Contents
- 1アイルランドの英雄THIN LIZZYに抜擢されて名を挙げた若き天才ギタリストは、ヘヴィメタルのギターヒーローを経て本場のウルサ方をもをうならす本格的なブルーズマンへ!!
- 1...1ギターヒーローのパイオニア!?
- 1...2ゲイリー・ムーアの音楽遍歴は!?
- 1...3ゲイリー・ムーア:プログレ渡り鳥時代!!
- 1...4ゲイリー・ムーア:THIN LIZZY参加でブレイク!?
- 1...5ゲイリー・ムーア:ハードロック時代!!
- 1...6ゲイリー・ムーア:ブルーズ回帰時代!!
- 1...7コラボレーションにも積極的!?
- 1.1GARY MOORE|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Grinding Stone|グラインディング・ストーン
- 1.1.2Back on the Streets|バック・オン・ザ・ストリーツ
- 1.1.3G-Force|G-FORCE
- 1.1.4Corridors of Power|コリドーズ・オブ・パワー:大いなる野望
- 1.1.5Dirty Fingers|ダーティ・フィンガーズ
- 1.1.6Victims of the Future|ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー
- 1.1.7Run for Cover|ラン・フォー・カヴァー
- 1.1.8Wild Frontier|ワイルド・フロンティア
- 1.1.9After the War|アフター・ザ・ウォー
- 1.1.1Still Got the Blues|スティル・ゴット・ザ・ブルーズ
- 1.1.2After Hours|アフター・アワーズ
- 1.1.3Blues for Greeny|ブルーズ・フォー・グリーニー
- 1.1.4Dark Days in Paradise|ダーク・デイズ・イン・パラダイス
- 1.1.5A Different Beat|ディファレント・ビート
- 1.1.6Back to the Blues|バック・トゥ・ザ・ブルース
- 1.1.7Scars|スカーズ~ゲイリー・ムーア キャス・ルイス&ダリン・ムーニー
- 1.1.8Power to the Blues|パワー・オブ・ザ・ブルーズ
- 1.1.9Old New Ballads Blues|オールド・ニュー・バラッズ・ブルース
- 1.1.10Close as You Get|クローズ・アズ・ユー・ゲット
- 1.1.11Bad for You Baby|バッド・フォー・ユー・ベイビー
- 1.2GARY MOORE|DISCOGRAPHY|ライヴ/コンピレーション
- 1.2.1Rockin' Every Night - Live in Japan|ロッキン・エヴリ・ナイト (ライヴ・イン・ジャパン)
- 1.2.2Live at the Marquee|ライヴ・アット・ザ・マーキー
- 1.2.3We Want Moore!|ウィ・ウォント・ムーア! (ライヴ)
- 1.2.4Blues Alive|ブルース・アライヴ
- 2SKID ROW|スキッド・ロウ
- 2.1SKID ROW|DISCOGRAPHY
- 2.1.1Skid|スキッド
- 2.1.234 Hours|34アワーズ:34時間
- 2.1.3Dublin Gas Comy. Cooker & Meter Factory|ダブル・ガス・コミィ. クッカー&メーター・ファクトリィ
- 2.1.4Gary Moore Brush Shiels Noel Bridgeman|ゲイリー・ムーア・ブラッシュ・シールズ・ノエル・ブリッジマン
- 3COLOSSEUM II|コロシアムII
- 3.1COLOSSEUM II|DISCOGRAPHY
- 3.1.1Strange New Flesh|ストレンジ・ニュー・フレッシュ
- 3.1.2Electric Savage|エレクトリック・サヴェイジ
- 3.1.3War Dance|ウォーダンス
- 4GREG LAKE|グレッグ・レイク
- 4.1GREG LAKE|DISCOGRAPHY
- 4.1.1Greg Lake|グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーア
- 4.1.2Manoeuvres|グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーアII マヌーヴァーズ
- 4.1.3King Biscuit Flower Hour Presents Greg Lake in Concert|キング・ビスケット・ライヴ
