Contents
- 1スラッシュメタルがさらにエクストリームに進化したヘヴィメタルの最終形態デスメタルの全てを知りたい!
- 1.1デスメタルってどんな音楽?
- 1.1.1デスメタルのテーマと世界観
- 1.2デスメタルはどうやって生まれたの?
- 1.2.1デスメタルはスラッシュメタルから生まれた!
- 1.2.2デスメタルはヘヴィメタルの正統進化系!
- 1.2.3デスメタルがスラッシュメタルを駆逐する!
- 1.2.4デスメタルはヘヴィメタルの終着地点?
- 1.2.5デスメタルムーヴメントの収束?
- 2世界各国のデスメタルシーンと必聴の代表的バンド!
- 3アメリカ大陸 & オセアニア
- 3.1北米 - アメリカ
- 3.1.1MORBID ANGEL|モービッド・エンジェル
- 3.1.2CANNIBALCORPSE|カニバル・コープス
- 3.1.3DEICIDE|ディーサイド
- 3.1.4OBITUARY|オビチュアリー
- 3.1.5DEATH|デス
- 3.1.6MALEVOLENT CREATION|マルヴォレント・クリエイション
- 3.1.7SUFFOCATION|サフォケイション
- 3.1.8BROKEN HOPE|ブロークン・ホープ
- 3.1.9ATHEIST|エイシスト
- 3.2北米 - カナダ
- 3.2.1GORGUTS|ゴーグツ
- 3.2.2KATAKLYSM|カタクリズム
- 3.2.3CRYPTPSY|クリプトプシー
- 3.2.4CEPHALECTOMY|セファレクトミー
- 4中南米
- 4.1中南米 - メキシコ
- 4.1.1BRUJERIA|ブルヘリア
- 4.2中南米 - ブラジル
- 4.2.1SEPULTURA|セパルトゥラ
- 4.2.2KRISIUN|クリジウン
- 4.3オーストラリア
- 4.3.1DAMAGED|ダメージド
- 5ヨーロッパ
- 5.1イギリス
- 5.1.1CARCASS|カーカス
- 5.1.2BOLT THROWER|ボルトスロワー
- 5.1.3CANCER|キャンサー
- 5.1.4BENEDICTION|ベネディクション
- 5.2ヨーロッパ各国
- 5.3ドイツ
- 5.3.1MORGOTH|モーゴス
- 5.3.2ATROCITY|アトロシティ
- 5.3.3HOLY MOSES|ホーリー・モーゼス
- 5.3.4PROTECTOR|プロテクター
- 5.4フランス
- 5.4.1MASSACRA|マサカー
- 5.4.2AGRESSOR|アグレッサー
- 5.4.3LOUDBLAST|ラウドブラスト
- 5.4.4MISANTHROPE|ミサントロプ
- 5.5オランダ
- 5.5.1SINISTER|シニスター
- 5.5.2PESTILENCE|ペスティレンス
- 5.5.3ASPHYX|アスフィクス
- 5.5.4GOREFEST|ゴアフェスト
- 5.6イタリア
- 5.6.1SADIST|サディスト
- 5.7スイス
- 5.7.1MESSIAH|メサイア
- 5.8オーストリア
- 5.8.1PUNGENT STENCH|パンジェント・ステンチ
- 5.8.2DISHARMONIC ORCHESTRA|ディスハーモニック・オーケストラ
- 5.9ポーランド
- 5.9.1DRAGON|ドラゴン
- 5.9.2 VADER|ヴェイダー
- 5.10北欧
- 5.11スウェーデン
- 5.11.1ENTOMBED|エントゥームド
- 5.11.2DISMEMBER|ディスメンバー
- 5.11.3GRAVE|グレイヴ
- 5.11.4UNLEASHED|アンリーシュド
- 5.11.5HYPOCRISY|ヒポクリシー
- 5.11.6DARK TRANQUILLITY|ダーク・トランキュリティ
- 5.11.7EDGE OF SANITY|エッジ・オブ・サニティ
- 5.11.8AT THE GATES|アット・ザ・ゲイツ
- 5.11.9AFFLICTED|アフリクテッド
- 5.12フィンランド
- 5.12.1SENTENCED|センテンスド
- 5.12.2AMORPHIS|アモーフィス
- 5.13ノルウェー
- 5.13.1CADAVER|カダヴァー
- 6アジア etc
- 6.1日本
- 6.1.1S.O.B.|エス・オー・ビー
- 6.1.2MULTIPLEX|マルチプレックス
- 6.1.3CSSO|シー・エス・エス・オー
- 6.1.4D-river|デスリバー
スラッシュメタルがさらにエクストリームに進化したヘヴィメタルの最終形態デスメタルの全てを知りたい!
