世界で初めて本格的にメロディを楽曲の中心にすえて激情的かつ叙情的なデスメタルを開発した、スウェーディッシュ・メロディック・デスメタルシーンのパイオニア!
DARK TRANQUILLITYは、メロディや叙情性を部分的な演出としてではなく本格的に楽曲の主体に据えたデスメタル、いわゆるメロディックデスメタルを確立させたオリジネイター。イエテボリ地方出身ながら俗に言うイエテボリスタイルの類型的サウンドとは異なる独自のスタイルで、北欧メロディックデスメタルシーンで独自の地位を築いていいます。
エクストリミティの追求こそ美徳とされていたデスメタルシーンで、アグレッションはそのままに
激情的なエモーション,メロディ,叙情性を余すことなく詰め込んだ作風はまさに革命的と言えるもので、それまで恐る恐るメロディ導入を試していたバンドにも「ここまでやってもいいのか!」「こんなやり方があったのか!」という衝撃を与えます。それは90年代ヘヴィメタルシーン最大のパラダイムシフトと呼んでも差し支えないほどでした。
デビュー当初より先鋭的なリスナーによって高く評価されていましたが、その存在があまりに早すぎたため、雪崩式に起きたムーヴメントのメジャー表出にタイミングが合わず、世界的なブレイクは弟分IN FLEMSやARCH ENEMYらの第2世代、彼らに倣ってメロディを大幅強化したAT THE GATESやAMORPHIS,SENTENCEDらの路線変更組の後塵を拝するかたちになります。
その後も元祖メロディック・デスメタルという称号を持ちながら、世界的な知名度の高さは後続に譲っていますが、ゴシックサウンドの導入なども試みつつ独自のサウンドを追求し、バブル化したメロデスシーンにも染まらず埋没せずの一線を画したスタンスを崩さないで孤高のバンドです。
DARK TRANQUILLITY|DISCOGRAPHY
Skydancer|スカイダンサー
オリジナルアルバム – 1作目 (1993年)
独自性:★★★★★|マニア度:★★★★★|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み 実験作
The Gallery|ザ・ギャラリー
オリジナルアルバム – 2作目 (1995年)
独自性:★★★★★|マニア度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
The Mind’s I|ザ・マインズ・アイ
オリジナルアルバム – 3作目 (1996年)
独自性:★★★★☆|マニア度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
通好み スルメ盤
Projector|プロジェクター
オリジナルアルバム – 3作目 (1997年)
独自性:★★★☆☆|マニア度:★★★★★|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Haven|ヘイヴン
オリジナルアルバム – 5作目 (2000年)
独自性:★★★☆☆|マニア度:★★★★☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Damage Done|ダメィジ・ドーン
オリジナルアルバム – 6作目 (2002年)
独自性:★★★★★|マニア度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Character|キャラクター
オリジナルアルバム – 7作目 (2005年)
独自性:★★★☆☆|マニア度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤 お布施
Fiction|フィクション
オリジナルアルバム – 8作目 (2007年)
独自性:★★★☆☆|マニア度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤 お布施
We Are the Void|ウィ・アー・ザ・ヴォイド
オリジナルアルバム – 9作目 (2010年)
独自性:★★★★☆|マニア度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み 実験作
Construct|コンストラクト
オリジナルアルバム – 10作目 (2013年)
独自性:★★★☆☆|マニア度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Atoma|アトマ
オリジナルアルバム – 11作目 (2016年)
独自性:★★★☆☆|マニア度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
お布施
◎ DARK TRANQUILLITYはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
DARK TRANQUILLITYのブレイクは“The Gallery(2nd)”によるもので、これも聴いて損のない魅力的な作品ですが、最初の1枚ということなら何と言っても最高傑作の名にふさわしい完成度の“Damage Done(6th)”に尽きます。その次にせめるなら“Character(7th)”と“Fiction(8th)”あたり。1枚落ちる印象は否めませんが高品質な良作です。
彼らの本流ではないし評価も割れがちですが、落ち着いたゴシックメタルやメランコリックメタルがイケる口なら、その路線での到達点“Haven(5th)”も要チェックですし、それらの総決算という意味なら、“Construct(10th)”も一聴の価値あり。
メロディックデスメタルの歴史を深掘りしたければ、元祖メロデスアルバムとして歴史的重要作の“Skydancer(1st)”は間違いなく必聴ですが、最初の1枚に選ぶべきかと問われると微妙かもしれません。