Contents
- 1パンク,ポストパンクとMOTORHEADをルーツに持ち、90年代ハード・ロックンロール・ブームの先陣を切った、現BLACK STAR RIDERSリッキー・ウォーイックを中心としたスコットランドのド硬派バンド!!
- 1...1パンク・サイドからのハードロック・アプローチ!?
- 1...2ポジ・パンをルーツに持つハードロッキン・バンド!?
- 1...3アメリカのトレンドを視野に入れたサウンド展開!?
- 1...4ムーヴメントの間に一瞬の輝きを放った不遇のバンド!?
- 1...5ハード&ヘヴィなロックンロールの火付け役!?
- 1...6THE ALMIGHTYは日本で大人気!?
- 1...7バンドの失速と繰り返される解散〜再結成!?
- 1.1THE ALMIGHTY|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Blood, Fire and Love|ブラッド, ファイア・アンド・ラヴ
- 1.1.2Blood, Fire and Live|ブラッド, ファイア・アンド・ライヴ
- 1.1.3Soul Destruction|ソウル・ディストラクション
- 1.1.4Powertrippin'|パワートリッピン
- 1.1.5Crank|クランク
- 1.1.6Just Add Life|ジャスト・アド・ライフ
- 1.1.7The Almighty|ジ・オールマイティ
- 1.1.8Psycho-Narco|サイコ・ナルコ
- 1.1.9Wild and Wonderful|ワイルド・アンド・ワンダフル
- 1.2(sic)|シック|DISCOGRAPHY
- 1.2.1I Feel So Lonely I Could Die|アイ・フィール・ソー・ロンリー・アイ・クッド・ダイ
- 1.3RICKY WARWICK|リッキー・ウォーイック ソロ|DISCOGRAPHY
- 1.3.1Tattoos & Alibis|タトゥーズ・アンド・アリヴァイズ
- 1.3.2Love Many Trust Few|ラヴ・メニィ・トラスト・フュウ
- 1.3.3Belfast Confetti|ベルファスト・カンフェティ
- 1.3.4Hearts on Trees|ハーツ・オン・トゥリーズ
- 1.3.5When Patsy Cline Was Crazy (And Guy Mitchell Sang the Blues)|ウェン・パッツィー・クライン・ワズ・クレイジィ(アンド・ガイ・ミッシェル・ソング・ザ・ブルース)
- 1.3.6Stairwell Troubadour|ステアウェル・トルバドール
- 1.3.7When Life Was Hard and Fast|ウェン・ライフ・ワズ・ハード・アンド・ファスト
- 1.4BLACK STAR RIDERS|ブラック・スター・ライダース|DISCOGRAPHY
- 1.4.1All Hell Breaks Loose|オール・ヘル・ブレイクス・ルース
- 1.4.2The Killer Instinct|ザ・キラー・インスティンクト
- 1.4.3Heavy Fire|ヘヴィ・ファイア
- 1.4.4Another State of Grace|アナザー・ステート・オブ・グレイス
THE ALMIGHTY|DISCOGRAPHY
Blood, Fire and Love|ブラッド, ファイア・アンド・ラヴ
オリジナルアルバム – 1作目 (1989年)
80年代アメリカのポップでロッキンなグラムメタル系サウンドと、イギリスのゴシックロック/ポジティウ・パンクをルーツとした翳りのあるサウンドを、ミックスしたような作風。
その意味では、この時期に米国メインストリームを意識したハードロックに移行して、最新アルバム『Sonic Temple』が米国メインストリームでヒットを飛ばしていた、先輩格のTHE CULTの当時のスタイルやアプローチに倣ったものとも言えます。
一方で、冒頭のT-01のように、MOTORHEAD風のハード・ロックンロールもこの時点からお目見えしており、サウンドはヘヴィでパンキッシュなテイストも強めと、今後に続く本質的なスタイルは出そろっています。
