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★ VITAL REMAINS (ヴァイタル・リメインズ) ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|サタニックなメロディックブルータルデスサウンドでUSデスメタルの裏街道を行くアングラレジェンド!!…必聴アルバムは?

サタニック&アンチクライストなアメリカン・オールドスクール・デスメタルから、巧みにメロディを導入したブルータル・メロディック・デスメタル完成させたカルトバンド!!

VITAL REMAINSのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

VITAL REMAINS[ヴァイタル・リメインズ]は、ホラー作家H・P・ラヴクラフトの生地でクトゥルー神話の舞台としても知られる、米国ロードアイランド州プロヴィデンスを拠点とするデスメタルバンド。

サタニック・ブルータル・デス!?

VITAL REMAINSの音楽性は、何度かの路線変更が行われています、そのため、その時期によって大きくスタイルが異なっています。

基本的なサウンド自体は、一貫してブルータルデス・メタルと呼べるものですが、アンチキリストだけでなくオカルティックなサタニズムなど、デスメタルバンドとしては比較的少数派に属するブラックメタル的コンセプトと世界観を押し出しています。

VITAL REMAINSのデスメタル・サウンド遍歴!?

デビュー当初のVITAL REMAINSは、MORBID ANGELなどにも近いサウンドややエピカルな大仰さを持ちつつも、比較的オーソドックスなデスメタル・サウンドを展開していました。

その後、デスメタルにブラックメタルのエッセンスと、ゴシック的な耽美テイストを取り入れた、いわゆる『ブラッケンド・デスメタル』に類するスタイルを経て、日系マルチミュージシャン、デイヴ・スズキの加入を機に音楽性を一新。

ブルータル・デスメタルの中にメロディアスなフレーズやギターソロなど耽美テイストと、テクニカルな展開を大きく取り入れ、同時に長尺の楽曲が主体として、多彩なアイデアとセンスで聴かせる作風へと以降します。

マニアックな通好みバンド!?

VITAL REMAINSは、初期のデスメタルムーヴメントの中でも比較的長いキャリアを持つバンドですが、知名度は現時点でもそれほど高くはありません。

MORBID ANGELやCANNIBAL CORPSEらの超メジャー級、MALEVOLENT CREATIONやSUFFOCATIONなどの準メジャー級に次ぐ存在として、INCANTATIONやMORTA SKULDあたりと並ぶややマニアックで通好みなのポジションにありました。

VITAL REMAINSの異色レーベル遍歴!?

同時代のUSデスメタルバンドの中ではレーベル経歴もやや異例で、英国エクストリームの名門ながら、PARADISE LOSTらの存在でゴシック/耽美路線のイメージの強い『ピースヴィル(PEACEVILLE RECORDS)』や、DARK TRANQUILLITYが在籍し、メロディック/耽美系バンドが中心だった、フランスの『オスモース(OSMOSE PRODUCTIONS)』などに在籍していました。

バンド体制を変えつつも活動継続中!?

セカンドアルバムリリース以降は、実質的には唯一のオリジナルメンバーとなったトニー・ラザロ(TONY LAZARO)のソロプロジェクトに近い体制となっています。

他のパートはかなり頻繁に入れ替わっており、アンチキリストコンセプトのつながりから、一時期はDEICIDEのグレン・ベントンがヴォーカリストとして在籍していたこともありました。

また、寡作で長いキャリアのわりには作品数が少なく、新作も2007年の6作目を最後にリリースされていません。
しかし、バンド自体は現在も活動継続中ということになっており、2020年には新作レコーディング終了のアナウンスもありましたが、現時点でリリースはされていません。(2021年現在)

次ページはVITAL REMAINSのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

VITAL REMAINS|DISCOGRAPHY

Let Us Pray|レット・アス・プレイ

オリジナルアルバム – 1作目 (1992年)

オールドスクールデスメタルを展開しているデビュー作。日本デビューとなった次作と併せて、日本盤もリリースされていました。

楽曲がかなり長尺傾向にあり、ファストパートとスロー/ミッドパートを織り交ぜた、テンポチェンジの多い展開を見せる長尺傾向の楽曲が持ち味です。

いちおう及第点には達していますが、とにかく音楽性からクオリティまで全てにおいて、良くも悪くも“That’s フツー”なデスメタル。
キャリア的には比較的古参なのでそれも自然といえ、80年代ならばともかく、現在のレジェンド級をはじめとした実力派が群雄割拠していたデスメタル戦国時代のこの時期にあっては、決め手に欠いて埋没したのもやむなしです。

チープなジャケットに象徴されるようなマニア向けの二線級アルバムですが、出来が悪いわけではないので「もろもろ納得ずくでお好きならどうぞ。」というところです。

|王道デス度:★★★★★
|ブルタル度:★★★★☆
|ブラック度:☆☆☆☆☆
|メロディ度:★☆☆☆☆
|ドラマチ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤

Into Cold Darkness|イントゥ・コールド・ダークネス

オリジナルアルバム – 2作目 (1995年)

英国エクストリームの名門『ピースヴィル』からのリリースとなったアルバムで、少し遅れて日本でも『ピースヴィル』のディトリビューションが決まったため、1stと併せて日本盤もリリースされていました。

本作の特長のひとつは、ブラックメタル・エッセンスの導入。サウンドはデスメタルそのものでありながら、キーボードを駆使した荘厳で耽美的な演出や、曲によってときおり見られる展開には、ブラックメタルでしかありえない要素が確認できます。
アートワークも北欧ブラックとしか思えない仕上がりで、近年であれば“ブラッケンド・デスメタル”などと呼ばれたかもしれません。