- 5BBM|ビー・ビー・エム:ブルース・ベイカー・ムーア
- 5.1BBM|ビー・ビー・エム|DISCOGRAPHY
- 5.1.1Around the Next Dream|アラウンド・ザ・ネクスト・ドリーム〜白昼夢
GARY MOORE|DISCOGRAPHY
Grinding Stone|グラインディング・ストーン
オリジナルアルバム – 1作目 (1973年)
GARY MOORE BAND名義でリリースされた、ソロデビュー作ともいえるアルバム。
過去にも見せた、ジャズロック/フュージョン・テイストのプログレ/アートロックから、ブルージーなロック・チューンまで、ルーツ・ミュージック・テイストの濃厚なサウンドを展開しています。
プログレ・テイストは濃厚ではあるものの、それは一般的にメタラーが認識している、“純プログレ”のイメージとはやや異なる、サイケテイストもあるアートロック寄りのものです。
ルーズな曲からスリリングな曲までが楽しめる作風は、ルーツ系のアメリカン・ジャムロックにも通じるものでもあり、それらを好むリスナーも一聴の価値のある作品です。
|叙 情 度:★★★☆☆
|トラッド度:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|プログレ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
Back on the Streets|バック・オン・ザ・ストリーツ
オリジナルアルバム – 2作目 (1978年)
一般には、ムーアの代表曲のひとつでもある、メロウなバラードT-08の存在で知られていますが、基本的にはTHIN LIZZYを想起させるのロッキンなハードロック・ナンバーと、SKID ROW, COLOSSEUM II時代の経験が反映されたプログレ/ジャズロック・チューンを二本柱とした構成。
80年代に見られるヘヴィメタリックなハードロック・サウンドはまだ聴けませんが、躍動感あふれるハードロックの名曲と、スリリングでテクニカルなプレイが楽しめるお得な名盤です。
のちにメタルシーンのカリスマ・プロデューサーとなる、クリス・タンガリーデスが、はじめてプロデュースを手掛けたアルバムとしても知られています。
T-02はTHIN LIZZYのハードロックの名曲を、よりウェットでメロウなバラード調にカバーした曲。
|叙 情 度:★★★☆☆
|トラッド度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|プログレ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
通好み 実験作
G-Force|G-FORCE
オリジナルアルバム – 3作目 (1980年)
G-FORCE名義でリリースされたアルバム。
メロディアスなハードロックから、THIN LIZZY風の曲、ヘヴィメタリックな曲、ポップロックと比較的多彩です。当時のメタルシーンでいくつものバンドが試みたレゲエを取り入れた曲もあり、当時のイギリスでのレゲエ人気もうかがえます。
このあたりから、アメリカンな産業ロック風味の、洗練されたポップ・テイストが強くなっており、THIN LIZZY風の曲も“産業ロック版THIN LIZZY”といった趣です。
T-02, T-05, T-09あたりのハード・チューンは掛け値なしの名曲ではありますが、多くを占めるバラードやAOR的なアーバン・ポップなどは、骨太ロックを期待するリスナー向けとはいえません。
これを幅が広く多彩と見ることも、出来ないわけではないとはいえ、聴き手によっては評価は別れるのも確かでしょう。
|叙 情 度:★★★★☆
|トラッド度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★★★
|プログレ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
Corridors of Power|コリドーズ・オブ・パワー:大いなる野望
オリジナルアルバム – 4作目 (1982年)
ムーアの、本格的メタル/ハードロック路線の皮切りとされるアルバムで、ブリティッシュ・ハードの先人たちから影響を昇華させたようなハードロックを展開。
キャリア的にはすでに中堅〜ベテランの域に達していただけに、イキの良さと初期衝動が武器のNWOBHM界隈の若手とは異なり、既に出来上がった貫禄が漂います。
ファストなメタル・チューンやアップテンポのハードロックから、ダークなヘヴィ・チューン、バラードまでと多彩ですが、そのいずれもにキャッチーなフックとエモーショナルなメロディがフィーチャーされています。