USグラムメタルの持つ要素を、それとは別のかたちに組み上げたようにも解釈できる作品で、ポップながら軽薄/脳天気に傾かないロッキンなハードロック・アルバムとしては、一級品と言える仕上がりを見せる力作です。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|パンク度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
通好み スルメ盤
Blood, Fire and Live|ブラッド, ファイア・アンド・ライヴ
ライヴアルバム (1990年)
1stアルバムリリース時のライヴ音源。
ライヴバンドとしてならしているだけあって、ライヴならではの熱の入ったサウンドが聴けます。
必然的に、セットリストは1st収録曲のみとなるので、すでにベスト選曲のライヴ盤がいくつか世に出た今となっては、「とにかく1stの曲を聴きたい!」というリスナー以外には、あまり必要性は感じられないかもしれません。
とはいえ、この時点でライヴ盤がリリースされているあたりに、当時の彼らに対する期待の大きさだけはうかがえます。
現在は、本作に加え『Blood, Fire and Love』の関連音源をコンプリーとした、3枚組のバージョンもリリースされています。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|パンク度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
通好み スルメ盤
Soul Destruction|ソウル・ディストラクション
オリジナルアルバム – 2作目 (1991年)
おおむね前作を踏襲しつつも、さらに米国メインストリームを意識したサウンドへと、マイナーチェンジを施したアルバム。
プロデューサーには、DURAN DURANのギタリストで、THUNDERやREEFなどのハードロック系も手がけたアンディ・テイラーを迎えています。
グラムメタルからグランジへのトレンド移行期ということもあって、その両方を視野に入てあるものの、どちらかというとグラムメタル系寄りのポップネスが勝っており、前作の薄暗く翳ったサウンドとは対照的な、脳天気な明るさをも感じさせるサウンドが印象的です。
前作に続き、冒頭にMORTORHEADばりのハードロックンロール・ナンバーを配置していますが、このT−01“Crucify”は、更にファストでアグレッシヴかつキャッチーに仕上がっており、尋常でない格好良さでバンドを代表する超名曲となりました。
この1曲のためだけにでもアルバムを入手する価値がありますが、それ以外の曲はやや凡庸で、残念ながら前後のアルバムと比較すると一枚も二枚も落ちます。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|パンク度:★☆☆☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Powertrippin’|パワートリッピン
オリジナルアルバム – 3作目 (1993年)
プロデュースにメタル畑のマーク・ドッドソンを迎えた本作は、これまでになくヘヴィでグルーヴィな、ダウンテンポ主体の作風となり、雰囲気も能天気な前作から一転してダークなものに回帰。
この変化を見れば、グラムメタルが衰退してグランジ&ヘヴィグルーヴに取って代わられてゆく、当時はシーンの移り変わりが明確に感じ取れれます。
しかし、本来がモダンなセンスや器用さには欠けるバンドなので、グランジ&ヘヴィグルーヴを意識してはいるものの、それを完全に咀嚼した上で巧みに取り入れているかというと疑問。
どちらかというと、グランジ&ヘヴィグルーヴを意識したオールドスクール・ハードロックという印象に落ち着いており、その意味では同時期のヘヴィ路線のMÖTLEY CRÜEやSKID ROWになどに近いとも言えます。
とはいえ、キャッチーなポップネスは維持しつつも、前作でのややヌル目のサウンドから、ヘヴィ&ソリッドでタフなスタイルへと変身を遂げており、また、この作風も彼らの資質には合っているようで、楽曲クオリティもサウンドの魅力も大きく向上しています。
英国チャートではキャリア中最高の5位まで上りつめるなど、セールス/チャート面に限ればこの時期がピークでしたが、クリエイティヴ面では本作が黄金期の幕開けという見方もあり、ターニングポイントになったアルバムと言えます。
