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音楽用語|じ|『ジャケ買い:じゃけがい』【ユーザー行動・心理】
このサイトで使われる用語で「どういう意味?」という疑問を受けたりしたワードを解説してゆく“音楽用語辞典”企画、今回のテーマは『ジャケ買い』です!
『ジャケ買い』とは?
『ジャケ買い』とは何か?まぁ字面でなんとなくわかるかもしれませんが、これは正式名称?を『ジャケット買い』。CDやレコードなどの音楽メディア(場合によってはDVDなどの映像メディアも)を、内容を全く確認することなくジャケットの情報だけでお買い上げする行為のことです。
今でこそ、その場でスマホ検索や試聴など簡単にできてしまいますし、音源ダウンロードは幅を利かせてメディアで購入する人は年々少なくなっていますが、以前からショップ音盤漁りをしていたマニアにとって『ジャケ買い』はごく日常的な行為で、そのためのスキルとカンを磨くのは必須でした。
メジャーアーティストに新作やショップリコメンドであればお店の試聴機に入ってる可能性もありましたが、その数はたかが知れています。個人経営のこじんまりした店舗だとカウンターで試聴させてくれることもありますが、さすがに何十枚も試聴させてもらうのははばかられます。
また格安の均一セールで何十枚も買うときなんかは、いちいち下調べしている余裕はないですしね。
『ジャケ買い』はどうやって選んでるの?
ここでは勝率7割(自称)のジャケガイヤーだった筆者が、『ジャケ買い』チョイスの際の基本ポイントを紹介しましょう。
ここにあげたものを含め、ジャケットから得られるあらゆる情報か総合的に判断して、買い物かごに入れるかどうかを決めるわけです。
アートワーク/デザイン
ジャケットに使われている写真やイラストを含むアートワークやデザインには、多くの場合バンドの音楽性やアルバムのコンセプトが反映されているので、ものによっては大体の方向性がつかめてしまいます。
メタルだとデスメタル,ブラックメタル,ゴシックメタル,エピックメタル,ハードコアなどは特にわかりやすいですね。
アートワークがあまりに魅力的な場合は、それだけを動機に内容関係なく購入する、“純ジャケ買い”を行うユーザーも存在します。
メンバーショット
メンバー写真がレイアウトされている場合、ファッションである程度方向性がつかめる場合もあります。コスプレ/ビジュアル系のブラックメタル,エピックメタルなどは一目瞭然ですね
メンバーがバンドTシャツを着ていれば、そこからわかるバンドのバックグラウンドや趣味嗜好も音楽性の予想に役立ちます。
クレジット
参加ミュージシャンやゲストミュージシャン、プロデューサーやエンジニアのクレジットが記載されていれば、そのメンツ次第で音楽性は予測しやすくなります。
リリース年度
最近は新しいサウンドの登場によるムーヴメントの大きな移り変わりはあまり見られなくなりましたが、00年代以前くらいまでは時代ごとの主流ジャンルがはっきりしていました。なので、その他の情報にリリース年度を加えるだけで音楽性が想定しやすくなります。
キャリアの長いアーティストも時代によって音楽性が大きく変わるケースがあるので、そんな時もリリース時期は大きな参考になります。
レーベル
インディーズ系の音楽レーベルは特定のジャンルに特化したリリースを行っていることが多いので、それによってある程度のジャンルや音楽性を予想することができます。
ただし、レーベルによっては時代によって傾向が変わることもあり、デスメタル専門のとことがメロディック系を扱うようになったりというケースもあるので要注意です。
曲名
ベタなセンスのバンドであれば、曲のタイトルでもある程度の傾向がつかめます。
悪趣味で禍々しいタイトルが並んでいればゴアなデスメタルの可能性が高いですし、サタンがどうのとか神をコ○せ!なんてタイトルだったら高確率でブラックメタルです。
バンド名/ロゴ
バンド名やロゴデザインにも音楽性が反映されがち。やはりブラックメタルやデスメタルなど極端で特徴的なジャンルは特にわかりやすいく、毛虫や派手なウミウシバリの読ませる気ゼロなロゴがネタにされているくらいです。
曲の長さ
ジャンルによっては1曲ごとの長さに傾向が表れることがあります。曲が長めで10分越えも当たり前ならプログレやポスト○○系、ストーナーやドゥーム,アンビエント/アトモスフェリック系などの実験的/前衛的なジャンル可能性が高くなります。
逆に1分代の曲が20曲や30曲もズラっと並んでいたら、かなりの確率でハードコア系と予想できます。
印刷等のクオリティ
ジャケットのデザインや印刷のクオリティも、ある程度は時判断のヒントになります。
メジャーレーベルの場合は、どんなにアートワークがダサくてもパッケージといてのデザインや印刷はしっかりしているものですが、これがインディーズレベルやブートレグ(海賊版)だと、デザインだけでなく印刷や断裁、パッケージングのクオリティまでが明確に低下します。
近年では、DTPやオンデマンド印刷の普及もあって、メジャーレーベルとマイナーレーベルの差は少なくなっていますが、自主制作の規模になると、カラーコピーやモノクロコピーをカッターで切り抜いたジャケットは普通に見られますし、極端な場合は手書きやスタンプを押したDIYテイスト満載なパッケージもあります。
ジャケットのチープさが音楽の価値に直結するわけではありませんが、明らかな自主制作パッケージは場合、運が良ければトンデモない貴重盤にぶつかるケースもありますが、ハズレを引く可能性の方が圧倒的に高くなります。いぜれにしても“冒険度”や“ギャンブル性”が大きくアップする覚悟は必要です。
『ジャケ買い』の極北!『純ジャケ買い/ピュアジャケ買い』とは!?
ひとくちに『ジャケ買い』といっても、大まかに分けてふた通りのパターンがあります。
ひとつがこれまでに解説してきたように、ジャケットに記載されているあらゆる情報から、音楽性の傾向を判断して買うというスタイル。
そしてもうひとつが、ここで取り上げた『純ジャケ買い』,『ピュアジャケ買い』です。これは、写真だったり、イラストだったり、デザインだったりという違いはあるにしろ、アーティストや音楽性など内容とは無関係に、ジャケットのアートワークだけを目的に購入するケースです。
これには、とにかくアートワークに惚れ込んで止むに止まれず買う羽目になるケースはまだ可愛い方で、中にはアートワークのモチーフや構図、イラストレーターやデザイナー等の制作者、といった特定のテーマでコレクター買いしているマニアも存在します。