Contents
- 1世界規模の爆発的ヒットで北欧で最も有名なメタル・ナンバーとして知られる名曲『The Final Countdown』を生んだ、スウェーデンの国民的メタル・レジェンドに第二の黄金期は訪れる?
- 1...1北欧メタル世界進出の功労者!?
- 1...2ビッグ・イン・ジャパンから世界的バンドへ!?
- 1...3『The Final Countdown』の大ヒット!!
- 1...4偉大な“開拓者”か単なる“一発屋”か!?
- 1...5失速〜解散からの再始動!!
- 1.1EUROPE|DISCOGRAPHY|スタジオアルバム
- 1.1.1Europe|ヨーロッパ:幻想交響詩
- 1.1.2Wings of Tomorrow|ウィングス・オブ・トゥモロウ:明日への翼
- 1.1.3The Final Countdown|ファイナル・カウントダウン
- 1.1.4Out of This World|アウト・オブ・ディス・ワールド
- 1.1.5Prisoners in Paradise|プリズナーズ・イン・パラダイス
- 1.1.6Start From the Dark|スタート・フロム・ザ・ダーク
- 1.1.7Secret Society|シークレット・ソサエティ
- 1.1.8Last Look at Eden|ラスト・ルック・アット・エデン
- 1.1.9Bag of Bones|バッグ・オブ・ボーンズ
- 1.1.10War of Kings|ウォー・オブ・キングス
- 1.1.11Walk the Earth|ウォーク・ジ・アース
- 1.2EUROPE|DISCOGRAPHY|コンピレーション・アルバム
- 1.2.11982 - 1992|1982 - 1992
- 1.2.2Rock the Night:The Very Best of Europe|ロック・ザ・ナイト:ザ・ベリィ・ベスト・オブ・ヨーロッパ
- 1.1EUROPEはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
EUROPE|DISCOGRAPHY|スタジオアルバム
Europe|ヨーロッパ:幻想交響詩
オリジナルアルバム – 1作目 (1983年)
このデビュー作で聴けるのは、一般に知られるようになった米国進出後の、グラムメタル/産業ロックに寄せたコマーシャルなサウンドとは異なり、初期UKヘヴィメタルやNWOBHMの流れを汲んだ”ヘヴィメタルです。
のちのパワー/スピードメタルや、メロデス全盛期に至るまで北欧メタルの持ち味とされる、叙情的な憂いを感じさせるメロディはすでに健在。
パイオニアとして北欧美メロ系メタルの基礎を築き、「北欧系=叙情/美メロ」という図式を広げていくことになります。
デビュー作でありながら、北欧メタルに多いB級テイストがあまり感じられない、堂々としたメジャー感を漂わせた完成度の高いサウンドを展開しており、そのクオリティと日本人好みのサウンドが目に止まり、世界に先駆けて日本盤もリリースされています。
ややハードロック・テイストの強いサウンドは時代を感じさせるものの、シンフォ系メロスピ系のリスナーも含め、メロディックなヘヴィメタル/ハードロックを嗜むリスナーならば、あらためて掘り起こしてみるだけの価値のある作品です。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情メロ度:★★★★☆
|チャラい度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤
Wings of Tomorrow|ウィングス・オブ・トゥモロウ:明日への翼
オリジナルアルバム – 2作目 (1984年)
基本的に前作ラインを踏襲されており、初期のUKメタル/NWOBHMを下敷きにしつつ北欧ならではにローカライズされ、ポップネスと叙情的なメロディが重視された作風。
いくぶんヘヴィメタル的なエッジとヘヴィネスが強化され、アグレッシヴな楽曲が増えた印象がありますが、前作に引き続いてクールなエモーションを感じさせる極上のメロディックヘヴィメタルは健在です。
アメリカ進出を果たし世界的にブレイクした次作“The Final Countdown(3rd)”では、アメリカ市場をターゲットとした産業メタル/ポップメタルサウンドへと完全にシフトしてしまい、それ以降もこの時期のヘヴィメタル・サウンドに戻ることはありませんでした。
現時点においてオールドスクールなヘヴィメタルが聴けるのは、オーソドックスな前作と本作のみとなるので、メロディックなヘヴィメタルを好むリスナーは併せて要チェックです。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|チャラい度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
The Final Countdown|ファイナル・カウントダウン
オリジナルアルバム – 3作目 (1986年)
このアルバムについては、何はともあれタイトルトラックの“The Final Countdown”につきます。
この曲は、いわゆる“哀愁の美メロ系北欧メタル”の持ち味はそのままに、メインストリームに通用するポップ&キャッチーなサウンドへとカスタマイズしたもの。
簡単に言えば、JOURNEY(ジャーニー)の“Separate Ways”や、SURVIVOR(サヴァイヴァー)の“Eye of the Tiger”などの系譜にあたる、当時のトレンドでもあったマイナー調のドラマティック・ナンバーです。