デスメタルってどんな音楽?
デスメタルは、ヘヴィメタルが持つ特徴を極端なまでに強調/デフォルメすることで生まれたヘヴィメタルの進化系、エクストリームメタルの1ジャンルです。
デスメタルは、ヘヴィメタルが持つ特徴的な要素の中でも、“ヘヴィネス”,“スピード”,“攻撃性”,“暴力性”,“ネガティブイメージ”などにスポットを当てています。
デスヴォイスと呼ばれる非人間的にデフォルメしたヴォーカルスタイル、ブラストビートと呼ばれる極端な高速ビート、メロディーや叙情性を排してリフワーク中心の複雑で展開の激しい楽曲、といったあたりがオーソドックスなデスメタルの主な特徴です。
デスメタルのテーマと世界観
デスメタルというと、スプラッター的なとにかくグロテスクで悪趣味な歌詞とビジュアルと言う印象がありますが、それは決して間違ってはいません。
ただ、ホラー映画にスプラッター,サイコホラー,オカルトホラー,ゴーストホラーなどがあるように、デスメタルにもひたすらスプラッター的なゴア表現を追求するものもあれば、もっと観念的/哲学的なテーマや、ラヴクラフトのコズミックホラーのようなエピックホラー的なテーマのバンドもあるわけです。
また、ホラー映画の例えで言えば、単なるスプラッター映画のようにただ悪趣味なゴアエンターテイメントを割り切って追求する、“いい意味で”俗悪なバンドもあれば、『ゾンビ』のように社会批判/文明批判を感じさせたり、『悪魔のいけにえ』や『ヘルレイザー』のような高い作家性/アート性を持った、意識高い系のバンドも存在します。
デスメタルはどうやって生まれたの?
デスメタルはスラッシュメタルから生まれた!
デスメタルは、元をたどるとスラッシュメタルの分派/サブジャンルのひとつでした。
これは現在の方がより顕著になっていますが、スラッシュメタル全盛期には、歌詞の世界観,バンドのアティチュード,サウンドのスタイルなどによって、さらに細分化したサブジャンルというか派閥的なものが生まれる風潮がありました。
「デスメタル」を筆頭に「ブラックメタル」「クリスチャンメタル」「ニュークリアメタル」「クロスオーバースラッシュ」「インテレクチュアルメタル」などなど。
「デスメタル」という名称は、その名の通り「死」にまつわる事象やイメージを、悪趣味エンタメ/ネガティヴアート的な感覚でサウンド,リリック,ビジュアルに取り入れていたことから、名付けられたカテゴリーだったというわけです。
デスメタルはヘヴィメタルの正統進化系!
デスメタルが単なるスラッシュメタルのサブジャンルから、ヘヴィメタルのトップジャンルにまで成長したのは、そのサウンドがヘヴィメタルの正統進化系だったからです。
スラッシュメタルは、“過激性”,“疾走感”,“重量感”,といったヘヴィメタルの特徴的な要素に特化して極端なほど強化させることで、従来のヘヴィメタルをエクストリームに進化させた音楽でした。
初期のデスメタルバンドは、スラッシュメタルが悪趣味な世界観や過激さを表現するためにヘヴィメタルから過剰に進化させた要素を、“より激しく”,“より早く”,“より重く”と、さらにエクストリームに進化させてゆきました。
つまり、ジャンルが持つ特徴的な要素のパワーアップ・デフォルメを推し進める“エクストリーム化”という正統な進化の先に、辿り着くべくして辿り着いたヘヴィメタルのひとつの究極的な極北サウンドがデスメタルだということです。
デスメタルがスラッシュメタルを駆逐する!
