Contents
- 1ゴシックメタルの重鎮から後続のフォロアーにまで大きな影響を与え続ける偉大なルーツ的バンドとは?
- 1.1ゴシックメタルに影響を与えた80年代ニューウェイヴ系ゴシックバンド
- 1.1.1THE SISTERS OF MERCY|シスターズ・オブ・マーシー
- 1.1.2THE MISSION|ザ・ミッション
- 1.1.3DEAD CAN DANCE|デッド・カン・ダンス
- 1.1.4ALL ABOUT EVE|オール・アバウト・イヴ
- 1.1.5COCTEAU TWINS|コクトー・ツインズ
- 1.1.6DEPECHE MODE|デペッシュ・モード
- 1.1.7FIELDS OF THE NEPHILIM|フィールズ・オブ・ネフィリム
- 1.2ゴシックメタルに影響を与えたゴシックロック以降のバンドとは?
- 1.2.1CELTIC FROST|セルティック・フロスト
- 1.2.2STILLBORN|スティル・ボーン
- 1.2.3RADIOHEAD|レディオ・ヘッド
- 1.2.4PORTISHEAD|ポーティスヘッド
ゴシックメタルの重鎮から後続のフォロアーにまで大きな影響を与え続ける偉大なルーツ的バンドとは?
ゴシックメタルに影響を与えた80年代ニューウェイヴ系ゴシックバンド
ゴシックというワードでラベリングされるバンドは数多く存在しますが、その中でも初期のゴシックメタルバンドが自分たちのスタイル形成のための手本とするなど、シーンへ強い影響力を与えたバンドをセレクトして、ここでは紹介しています。
THE SISTERS OF MERCY|シスターズ・オブ・マーシー
英国ゴシックロックシーンを代表するバンドのひとつ。
ドラマティックでロマンティックなダークサウンドが持ち味で、ハードロック的な要素とポジティブパンクから続くサイケデリック感覚を合わせ持ちつつ、ドクター・アバランシュ(Dr. Avalanche)という名で正式メンバー扱いのドラムマシーンを用いたインダストリアルにもつながるダンサブルなリズムも特徴的です。
EDGE OF SANITY(エッジ・オブ・サニティ)が彼らの曲と聴き紛うようなオマージュ曲を収録したり、PARADISE LOST(パラダイス・ロスト)が彼らの代表曲ウォーク・アウェイ(Walk Away)をカバーしことで、閉鎖的なメタル界でも名を知られた存在となりました。
THE MISSION|ザ・ミッション
DEAD OR ALIVE(デッド・オア・アライヴ)とSISTERS OF MERCY(シスターズ・オブ・マーシー)の初期に在籍していたウェイン・ハッセイ(Wayne Hussey)が、やはりSISTERS OF MERCYの初期メンバーだったグレッグ・アダムス(Greg Adams)らと結成したバンド。
SISTERS OF MERCYと共通するところも多いスタイルながら、よりエモーショナルでオーガニックなバンドサウンドが特徴。
ゴシック系バンドの中でもハードロック寄りのサウンドで、その楽曲はメタルに導入しやすいこともあり、多くのゴシックメタルバンドのネタ元になっています。
DEAD CAN DANCE|デッド・カン・ダンス
DEAD CAN DANCEはゴシックバンドが数多く在籍していたレーベル4ADを代表するオーストラリア出身のグループ。
ブレンダン・ペリー(Brendan Perry)とリサ・ジェラルド(Lisa Gerrard)によるユニットで、男女二人による幻想的なヴォーカルと、民族音楽や宗教音楽を取り入れたアンビエントでサイケデリックな前衛的アトモスフェリックサウンドが特徴。
ゴシックメタルのみならず、ニューエイジ系やサイケ系のクラブミュージックにも大きな影響を与えています。
PARADE LOST(パラダイス・ロスト)が入場曲に用いたことで、メタルシーン知られる存在になりますが、アンビエント志向のゴシックメタルバンドのほとんどは彼らの影響を受けていると言えるほどで、最も影響力の大きいゴシック系アーティストのひとつに数えられます。
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ゴシックロックには女性ヴォーカルをバンドの顔に据え、その歌唱をサウンドのカナメとして売りにするグループが少なくありませんが、ALL ABOUT EVEはそれら歌姫系バンドの代表格とも言える存在。
コテコテなゴシックではなくロック色の強いトラッドポップ的な作風で、トラッドフォークやプログレッシヴロックのファンからの支持が高かったことで知られています。
彼らのスタイルや方法論は、そのファン層を含めてTHE GATHERING(ザ・ギャザリング)によって引き継がれ、そのブレイクの影響で再び注目を集めて再評価されることになります。
COCTEAU TWINS|コクトー・ツインズ
COCTEAU TWINSは、女性ヴォーカリストのエリザベス・フレイザー(Elizabeth Fraser)を擁するスコットランドのバンドで、DEAD CAN DANCE(デッド・カン・ダンス)と同じく、ゴシックバンドの多いオルタナティヴ系レーベル4ADに在籍していました。
アンビエント色が強いもののダークな要素は少なく、ドリーミーで幻想的なポップさにもあふれた、サイケデリアの漂うサウンドが特徴です。
中期以降のTHE GATHERINGに代表される女性ヴォーカルバンドや、ゴシックメタルからより普遍的なサウンドに移行しようとするバンドが、大きな影響を受けることになる存在です。
DEPECHE MODE|デペッシュ・モード
DEPECHE MODEは、打ち込みを多用したエレポップとゴシックロックの中間に位置するバンドで、ゴシックメタルのみならずゴシック志向のUSニューメタルなどにも大きな影響を与えました。
PARADISE LOST(パラダイス・ロスト)がほぼDEPECHE MODEと同じ方法論で作られた7作目Host(ホスト)を発表したことで、メタル界隈でも知名度が高まりました。
THE CERE(キュアー)と並んで、アメリカでも人気と知名度の高いゴシック系バンドです。
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英国出身のFIELDS OF THE NEPHILIMは、おどろおどろしいホラー的な世界観やデスヴォイス一歩手前のゴスヴォイス、ヘヴィなサウンドなど、ゴシックロックの中でもヘヴィメタルとの親和性が高いエッセンスを持ち、ゴシックメタルシーンへの影響も絶大です。
FIELDS OF THE NEPHILIMからの影響は、特に北欧のゴシックメタルやデスロックから特に強く感じられ、中には彼らのサウンドそのままというバンドも目に付きます。
彼ら自身も、のちにTHE NEPHILIM(ネフィリム)の名でヘヴィなインダストリアル・ゴシックメタルのアルバムを発表します。
ゴシックメタルに影響を与えたゴシックロック以降のバンドとは?
