、メタルバンドとしては初めてのケースであり、これがプログレ界隈を含めて幅広く認められる一因となったのは間違いないところですし、多少なりとも音楽性の幅を押し拡げる結果にもつながりました。
OPETHの音楽性と位置付け!?:10年代
OPETHは、2011年の10作目『Heritage』からは、トラディショナルな60〜70年代プログレッシヴ・ロック/ハードロックの要素を強めた、そのリバイバル的な作風へとシフトしてゆきます。
これについては、OPETH本来のプログレ志向に加え、先んじて同様のアプローチを取り入れていた〈MASTODON〉や、〈GHOST〉〈BARONESS〉らが頭角を現したことでこの時期に一気に増殖した、「ヴィンテージ系」と称される一派らの台頭が影響を与えたと考えられます。
この変化によって、従来のデスメタル/ヘヴィメタルを基調としたスタイルから、本格的に逸脱したこともあり、オールドファンからは批判も少なくありませんでしたが、一般的には高評価を得ており、新たなリスナーの獲得にも成功しています。
OPETHのバンド体制は!?
OPETHは、結成時より何度かのメンバー変更を重ねており、デビュー時には創設メンバーはすでに不在となっています。
アルバムデビューから現在に至るまでは、現時点で唯一のオリジナル・メンバーである、ギター兼ヴォーカル担当のフロントマン、ミカエル・オーカーフェルトを中心とした活動を続けています。
最初期においては、ツインギターの一翼を担ったギタリストのピーター・リンドグレンとの創作面も含めた二頭体制で、デビューアルバムでは初代ドラマーのアンダース・ノルディンも共にソングライティングを受け持っていましたが、90年代の末期からは、すでにオーカーフェルト主導となっており、創作面でもほぼワンマン体制となっています。
後の、2006年〜2007年にかけてのリンドグレンと二代目ドラマーだったマーティン・ロペスという、黄金期のメンバー2名の脱退により、現在では、ベーシストのマルティン・メンデスがオーカーフェルトに次ぐ古参となりました。
それ以降は、各パートとも入れ替わりはも少なく安定してはいるものの、多くのバンドを渡り歩き現在も複数のグループに籍を置くフレドリック・オーケソン(Gt.)をはじめとして、セッション・ミュージシャンに近い立ち位置の顔ぶれとなっています。
OPETH|オーパス|DISCOGRAPHY
Orchid|オーキッド
オリジナル・アルバム – 1作目 (1995年)
以前は好事家のみに愛でられていた、メロデスとゴシックメタルという耽美派/叙情派デスメタルの二大ジャンルのシーンが徐々に拡大し、じわじわと一般層にまで浸透して認知度を高めていった時期にリリースされたデビュー作。
それら異端デスメタル界隈ではちょっとしたブランドにもなっていた、「アングラの巨匠ダン・スウォノ」プロデュース作ということもあって、輸入盤店でもプッシュされ、リスナー/メディアの注目度も比較的高い作品でした。
大作プログレ志向のスタイルは、この頃からブレイク後まで変化はなく、収録曲は、全7曲中インタールード的なインスト2曲を除くと、3曲が13分超で残り2曲も10分前後、と、全キャリア中でも楽曲の長尺度合いはトップに近いものです。
スウェディッシュ耽美デスの王道とも言える、メロデスとゴシックメタルの双方の特徴を併せ持ったサウンドと長尺プログレ趣味に加え、ダン・スウォノのプロデュースというと、どうしても同郷の〈KATATONIA〉が思い浮かびますが、OPETHは方向性がやや異なり、よりメロデスとプログレメタルに比重が置かれています。
プログレ要素については、変態的な技巧性や先鋭的な実験性といったものは希薄で、大仰なドラマ性と複雑に凝った展開を押し出したスタイル。
当時の「スウォノ」関連のプログレデスの中では、変態度や実験性は比較的薄めで、オーソドックスなプログレメタルに近いメタル様式美が強く、その点では、プログレメタルやメタル一般のリスナーの覚えがめでたく、一歩抜きんでることができたのも納得です。
ブレイク後のファンからは、注目度が高いとは言えないアルバムですが、まだ複数のメンバーが作曲を手がけており、メソッドが固まっていない時期ならではの試行錯誤が見えることもあってか、これ以降のミカエル・オーカーフェルト主導でルーチン化が進んだ作品と比較すると、多少なりとも面白味を感じることができます。
|ゴシック度:★★★☆☆
|プログレ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|レトロ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 スルメ盤 実験作
Morningrise|モーニング・ライズ
オリジナル・アルバム – 2作目 (1996年)
ダン・スウォノの手によってプロデュースされた最後のアルバムとなった本作は、1年遅れがらも日本デビュー作でもあり、強気の価格設定で悪名高いプログレ系インディーレーベル、「マーキー」傘下の「アヴァロン」からリリースされていました。
デビュー作での長尺プログレ路線はそのままに、ゴシカルな耽美志向とサウンドのソフト化を推し進めており、ドゥームデス・ベースの初期ゴシックメタルを基調としながらも、アコースティックでオーガニックな要素を強めたマイルドな耽美デス作品となっています。
