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音楽用語|さ|『サブジャンル:Sub-Genre』【音楽ジャンル・定義】
起点となる大元のメインジャンルにあたる上位(親)ジャンルを、さらに細分化するために設定された下位(子)ジャンルのこと。サブジャンルは“親ジャンル”に対する“子ジャンル”、“子ジャンル”に対する“孫ジャンル”というように階層化してゆくため、細分化が進むほど階層は増すことになります。
起点となるメインジャンルはケースバイケースで異なります。上の例で言えば、一般に“第2階層:ロック”や“第3階層:ヘヴィメタル”あたりがメインジャンルとして起点となり、それ以下がサブジャンルとなります。
このように、細分化で階層が増えると下位ジャンルの名称が長くなる傾向があるので、ある程度の勢力を獲得したものについては便宜的に新たなジャンル名が定義されることもあります。
サブジャンル』はなぜ増え続ける!?
『サブジャンル』の定義要因になる要素
音楽性
音楽性は、当然のようにサブジャンルが定義される大きな要因です。
既存ジャンルのエクストリーム化やハイブリッド化で生まれた新たなスタイルが、一定の勢力に拡大すれば『サブジャンル』とみなされるようになります。
○『ロック』→ジャズとハイブリッド化 →『ジャズロック』。
○『ロック』→ヘヴィでメタリックに →『ヘヴィメタル』。
○『ヘヴィメタル』→スピードアップ →『スピードメタル』。
『ヘヴィメタル』が過剰/過激になったエクストリーム進化系『スラッシュメタル』『デスメタル』のように、字面では音楽性を指すものとわかりづらいものもあります。
テーマ
歌詞のテーマも“サブジャンル化”の要因です。これについてはバンド側の自称のケースが目立つので、広く定着しないもの少なくありません。
○叙事的な神話や物語をがテーマ →『エピックメタル』
○戦争がテーマ →『ウォーメタル』
○ビールや酒/パブなどがテーマ →『ビアメタル』
○時代劇がテーマ →『武士コア』
○以上のようなIQの低そうなものと異なる社会的/知的なテーマ →『インテレクチュアルメタル』
など。
コンセプト
音楽性以外のビジュアルやバンドコンセプトも“サブジャンル化”の要因になります。
『グラムロック』『ショックロック』『ヘアメタル』『ギミックメタル』『コスプレメタル』『マスクドメタル』『ホラーパンク』『サイコビリー』『ビジュアル系』など。
地域性
音楽に地域性が現れている場合はもちろんのこと、そうでない場合でもバンドの属する国や民族の特徴だけでも“サブジャンル化”の要因になり得ます。
『アメリカンロック』『ブリティッシュロック』『ブラックロック』『チカーノメタル』など各種。
●思想/主義
バンドの政治的/宗教的な思想性も“サブジャンル化”の要因となります。
代表的なのは『レベルミュージック』『プロテストミュージック』『クリスチャンメタル』『サタニックメタル/ブラックメタル』『クリシュナコア』など。
世代
音楽性に大きな変化がなく既存のジャンルに収まるものであっても、既存ジャンルのイメージにとらわれたくない場合や、新世代であることや同時代性を強調したい場合、新たなサブジャンルが定義されます。
○『プログレッシヴロック』→『ポンプロック』『ポストパンク』『ポストロック』『マスロック』
○『サイケデリックロック』→『シューゲイザー』『ストーナーロック』
○『ハードロック』→『グランジ』
シーン
音楽的な特徴がほぼ同じであってもそのシーンが違う場合、大抵はバンドの属するシーンによって異なるサブジャンルが適用されます。
○『プログレッシヴロック』=『ポストロック』=『ポストハードコア』=『ポストメタル』
○『ポストロック』=『ゴシックメタル』=『デプレッシヴメタル』=『サッドコア』
サブジャンルの定義に正当性はある!?
サブジャンルは誰が決める?
サブジャンルは一部のメディアやレコード会社の手によってマーケティングのために、あるいはショップによってカタログ分類のため、場合によってはアーティストや個人によって他との差別化を図る目的で、便宜的に命名されがちです。
恣意的な定義/再定義も多い?
語り手の都合で既存のジャンルと特に差異のないものに、無理に新たなジャンル名を設定するケースも多く、あくまで一部業界内など特定のコミュニティで使われるべき呼称を、さも一般的なものと喧伝するケースも見られます。
近年目立つのは、マーケティングなどを目的に、以前より定義の定まったジャンルとして存在していたものが、後年になって改竄/拡大解釈されて再定義したり、独自のポジションを築いて位置付けが曖昧なバンドを無理に後付けのジャンルに押し込むようなケースです。
サブジャンルの定義は正しいの?
ウィキペディアに記載されているようなジャンル名も同様で、必ずしもムーヴメントを形成したり自然発生的に定着したという背景や、歴史的/社会的な正当性を持つものとは限りません。
多くの場合、それらの定義は特定のコミュニティやクラスタの枠内を超えるものではありませんが、ここにビジネスが絡むと一気に知名度が広がりがちです。
サブジャンルの定義/名称は話半分で?
極端な話をするなら、聴き手がリスナーとしてのキャリアを重ねて、ある程度以上に耳が肥えて知識も蓄積されているのであれば、自身の判断でカテゴリーを定義するのもひとつの方法かもしれません。当サイトでのジャンル定義も、話半分でとらえておいたほうかいいかも?