Contents
- 1個性的リフワークとヘヴィサウンドが通好みなリスナーに愛され続けた続けた個性派ブリティッシュ・ハードロックバンドは、『NWOBHM』『スラッシュメタル』の原点として再評価が繰り返される!?
- 1...1「インコ」のアートワークが目印!?
- 1...2BUDGIEはBLACK SABBATHフォロアー!?
- 1...3NNWOBHMによるメタルブームで再評価!?
- 1...480年代はヘヴィメタル路線で活動!?
- 1...5スラッシュやドゥームからもリスペクト!?
- 1...6奇跡の復活と新作アルバムリリース!!
- 1.1BUDGIE|DISCOGRAPHY|スタジオアルバム
- 1.1.1Budgie|バッジー
- 1.1.2Squawk|スクォーク
- 1.1.3Never Turn Your Back on a Friend|ネヴァー・ターン・ユア・バック・オン・ア・フレンド:友情
- 1.1.4In for the Kill!|イン・フォー・ザ・キル
- 1.1.5Bandolier|バンドリアー:反逆の群狼
- 1.1.6If I Were Brittania I'd Waive the Rules|イフ・アイ・ワー・ブリタニア
- 1.1.7Impeckable|インペカブル
- 1.1.8Power Supply|パワー・サプライ
- 1.1.9Nightflight|ナイトフライト
- 1.1.10Deliver Us from Evil|デリヴァー・アス・フロム・イーヴル
- 1.1.11You're All Living in Cuckooland|ユアー・オール・リヴィング・イン・クックーランド
- 1.2BUDGIE|DISCOGRAPHY|ライヴ/コンピレーション
- 1.2.1Heavier than Air (Rarest Eggs)|ヘヴィアー・ザン・エアー(レアスト・エッグス)
- 1.2.2Radio Sessions 1974 & 1978|レディオ・セッション 1974 & 1978
- 1.2.3The BBC Recordings|ザ・BBCレコーディングス
- 1.2.4British Radio Sessions 1972|ブリティッシュ・レディオ・セッション 1972
BUDGIE|DISCOGRAPHY|スタジオアルバム
Budgie|バッジー
オリジナルアルバム – 1作目 (1971年)
BLACK SABBATH系のバンドと見なされていたデビューアルバムで、プロデュースもBLACK SABBATHやJUDAS PRIESTの初期作品を手がけたロジャー・ベインによるものです。
確かに、T-01, T-04, T-06などのスローなヘヴィチューンなどにはBLACK SABBATHの影響も感じられますが、いわゆるドゥーム特有の退廃的な陰鬱さはそれほど感じさせない、普遍的なハードロックサウンドを展開しています。むしろLED ZEPPELINに通じるなファンキーなミクスチャーセンスや、プログレを意識した変則的な展開が印象的です。
基本的には6分前後のやや長めのヘヴィチューンの合間に、インタールード的なメロディアスな小曲が挟まる構成。後年にバンドの看板にもなるファストチューンはT-05のソロ部分で確認できる程度ですが、ほぼ捨て曲ナシの充実度で、ヘヴィ路線の代表作なら間違いなくコレと言える最強の1枚。
|ヘヴィネス:★★★★★
|叙情度:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★★☆☆
|ポップ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み
Squawk|スクォーク
オリジナルアルバム – 2作目 (1972年)
BUDGIEのキャリアにおいても、特に重要度の高い個性的な2作品に挟まれたことや、過渡期的な作風もあって、いまひとつ印象の薄いアルバム。
前作を踏襲しつつも、よりアクやクセを薄めてオーソドックスなハードロックに近づけたような作風で、あえて言えばややプログレ風味が目立ちます。
『プロト・メタル』的な硬質なサウンドやファスト・チューンはまだ顔をみせておらず、本格的なスタイルの確立は次作を待たねばなりません。
楽曲は概ね及第点はクリアしており、それほど不出来なアルバムではないのですが、本作の目玉となる一応の代表曲T-05や、それに次ぐT-08, T-09といったあたりも、キラー・チューンと呼ぶにはややパワー不足の印象です。
巨匠ロジャー・ディーンによるジャケットも印象的ではあるのですが、いつもの“ディーン節”の薄い習作的なアートワークで、やや違和感が残ります。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|叙情度:★★★☆☆
