Contents
- 1スラッシュメタルからグルーヴメタル路線へと転身を遂げたポストスラッシュ系バンドを中心とした第2世代!メタルシーンを主戦場にしたグルーヴメタル戦国時代に突入!
- 1.1スラッシュバンドリサイクルの場になったグルーヴメタルシーン!
- 1.2 簡単ではない…むしろ難しい!?ハイレベルなセンスが必要なグルーヴメタル!
- 1.3ポストスラッシュの呼称とグルーヴメタルのルーツ問題!!
- 2グルーヴメタル第2世代の代表的グループ|Groove Metal 2nd Generation
- 2.1ポストスラッシュ系
- 2.1.1SEPULTURA|セパルトゥラ
- 2.1.2MACHINE HEAD|マシーン・ヘッド
- 2.1.3EXHORDER|エグゾーダー
- 2.1.4SOULS AT ZERO|ソウルズ・アット・ゼロ
- 2.1.5PISSING RAZORS|ピッシング・レイザーズ
- 2.1.6ACCU§ER|アキューザー
- 2.1.7FACE DOWN|フェイスダウン
- 2.1.8CHANNEL ZERO|チャンネル・ゼロ
- 2.1ハードコア系
- 2.1.1HATE SQUAD|ヘイト・スクワッド
- 2.1.2MERAUDER|ミローダー
- 2.1.3THROWDOWN|スロウダウン
- 2.1.4CANDIRIA|キャンディリア
- 2.1.5MARY BEATS JANE|メアリー・ビーツ・ジェーン
- 2.2インダストリアル系
- 2.2.1PITCH SHIFTER|ピッチ・シフター
- 2.2.2VARGA|ヴァーガ
- 2.2.3MISERY LOVES CO.|ミザリィ・ラヴズ・カンパニー
- 2.2.4CLAWFINGER|クロウフィンガー
ハードコア系
HATE SQUAD|ヘイト・スクワッド
HATE SQUADはドイツシーンではやや異色な、米国的なストリート感覚と志向性を打ち出したヴルーヴメタルで、日本ではあまり話題になりませんが今だにコンスタントな活躍を続ける息の長いグループです。意外なことに、パワーメタルバンドSargant Furyの元メンバー(Ba.)が加入したことでも知られています。
ベーシックな部分はスラッシュメタル/デスメタルを基調としていることもあり、ポストスラッシュ的な要素が強いスタイルですが、ジャーマンバンドらしく欧州的なクールさもも持ち合わせたUSバンドとは一味違うセンスに光るものがあり、時折飛び出す印象的なフレーズやメロディが耳を引きます。
ハードコアへの志向性も強いグループで、のちにメタルコア寄りの作風にシフトしていきますが、DIE KRUPPS(ディ・クルップス)やアレック・エンパイアらドイツの大物が参加したリミックスアルバムもリリースするなど、ジャーマンバンドらしくインダストリアルなアプローチも試みていました。
MERAUDER|ミローダー
MERAUDERはニューヨークハードコアシーンから登場した、NYストロングスタイルのグルーヴメタル/グルーヴコア系グループで、基本的にはシーンのパイオニアBIOHAZARDらの影響下にある存在ですが、よりメタリックな作風はN.S.H.C.(ニュースクール・ハードコア)/メタルコアに近い質感を漂わせています。
のちのメタルコアのようなメロデス要素こそ感じさせないものの、叙情的なメロディやギターソロも大きくフィーチャーしており、同系統のグループの中でも特にヘヴィメタル様式の強いスタイルが持ち味。
作品を重ねるごとにより一層その傾向を強め、整合感のあるヘヴィメタルエッセンス濃厚なサウンドを追求してゆきます。
THROWDOWN|スロウダウン
THROWDOWNはN.S.H.C.(ニュースクール・ハードコア)シーンに属していたグループですが、それら中でもメタルエッジな質感と整合感の強いサウンドが特徴で、N.S.H.C.の流れをくむメタルコアのパイオニア的存在のひとつとして数えられることもあります。
当初はクラスト的なリフやスラッシーな疾走感も織り込んだ、ニューヨーク勢ともひと味違うメタリック&ストロングなサウンドを持ち味にしていましたが、3作目あたりからヴォーカスがPANTERAのフィルを意識した様な発声を聴かせる様になり、サウンドもグルーヴメタルにやや接近します。
2007年の5作目Venom & TearsではPANTERA追悼の意味からか後釜を狙うつもりだったのか、ヴォーカルスタイルのみならずリフワークやギターサウンドまでPANTERAをインスパイアした作風を見せて物議をかもします。
それ以降はヴォーカルスタイル以外には露骨なPANTERAインスパイアは見せないものの、グルーヴメタル色の強いサウンドを追求してゆき、その時代としてはかなりレアな存在として珍重されます。
CANDIRIA|キャンディリア
CANDIRIAは、ニューヨークのハードコアシーンから登場した、黒人ヴォーカリストを擁するプログレ色の強い個性派グループ。
基本的には、BIOHAZARDらのストロングスタイルなグルーグコアと後のメタルコアにの間に位置するようなヘヴィサウンドに、ダーティなシャウトからパーカッシヴなラッピングスタイルもこなし、ソウルフルな印象も感じられるヴォーカルがのるというスタイル。