スラッシュメタルはエクストリームサウンドの追求という意味では、80年代半ばには限界を迎えて役割を終えていました。
その後、一部のバンドが音楽性を改めて別のステージへと移動し、スラッシュメタル自体もメインストリームメタルの一部と認識されるに至ってムーヴメントは完全に収束します。
それと入れ替わるように、よりエクストームな音楽性を追求した先鋭的ヘヴィメタルとしてデスメタルが台頭、ここに来てスラッシュメタルは“チョット速くて攻撃的なパワーメタル”くらいのポジションになり、最先端ヘヴィミュージックの座は完全にデスメタルに、メインストリームメタルでの居場所はグルーヴメタルに奪われます。
のちに、スラッシュメタルの“適度な疾走感の心地よさ”も再評価されることになりますが、それはまた別項で解説します。
デスメタルはヘヴィメタルの終着地点?
“過激性”,“疾走感”,“重量感”といったヘヴィメタルがハードロックから引き継いだ特徴的要素、これらはデスメタルの登場でほぼその進化の終着点までたどり着いてしまいました。
その後もサウンドの“高速化”,“過激化”を追求するバンドは現れますが、あくまでデスメタルの範疇かせいぜいがその亜流に収まるスタイルに過ぎず、エクストリーム化の方向でそれを上書きする新たなスタイル/サウンドは現れていません。
今後さらなる進化系が現れる可能性はゼロとは言い切れませんが、ヘヴィメタルのエクストリーム化は、ほぼデスメタルの時点で完成しています。
デスメタルというヘヴィメタルのひとつの最終進化系から、このベクトルでではこれ以上の進化が起こるかは未知数ですが、今のところ根本的な進化が期待できそうな動きは見られない状況が続いており、新しい息吹は未だ聞こえてきません。
デスメタルムーヴメントの収束?
姉妹ジャンルのグラインドコア,ブラックメタルと共に、“過激性”,“疾走感”,“重量感”,“複雑性”,“アンチメロディ”を追求した、ヘヴィメタル進化系としてのデスメタルは90年代前半に頂点を迎え、それ以降は単なる様式化/形骸化した音楽スタイルとなってしまいます。
最終的には、メインストリームミュージック(日本ではJ-POPなど)やその周辺音楽にもエッセンスを取り入れられたり、ネタにされるほど大衆化/世俗化した存在となってしまいます。
そんな状況に先んじて、先鋭的なバンドたちは類型化したデスメタル様式のアンチテーゼを追求し始めます、“メロディ重視”,“遅さ”をあらためて追求したメロディック・デスメタルやドゥームメタル、他ジャンルとのクロスオーバーとしてのプログレッシヴ・デスメタル,ゴシックメタル,インダストリアル・デスメタル,エスニック・デスメタルなどです。
デスメタルからの根本的なエクストリーム進化はもはやあまり現実ではなく、デスメタルの進化はこういった異ジャンルとのクロスオーバーで細分化していくしかないのが現状です。
次のページでは『世界各国のデスメタルシーンと必聴の代表的バンド』について解説していくので要チェックです!
世界各国のデスメタルシーンと必聴の代表的バンド!
