Contents
- 1ドゥームメタル黎明期に欧州暗黒エクストリーム.メタルの聖地スウェーデンから登場した、BLACK SABBATHインスパイアに全てを捧げた“サバスクローン”マエストロ!!
- 1...1スウェーデンのドゥームメタル・シーンとは!?
- 1...2いにしえドゥーム路線の音楽性!?
- 1...3レジェンドお墨付きのオジー風ヴォーカル!?
- 1...4COUNT RAVENはサバス・クローン!?
- 1...5唯ひとり残った創設メンバーを軸に活動中!!
- 1.1COUNT RAVEN|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Storm Warning|ストーム・ウォーニング
- 1.1.2Destruction of the Void|デストラクション・オブ・ザ・ヴォイド
- 1.1.3High on Infinity|ハイ・オン・インフィニティ
- 1.1.4Messiah of Confusion|メサイア・オブ・コンフューション
- 1.1.5Mammons War|マンモス・ウォー
- 1.1.6The Sixth Storm|ザ・シックス・ストーム
COUNT RAVEN|DISCOGRAPHY
Storm Warning|ストーム・ウォーニング
オリジナルアルバム – 1作目 (1990年)
初代ヴォーカリスト、クリスチャン・リンドバーグ在籍時の唯一のアルバム。
初期BLACK SABBATH風のヘヴィリフを用いた楽曲に、オジーオ・ズボーンを意識した鼻声脱力ハイトーンヴォーカルという、まさに80年代USドゥームを思わせる“サバス・インスパイア系”サウンドを展開しています。
しかし、同じ陰鬱なダウナー系ヘヴィロックであっても、US系の豪快で埃っぽい大陸的な雰囲気を持ったサウンドとは大きく異なり、欧州的な湿度の高さとゴシックメタルにも通じる繊細な美意識が滲み出しています。
それらの持ち味やリンドバーグのギターソロやメロディなどに、非凡なセンスも見られるのですが、サバス系ドゥーム様式にこだわりすぎて芸風が乏しくなり、本来のポテンシャルを生かしきれていない印象があります。
オジー・クローンとしてして知られるリンドバーグですが、ここではなりきり度はそこまでではなく、いくらか地声に近い個性が残されています。
|サバス度:★★★★☆
|叙情度:★★★☆☆
|暗黒度:★★★★☆
|サイケ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
Destruction of the Void|デストラクション・オブ・ザ・ヴォイド
オリジナルアルバム – 2作目 (1992年)
CTHEDRALの衝撃的なデビューによってドゥームメタル・ムーヴメントの活性化してきた時期の作品。
脱退したリンドバーグに代わって、本作からはギタ&キーボードのダン・フォデュー・フォンデリウスがヴォーカルを兼任していますが、粘っこいオジーへのなりきり度という点では、こちらが上かもしれません。
それも含めて、同世代の個性に刺激されて自分たちの独自性を伸ばすどころか、前作以上に古典的なBLACK SABBATH系ドゥームサウンドにこだわった作風となっていますが、ストレートな“BLACK SABBATHクローン”の中では、極上ランクに位置する高品質アルバムではあります。
しかし、80年代の前半は“初期サバス・インスパイア系”自体が流行に対する逆張りアプローチであり、希少価値があったからこそパイオニア勢もカルト人気を得られた面があります。
それらがありふれたものとなったこの時期では、評価に値しない単なる“サバスクローン”, “サバスワナビー”として断じる見方をされても致し方ないところでしょう。
シーンに埋没しないだけの存在感を見せるなら、スペーシーなインストT-05やスラッシーなファストナンバーT-09のようなアプローチで多様性を持たせるか、独自性を有効に活かしたドゥーム再構築を目標とするべきでしたが、それが叶わなかったために、どこまでもニッチなポジションに終始したとも言えます。
2年遅れとはいえリアルタイムに近い時期に日本盤リリースされるという、ドゥーム黎明期では数少ない幸運に恵まれたアルバムなのですが、当時は全く売れもせず注目もされることもなくバーゲン棚の常連になってました。
