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★用語辞典★『捨て曲』とは?《悪魔の音楽用語辞典…メタル/ロック界隈の基礎知識》

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音楽用語|す|『捨て曲:すてきょく』【批評】

このサイトで使われる用語で「どういう意味?」という疑問を受けたりしたワードを解説してゆく“音楽用語辞典”企画、今回のテーマは『捨て曲』です!

『捨て曲』とは?

『捨て曲』というのは、音楽作品…特にフルアルバムの収録曲の中で、クオリティが劣る取るに足らない曲のこと。
つまらないので聴き飛ばしてもOK!という扱いの曲を意味し、「このアルバムは捨て曲無しの名盤だ!」「1曲目以外は全然ダメ!捨て曲ばかりだ!」などというように使われます。

海外で『捨て曲』はなんと表現する?

海外では、アルバムとして成立させるために無理矢理詰め込んだ“曲数かせぎ”的な意味合いから、“つなぎ”や“穴埋め”といった意味を持つ『フィラー(filler)』という言葉が同じような用途で使われています。

『捨て曲』の定義は?

基本的に低クオリティな曲を指しますが、主観的な面も大きいので聴き手によって差があり、アーティストの作風から外れた挙国や、全体の統一感を損なう曲はクオリティ関係なく『捨て曲』とみなすリスナーも存在します。

少数派ですが、アルバムに1曲でも名曲レベルのアタリがあれば、他が捨て曲でも仕方がない…という極端に割り切った考え方をする人もいます。

『捨て曲』は存在するのか?

安易な『捨て曲認定』も生産的ではありませんが、どんなアーティストであっても、一般リスナーやライトファンだけでなく信者的な熱心なサポーターでも「この曲はちょっと…」と認めざるをえない、出来がイマイチな『捨て曲』というのは間違いなく存在すします。

確かに極論を言えば、誰もが認める『捨て曲』=駄曲,凡曲であっても、「いや、私はこの曲好き!」という人はたぶんゼロではないでしょう。その最近流行りの“人それぞれ論”を使えば、捨て曲も駄作アルバムも存在しないという理屈も成り立たないわけではありません。

しかし、それを言い出すと思考停止してしまって話が先に進みませんし、ある種の言論封鎖となって作品の評価や感想も自由に言えなくなってしまいます。少なくともこのサイトでは、客観的な視点も失わないようにしつつも、「残念ながら『捨て曲』は確実に存在する」という前提でレビューや評価を行っています。

ゼロ年代は『捨て曲』全盛期!?

アルバム収録曲が10曲以下が普通だったレコード全盛時代でも、『捨て曲』問題がなかったわけではありません。しかし、現在より平均曲数が少なかったため、必然的にアルバムあたりの『捨て曲』比率も低目でした。

しかし、音楽メディアがレコードからCDになって収録時間が大幅に増えたことによってアルバム収録曲が増えましたし、2000年前後からはリスナーにお得感を持たせるために時間フル収録になって、アルバムで20曲近いなんてことも当たり前の時代になります。
さらには、細分化が進んだ影響で、アルバム通して同じ曲調に同じテンポということも多くなり、アイデアスリ減ったことによるネタ切れも早くなってしまいます。

そうなると『捨て曲』率もハネ上がり、名盤とされていても1枚聴き通すとダレてしまうなんてケースが多くなってしまいましたし、ハズレを引いてしまうと聴き通すのもはや苦行でしかありません。

1曲ごとのダウンロード購入がさらに広がってゆくと、このあたりの感覚も変化してもしかすると『捨て曲』という言葉も死語になっていくのかもしれませんね。

みんなにとっての『捨て曲』?私にとっての『捨て曲』?

熱狂的なファンでも認めざるをえないような、単純に楽曲としての完成度が低く、商品としての水準や他人に聴かせる水準を満たしていないという『捨て曲』は確かに存在するというのがこのサイトの考え方ですが、“まっとう”な理由でなく、単なる聴き手の一方的な好き嫌いだけで『捨て曲』扱いされているケースも、実は少なくありません。

音楽性の変化は許さない!?

特に、アーティストの作風が変わるのをよしとしないファンは少なくないので、アーティストにとって実験的な曲や異色な作風の曲はそれだけで『捨て曲』認定されがちです。スラッシュメタルやデスメタルバンドの遅い曲やポップな作風の曲などはそのいい例ですね。
後に風向きが変わって再評価されることもありますが、保守的なリスナーにとっては永遠の『捨て曲』だったりしますし、アルバムごと作風が変われば「あ〜、あのバンドで聴けるのは○○までだよね!」という話になってしまいます。

魂を売り渡すのは許さない!?

また、バンドのアテチュードやパブリックイメージと異なる曲も『捨て曲』、認定されがち。
ポリティカルな姿勢を打ち出しているアーティストの場合、思想に共感しているリスナーも少なくありませんし、深遠なテーマを持ち味にしている場合、その歌詞や世界観に惚れ込んでいるリスナーもいるでしょう。
それが、いきなり本来の主張が台無しになるような歌詞を書いたり、安易なパーティソングやラブソングをぶち込んできたり、桜がどうのとか夏休みがどうのとか歌い出したりしたら、いくら曲自体が良くできていても、熱心なリスナーからの『捨て曲』認定は仕方のないことです。

 

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