アメリカ大陸 & オセアニア
北米 – アメリカ
デスメタル発祥の地だけあってデスメタルシーンは世界一の層の厚さを誇り、聖地フロリダを中心に多数のバンドが蠢いています。
そのスタイルもスラッシュ寄りのオールドスクールからブルータルデス,テクニカルデス,ハードコアとのクロスオーバーまで様々。
MORBID ANGEL|モービッド・エンジェル
デスメタルの帝王や魔王と呼ばれて崇拝されるカリスマバンド。エピックデスとでも呼べそうな様式美色の強い大仰なサウンドが特徴。
CANNIBALCORPSE|カニバル・コープス
もはやファニーですらある悪趣味エンタメを追求したバンドですが、ストレートながらグルーヴも感じさせる味わい深い正統派デスメタルサウンドはUSシーンでも圧倒的な存在感。
DEICIDE|ディーサイド
アンチキリストをテーマに掲げた意識高い系バンド。スラッシュを徹底的に激化させたような、究極USデスラッシュとも言えるストレートなサウンドが魅力。
OBITUARY|オビチュアリー
スロー/ミドルテンポを多用したヘヴィグルーヴを持ち味として、デスコアやスラッジにも影響を与えたバンド。彼ら自身もハードコアからの影響が濃く、初期のUSデスシーンでは異色の存在。
DEATH|デス
ストレートなサウンドからスタートしてテクニカルかつメロディアスなプログレデス的スタイルを開発、メロディックデスメタルのパイオニアのひとつにも数えられる検索泣かせの名を持つバンド。
MALEVOLENT CREATION|マルヴォレント・クリエイション
疾走感重視のオールドスクールなスタイルながら、グルーヴメタル的なヘヴィネスを持ち合わせた高圧力サウンドを特徴とする、USシーンの裏番長的グループ。
SUFFOCATION|サフォケイション
珍しく黒人ドラマーを擁していた時期もあるバンド。ストレートなデスメタルにブレイクダウンなどを取り入れた作風で、近年メタルコア/デスコア勢からルーツ的存在と崇められ再評価されています。
BROKEN HOPE|ブロークン・ホープ
あくまでもブルータルでストレートなオールドスクールデスメタルを基調に、プログレ路線に走ることなくテクニカルサウンドを追求したスタイルとしては、最高峰に位置するバンドのひとつ。
ATHEIST|エイシスト
USテクニカルデス/プログレデスの代表格。ジャズやフュージョンを取り入れた空間的で浮遊感のあるスタイルでCYNICなどにも影響を及ぼしました。
北米 – カナダ
カナダには大きなシーンがあるわけではありませんが、強烈な個性を持った曲者がそろっています。カナダのひとつのお家芸とも言える、変態プログレ的なテクニカルでフリーキーなサウンドが特徴です。
GORGUTS|ゴーグツ
カナディアン・テクニカルデスメタルのゴッドファーザー的なバンド。彼らの存在こそがが、カナダデスメタルシーンをテクニカルでフリーキーに特徴づけたとも言えます。
KATAKLYSM|カタクリズム
かつては初代ヴォーカリストシルヴァイン・ヒューデ(Sylvain Houde)の強烈な存在感で、カナダ最狂と呼ばれていたフリーキーかつメロディックなバンド。ヒューデ脱退後はメロデス寄りの凡百なバンドになります。
CRYPTPSY|クリプトプシー
テクニカルデスメタルでは最も高い知名度を持つバンド。独自性や先鋭性は薄いものの、高完成度,高テンション,高密度なサウンドで日本でも高い人気を誇ります。
CEPHALECTOMY|セファレクトミー
メロデス化する前のKTAKLYSMサウンドを継承するかのように現れたバンド。まさにシルヴァイン・ヒューデの魂を受け継いだような、フリーキーな激烈サウンドを聴かせます。
中南米
中南米はアメリカとはまたひと味違った、ハードコアで過激さを追求したバンドが多いのが特徴です。民族色の強いバンドも多く、スペイン語で歌ったりトライバル要素を取り入れたり、というアプローチも目立ちます。
中南米 – メキシコ
BRUJERIA|ブルヘリア
ラティーノデスメタルの代表格。有名デスメタルバンドの覆面プロジェクトとしても知られており、FEAR FACTORY,OBITUARY,NAPALM DEATHらトップバンドのメンバーが参加してきました。サウンドはハードコアでグラインド色の強め。
中南米 – ブラジル
SEPULTURA|セパルトゥラ
デスメタルがスラッシュの一派閥だった時代の代表的バンド。のちにグルーヴメタル/トライバルメタルとして世界的なバンドに成長します。
KRISIUN|クリジウン
