- フィル・アンセルモのバンドDOWNのメンバーとしても知られるインパクト抜群の巨漢フロントマンによる、メタリック&ハードコアなウルトラヘヴィサウンドでスラッジ黎明期を支えたパイオニア
- CROWBAR|DISCOGRAPHY
- Obedience Thru Suffering|オビーディエンス・スルー・サファーリング
- Crowbar|クロウバー
- Live + 1|ライヴ・プラス・ワン
- Time Heals Nothing|タイム・ヒールズ・ナッシング
- Broken Glass|ブロークン・グラス
- Odd Fellows Rest|オッド・フェロウズ・レスト
- Equilibrium|イクイリブリアム
- Sonic Excess in Its Purest Form|ソニック・エクセス・イン・ザ・プレスト・フロム
- Lifesblood for the Downtrodden|ライフブラッド・フォー・ザ・ダウントローデン
- Sever the Wicked Hand|セーヴァー・ザ・ウィキッド・ハンド
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フィル・アンセルモのバンドDOWNのメンバーとしても知られるインパクト抜群の巨漢フロントマンによる、メタリック&ハードコアなウルトラヘヴィサウンドでスラッジ黎明期を支えたパイオニア
CROWBAR(クロウバー)はアメリカはニューオーリンズのヘヴィロックバンドで、同郷のEYEHATEGOD(アイヘイトゴッド)やTUNGSTEN(タングステン)ともにスラッジコア/スラッジメタルの源流であるニューオーリンズスラッジのパイオニアBIG3として、また、そこにACID BATHを加えサザンスラッジBIG4と呼ばれることもあります。
また、それらのバンドと同様、PANTERAに代表されるサザンメタル/サザングルーヴメタルの文脈でも語られることがあります。
実際にCROWBARのメンバーカーク・ウィンドスタイン(Kirk Windstein)やEYEHATEGODんメンバーでもあるジミー・バウワー(Jimmy Bower:脱退)はストーナーBIG4の一角CORROSION OF CONFORMITYのペッパー・キーナンたとともに、PANTERAのフィル・アンセルモ(Philip Anselmo)が彼らに影響を受けて結成したストーナー系ヘヴィロックバンドDOWN(ダウン)に参加していることでも知られています。
そのため、一般的にはPANTERAのフィル・アンセルモを中心とした、サザンメタルサークルに属するバンドともみなされています
CROWBARもまた多くのスランジ系バンドと同様、引きずるようなスローリフを用いたドラァギィなヘヴィサウンドが大きな特徴ですが、それらのスラッジ系バンドの中ではハードコア的なストレートな突進力とソリッドなヘヴィメタリックサウンドを持ち味としています。音作りもスラッジに多いジャンクでローフィな質感は無いクリアでソリッドなもので、楽曲によってはPANTERA系のグルーヴメタルや、スラッシュメタルの鋭意頂上の感覚でも聴くことも可能です。
そのため、マニアックで聴き手を選びがちなスラッジコア。スラッジメタルの中では、一般メタルリスナーにも比較的敷居が低く馴染みやすい音楽性を持っています。
また初期においては、双子プロレスラーかと見紛うようなルックスの巨漢二人がフロントマンを務めるという、ユーモラスなビジュアルもキャッチーだったこともあって、“PANTERAの兄弟バンド”との触れ込みでスラッジ系バンドとしては最も早い時期から日本盤もリリースされていました。
CROWBARは、寡作の傾向が強いスラッジシーンの中で、アルバムだけで10タイトルを超えるというトップレベルのリリースペースを誇り、現在も精力的な活動を続けています。
CROWBAR|DISCOGRAPHY
Obedience Thru Suffering|オビーディエンス・スルー・サファーリング
オリジナルアルバム – 1作目 (1991年)
この時点からすでに、同郷のEYEHATEGODなどと比較するとクリアでシャープな質感で、『綺麗なスラッジ(汚泥)』と言う矛盾を生じそうな表現も思い浮かびます。
グルーヴメタルどデゥームですをミックスしたような印象もありますが、PANTERAのようなキャッチネスやポップネストは無縁のストロングスタイル。しかし、無骨でハードコアなサウンドながらドラムが妙にトリッキーだったり、無愛想なダミ声ヴォーカルなのにエモーションを感じさせたりと、単調なようで一筋縄ではいかない味のあるサウンドはなかなかクセになります。
ちなみに、印象的なドラミングを聴かせ、のちにザック・ワイルドのBLACK LABEL SOCIETYにも参加するクレイグ・ヌネンマッハーは、元はグラムメタルシーンのポップな個性派で知られたLILLIAN AXEのメンバー。
ヘヴィネス:★★★★★|楽曲多彩度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 通好み スルメ盤 実験作
Crowbar|クロウバー
オリジナルアルバム – 2作目 (1993年)
前作からしてPANTERAらヘヴィグルーヴ系のサザンメタルに近い質感を漂わせていましたが、さらに整合感を増したソリッドなサウンドで隣、曲調もアップテンポなものからスローでダークなものまで多彩。単なるスラッジの枠でくくるにはやや幅の広い作風となりました。
T-05はLED ZEPPELINの代表曲のカバーですが、サイケデリックでドリーミーな叙情的ナンバーがドゥーミィでダークなヘヴィナンバーへと変貌を遂げており、選曲, アレンジ共にカバーかくあるべしと言った見事な仕上がり。
本作はA&Rの目に止まって、スラッジジャンルでは初の日本盤リリースとなった作品で、確か「三ッ葉じゃないぞ金テコだ!(バンド名のこと)」、というのが当時のキャッチコピーでした。コピーの良し悪しはともかく、その扱いも納得の完成度を持つ充実の一枚です。
ヘヴィネス:★★★★★|楽曲多彩度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Live + 1|ライヴ・プラス・ワン