|ロッキン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|パンク度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Crank|クランク
オリジナルアルバム – 4作目 (1994年)
ハード&ヘヴィでパンキッシュなロックンロール・ナンバーを主体としたアルバムで、これまではアルバムでは1〜2曲程度ににとどめられていたMOTORHEAD系の疾走曲を軸に、全編にわたって徹頭徹尾ハイテンションでアグレッシヴに攻めまくっています。
熱量に満ちあふれたハード&ヘヴィな楽曲は、その多くが水準を大きく上回る名曲ぞろいですし、前作同様のグルーヴチューン路線もそれらに劣らぬ出来栄えという、90年代UKロック史に記すべき規格外の超名盤です。
T-04を中心とした収録曲が、国内テレビ/ラジオのメタル系プログラムでヘヴィ・ローテーションなったことや、評論家のプッシュによって日本人気に火が着き、一気にブレイクを果たしたターニングポイントでもあります。
セールス的には前作に及びませんでしたが、クリエイティビティの面ではのTHE ALMIGHTYのキャリアの中でもピークにあたる作品と呼んでも過言ではありません。
この少し後に世界的にブームが巻き起こる、ヘヴィ&ハードなロックンロールの先駆けともいえるアルバムで、THE HELLACOPTERSに代表される“北欧爆走ロックンロール”などの後続にも、何らかの影響を与えたことは確実です。
プロデューサーには、グランジ/オルタナ・ロック界隈で活躍する、クリス・シェルドンを迎えています。
|ロッキン度:★★★★★
|オルタナ度:★★★☆☆
|パンク度:★★★★☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Just Add Life|ジャスト・アド・ライフ
オリジナルアルバム – 5作目 (1996年)
前作から引き続きクリス・シェルドンを迎えた、最初の解散を迎える前のラストアルバムとなった作品。
日本ではライヴアルバムとの2枚組となったお得盤も流通していました。
特に日本のメタルファンにとってはTHE ALMIGHTYの代名詞という印象の強い、メタルエッジなヘヴィネスと突進力にあふれたMOTORHEAD系のフォストチューンも健在ですが、その比率は大きく減退し、ポップでパンキッシュなロックンロール・ナンバーへと取って代わられています。
メロディックパンク/ハードコアに近い作風も見られることからも、この変化について当時の世界的なメロコアブームの影響を否定することは難しいでしょう。
そういった事情やメタル界隈に好まれない要素も重なって、前作で飛びついたメタラーは一気に手のひらを返すこととなり、結果的にTHE ALMIGHTY活動停止の遠因にもなっています。
しかし、クリエイティヴ面では全盛期のアルバムだけあって、作風は変われどクオリティは前2作に匹敵する水準を維持しており、復活後の凡庸な作品群とは比ぶべくもない充実の1枚です。
|ロッキン度:★★★★★
|オルタナ度:★★★★☆
|パンク度:★★★★☆
|ポップネス:★★★★★
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
The Almighty|ジ・オールマイティ
オリジナルアルバム – 6作目 (2000年)
Psycho-Narco|サイコ・ナルコ
オリジナルアルバム – 7作目 (2001年)
Wild and Wonderful|ワイルド・アンド・ワンダフル
オリジナルアルバム – 8作目 (2002年)
(sic)|シック|DISCOGRAPHY
THE ALMIGHTYのフロントマンで創設メンバーでもある、リッキー・ウォーイックが、THE ALMIGHTY解散時に一時的に結成していたグループ。
音楽性は、ポップでパンキッシュなロックンロールを主体とした、完全に後期THE ALMIGHTYの延長上にあるもので、水準以上の出来栄えではあるものの、このバンドならではの要素や新機軸は見られません。
フルアルバム1枚を残して活動を終えており、唯一のアルバムは日本で“先行発売”の触れ込みでリリースされましたが、本国イギリスではEPが世に出たのみで、アルバムのリリースは実現していません。
実質的に日本限定リリースという形になっており、このあたりの事情からは、当時のTHE ALMIGHTYとウォーイックが、どれだけ日本人気に頼っていたかがうかがえます。