正直なところ、ゴシックメタル界隈では、この当時においても既に散々やり尽くされたアプローチで、新鮮味などは微塵も無く、明確な差別化や独自性の確立に成功しているとは言えません。
しかし、よりラジカルなアプローチに移行したゴシックメタル先人たちのとは逆に、非常に無難で保守的なメタル/ロック様式の枠にとどまっていたことが、結果的に後年ファンの裾野を広げる結果につながったとも考えられます。
ただし、ひとつの音楽作品としてみるならば、強化されたテクニカルなパートをはじめ、部分的にはフレーズやリフワークなどが耳を引く部分も見られるものの、長尺曲を構成する能力/センスが圧倒的に欠けているという、OPETHが逃れられない欠点についてはこの頃から変わりありません。
|ゴシック度:★★★★★
|プログレ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|レトロ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
My Arms, Your Hearse|マイ・アームス、ユア・ハース
オリジナル・アルバム – 3作目 (1998年)
Still Life|スティル・ライフ
オリジナル・アルバム – 4作目 (1999年)
Blackwater Park|ブラックウォーター・パーク
オリジナル・アルバム – 5作目 (2001年)
OPETH躍進の契機となった、“00年代スティーヴ・ウィルソン3部作”の第1弾。
本作から続く3作品は、 90年代以降のモダンプログレ界隈の顔役スティーヴン・ウィルソンが、プロデュースから演奏/ヴォーカルまで、ほぼ影のメンバー状態で全面的にバックアップしています。
その影響からか、この時期はニューウェイヴやオルタナティヴロック、〈RADIOHEAD〉系のポストロックなどの影響も反映させるなど、従来作品よりもバックグラウンドの多様性が感じられますが、第1弾の本作ではまだ控えめで従来のサウンドと大きな差は見れられせん。
演奏技術の面だけを見れば特に文句無しで、この手のサウンドに必要十分のレベルにあり、また、オーカーフェルトのヴォーカルも表現の幅を広げており、なかなか堂に入っています。
しかし、明らかにセンスが無いにも関わらず、OPETH=ミカエル・オーカーフェルトが執拗に固執する長尺プログレ路線の品質向上と独自性の確立には、残念ながら不十分ですし、ウィルソンのサポート力もまだ十分に発揮できていません。
とはいえ、本作を含む“ウィルソン3部作”は、構成要素や曲調の幅が広がった分だけ、以前よりは飽きずに聴き通し易い仕上がりと言えるでしょう。
|ゴシック度:★★★★★
|プログレ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|レトロ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Deliverance|デリヴァランス
オリジナル・アルバム – 6作目 (2002年)
“00年代スティーヴ・ウィルソン3部作”の第2弾。
ややメタル/デスメタル色が強目という以外や作風に大きな変化は無く、曲が長尺であることの必要性が薄く構成力もセンスも弱いため、尺を持て余し気味…という点でもこれまでと同様。
しかし、T-01などは例外的に佳曲と呼べる出来栄えですし、耳を引く冴えたパートが比較的多く、各所でテクニカルな小技も効果を発揮しているため、あまりダレずにストレス無く聴き通せるという意味では、メタル色の強いアルバムに限るならばベストの出来栄えと言えるかもしれません。
|ゴシック度:★★★★☆
|プログレ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|レトロ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Damnation|ダムネイション
オリジナル・アルバム – 7作目 (2003年)
“00年代スティーヴ・ウィルソン3部作”の第3弾。
前作から一転して、メタル色は希薄でデスヴォイスも封印したソフトな作風となり、ややサイケデリックな空気も漂わせたサウンドに。
楽曲の雰囲気は、スティーヴ・ウィルソンの〈PORCUPINE TREE〉やダン・スウォノのソロプロジェクト〈NIGHTINGALE〉なども想起させます。
オーカーフェルトのクリーン・ヴォーカルもいくぶん表現の幅を広げており、スタイルが近いことも相まって、時にはそのダン・スウォノのようにも聴こえます。
ややフラットな仕上がりで多様性や変化に乏しい面はありますが、楽曲は比較的高水準にまとまっており、アトモスフィア頼りではありながらそれほどダレません。
その中でも特筆すべきはT-01で、これは90年代USモダンプログレの第一人者〈TOOL〉を思わせる、トリッキーな変則リズムを生かしたテクニカルなナンバーですが、本作中では異色曲ながらも出色の出来栄えを見せています。
|ゴシック度:★★★★☆
|プログレ度:★★★★★
|オルタナ度:★★★☆☆