ミニアルバム:EP (1994年)
ライヴ音源に未発表曲1曲を加えたミニアルバム。これもまた日本盤がリリースされていましたが、日本デビュー早々こんなアイテムまでリリースされていたあたり、果たしてレーベルに見る目があったのかなかったのか微妙なところです。一応、映像作品を除けば唯一のライヴ音源ではあります。
Time Heals Nothing|タイム・ヒールズ・ナッシング
オリジナルアルバム – 3作目 (1995年)
前作とほぼ同路線のアルバムで、基本的な楽曲クオリティ自体は申し分なし。ただし、前作で大きな成長を遂げた分だけ伸びしろが狭まって上乗せが減ったため、前作から続けて聴くとどうしてもインパクトには欠けます。
ファストナンバーやノリのいいグルーヴナンバーもラインナップされ作風の幅はあるのですが、それ以外のスローナンバーはやや画一的な印象もあり、それらがかたまった曲順もあまり上手いとは言えず全体の印象を落としており、どうにもポテンシャルを発揮しきれていない惜しい仕上がりです。
大作度:★★★★☆|マニア度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 通好み
Broken Glass|ブロークン・グラス
オリジナルアルバム – 4作目 (1996年)
EYEHATEGODのギタリストでDOWNではドラムを担当する、ジミー・バウワーがドラムスとして参加。ある意味ではサザンスラッジのドリームバンドと化したわけで、一般的にはここからが黄金期という認識も広がっていますが、ドラマーとしてはで前任者の方がユニークでバンドの個性的に貢献していました。
アルバムにしてもここから大きくクオリティが上がったように語る向きもありますが、正直なとことろ作品としては彼らのカタログの中では一枚落ちます。とはいえ、彼らのことなので、やっていることが大きく異なるわけでも他の名作群と比較して格段に品質が劣るわけではなく、あくまでもあと一歩のところで超えるべきラインに届いていないといった印象です。
ヘヴィネス:★★★★★|楽曲多彩度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
Odd Fellows Rest|オッド・フェロウズ・レスト
オリジナルアルバム – 5作目 (1998年)
主要メンバーについては前作と変わらずで、やはり同様当たり前のことしかやっていないのはずなのににレベルが段違い 印象に残るフレーズが多い
どこを切ってものどれを聴くいてもの金太郎飴路線であっても、うまく歯車が噛み合えばこれだけ変わるのかといいう好例
彼らの場合本来がにスラッジの類型的な枠に収まらずドゥームの幽玄さ, ストーナーのトランス感, ヴルーヴのフィジカル性, ゴシックの妖美さなど、近縁ジャンルの多彩なエッセンスを、気負った新機軸としてでなく自然にいつもの装いとして身に纏える懐の深さも強み。
ヘヴィネス:★★★★☆|楽曲多彩度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Equilibrium|イクイリブリアム
オリジナルアルバム – 6作目 (2000年)
CROWBARのカタログの中ではあまり人気がないという話も聞こえるアルバムですが、おそらくそれは前作までドラムを務めていたにEYEHATEGODのジミー・バウワーという、サザンスラッジのカリスマビッグネームが脱退したことが大きいのでしょう。
アルバムとしての完成度/楽曲の充実度ともに、中期の名盤と名高い前作に引けを取らない見事な仕上がりで、これがというのであればそれ以外の理由は考えられないほどです。
「普段イラストやイメージ写真をジャケットに用いるバンドが、メンバーショット(前作のようなコラージュは除く)を使ったアルバムは名盤率が高い…彼度過小評価のされがち。」という節を検証中なのですが、少なくともこのアルバムはまさにそれに該当します。
ヘヴィネス:★★★★☆|楽曲多彩度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み
Sonic Excess in Its Purest Form|ソニック・エクセス・イン・ザ・プレスト・フロム
オリジナルアルバム – 7作目 (2001年)
バンドのツートップの片割れだった巨漢ベーシストの”セクシーT”ことトッド・ストレンジが脱退し、オリジナルメンバーはカーク・ウィンドスタイン一人だけになった状況での初作品。ファンの中にはOdd Fellows Rest(5th)と並んぶ代表作に押す人も多いアルバムなのですが、そこまで抜きん出た名盤なのかというとこれは微妙なところです。
基本的にCROWBAR作品は、水準以上のアベレージをクリアしつつかなり狭いクオリティレベルを上下してしていおり、これもまた一定の品質は保証付き。ただし、比較的多彩なエッセンスを織り込む傾向が目立った近作と比較すると、オーソドックスなヘヴィナンバーに時折ファストパートが挟まる程度にとどめられた本作はかなりレンジの狭い仕上がりです。そのため、多様性を持った表情豊かな作風を好むか、ストレートで剛直な作風を好むかで評価が大きく分かれるのかもしれません。
メロウなT-07は異色曲ではありますが、これはこの系統につきもののいわゆる“プラネット・キャラバン枠”なので別腹あつかいになります。
ヘヴィネス:★★★★★|楽曲多彩度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Lifesblood for the Downtrodden|ライフブラッド・フォー・ザ・ダウントローデン
オリジナルアルバム – 8作目 (2005年)
Sever the Wicked Hand|セーヴァー・ザ・ウィキッド・ハンド
オリジナルアルバム – 9作目 (2011年)
Symmetry in Black|シメントリィ・イン・ブラッック
オリジナルアルバム – 10作目 (2014年)
The Serpent Only Lies|ザ・サーペント・オンリィ・ライズ
オリジナルアルバム – 11作目 (2016年)