|サバス度:★★★★☆
|叙情度:★★★☆☆
|暗黒度:★★★☆☆
|サイケ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
High on Infinity|ハイ・オン・インフィニティ
オリジナルアルバム – 3作目 (1993年)
ジャケットの印象が変わったもののサウンドは相変わらずで、いまだにBLACK SABBATHそのままの楽曲も目立ちますが、以前よりもいくぶん作風に広がりが見られるようにもなりました。
インストやSEに近い楽曲の扱いはこれまで通り独自性が感じられますし、ドゥームナンバーの中にもややSABBATH度低めの楽曲が見られます。
中でもT-01などは、インスパイアされたか偶然かは不明ですが、同時期のUKダウナー・ヘヴィロック・バンド、THE GOD MACHINEあたりに近い印象があります。
オジースタイルのヴォーカルさえあらためれば印象は大きく変わりそうなのですが、もっともバンドの方に“BLACK SABBATクローン路線”を根本的に払拭するつもりが更々ないようで、そこはもう割り切るしかないでしょう。
|サバス度:★★★★☆
|叙情度:★★☆☆☆
|暗黒度:★★★☆☆
|サイケ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
Messiah of Confusion|メサイア・オブ・コンフューション
オリジナルアルバム – 4作目 (1996年)
前作からさらに雰囲気一変した、ストーナーロックを想起させるようなサイケデリックなジャケット・アート(現在は初期に近いイメージに差し替え)が期待をそそりますが、作風についてはジャケットほどの格段の変化は見られません。
USストーナーの代表格SLEEPを思わせるフレーズや、ストーナー風のグルーヴを感じさせる楽曲もありますが、BLACK SABBATH風曲ではいつにも増して、本家そのものと言えるようなリフやフレーズも目立ちます。
しかし、やはりネックになるのが“なりきりオジー風ヴォーカル”で、このおかげでBLACK SABBATHの呪縛から逃れられずにいます(そのつもりもないのでしょうが…)。
なお、ジャケ違いのリマスター盤(2005年)以降には、BLACK SABBATHのカバーメドレーがボーナス収録されており、彼らの楽曲にたびたび流用されるリフやフレーズの元ネタを聴くことができますが、アルバムとしては蛇足気味。
これは、“サバス愛”の表明には手っ取り早いためドゥームバンドはやりがちですが、実のところ安易なアレンジではマイナスにしかならない取扱注意の案件で、同郷の先輩CANDLEMASSもこれで失敗しています。
|サバス度:★★★★☆
|叙情度:★★☆☆☆
|暗黒度:★★☆☆☆
|サイケ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
Mammons War|マンモス・ウォー
オリジナルアルバム – 5作目 (2009年)
再結成COUNT RAVENでの第1弾となるアルバム。
オジー系ヴォーカルを含めた基本的な音楽スタイルに変化はないものの、音づくりが以前の70年代ヘヴィロックを意識したくぐもったオーガニックなサウンドから、同時代的なメタルエッジなサウンドへと変貌を遂げています。
同時期のザック・ワイルドがソロ作品で見せるドゥーム路線を、ヨーロピアン・テイストに仕上げたような印象もあります。
音づくりの変化については賛否あるでしょうが、結果的にこれまでSABBATHクローンイメージの陰に隠れていた、彼ら本来のメランコリックなメロディセンスや、ゴシックにも通じる欧州的美意識などの独自の持ち味が輝きを増して、独自性へと還元されており、その意味では過去最高の仕上がりと言ってもいいでしょう。
|サバス度:★★★☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|暗黒度:★★☆☆☆
|サイケ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
The Sixth Storm|ザ・シックス・ストーム
オリジナルアルバム – 6作目 (2001年)