Contents
- 1持ち味のパンキッシュなスピードメタルとLED ZEPPELIN由来のヘヴィグルーヴで、スラッシュ・メタルの原型にもなった伝説の異色N.W.O.B.H.M.バンドは、蘇って更なる進化を遂げる!!
- 1...1生ける伝説となったN.W.O.B.H.M.バンド!?
- 1...2METALLICHA効果でブレイク!?
- 1...3DIAMOND HEADサウンドの特徴は!?
- 1...4再結成〜再解散〜再々結成を経てしぶとく活動中!?
- 1.1DIAMOND HEAD|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Lightning to the Nations|ライトニング・トゥ・ザ・ネイションズ - ザ・ホワイト・アルバム
- 1.1.2Borrowed Time|ビロウド・タイム:偽りの時
- 1.1.3Canterbury|カンタベリー
- 1.1.4Death and Progress|デス・アンド・プログレス
- 1.1.5All Will Be Revealed|オール・ウィル・ビー・リヴィールド
- 1.1.6What's in Your Head?|ホワッツ・イン・ユア・ヘッド?
- 1.1.7Diamond Head|ダイアモンド・ヘッド
- 1.1.8The Coffin Train|ザ・コフィン・トレイン
- 1.1.9Lightning to the Nations 2020|ライトニング・トゥ・ザ・ネイションズ 2020
- 1.1DIAMOND HEADはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
DIAMOND HEAD|DISCOGRAPHY
Lightning to the Nations|ライトニング・トゥ・ザ・ネイションズ – ザ・ホワイト・アルバム
オリジナルアルバム – 1作目 (1980年)
レーベルと契約が取れなかったために、自費制作に近いかたちでの限定生産リリースとなった幻のアルバムで、予算不足から未印刷の白紙ジャケットとなったたため、“ホワイトアルバム”とも呼ばれていました。
ちなみに、のちに再発された際のジャケットは、何度となく異なるデザインに差し替えられているので要注意。
そんな不遇なイレギュラー的アルバムながら、〈LED ZEPPELIN〉ら70年代ロックを独自のセンスで換骨奪胎して、さらにはパンクの影響も反映させたことで全く異なる質感を持つに至った、刺激的で独創的なヘヴィメタルへと仕上がった珠玉の名曲がつまった名盤です。
ここで聴ける、スピードメタルとは異なるトルク型のアグレッションとグルーヴを持ったサウンドは、従来のメタルバンドとも異なる、N.W.O.B.H.M.シーンでもひときわユニークでなもの。
当時としては、まさにニューウェイヴ名を冠するにふさわしい新世代サウンドでした。
〈METALLICHA〉によってカバーされた名曲の全てを含む初期の代表作で、のちのスラッシュメタルにも散りばめられたフレーズがこの1枚に詰まった最重要作です。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|変則リフ度:★★★★★
|叙 情 度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Borrowed Time|ビロウド・タイム:偽りの時
オリジナルアルバム – 2作目 (1982年)
前作にも収録された2曲を含むメジャーデビュー作。1stが再発されるまでは代表作という扱いで、現在でも比較的一般からの評価の高いアルバムです。
前作の主軸としてスラッシュメタルに影響を与えた、アグレッシヴなファストチューンは減退して、ロドニィ・マシューズの手によるアートワークに象徴されるような、プログレ風の叙情的でドラマティックな凝った展開を、じっくり聴かせる曲が中心となっています。
サウンドも、70年代回帰テイストを感じさせる、ややオーガニックなハードロック的な質感が強まっており、スラッシュの原点を求めてさかのぼって来たリスナーにはやや不満が残るかもしれませんが、コレはコレと割り切れるなら、上質な叙情派ハードロックとして楽しめるでしょう。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|変則リフ度:★★★★☆
|叙 情 度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤
Canterbury|カンタベリー
オリジナルアルバム – 3作目 (1983年)
簡単に言うなら、80年代的なポップ化が進んだアルバム。
曲によっては前作のスタイルが踏襲されてますが、特異なリフワーク主体の作風からは完全に離れ、メタルエッジな質感もさらに後退したオーガニックなものとなり、より普遍的なポップロック・サウンドを展開しています。
これは、この時期のN.W.O.B.H.M.シーンでも見られた、アメリカマーケットを意識したものと考えることもできますが、米国的なポップロック・サウンドよりも、U2などのポストパンク/ニューウェイヴ系のUKポップロックに近いテイストが濃厚に感じられます。
初期の作風を期待すると裏切られますが、地味でながらもナカナカに捨てがたい味わいを持った通好みなアルバムです。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|変則リフ度:★★☆☆☆
|叙 情 度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Death and Progress|デス・アンド・プログレス
オリジナルアルバム – 4作目 (1993年)
〈METALLICHA〉らスラッシュメタルの原点として注目が高まり、その流れに乗じた再結成の末にリリースされた復活作。
前作と比較するとヘヴィネスが大きく強化されており、曲によってはメタリックな質感も感じられます。
時代背景からグランジの影響ともされがちですが、グランジフォロワーの典型的スタイルとは明確に一線を画しており、ファンキーでブルージーなテイストを持った、よりオーソドックスなハードロックを展開しています。
初期の、“アク”や“クセ”の強さは大聴く薄まってややデオドラントされ気味の作風は、ちょっと前のメインストリームを意識したようにも聴こえ、曲によってはレニー・クラヴィッツのヘヴィナンバーなどを思わせる部分さえあります。
おおむね水準以上の良質なハードロックではあるものの、その“That’s無難”なスタイルを大きく超えたり逸脱するような、プラスαのサムシングは見られません。
|変則リフ度:★★☆☆☆|叙 情 度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論 スルメ盤 実験作
All Will Be Revealed|オール・ウィル・ビー・リヴィールド
オリジナルアルバム – 5作目 (2005年)
今回ばかりは、さすがに“グランジ化”と言われても仕方のないであろうスタイルで、ミッドテンポ主体のサウンドは、〈LED ZEPPELIN〉という共通のルーツを持っていることもあって、時に〈SOUNDGARDEN〉や後期の〈EXTREME〉あたりを想起させます。
若干ファストチューンもありますが、基本的にはロックテイストが強いハード・ロックンロール的な作風です。
とはいえ、そもそもが彼らのバックグラウンドと音楽性の変遷を考えるなら、一度はこうなったであろうスタイルで違和感はありません。
サウンドにも堂に入っており付け焼き刃感は感じられませんが、時代が時代だけに、できれば旬を逃していることを意識させないだけの、もうひとヒネリの独自解釈が欲しいところです。
|変則リフ度:★★☆☆☆|叙 情 度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤
What’s in Your Head?|ホワッツ・イン・ユア・ヘッド?
