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【問題作】VOIVOD / Negatron|ヴォイヴォド / ネガトロン – (1995)

VOIVOD_Negatron インダストリアル

プログレッシグなカルトアートスラッシュバンドがプップサウンドでスマッシュヒットした後にドロップしたオルタナティヴでサイケデリックな超絶ヘヴィグルーヴサウンド!

カナダのスラッシュメタルバンドVOIVOD(ヴォイヴォド)はレトロフューチャーでサイバーな古き良きSF的コンセプト、プログレッシヴともオルタナティヴとも表現できる独創性的なサウンドが持ち味。
売れスジとはあきらかに異なるクセのある音楽性は決して一般受けするものではありませんが、そのぶんプログレやオルタナティヴロックのリスナーやバンドなど“違いのわかる聴き手”から高く評価され、“ミュージシャンズミュージシャン”的なポジションにもあるバンドです。

比較的柔軟性もある好事家リスナーが多いと思われるVOIVODですが、彼らにもファンから問題作扱いされる作品があります。それがアリさんジャケットが引用的な8作目となる1995年のNegatron(ネガトロン)です。

VOIVODのNegatronリリース時の状況は?

突進型のハードコアなスタイルからスタートしたVOIVODですが、アルバムリリースごとに大きく成長を遂げテクニカルでプログレッシヴなスタイルに接近し、Dimension Hatröss(ディメンション・ヘイトロス)でフリーキーなテクニカルスラッシュの頂点を迎えます。
その後、スラッシュにこだわらないサイケデリックなアートメタルとでも呼ぶべきスタイルへと移行し、その到達点The Outer Limits(ジ・アウター・リミッツ)では、同郷のプログレハードの大御所RUSH(ラッシュ)GALACTIC COWBOYS(ギャラクティック・カウボーイズ)らのアメリカ南部系オルタナプログレCWMサークルなどを思わせるような、ポップでストレンジなサウンドを極め各界から高く評価されます。

度々語っているように、90年代はスラッシュメタルのオワコン化にともなって、特にメジャーレーベルに所属していたバンドの多くは路線変更を余儀なくされていました。
その主な選択肢が、当時勢いがあってスラッシュメタルにもなじみやすいPANTERA(パンテラ)系グルーヴメタル,インダストリアルメタルで、ほとんどのバンドがそのどちらかを取り入れていました(比率はグルーヴ派5:インダストリアル派2:その他1くらいのイメージ)。

VOIVODの事情

このNegatronもある意味ではその流れの中にある1枚なのですが、VOIVODの場合その他の大勢のバンドとはちょっと事情か異なる部分があります。
ひとつは、前記したように前作The Outer Limitsに至るまでに、すでに完全な“脱スラッシュ”を果たしていてたこと。
さらに、それがリスナー/マスコミのみならず各界ミュージシャン高い評価を得て、ミュージシャンズ・ミュージシャン的な存在になっていたこと。
そして、バンドのポジション的にもスラッシュブームで表に出てたトレンド追従型ではなく、それらと一線を画したマイペースで作家性の強いバンドで好事家向けの立ち位置だったこと。

つまり、「スラッシュ流行ってるからやってきたけど、ブーム終わって行き詰まっちゃってオレたちどうすりゃいいの?」といった、その他大勢のバンドとは全く異なるということです。

ヴォイヴォド/Negatronが問題作と呼ばれる理由は?

①…直近のプログレテイスト音楽性から一転した。
②…インダストリアルやグルーヴメタルの影響が強い。
③…ヴォーカルが変わった

まずですね。
オルタナティヴ・プログレッシヴメタルとでも言うしかない、何かに似ているようで何にも似ていない独自のサウンドを作り上げた前作The Outer Limitsでチョイブレイクしたこともあり、続く今作でもそれを期待していたリスナーが多かっただけに、サウンドが一転したことに対する拒否感が大きかったのは確かですが、それについては別に責められる筋合いは全くありません。

それよりも多くのリスナーがお気に召さなかったのはなんでしょうね。
このサイトでは度々触れていますが、この当時インダストリアルやグルーヴメタルは保守メタラーのヘイトを集めまくっていた音楽です。そのヘイト具合は、まともな理屈など全く通じないほどに根深く苛烈なものでした。
それについては別記事だじっくり語っているので参照してくださいませ。

ただ、インダストリアルテイストを取り入れたのは確かなので、それに対する印象の好悪が出てくるのは仕方ありませんが、PANTERA化云々という指摘については、メタルに一家言あるような人がこの作品を聴いてそれしか感想が出てこないようなら、いったい今まで何を聴いてきたのか?と軽く問い詰めたくなります。

最後にですが、
プログレ路線に入って前作まではヴォーカルのスネイクが爬虫類的な脱力系スタイルで歌っていたのですが、脱退したスネークに代わって新加入したエリック・フォレスト(Eric Forrest)はドスの効いたデスヴォイス寄りのスタイルでした。
とはいえ、スタイル的にも技量的にも全く問題なくサウンドにもマッチしています。これに拒否反応が出てしまというのは、単に古参メンバーが抜けてどこの馬の骨とも知れない新入りが入ったのが気に食わないのと、今ほどデスメタルやデスヴォイスが市民権を得ていなかったという時代背景が原因でしょう。

結局のところ、VOIVODのNegatronて作品としてはどうなのさ?

VOIVODは何も前作The Outer Limitsで突然変異的にアートメタルスタイルに目覚めたわけではなく、さらにその前作エンジェルラット・前々作ナッシングフェイスと3作にもわたってほぼ同じコンセプトで作品を作ってきており、The Outer Limitsはその総決算的な作品だったわけです。

決して様式美志向はなくこれまで何度も音楽性を大胆に更新して進化を続けていたオルタナティヴな姿勢のバンドだということを理解していれば、「そろそろ新しい試みに手を出してもいい頃合いかも…」というのは、以前からのリスナーなら織込み済みのハズでしょう。

それを考えると、ここに及んでイマサラ音楽性の変更がどうこう言っていた声の大きいリスナーの多くは、The Outer Limitsのスマッシュヒットと、プログメタルというラベルにつられて参入してきた新規ファンということなのでしょう。

このNegatronと続くPhobos(フォボス)の2枚が同じヘヴィグルーヴ&インダストリアル風味のスタイルで作られているわけですが、結論から言えば作品としてはどちらも間違いなく一級品の出来栄え。
彼らのディスコグラフィーでは確かに異色作の部類ではありますが、それでもトップレベルにくる作品なのは間違いありません。

作風に対する好き嫌いは仕方がありませんが、エクストリームなプログメタルやポストハードコアが一般化した今だからこそ、新規リスナーやスタイルにこだわらない人には保守的な雑音からの先入観にとらわれることなく聴いてほしい1枚…いや2枚です。

VOIVOD / Negatron
問題作度:★★★☆☆
一般評価:★☆☆☆☆
筆者評価:★★★★☆

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