評価については賛否あれど、世界中でチャートのトップや上位に食い込む大ヒットとなり、80年代を象徴する1曲として、マドンナやマイケル・ジャクソンらの名曲とも肩を並べる位置にある名曲です。
ただし、その“The Final Countdown”は、アルバムの中では唯一方向性の異なる異色曲。
それ以外は、ソフトなポップチューンやバラードなど、平均的なグラムメタル系の産業メタルで占められており、初期の作風やこのタイトルトラックと同様の作風を期待するとガッカリでしょう。
正直なところ、“The Final Countdown”だけが目的ならベスト盤で十分です。
|ヘヴィネス:★☆☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|チャラい度:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 賛否両論
Out of This World|アウト・オブ・ディス・ワールド
オリジナルアルバム – 4作目 (1988年)
前作を踏襲したグラムメタル系のアメリカン産業ポップメタルサウンドですが、残念ながら前作の“The Final Countdown”に匹敵…とまでいかずとも、それに迫れる程度の楽曲も見られないのが致命的な弱点。
北欧バンドの特性か、USグラムメタル特有の軽薄さが薄めなのはわずかな救いです。
中にはアップテンポなT-06やヘヴィなT-10もあり、このあたりはかろうじて過去作に収録されていても違和感の少ない作風ですが、初期のサウンドに惚れ込んだリスナーには少々つらいアルバムです。
EUROPEは、再結成後のヘヴィロック路線がオールドファンから何かとやり玉に上がりがちですが、むしろ暗黒期と呼ぶならば、この時期こそがまさにそうでしょう。
|ヘヴィネス:★☆☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|チャラい度:★★★★★
|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論
Prisoners in Paradise|プリズナーズ・イン・パラダイス
オリジナルアルバム – 5作目 (1991年)
ジャケットアートは初期に近いテイストですが、前作以上にアメリカ市場に迎合したポップメタル路線を邁進しています。
時期的に、トレンドがGUNS N’ ROSES系のサウンドに移っていたこともあってか、それに倣ったパーティ・ロックンロール曲も増えました。
音楽的にはもはや初期の名残も見られず、もはや近年同様に完全に別バンド状態。かといってその再結成後のように現代にまで通用する普遍性を持ったサウンドでもありません。
80年代バブルの風に触れたい好きモノか、産業ロック/パーティロック志向のリスナー以外には、オススメできるポイントは見つかりません。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙情メロ度:★☆☆☆☆
|チャラい度:★★★★★
|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論
Start From the Dark|スタート・フロム・ザ・ダーク
オリジナルアルバム – 6作目 (2004年)
リユニオンを経てからの、再結成後の第一弾となるアルバム。
90年代以降の米国メインストリームのヘヴィ・ミュージック、グランジ〜グルーヴメタル〜ニューメタルの流れを汲んだ、当世風の音づくりによるハードロックとなっています。
80年代バンドの“総グランジ化”さえ、すでに過去のものとなっていた時期の作品ですが、その時代から作風に大きな変化がないのは、ポストグランジ・ブームを経てこの手のサウンドがハードロックのスタンダードとして定着したということなのでしょう。
80年代初期の正統派メタル・サウンドや、グラム/ポップメタルのチャラキラ・サウンドを期待するリスナーからは、とかく批判の的になりがちなイマドキのヘヴィ・サウンドではあるものの、楽曲自体は真っ当なメロディック・ハードロックです。
問題は、フックを欠いてこれといった決め手に欠ける楽曲が並び、アベレージも低めで平均を大きく超えることがないことでしょう。
有り体にいえば“悪くはないが良くもない”凡庸で新鮮味の無いアルバムで、これでは古参ファンを振り返らせることも新規ファンを獲得することも難しく、再結成はしたものの行き先が定まらず迷走気味のようです。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|チャラい度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Secret Society|シークレット・ソサエティ
オリジナルアルバム – 7作目 (2006年)
ややオーガニックな質感をもった、アフターグランジのヘヴィ/ハードロックサウンドで、90年代以降のニューメタル系ヘヴィサウンドに近い質感もありますが、わかりやすいポップネスは前作よりも増しています。
基本的な曲調やメロディセンスは80年代的で、フラッシーなギターソロは悪い意味で古臭いくらいですし、音づくりを別にすれば80年代メロディック・ハードかといった曲もあります。