|レトロ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 スルメ盤 実験作
Ghost Reveries|ゴースト・レヴァリーズ
オリジナル・アルバム – 8作目 (2005年)
Watershed|ウォーターシェッド
オリジナル・アルバム – 9作目 (2008年)
Heritage|ヘリテイジ
オリジナル・アルバム – 10作目 (2011年)
60〜70年代のハードロックやプログレッシヴロックから音楽性を取り入れるのみならず、雰囲気や音づくりに至るまで意図的に模倣した、いわゆる“ヴィンテージ系”のレトロなサウンドへと本格的にシフトした最初のアルバム。
また、本作からは楽曲の無駄な長尺傾向も改善され、ヘヴィメタルの水準としては十分長めとはいえ、5分を切る曲も目立つようになりました。
OPETH=オーカーフェルトの資質を考えれば、これは間違いなく妥当な判断で、実際にこれ以降の作品では、個々の楽曲のクオリティは確実な向上を見せたと言えるでしょう。
ここでは前作の延長上と呼べそうな曲もありますが、フィンランドの〈KINGSTON WALL〉を思わせるオリエンタルなT-02や、〈DEEP PURPLE〉そのもののインスパイア曲T-04など、メロトロン風キーボードをフィーチャーしたレトロなナンバーが強烈な印象を残します。
しかし、この方向性の変化により、ヘヴィでエッジのあるデスメタル要素の堅持にこだわる古参ファンはもちろん、ゴシカルな美意識とアトモスフィアに満ちたスタイリッシュ・プログレに魅了されたリスナーまでも敵に回す結果に。
直近でデスメタル/メタル要素を強めていた反動もあってか、大方の予想どおり批判も吹き上がりました。
とはいえ評価は賛否両論であり、一方ではこの変化を好ましいものと捉えるリスナーも少なくはなく、事実チャート面では後退するどころが、多くの地域では勢いを増してさえいます。
|ゴシック度:★★★☆☆
|プログレ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|レトロ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Pale Communion|ペイル・コミュニオン
オリジナル・アルバム – 11作目 (2014年)
UKプログレ・レジェンド〈ELP(Emerson, Lake & Palmer)〉のアルバム、『展覧会の絵(Pictures at an Exhibition)』のジャケットを模したとおぼしきアートワークが印象的な、ヴィンテージプログレ第二弾。
ミカエル・オーカーフェルト共にプロジェクト〈STORM CORROSION〉を結成し、2012年にアルバムもリリースしていたスティーヴン・ウィルソンが、ミキシングとバッキング・ヴォーカルのみながら再び参加。
ウィルソンがオーカーフェルトの何をそれほど買っているのかは依然として謎ですが、本作はウィルソンのネームバリューも後押ししてか、ヴィンテージ路線では比較的人気の高いアルバムとなっています。
前作よりもさらにトラディショナル・プログレを意識したレトロなサウンドとなっており、前後の作品と比較するとやや長尺傾向にあります。
個々の楽曲を見ると、T-01,T-02などはそれなりのフックを持った佳曲もあり、全体的に安定感もあって明確な穴は目立ちませんが、キラーチューンや強烈な印象を残す曲は存在せず、全体的に雰囲気先行で表情にも乏しいため、アルバムとしては平坦な仕上がり。
ただし、これについては好意的な聴き手の耳には上品と感じられる可能性もあります。
|ゴシック度:★★★☆☆
|プログレ度:★★★★★
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|レトロ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤
Sorceress|ソーサレス
オリジナル・アルバム – 12作目 (2016年)
ヴィンテージプログレ第三弾の本作は、ヴィンテージ路線突入後ならば暫定トップで、OPETHの全カタログ中でも上位争い間違いなしの仕上がりとなりました。
全体的には、ヴィンテージ路線で多様性を増した前々作、『Heritage(11th)』のスタイルを押し進めた作風という印象で、ソフト&マイルド一辺倒な前作とは打って変わって、ヘヴィネスとメタリックな質感さえも取り戻しており、それらを織り交ぜたことでさらに曲調が多彩で表情豊かなものとなっています。
個々の楽曲を見ても、珍しく無駄なく練られた展開とキャッチーでフッキーなサウンドを実現しており、OPETH基準では名曲と呼び得る曲が目白押しで、彼らの過去作を聴いてきたリスナーならば「何があった?」と唖然とするほどの、奇跡とさえ思える出来栄えです。
|ゴシック度:★★★☆☆
|プログレ度:★★★★★
|オルタナ度:★★☆☆☆
|レトロ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 実験作
In Cauda Venenum |イン・カウダ・ヴェネノム
オリジナル・アルバム – 13作目 (2019年)