ブラジルのブラスト番長と呼ばれるバンド。ブラックメタルをデス化したようなチープなスタイルですが、南米では最も知名度の高いデスメタルバンドで来日も果たしています。
オーストラリア
DAMAGED|ダメージド
激烈で目まぐるしい展開のテクニカルサウンドを持ち味にしていたこともあるブルータルグラインドデス。その時期のヴォーカルは、かのシルヴァイン・ヒューデにも匹敵するフリーキーな個性派でした。
ヨーロッパ
イギリス
イギリスはグラインドコア,ドゥームメタル,ゴシックメタルなどを生み出した、欧州エクストリームメタルの聖地。デスメタル系でもハードコアをルーツに持つバンドが多く、良く言えばケレン味の無い実直さが英国流ですが、悪く言えばやや地味にも映りがちです。
CARCASS|カーカス
グラインドコアからスタートしてデスメタルよりのスタイルへと移行。メロディックデス,デッスンロールと次々に新機軸を打ち出した独創的な実力派。
BOLT THROWER|ボルトスロワー
80年代から地味ながら安定した活動を続ける超ベテラン。ハードコアパンク出身,元祖エピックデスメタル,女性ベーシスト、と語るべきポイントは多いのにイマイチ影の薄いバンドです。
CANCER|キャンサー
英国シーンでは逆に珍しい、スラッシュベースのオーソドックスなデスメタルバンド。初期のUKデスメタルを代表する中心的バンドのひとつです。
BENEDICTION|ベネディクション
Napalm Death(ナパーム・デス)のヴォーカリストバーニー(Mark “Barney” Greenway)が在籍していた、ハードコアデスメタルバンド。英国バンドらしくケレン味が無い煮え切らないサウンドですが、地味ながらナカナカの滋味にあふれたスルメ系。
ヨーロッパ各国
別格のイギリスとスウェーデンを除くヨーロッパでは、ドイツ,フランス,オランダあたりが3強といえるエリアです
ドイツはスラッシュメタル時代と異なり大きなムーヴメントには育ちませんでしたし、フランスやオランダも主流となるほどのシーンがあるわけではありませんが、ムーヴメント初期からいくつものハイレベルなグループを輩出してデスメタラーに支持されてきました。
また、VADERの地元ポーランドのように、メタル後進国でもそれなりに知名度の高いバンドが登場することで、その影響からある程度のシーンが形成されることもあるようです。
欧州シーンにはスラッシュ発展型エクストリームメタルとしての、ストレートなスタイルのデスメタルも存在しますが、それ以上に前衛的で実験的な音楽としてのデスメタルに着目していたバンドが多く、その結果プログレッシヴでテクニカルなバンドや、オルタナティヴで変態的,先鋭的なバンドが目立つようになりました。
そのため、例えばゴシック/インダストリアルとのクロスオーバーなどで作品ごとにスタイルを変えるバンドも多いですし、割とアッサリとデスメタルから足を洗うバンドも少なくありません。
ドイツ
MORGOTH|モーゴス
オーソドックスなデスメタル〜ゴシック風味(ゴシックメタルではない)〜ソリッドなハードコアスタイル〜インダストリアルと、1作ごとに異なるスタイルを極め完成度の高い作品をドロップした鬼才。
ATROCITY|アトロシティ
プログレ的なテクニカルデスメタルから、ゴシック,インダストリアル,グルーヴなど何でもアリの雑食オルタナティヴデスメタルへ移行。オリジナルアルバムよりもニューウェイヴのカバーアルバムなど様々なテーマの企画盤で存在感を示しています。
HOLY MOSES|ホーリー・モーゼス
凶悪な元祖女性デスヴォーカルをフィーチャーしたベテランジャーマンデスラッシュバンド。スラッシュメタルとしても古参の部類ですが、サウンドをアップデートしつつ未だ現役で活動しています。
PROTECTOR|プロテクター
ホーリーモーゼスと並ぶ古参のベテランデスラッシャー。スラッシュメタルをベースにした、オーソドックスながら完成度抜群のデスメタルサウンドが特徴です。
フランス
MASSACRA|マサカー
スラッシュメタルをベースしにたベテランデスラッシャー。センスの良さと作曲能力の高さは欧州デスラッシュの中でも指折りのバンドです。
AGRESSOR|アグレッサー
オールドスクールなヘヴィメタルをデスメタルとミクスチャーした個性派バンド。あえて言えばDEATH(フロリダ)に近いアプローチで、ブラストにも様式美にも頼り過ぎないメリハリの効いた絶妙なサウンド。
LOUDBLAST|ラウドブラスト