往年のリスナーにとっても新規リスナーにとっても、微妙にストライクからズレている点では前作と同様ですが、どちらかというと古参リスナー向き。新規ファンを狙うのであれば、ひと工夫欲しいところです。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|レトロ度:★★☆☆☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Last Look at Eden|ラスト・ルック・アット・エデン
オリジナルアルバム – 8作目 (2009年)
前作からニューメタル的な質感と80年代風味をやや薄めて、ヘヴィネスとモダンなヴィンテージ・テイストを強めた作風に移行。
ボトムの効いたヘヴィサウンドとポップ歌メロの掛け合わせは、北欧オルタナティヴ・ハードロックの代表格である、デンマークのDIZZY MIZZ LIZZY(ディジー・ミズ・リジー)を近作をヒントにしような節があり、曲によっては少々第二期BLACK SABBATHを想起させるドゥーム・テイストも見せます。
メロディラインをはじめな様式美臭が払拭できていない面もあり、特にフラッシーなギターソロはもはや違和感でしかなく、これならばメロトロン風のキーボードを全面に押し出したほうが…という印象は否めません。
とはいえ、かろうじてギリギリで双方が殺し合わない微妙なバランスを保っており、近年のDIZZY MIZZ LIZZYがいけるなら楽しめるかもしれません。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|レトロ度:★★☆☆☆
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 通好み スルメ盤 実験作
Bag of Bones|バッグ・オブ・ボーンズ
オリジナルアルバム – 9作目 (2012年)
80年代風のフラッシーなスピードギタソを控えめにして、さらにヴィンテージ・テイストをアップしたのは良い変化ですが、その結果、ベテランバンドによく見られる、ややレトロでブルージーなテイストを持つフツーのハードロックと化してしまいました。
取り立てて新規性や独自性があるわけでもなく、悪くもなければすごくいいわけでもないサウンドは、まさに“That’s 無難”といったところ。
この音楽性がダメということではないですが、似たような作品は腐るほどにあふれかえっているので、何かプラスアルファのセールスポイントがなければ、熱心なファン以外はあえて手を出すまでもないという結論になってしまいます。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|レトロ度:★★★☆☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論
War of Kings|ウォー・オブ・キングス
オリジナルアルバム – 10作目 (2015年)
中盤までは、前作と同様でブルーズ・テイストのオーソドックスなハード/ヘヴィロック。
中盤以降は、より本格的なビンテージ風味のヘヴィロックに移行して、URIAH HEEPあたりのブリティッシュハードをモダンに焼き直したようなサウンドを聴かせるようになります。
これを独自性というのはややはばかられますが、良質なヴィンテージ・ハード/ヘヴィロックとして、前作よりは圧倒的に競合バンドが少なく差別化は図れています。
ときおり飛び出す手癖に近い80年代風スピードギターソロは、このスタイルではどうしてもノイズになりますが、アルバム全体で見ればかなり抑えられており、メロトロン風キーボードも頑張っているおかげでさほど気になりません。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|レトロ度:★★★★☆
|叙情メロ度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み
Walk the Earth|ウォーク・ジ・アース
オリジナルアルバム – 11作目 (2017年)
前作と同様に、DEEP PURPLEやURIAH HEEPあたりを想起させるモダンレトロ・テイストの、ヴィンテージなハード/ヘヴィロックが基調となったサウンド。
同じ70年代風のヴィンテージ・サウンドでも、ブルーズ・ロックやファンク・ロックではなく、プログレ風味の様式美を感じさせる叙情ハードロックが主体です。
80年代的なバブル感が後退した“いにしえ系”ハードロック・サウンドは、さほど現代的なアイデアが盛り込まれているわけでもないのですが、そういうものと割り切れば、なかなかに上質で魅力的なアルバムとして楽しめます。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|レトロ度:★★★★☆
|叙情メロ度:★★★★☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み
EUROPE|DISCOGRAPHY|コンピレーション・アルバム
1982 – 1992|1982 – 1992
コンピレーションアルバム (1993年)
タイトル通り、1982年のデビューから1992年の解散までの、キャリア黄金期の1枚組ベストセレクション。
いくつかあるベストアルバムの中でも代表的なもので、日本盤の入手も容易です。
Rock the Night:The Very Best of Europe|ロック・ザ・ナイト:ザ・ベリィ・ベスト・オブ・ヨーロッパ
コンピレーションアルバム (2004年)
再結成直後のリリースなので解散前の音源が中心ですが、二枚組のボリュームでレアトラックなども収録。輸入版であれば、かなり手頃な価格でで入手可能です。