アルバムとしては、スタイリッシュな指向性が強めの小綺麗なつくりで、全体的に落ち着いたアダルティともいえる雰囲気が漂っています。
特に前半は特にその傾向が強く、AOR/産業ロック的な曲も見られますが、後半には名曲T-06やT-07をはじめとした骨太なハードロック・チューンも聴くことができます。
のちにボーナストラックとして追加される、AOR調の曲『Love Can Make a Fool of You』は、80年代のメタル・クイーン『浜田麻里』がカバーとして取り上げていました。
|叙 情 度:★★★★☆
|トラッド度:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★★☆
|プログレ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
Dirty Fingers|ダーティ・フィンガーズ
オリジナルアルバム – 5作目 (1983年)
再び、クリス・タンガリーデスを起用した、パワフルなハードロックアルバムで、特にヘヴィメタリックなナンバーが充実しており、US産業ロック的なポップ傾向はあるものの、ムーアのキャリア中でも最もスタンダードなヘヴィメタルテイストが突出した印象のある1枚です。
オリエンタルな和旋律をフィーチャーしたメタルの名曲“Hirosima(T-01)”は、タイトルのとおり広島での原爆ジェノサイドをテーマにした曲。
また、グレック・レイクとのコラボアルバムに収録されていた、メタリックハードの名曲“Nuclear Attack(T-06)”もやはり核兵器の脅威が題材で、当時の社会情勢を反映しているとともにムーアのポリティカルな一面ものぞけます。
T-04の『Don’t Let Me Be Misunderstood:悲しき願い』は、ANIMALSやThe Moody Bluesなどによるカバーや、Santa Esmeraldaのディスコバージョンのほか、日本では尾藤イサオの邦訳曲で知られるソウル・スタンダードの名曲。
上記の曲のほかにも、T-03, T-05, T-08などもハードな佳曲で、メタラーにも聴きどころの多い充実作です。
|叙 情 度:★★★☆☆
|トラッド度:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★★☆
|プログレ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤
Victims of the Future|ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー
オリジナルアルバム – 6作目 (1984年)
前作のヘヴィメタル路線を踏襲してはいるものの、グラムメタル/産業ロック/AORに近いポップ傾向が大幅に増強されています。
旧ソ連による“大韓航空機”撃墜事件をテーマに取り上げたT-05は、やや時事ネタ寄りながら“ポリティカル・ムーア”の顔を見せたファストヘヴィメタルの名曲で、T-07は青春ドラマの主題歌のようなキャッチーな産業メロディック・ハード。
BLACK SABBATHとLED ZEPPELINを足したようなT-08は、当時のネイバーフッド(ご近所さん)オジー・オズボーンの参加を想定しながら、大人の事情で叶わなかったというヘヴィ・チューンで、ムーアがオジーのモノマネで歌っていますが出来は凡庸。
というような聴きどころもあって、他の曲もおおむね及第点の優等生的アルバムですが、傑出した曲が少なく全体的に地味な印象があることや、ときおり80年代的な軽薄さが漂ってくることもあって、キャリアを代表する作品と呼ぶには圧倒的にグレード不足な、微妙な立ち位置にあります。
|叙 情 度:★★★★☆
|トラッド度:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★★★
|プログレ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Run for Cover|ラン・フォー・カヴァー
オリジナルアルバム – 7作目 (1985年)
ハードロック時代では、次の作品とともに特に評価の高い1枚。それには、THIN LIZZY時代の盟友フィル・ライノットのゲスト参加も影響していますが、名盤度においてはほぼ同格の次作“Wild Frontier(8th)”が、ややカラーの異なる作風という事を考えるなら、実質的にはハードロック時代の代表作と考えてもいいでしょう。
キャッチーなフックと印象的なメロディが満載ながらも、これまでににつきまとっていた産業ロック/AOR的な軽さはいくらか払拭されており、80年代的な音作りは致し方ないとしても、曲調の面ではかなり骨太でストイックなロック魂を感じさせます。