もうひとつは、そのブラッケンド化も含むデスメタルとしての要素と作風の多様化。
MORBID ANGELを思わせる、ブラックメタルとは別ベクトルでのドラマ性や大仰な美意識を高めた曲や、さらなる複雑化を進めた曲展開、ハードコア的なリフワークの導入など、様々な深化と拡散を試みています。

まだまだ発展途上な過渡期サウンドではあるものの、あらゆる面で格段の成長を遂げており、特に音楽性の各方向への深化は目覚ましく、1stとは完全に別バンドと思えるほどの独自性を獲得しています。

|王道デス度:★★★★☆
|ブルタル度:★★★★☆
|ブラック度:★★★★☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|ドラマチ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 通好み 実験作

Forever Underground|フォーエヴァー・アンダーグラウンド

オリジナルアルバム – 3作目 (1997年)

キャリア中盤から、トニー・ラザロとともにバンドの主軸としてサウンドにも影響を及ぼす、日系マルチミュージシャン、デイヴ・スズキ加入後の第一弾アルバム。

ここからは、ブラックメタルやゴシックメタルなど耽美/プログレ志向のエクストリーム・メタルをラインナップする、フランスの『オズモーズ・プロダクション』へ移籍しています。

激烈なブルータル・デスメタルでありながら、これまでにも増してテクニカつで複雑な展開も見せる楽曲は、プログレ・テイストも感じさせるものとなっています。
曲はこれまで以上に長尺路線が増えましたが、卓越した構成力からそれも気にはならず、途中でダレることはありません。

また、ブラックメタル・テイストは薄れたものの、荘厳で壮大なシンフォニック・サウンドがフィーチャーされ、耽美志向は健在。ある種のエピックテイストも感じさせる作風には、MORBID ANGELを想起させる面もあります。

|王道デス度:★★★★☆
|ブルタル度:★★★★☆
|ブラック度:★★☆☆☆
|メロディ度:★★★★☆
|ドラマチ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

Dawn of the Apocalypse|ダウン・オブ・ジ・アポカリプス

オリジナルアルバム – 4作目 (2000年)

前作同様に、メロディとテクニカルな展開を導入したブルータルなデスメタル。この時期の作品の中ではストレートなスタイルで、メロディパートはいくぶん控えめな印象です。

ここでは、デイヴ・スズキのドラミングが光っており、単なるブラストビートだけには止まらない、手数の多いテクニカルドラムで存在感を発揮しています。

|王道デス度:★★★★☆
|ブルタル度:★★★★☆
|ブラック度:★★★☆☆
|メロディ度:★★★☆☆
|ドラマチ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

Dechristianize|ディクリスチャナイズ

オリジナルアルバム – 5作目 (2003年)

USデスシーンでは貴重なサタニック・フレンドでもある、DEICIDEのグレン・ベントン参加して話題となったアルバム。本作からは、メタルレーベル準大手の『センチュリーメディア・レコーズ』からのリリースとなります。

デスラッシュ、ブルータルデス、メロディックデス、テクニカルデスなど多彩な展開を見せる曲調ながら、基本となる音楽性の軸がしっかりしているので、散漫になることなくひとつの音世界を描き出しています。

メロディの比重ががさらに増して曲の根幹となっているものもありますが、いわゆるメロデスの類型とは全く異なり、あくまでもブルデスの体をなした上で叙情性やドラマ性の演出に機能しています。

激烈ブルータルデス+メロディックなギタソロという、難易度の高さから試みるバンドがあまりないスタイルを見事に成し遂げており、これはなかなかの離れわざ。
さらに、テンションの高さにおいては、カタログ中でも随一と言っていい仕上がりで、これは名盤と呼んでしかるべき1枚でしょう。

|王道デス度:★★★☆☆
|ブルタル度:★★★★☆
|ブラック度:★★★☆☆
|メロディ度:★★★★☆
|ドラマチ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作

Horrors of Hell|ホラー・オブ・ヘル

コンピレーションアルバム (2006年)

Icons of Evil|アイコンズ・オブ・イーヴル

オリジナルアルバム – 6作目 (2007年)

DEICIDEのグレン・ベントンが、本作でも引続き参加しています。

音楽的には、ややオーソドックスな普通のデスメタルに近づいており、VITAL REMAINSとしての特異性はいくぶん後退しています。

|王道デス度:★★★★★
|ブルタル度:★★★★★
|ブラック度:★★★★☆
|メロディ度:★★★☆☆
|ドラマチ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
次ページはライターが選ぶVITAL REMAINSのおすすめアルバムを紹介!!▼リンクはページ下!▼

VITAL REMAINSはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!

VITAL REMAINSは何度か大胆な路線変更を行っているので、それに応じてオススメ対象も異なります。

現在では、キャリアの大半を占めるトニー・ラザロ&デイブ・スズキ体制による、『メロディック・プログレ・ブルタル・デス』のイメージが強くなりましたが、この体制スタートからの初期3作、“Forever Underground(3rd)” “Dawn of the Apocalypse(4th)” “Dechristianize(5th)”はいずれも高品質。
その中でもひとつ選ぶならば、やはり総合力で頭ひとつ飛び抜けている“Dechristianize(5th)”に尽きるでしょう。

オールドスクール・デスの掘り出し物を探しているなら、B級ながらその当時ならではのマイナー臭さでマニア受けのいい、“Let Us Pray(1st)”も押さえておきたいところ。

ブラックメタル好きならば“Into Cold Darkness(2nd)”はマスト。デスメタルにブラックメタルを取り入れてゴシック的な耽美性をまぶした、シーンでも特異な“ブラッケンド・デス”の重要作で、その独自性やメタル史的な意義ではキャリア中でもトップかもしれません。

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