|グルーヴ:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Never Turn Your Back on a Friend|ネヴァー・ターン・ユア・バック・オン・ア・フレンド:友情
オリジナルアルバム – 3作目 (1973年)
前作に続いてアートワークはロジャー・ディーンよるもので、こちらは精緻さは薄いものの、だいぶソレらしい“いかにも”な仕上がり。
何といっても、METALLICAや人間椅子がカバーしたことでメタルファンにも知らしめられ、現在ではBUDGIEの代名詞ともとなった名曲T-01“Breadfan”を収録していることで知名度の高いアルバムです。
ファスト・チューンはその1曲のみですが、ブルース・スタンダードのカバーT-02や、メロディアスでドラマティックなこれまた代表曲のT-07など、聴きどころは多い1枚と言えます。
ちなみにそのT-02は、AMBOY DUKES & テッド・ニュージェント, AEROSMITH, AC/DC, ヴァン・モリソンなど、多数のビッグネームによってカバーされてきた名曲です。
アナログでA面後半〜B面前半にあたる中盤は、駄曲まではいかないものの本作中では明確にグレードが落ちるため、アルバムとしてはややムラのある仕上がりです。
しかし、その他がそれを差し引いてあまりある存在感であり、本格的なBUDGIE流“プロト・メタル”サウンドを提示した重要作として、代表作として挙げらることもあります。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|叙情度:★★★★☆
|グルーヴ:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
In for the Kill!|イン・フォー・ザ・キル
オリジナルアルバム – 4作目 (1974年)
前作と並んで代表作にも挙げられ、クリエイティヴ面においても黄金期に位置するアルバム。やはりMETALLICAによってカバーされたことで知名度を上げた、ファストチューンのT-02を収録しています。
そのT-02に加え、“メタルZEPPELIN”とも表現できそうな、ヘヴィメタリックなグルーヴ・チューンT-04あたりが看板曲と呼べますが、本作に限ってはそれらと他の曲とのグレードの開きが極めて少なく、おしなべて高水準なナンバーが並ぶ捨て曲ナシの充実作となっています。
キラーチューンのインパクトでは“Breadfan”収録の前作に譲りますが、総合力ではこちらが上回ってさえいます。
また、BUDGIE流“プロト・メタル”サウンドは本作で極まっており、現在の視点で時系列を考えながら聴いた方が、ヘヴィメタル史の中でのエポック・メイキング的な重要性を、より実感できるかもしれません。
初代ドラマーのレイ・フィリップスが脱退したため、ここでは、本作のみのワンポイント・リリーフとなったピート・ブートが叩いています。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Bandolier|バンドリアー:反逆の群狼
オリジナルアルバム – 5作目 (1975年)
再結成には現在に至るまでドラマーを務めている、スティーブ・ウィリアムズがメンバーに就任しての1作目。
まだ、前作までの勢いを維持されてはいるものの、ややピークを過ぎたような停滞ムードも感じられ、それをT-05などに顕著なポップネスの強化で打破しようとしているかのような、印象も与えるアルバムです。
アタマとシメに配置されたアップテンポなヘヴィチューンは、本作の看板曲としてインパクト十分な安定の出来栄えですし、それ以外でも、ソウルフルなT-03やLED ZEPPELIN風のグルーヴ曲T-04あたりは、ナカナカの佳曲と言えます。
さすがに、充実の名盤である前作を聴いた後となっては、全体的にやや精彩を欠いた印象も拭えませんし、他の名盤群にはアベレージで一歩及ばびませんが、それでもファンなら必聴の1枚なのは間違いところです。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|叙情度:★★★☆☆
|グルーヴ:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 通好み スルメ盤
If I Were Brittania I’d Waive the Rules|イフ・アイ・ワー・ブリタニア
オリジナルアルバム – 6作目 (1976年)