ゴシックメタルシーンに影響を与えたのは、ニューウェイヴ時代のゴシックロック系バンドだけではありません。
ここでは、ゴシックロックムーヴメントのバンド以外で、ゴシックメタルに大きな影響を与えたグループを紹介します。
CELTIC FROST|セルティック・フロスト
CELTIC FROSTはCORONER(コロナー)と並びスイスを代表するスラッシュメタルバンド。
VENOM(ヴェノム)直系でBLACK SABBATH(ブラック・サバス)の影響も強いダークでアンダーグラウンドなスタイルに始まって、アルバムごとに作風を変えてきた、実験性の強い前衛的なオルタナティブスラッシュメタルとでも呼ぶべきバンドです。
スラッシュメタルとしては本流ではなく通好みな存在でしたが、ゴシックメタルに限らずデスメタル,ブラックメタル,インダストリアルメタルなど、様々なエクストリームメタルが影響を受けたバンドとして再評価を受けています。
中でも彼らの3rdアルバムInto the Pandemonium(イントゥ・ザ・パンデモニウム)は、ゴシックロックの影響を反映して女性コーラスも取り入れたサウンドで、ゴシックメタルのルーツとなった作品としても知られています。
STILLBORN|スティル・ボーン
STILLBORNはスウェーデンのグループ。同郷のIN THE COLONNADESと共に、80年代からゴシックロックとブラックサバス的なドゥーミーなヘヴィロックを融合したサウンドを作り出していたバンドで、PARADISE LOST(パラダイス・ロスト)がカヴァー曲を発表したことでも知られています。
90年代初期には、当時のドゥームメタルムーヴメント乗って、3rdアルバムが日本でも国内盤がリリースされますが、ゴシックなヘヴィロックからプログレッシヴかつオルタナティヴなスタイルに転身した3作目は、あまりクセが強すぎる作風だったこともありマニア受けにとどまりました。
マニアックなリスナーからは、ドゥームメタルやゴシックメタルのルーツ的バンドのひとつとして、またオリジナリティあふれる個性的なバンドとして高く評価されています。
RADIOHEAD|レディオ・ヘッド
RADIOHEADは、90年代から以降のUKシーンを代表するバンドのひとつとして、メタルファンでもさすがに名前くらいは知っているハズ。
ブリットポップの枠を超え、テクノロジーを駆使したオルタナティブロックとして、プログレッシヴロック/ポンプロックを90年代〜00年代の感覚で再構築し、プログレの新たな方向性を示した重要な存在です。
PORCUPINE TREE(ポーキュパイン・ツリー)やANEKDOTEN(アネクドテン)などの、ダークプログレやポストロック,ポストハードコアなどプログレリバイバル系のバンドに大きな影響を与えました。
ゴシックメタルムーヴメントとは同時代のバンドで、ルーツ的な存在ではありませんが、彼らもゴシック的な耽美志向を持っていることもあってゴシックメタルにもその影響は及びます。中期以降のANATHEMAやTHE GATHERINGなど、ゴシックメタルというジャンルの枠からの逸脱を試みるバンドたちにとっては、彼らの方法論は重要なヒントとなりました。
PORTISHEAD|ポーティスヘッド
PORTISHEADは、英国ブリストル発祥のトリップホップと呼ばれるシーンを代表するアーティスト。
トリップホップとは、ザックリ言えばHIPHOPの手法など黒人音楽の要素を取り込んだアンビエントミュージックのこと。90年代のクラブミュージックシーンを中心に、メインストリームで大きな盛り上がりを見せました。
ダークなトリップ感にあふれた、幻想的かつ耽美的でサイケデリックなサウンドに、ディープな男性ヴォーカルや物憂げな女性ヴォーカルが乗るという音楽性は、ゴシックサウンドに通じるエッセンスもあり、実際にゴシック寄りのグループも存在します。
PORTISHEADはMASSIVE ATTACK(マッシヴ・アタック)やTRICKY(トリッキー)と並びトリップホップを代表する存在として一時代を築いたユニットですが、シーンの中でも最もゴシック的なエッセンスが濃厚なアーティストでもあります。
トリップホップの音楽性を取り入れたゴシックメタルバンドとしては、TIAMAT(ティアマト)、MY DYING BRIDE(マイ・ダイイング・ブライド)、THE GATHERING(ザ・ギャザリング)などが挙げられます。