I Feel So Lonely I Could Die|アイ・フィール・ソー・ロンリー・アイ・クッド・ダイ
オリジナルアルバム – 1作目 (1997年)
RICKY WARWICK|リッキー・ウォーイック ソロ|DISCOGRAPHY
THE ALMIGHTYのフロントマンで創設メンバーでもある、リッキー・ウォーイックは、THE ALMIGHTYが機能不全となったこともあり、ソロプロジェクトを活動のひとつの軸に据え、定期的な作品リリースを続けています。
ソロでの楽曲展開の中では、ハードなナンバーもそれなりに見ることができますが、エクストリームなスピードやヘヴィネス、大仰なドラマ性などのカタルシスを生む過剰さについては、意図的にか無意識的にか極力排除するような傾向が強まっています。
全体的に、末期THE ALMIGHTYの延長上にあるスタイルですが、さらに普遍的なポップロック/パワーポップに近い楽曲が幅を利かせており、また、フォーク/トラッドなどの要素を取り入れた曲も見られ、アコースティックの比率も増しています。
その意味では、よくも悪くも過剰さを排した中庸でアダルティなロック・ミュージックとなっており、聴き込みを要するスルメ系の作風が目立ちますし、楽曲自体の力が弱く歌詞の理解に頼らなければならないとも言えます。
Tattoos & Alibis|タトゥーズ・アンド・アリヴァイズ
オリジナルアルバム – 1作目 (1989年)
Love Many Trust Few|ラヴ・メニィ・トラスト・フュウ
オリジナルアルバム – 2作目 (2005年)
Belfast Confetti|ベルファスト・カンフェティ
オリジナルアルバム – 3作目 (年) (2009)
Hearts on Trees|ハーツ・オン・トゥリーズ
オリジナルアルバム – 4作目 (2014年)
When Patsy Cline Was Crazy (And Guy Mitchell Sang the Blues)|ウェン・パッツィー・クライン・ワズ・クレイジィ(アンド・ガイ・ミッシェル・ソング・ザ・ブルース)
オリジナルアルバム – 5作目 (2014年)
Stairwell Troubadour|ステアウェル・トルバドール
オリジナルアルバム – 6作目 (2015年)
When Life Was Hard and Fast|ウェン・ライフ・ワズ・ハード・アンド・ファスト
オリジナルアルバム – 7作目 (2021年)
BLACK STAR RIDERS|ブラック・スター・ライダース|DISCOGRAPHY
アイルランドのハードロック・レジェンド、THIN LIZZYのギタリストであるスコット・ゴーハムが中心となったプロジェクト。
ここでは、リッキー・ウォーイックがギター&ヴォーカルでフロントを務め、バンド立ち上げからパーマネントなメンバーとして曲作りも含めた活動を続けています。
また、ウォーイックは、ゴーハム以外では唯一のアイルランド人ミュージシャンでもあり、バンドのツートップに近い立ち位置にあります。
音楽性は、ウォーイックの作風に近い楽曲の主軸に、ときおりTHIN LIZZYの名残を感じさせつつ、よりオーソドックスなハードロックに接近したスタイル。
ウォーイックは、THIN LIZZYの故フィル・ライノットを意識したヴォーカル・スタイルも見せますが、基本的には従来と変化はありません。
「名義は違うが事実上のTHIN LIZZY」とも「THIN LIZZYとは別のプロジェクト」とも、諸説が流布しており、バンドの位置付けに曖昧な部分がありましたが、2021年にゴーハムがTHIN LIZZYの再結成を理由に脱退したことで、さらに立ち位置が複雑になっています。
バンドは、2021年にデビュー以来所属を続けた『ニュークリア・ブラスト』から、イギリスの老舗メタルレーベル『イヤーエイク』へ移籍しており、現在もアクティヴな状態でウォーイックを中心に活動を継続してゆく流れとなっています。
All Hell Breaks Loose|オール・ヘル・ブレイクス・ルース
オリジナルアルバム – 1作目 (2013年)
The Killer Instinct|ザ・キラー・インスティンクト
オリジナルアルバム – 2作目 (2015年)
Heavy Fire|ヘヴィ・ファイア
オリジナルアルバム – 3作目 (2017年)
Another State of Grace|アナザー・ステート・オブ・グレイス
オリジナルアルバム – 4作目 (2019年)