オリジナルアルバム – 6作目 (2007年)
基本的には、完全に前作を踏襲したものですが、ヘヴィネスとグルーヴが強化され、ドゥームメタルに傾いたような楽曲も見られるようになりました。グランジ/ヘヴィグルーヴ風味のヘヴィロック路線だけでなく、ロッキンなファストチューンも健在です。
DIAMOND HEAD本来の作風自体が、ヘヴィグルーヴやグランジだけでなく、ドゥーム/ストーナーとも互換性のあるということもあって、前作同様に自然に馴染んだ良作に仕上がってはいます。
とはいえ、グランジ以前にそれに通じるアプローチで独自のスタイル確立していたバンドだけに、ただの借り物に終わらないためにも、もうひと工夫が欲しいという点も前作から変わっていません。
|変則リフ度:★★☆☆☆|叙 情 度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤
Diamond Head|ダイアモンド・ヘッド
オリジナルアルバム – 7作目 (2016年)
全体的にヘヴィメタリックな質感が強まっており、初期作を想起させるリフやフレーズを織り込んだ、疾走感あふれるなメタルナンバーも聴くことができます。
ただし、復帰後に展開してきたグランジ系ハードロック/ヘヴィロック路線の曲も見られ、純粋な原点回帰というよりは過去作の総決算に近いスタイルです。
もはや、“変則リフの玉手箱”状態だった最初期のような名曲は期待できませんが、いつも通り楽曲アベレージは高い水準で安定していますし、なにより本作は、純メタルリスナーでも抵抗なく聴ける作風に仕上がっています。
|変則リフ度:★★★★☆|叙 情 度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
The Coffin Train|ザ・コフィン・トレイン
オリジナルアルバム – 8作目 (2019年)
前作にも増してヘヴィメタリック作風になり、1stに近いトリッキーなリフワークで聴かせるスピードチューンや、2ndの頃の叙情的なドラマティック展開を持ったプログレ風ナンバーも見られます。
このキャリアのバンドとしては、ベテランに多い無意味な長尺志向や大作主義にも、ミッドテンポとバラードばかりの枯れた作風にもに落ち着いておらず、勢いに満ちて緩慢な印象を与えないアルバムです。
前作以上に過去作の総決算&原点回帰的な作風で、焼き直しに近い曲やリフの使い回しも目立ちますが、リバイバル復活組のN.W.O.B.H.M.バンドに多い、キャリアの切り売りのような印象を感じさせない程度には現役感もあり、この総決算的アプローチとしては理想に近い会心作と言っていいでしょう。
|変則リフ度:★★★★☆|叙 情 度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Lightning to the Nations 2020|ライトニング・トゥ・ザ・ネイションズ 2020
リレコーディングアルバム+カバー (2020年)
名盤『Lightning to the Nations(1st)』の丸ごとリメイクに、カバー曲を加えたアルバム。
アートワークは、“ホワイトアルバム”と呼ばれた初期の無地ジャケットを意識したデザインとなっています。
サウンド自体にやや現代的なヘヴィネスを持たせてある反面、アレンジはやや落ち着いたハードロック調で、ファストチューンもややレイドバックした曲調に仕上げてあるために、本来の魅力であるパンキッシュな疾走感を失っています。
カバー曲は、〈METALLICA〉, 〈LED ZEPPELIN〉, 〈JUDAS PRIEST〉, 〈DEEP PURPLE〉という、いかにも過ぎる選曲とストレートなアレンジで意外性は皆無です。
再録/カバーともに総じてオリジナルを超える部分はなく、原曲の良さが担保する最低限度の魅力にとどまっているので、熱心なファンやマニアでなければオリジナルだけ抑えておけば十分でしょう。
|変則リフ度:★★★★★|叙 情 度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論