スラッシュ全盛期から続く、デスラッシュスタイルのベテランバンド。ドゥーミーとも表現可能な重厚なサウンドが持ち味ですが、突出したところが無く活動が長いわりに存在感はイマイチ。
MISANTHROPE|ミサントロプ
ゴシックテイストが濃い、プログレッシヴでオルタナティヴな変態系デスメタルバンドとして、カルト的な人気を持つ個性派バンドです。
オランダ
SINISTER|シニスター
オランダのみならず欧州デスメタルシーンを代表するバンド。CANNIBAL CORPSEやDEICIDEなどUSトップ勢に比肩しうるサウンドは、名実ともにユーロブルータルデスの最高峰。
PESTILENCE|ペスティレンス
プログレ色の強いテクニカルなデスメタルバンド。00年代以降の手数とブラスト頼りの高密度サウンドではなく、計算された展開で聴かせるオールドスクールなスタイル。
ASPHYX|アスフィクス
ドゥームテイストが濃くグルーヴィーなミッドテンポを多用し、SEなどにはゴシック的なエッセンスも感じさせますが、基本はスラッシュ寄りのハードコアデスメタルバンドです。
GOREFEST|ゴアフェスト
ドゥーミーなスローパートを多用するブルータルデスメタル。のちにCTHEDRALとENTOMBEDの中間のようなスタイルに転向し、ごく一部にデッスンロールのパイオニアと呼ぶ向きもあります。
イタリア
SADIST|サディスト
プログレッシブなテクニカルデスメタルバンド。むしろ、どちらかというとデスヴォイスをフィーチャーしたプログレメタルといった方がシックリくるサウンド。
スイス
MESSIAH|メサイア
80年代のスラッシュ黄金期からデスラッシュを追求していたベテラン。同郷のCORONARらとは全く異なる、プリミティヴでハードコア色が強いスタイル。
オーストリア
PUNGENT STENCH|パンジェント・ステンチ
あらゆる意味で変態系デスメタルの代表格。プログレッシヴともオルタナティヴとも呼べるサウンドですが、ビジュアル込みのフェティッシュでフリーキーなコンセプトが最大の目玉。
DISHARMONIC ORCHESTRA|ディスハーモニック・オーケストラ
通好みのオルタナティヴなテクニカルデスメタルバンド。様々な音楽エッセンスをコラージュしたような、フリーキーな変態サウンドが持ち味です。
ポーランド
DRAGON|ドラゴン
80年代にデビューを果たした、シーンでも古参のポーランド第1世代。当時のJ-メタル誌では酷評でしたが、テクニカルでプログレ的、時にパワーメタル的でもあるデスラッシュサウンドは実に魅力的。
VADER|ヴェイダー
なぜか世界的な存在となっポーリッシュブルデスの代表格。特筆するほどの個性は無いMORBID ANGEL系バンドですが、マスコミのゴリ押しもあって日本でも人気となり何度となく来日しています。
北欧
欧州シーンでは最大のデスメタル激戦区スウェーデンを中心に、ヨーロッパ有数のエクストリームメタルシーンを持つエリア。
スウェーデンはオールドスクールなデスメタルから、メロディックデスメタル、ネオスラッシュ、ゴシックデス、ブラックメタルなど様々なエクストリームメタルが割拠しています。
それ以外の国はデスメタルの存在感が薄く、ブラックメタルやその亜流のバイキングメタル,ペイガンメタルなどが覇権を争っています。加えて、エンタメ色の強いエピック系バンドとポリティカルな意識高い系バンドの違いはあれど、全般的に土着的な民族派が目立ちます。
スウェーデン
スラッシュメタル寄りのいわゆるデスラッシュ系のサウンドが典型的なスウェーディシュスタイル。リフワークからはディスチャージ系のハードコアからの影響も強く感じられるバンドも目立ちます。
また、100を大幅に上回るデスメタルバンドをプロデュースして初期のデスメタルサウンドを作り上げた、Tomas Skogsbergによるササクレ立った“ジャリジャギ”のサウンドは、スウェーディシュデスメタルの何より大きな特徴となっています。
ENTOMBED|エントゥームド
スウェーディシュデスメタルBIG4のひとつ。ハードコア色が強いスタイルでのちにデッスンロールシーンを開拓し、北欧R&Rに大きな刺激を与えます。
DISMEMBER|ディスメンバー
スウェーディシュデスメタルBIG4のひとつ。スウェーディシュスタイルの典型といえるサウンドですが、のちにメロデス寄りのスタイルになります。
GRAVE|グレイヴ
スウェーディシュデスメタルBIG4のひとつ。BIG5ではもっとも硬派でストレートなバンドですが、緩急を心得たハードコアでソリッドな楽曲はハイレベルで魅力的。