前作でのポップ傾向を推し進めたような印象のアルバムで、過去に見られたプログレの影響も受けたと思しき凝った曲展開は影を潜めており、反復リフワーク主体のミニマルな楽曲が目につきます。
全体的にケレン味が薄く、「ポップ路線を狙ったわりには地味なのでは?」と問われたら、否定も反論もしようはがありません。
とはいえ、変則リフが光るT-02や、ダンサブルともいえるT-05などは、オールタイム・ベストに連なる資格は十分にありますし、全体的に地味と言われても、何とも捨てがたい味わいがあるのは確か。
ある意味では、LED ZEPPELINによる前年の『Physical Graffiti』を思わせる部分もある、通好みな仕上がりのアルバムとも言えます。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|叙情度:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★★★☆
|ポップ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Impeckable|インペカブル
オリジナルアルバム – 7作目 (1978年)
大きく方向性を変えた問題作として、批判的に扱われることもあるアルバム。確かに、やや明るくポップな傾向に拍車がかかって明朗な曲も増えており、欧州的な翳りを感じる一面が払拭されて、持ち前のヘヴィネスもやや弱まった印象を受けます。
しかし、音楽性やアルバムの構成などについては、基本的にこれまのスタイルが踏襲されてたものです。
時には、楽曲の定番化が進んだことによる、焼き直し的な面も目につきますが、全体的な水準は高くメリハリの効いて躍動感のある好盤で、少なくとも前作よりはわかりやすいインパクトを持ったアルバムです。
ファスト・チューンのT-01は、人間椅子が名曲『もっと光を!』でわかりやすいオマージュを見せた名曲ですし、T-05は今後のメタル路線への予兆を示すような重要曲。T-06, T-07, T-09あたりもも佳曲で聴きどころは豊富なアルバムです。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|叙情度:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★★☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
入門盤 賛否両論
Power Supply|パワー・サプライ
オリジナルアルバム – 8作目 (1980年)
メタル・ムーヴメント黎明期の熱量に当てられたか、それともメンバー・チェンジの影響か、かなり作風が変わって80年代型ヘヴィメタルに接近したサウンドへと変貌を遂げており、バーク・シェリーも曲によっては、ハイトーンを生かしたメタル・スクリーミングも聴くかせています。
ここから数作は、『NWOBHM』ムーヴメントを背景にした“メタルBUDGIE期”とも呼べる時期ですが、サウンドはメタリックであるものの、曲の基本となるのは従来のオーソドックスなハードロックであり、それをメタリックに仕上げたという印象。
元来のLED ZEPPELIN色の強さから、“メタルZEPPELIN”と呼べそうな作風でもあります。
それなりに独自性はあり、時折“いかにも”なリフワークも聴かせてくれますが、従来の持ち味は大きく後退しています。かといって、それに変わる革新的なサウンドを新たに確立したとも言えません。
また、傑出した曲もT-06, T-12程度とそれほど多くはなく、名盤と呼ぶには少々決め手に欠ける出来栄えですが、アップテンポで勢いのある、ノリのいい高水準なヘヴィメタルではあるので、過去作と切り離して受け入れられるのであれば十分に楽しめます。
アートワークのエイドリアン・チェスターマンは、MOTÖRHEADの“Bomber”を手がけた人物ですが、ギャラをケチったかナメられているとしか思えない残念ぶりです。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|グルーヴ:★★☆☆☆
|ポップ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 実験作
Nightflight|ナイトフライト
オリジナルアルバム – 9作目 (1981年)
メタル・テイストは本作でも感じさせるものの、前作ほどにはヘヴィメタルに振り切ったサウンドではなく、アグレッションやヘヴィネスは一気に大幅減退。ややUS産業ロックを意識したとも言えそうな、ポップ路線に傾いたアルバムとなりました。
楽曲については、同時期のBLUE ÖYSTER CULTなども思わせるT-01こそ、なかなか印象的な佳曲ですが、それ以外は玉石混交…というよりも、軒並み及第点すらちょっと厳しそうな、中途半端で煮え切らないナンバーが並び、ポップなわりには地味でいまひとつ印象に残りません。