ライノットが参加したT-03とT-05はいずれも出色の出来で、特にT-01はムーアのハードロック時代を代表する1曲でもあるのみならず、後発のメタルバンドからも度々カバーもされている掛け値なしの超名曲。
他にもアップテンポのT-01、ミッド・チューンのT-07, T-09という、メタリック・ハードのナンバーも素晴らしい仕上がりですし、哀愁漂うバラードのT-04やポップなメロディック・ハードT-09なども蛇足感はなく、アルバムのイメージを損なってはいません。
本作からのシングルB面には、やはりライノットが参加したTHIN LIZZの”Still in Love with You”のカバーが収録されていましたが、これはCD化の際の改訂版アルバムにもボーナスとして収録されています。
|叙 情 度:★★★★☆
|トラッド度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|プログレ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Wild Frontier|ワイルド・フロンティア
オリジナルアルバム – 8作目 (1987年)
前作でのフィル・ライノットとのコラボが刺激になったのか、アイリッシュ魂に目覚めたのようにトラッド・テイスト濃厚な作風となったアルバムで、トラッドメタルのルーツのひとつにも数えられています。
前作リリース後の1986年にライノットが急死に見舞われたため、少なからずその追悼盤的なアルバムという側面もあります。
全編にわたってドラムパートにドラムマシーンを用いていることもあって、オールドファンやメタラーに多い“生楽器至上主義者”からは否定的な声も多く、評価も割れがちですが、中身は手放しで絶賛できる粒ぞろいの楽曲が目白押しで一切のスキが見られない驚異的な名盤。
ハードロック時代ではトップのチャート順位を誇り、前作とともに代表作と呼ばれることもあります。
ファストなハードロック・ナンバーから、トラッド調のフォーキーな曲まで、憂いに満ちた印象的メロディがフィーチャーされたドラマティックな名曲ぞろいで、前作に続いてキャリアの頂点と呼ぶにふさわしい、文句のつけようのない出来栄えを見せています。
CD化の際にボーナストラックとして追加されていた「CryingintheShadows」は、ハードロッック路線も試みた“歌える”80年代アイドル、本田美奈子が『the Cross(愛の十字架) 』としてカバーしていました。
|叙 情 度:★★★★☆
|トラッド度:★★★★☆
|ポップ度:★★★★☆
|プログレ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
After the War|アフター・ザ・ウォー
オリジナルアルバム – 9作目 (1989年)
80年代のラストを飾る作品であると同時に、ハードロック路線の幕引きにもなったアルバム。
ドラムマシーンは不評だったためか、本作では旧知のコージー・パウエルを中心に、複数のドラマーが参加しています。
参加ゲストも含めてトピックの多い1枚で、楽曲もT-02, T-03, T-07, T-08とよく出来たハードチューンが少なくありませんが、80年代キャリアの総まとめのようなやや既聴感の漂う作風からは、この路線ではやり尽くしてひと区切りつけたような印象もあります。
T-05『Led Clones』は、当時の“LED ZEPPELINインスパイア系”の代表的グループ『KINGDOM COME』をdisったことで話題となった曲で、因縁のオジー・オズボーンがようやく参加してヴォーカルをとっています。
ただし、曲自体はLED ZEPPELINのパロディにしかなっておらず、クローン批判を口実に自分もイッチョカミしたかっただけでは?とも思えるもの。ひとつの曲としてもパロディとしてもかなり微妙な出来栄えで、これならばターゲットとされた『KINGDOM COME』に軍配を上げたいところです。
トラッド・テイストのT-10はフィル・ライノット追悼曲で、ここではTHIN LIZZYのブライアン・ダウニーが参加しています。
意外なゲストは、SISTERS OF MERCYのアンドリュー・エルドリッチ。ドラムマシーンの使用ぐらいしつながりは見られませんが、T-01, T-02, T-08の3曲でバッキング・ヴォーカルをとっています。
|叙 情 度:★★★☆☆
|トラッド度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|プログレ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
入門盤