UNLEASHED|アンリーシュド
スウェーディシュデスメタルBIG4のひとつ。BIG5でも最もB級色が濃いバンドで、キャリアは長いものの常に中途半端な作品を作り続けています。
HYPOCRISY|ヒポクリシー
プロデュース業も行うピーター・テクレン率いる典型的北欧デスラッシュ。同業のダン・スウォノをライバル視したような展開を行います。現在はテクレンはインダストリアルシーンでそれなりの地位を築いています。
DARK TRANQUILLITY|ダーク・トランキュリティ
メロディをリフに取り入れるというメソッドで、メロディックデスメタルを開発したメロデスの原点。弟分のIN FRAMESとともに“イエテボリスタイル”と呼ばれるメロデス流派の創始者となります。
EDGE OF SANITY|エッジ・オブ・サニティ
先鋭派デスのカリスマプロディーサーダン・スウォノのパーマネントバンド。デスラッシュをベースに、メロデス,ゴシック,プログレなどあらゆるメロディ派のスタイルが詰め込まれた宝箱的作風。
AT THE GATES|アット・ザ・ゲイツ
“イエテボリスタイル”メロディックデスラッシュの大家。活動は短いものの後のシーンに多大な影響を与えた最重要バンド。中心メンバーは後にTHE HAUNTED(ホーンテッド)としても活躍。現在は復活して活動中。
AFFLICTED|アフリクテッド
初期のシーンでは二番手くらいの位置でしたが、プログレ的でテクニカルなデスラッシュサウンドは同路線の一線どころをもしのぐ個性を持ったユニークなもの。2ndでパワーメタル化するという予想外の展開を見せ、活動も短命に終わります。
フィンランド
メタル産業推進国のフィンランドは、スウェーデンとはまた一味違った独自のスタイルを持っています。
トラッド色の強い土着的なサウンドたロックンロール色を特徴にしてる他、ビジュアル系的なグラムロック/ゴシックのスタイルなど日本に通じる部分も見られます。
SENTENCED|センテンスド
初期の頃からメロディを重視していたバンドで、メロディックデスメタルのパイオニアのひとつとされています。のちに脱デスします。
AMORPHIS|アモーフィス
ゴシック色が強くメロディ重視の作風で、トラディショナル系エスノデスメタル、エピックデスメタルの代表格。のちに脱デスします。
ノルウェー
CADAVER|カダヴァー
初期にはテクニカルなスタイルでプログレデスと呼ばれることもあったバンド。メンバーチェンジを重ねて継続中ですが、現在のスタイルはストレートで平凡。
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アジア etc
現在では、東アジアや東南アジア各国からアフリカ大陸に至るまでデスメタルバンドは存在して、それぞれ民族色も加えたユニークな音楽性で活動していますが、あくまでマニア向けの存在にとどまっています。
唯一日本は、古くからハードコアシーンやノイズシーンが海外から注目を集めるほどの独自の発展を遂げていていたという背景もあって、アバンギャルド系やグラインドコア寄りシーンの中には、欧米に引けを取らない存在感のバンドが活動していました。
日本
S.O.B.|エス・オー・ビー
J-グラインドコア/デスメタルのパイオニア。日本のバンドではごくまれな、海外でも通用する知名度と実力を持つバンドです。
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MULTIPLEX|マルチプレックス
S.O.B.と同様に海外からの評価が高かったグラインドデスメタバンド。トリッキーでテクニカルなドラムを核に本場の模倣に終わらないユニークなサウンドを生み出しました。
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CSSO|シー・エス・エス・オー
フリーキーでプログレッシヴな展開を得意として、サイケデリック要素も持ったなグラインドコアバンド。やはり日本よりも海外からの評価が高いグループです。
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D-river|デスリバー
“武士コア”を標榜するバカテクコミックグラインドデスメタルバンド。2枚を残して活動停止。ダン・リルカーもゲスト参加していた実力派。
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