この前後を含めた80年代メタル三部作の中では、方向性もどっちつかずで迷いが感じられますし、それを抜きにしても単純にクオリティ面で一枚以上落ちるのは認めざるを得ません。
アートワークは、IRON MAIDENの“エディ・ジャケ”で売り出し中だった、デレク・リッグスによるもので、前作とはうって変わって、往年の雰囲気を感じさせる悪くない仕上がりです。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|グルーヴ:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤 実験作
Deliver Us from Evil|デリヴァー・アス・フロム・イーヴル
オリジナルアルバム – 10作目 (1982年)
前作と同様に、曲によってはヘヴィメタル・テイストを残しつつも、産業ロック的なポップ・チューンが主体となった作風ですが、そのベクトルでさらに踏み込んだアップデートを施したようなアルバムです。
とはいえ、BUDGIE流のツイストを適度に織り込みつつ、前作から格段にブラッシュアップされて完全に別のステージに移っており、キラーチューンは見当たらないにしても、練り込まれた曲はいずれも高水準。
ポピュラリティを意識しながらも、下世話になりきれない知性と品の良さが漂うという意味でも、やはり同時期のBLUE ÖYSTER CULTにも通じる印象があります。
初期のファンからもメタル期のファンからも、問題作としてバッシングされがちな作品ですが、消化不良気味で散漫な前作が嘘のような出来ばえを聴けば、過小評価が過ぎるのは明白です。
音楽性の変化とその好き嫌いはひとまず脇に寄せて、クオリティだけ判断するならば、全盛期の名盤にも引けを取らないレベルにあると言っても、それほど言い過ぎではないでしょう。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|叙 情 度:★★★★☆
|ファンク度:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★★★
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
You’re All Living in Cuckooland|ユアー・オール・リヴィング・イン・クックーランド
オリジナルアルバム – 11作目 (2006年)
誰が待っていたわけでもなかった24年ぶりのまさかの新作は、70〜80年代の集大成的な作風に加えて、90年代以降のややモダンなエッセンスも取り入れたようなサウンドとなりました。
序盤は、初期のヘヴィチューンを80年代的なメタル・サウンドで展開したようなナンバーの2連発、そこからの中盤は、中期のメタリックなヘヴィポップ路線へと続きます。
後半は、90年代のオルタナティヴ・ロック系のプログレ・サウンドや、近年のモダン・プログレ・シーンでひとつの定型になっている、ニューウェイヴ・リバイバル系のネオ・プログレをミックスしたような曲が中心となります。
ハードロックのベテランバンドにありがちな、肩の力の抜け過ぎたポップロックやレイドバックしたルーツ系などの“日和り路線”や、無駄に大仰な垂れ流し系の“長尺大作路線”などに陥っていないだけでも、賞賛に値すると言っていいでしょう。
荒々しさは薄れたものの、ヘヴィチューンは全盛期に劣らないヘヴィネスを維持していますし、ベテランらしからぬ実験性を見せる、新境地といえるストレンジ・プログレのT-09も、なかなかユニークな上々の出来栄えでサマになっています。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|叙 情 度:★★★☆☆
|ファンク度:★★★☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
BUDGIE|DISCOGRAPHY|ライヴ/コンピレーション
Heavier than Air (Rarest Eggs)|ヘヴィアー・ザン・エアー(レアスト・エッグス)
ライヴアルバム (1998年)
Radio Sessions 1974 & 1978|レディオ・セッション 1974 & 1978
ライヴアルバム (2005年)
The BBC Recordings|ザ・BBCレコーディングス
ライヴアルバム (2006年)
British Radio Sessions 1972|ブリティッシュ・レディオ・セッション 1972
ライヴアルバム (2014年)