通常時の比較的シンプルな曲調から突如ジャジーなサウンドに急展開して、時折長時間のインストパートも挟まれるなど、当時としてはかなり斬新な作風が持ち味でした。
派手さのない通好みな作風から大きくブレイクすることはありませんでしたが、後に90’sデッドストックグループとして発掘され、再評価リバイバル商法の一環でスポットライトが当てられます。
MARY BEATS JANE|メアリー・ビーツ・ジェーン
MARY BEATS JANEはスウェーデンのグループで、デスラッシュ/ネオスラッシュの旗手としてスラッシュリバイバルにも貢献した、THE HAUNTED(ザ・ホーンテッド)の初代ヴォーカリストペーター・ドルヴィングが在籍したことで知られています。
アルバム2枚のみの短い活動でしたが、グルーヴメタル第2世代の中では本場アメリカを含めても他に類を見ない独自の存在感を放つユニークなグループでした。
ヘヴィなグルーヴメタルのみならず、THE ALMIGHTY(ジ・オールマイティ)ばりのヘヴィ・ロックンロール、TOOLにも通じるダークでサイケデリックなオルタナヘヴィロックといった、多様なエッセンスを併せ持つ多面的なバンドですが、どこて切っても高クオリティな上に、強固な独自性と地力の強さが根底にあることで、フォロアーに終わらないステージに達しています
また、ペーターの強烈な存在感を放つパワフルかつ変幻自在なヴォーカルは、世界的にも稀有なレベルにあり、このバンドにも唯一無二の個性を与えています。
Mary Beats Jane – Mary Beats Jane
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インダストリアル系
PITCH SHIFTER|ピッチ・シフター
PITCH SHIFTERは、英国エクストリームメタルの名門イヤーエイクに所属していた、インダストリアルメタルバンド。
レーベルの先輩格でもあるGODFLESHの影響下にあったグループで、デビュー当時はそれをダイレクトに反映した、スローでドゥーミー&スラッジーなヘヴィダウナーサウンドを押し出していましたが、続く2ndアルバムでは全体的に大きくテンポアップしてグルーヴメタルに大接近して、独自性を増したグルーヴィーな先鋭的ヘヴィサウンドを作り上げます。
その後は、EDMを導入したダンサブルな方向に舵を切ってブレイクすることになりますが、初期のインダストリアルメタルとしては珍しくフルバンド体制だったことも手伝って、この2ndの時点では個性派グルーヴメタルと読んでも差し支えない作風で、他に類を見ない完成度抜群のサウンドを確立していました。
VARGA|ヴァーガ
カナダ出身のVARGAは、インダストリアルテイストを持ち合わせたグルーヴメタルグループ。
サウンドのコンセプト自体はPRONGあたりに近いもので、さらにラッピング風ヴォーカルなど現代的なアプローチも取り入れていますが、ベーシックな音楽性はもっとオーソドックスな80年代的ヘヴィメタル/ハードロックにあります。
それには、アルバムデビュー以前はテクニカルなスラッシュメタルとして活動していたというバックグラウンドを反映したものでもあり、また、カナダ的な微妙な垢抜けなさとツイストが効いてズレたセンスも持ち味に還元され色を添えています。
アルバム2作のみで活動を終えますが、2013年に突如テクニカルなスラッシュメタルバンドに回帰して復活を遂げています。
MISERY LOVES CO.|ミザリィ・ラヴズ・カンパニー
MISERY LOVES CO.は、90年代中期の北欧のUSヘヴィネスインスパイア系の中で登場したスウェーデンのインダストリアルメタルグループ。英国のエクストリームミュージックの殿堂、“イヤーエイクレコーズ”にも所属していました。
現在ほど北欧系が注目される時代ではありませんでしたが、デビュー作の時点ではまさにインダストリアルメタルmeetsグルーヴメタルのイイトコ取りな作風ながら、米国のトップ勢にも引けを取らない完成度抜群のハイブリッドサウンドがそれなりに注目を集めてた存在です。
もとよりダークな作風でしたが、2nd以降のよりゴシック的な内省性と耽美性を求めた作風への変化もあって、やや地味さが勝ってしまい、1stほどのインパクトは残せなくなったことで失速してゆきます。
CLAWFINGER|クロウフィンガー
CLAWFINGERは、スウェーデンのインダストリアル・ラップメタルグループ。90年代のUSトレンド系スウェディッシュバンドの中ではも、もっとも先鋭的なグループとして高い知名度を獲得しており、RAGE AGAINST MACHINEとも比較されるほどでした。
初期は、時にアッパーなダンスチューンを交えつつも、バンドサウンドと全く遜色にないグルーヴに満ちた打ち込みヘヴィインダストリアルメタルに、ダーティなラッピングヴォーカルが乗るスタイルを持ち味としていました。のちに、EDM系のビートを取り入れたアップテンポナンバーを主体として、よりインダストリアルテイストを増したアッパーなスタイルに移行します。