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【Wikiに無い!】グルーヴメタル/ヘヴィグルーヴ:基礎知識 編…知っておきたいグルーヴメタルのいろいろ【ビギナー必見・必聴|ヘヴィメタルジャンル徹底解説】

ヘヴィメタルライヴ中にメロイックサインを掲げるオーディエンスのイメージ ジャンル解説
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1990年代のヘヴィミュージックシーンにグルーヴ&ヘヴィネス革命を起こし、現在もアンダーグラウンドからメインストリームで限りない影響力を持つ歴史的ロック/メタルムーヴメント!

グルーヴメタルは1990年代前後にアメリカで生まれた進化型ヘヴィメタルのひとつで、その名称の通りエクストリームなヘヴィグルーヴを追求したヘヴィメタル/ヘヴィロックを指します。
もっとも、このグルーヴメタルというジャンル名は、比較的後になって便宜的に使われるようになったもので、当時はモダンヘヴィネス系,ヘヴィグルーヴ系,モダンヘヴィメタルなどと、もっと漠然とした呼び方をされていました。

当時そういったザックリした呼び方だったのは、当時のグルーヴメタル第1世代に当たるグループが、ヘヴィメタル,ハードコア,オルタナティヴロックなどの各シーンから同時発生的に登場した、音楽性もバックグラウンドが多様なヘヴィネスとグルーヴに重点を置いたヘヴィロック全般の集合体を指すものだったことも影響しています。

ヘヴィメタルシーンでもパイオニアたるPANTERAらの登場によって、「PANTERAインパクト」とさえ言えるような現象が巻き起こり、それまでの最先端ヘヴィメタルだったスラッシュメタルやパワーメタルの疾走感やスピードに重点を置いていたスタイルから一転して、ヘヴィネスとグルーヴを最大の持ち味とした楽曲を主体とした作風が特徴的なスタイルが一世を風靡し、その後のメタルシーンを席巻します。

さらに後になって、スラッシュメタルの文脈に取り込んで“ポストスラッシュ”と呼ぶ動きも現れますが、ここれについては別項で詳しく解説します。

グルーヴメタルの音楽的な特徴

● ヘヴィネス重視
グルーヴメタルの大きな特徴は、ヘヴィネスを強調した音作りと作風です。ニューメタルほどの極端なディフォルメは見られませんが、80年代が軽い音作りが主流だっただけに、それらとの対比でよりヘヴィさが際立っていました。
これには、グランジに代表されるオルタナティヴロックシーンの、ヘヴィネスへの傾倒も関わっています。
● ミッドテンポ主体
一時期はミッドテンポが好まれる米国でも、スラッシュメタルムーヴメントの影響もあって、スピードと疾走感を重視した作風が広まりましたが、80年代中期にはスラッシュメタルシーンでもミッドテンポ/スローテンポの作風が試みられるようになります。
グルーヴメタルはその流れも汲んでおり、疾走曲も取り入れながらも基本はミッドテンポ〜スローテンポでの魅力が優先されます。
● グルーヴ必須
単に音がヘヴィなだけ、曲調がミドル〜スローなだけではグルーグメタルは成立せず、そこからグルーヴが生まれていることが必須条件です。
形だけ真似た後発グループの多くはこのグルーヴが大きく欠けていましたし、一部のスラッジ系のようにスロー&ダウナーに傾きすぎてもグルーヴ効果は薄れてしまいます。
● 純粋なメタルとは限らない
特に初期のヘヴィグルーヴ/グルーヴメタルムーヴメントにおいては、NWOBHMからスラッシュ/パワーメタルの流れをくんだ、純粋なヘヴィメタルルーツのバンドは中心ではありませんでした。むしろそれ以外のオルタナティヴなバンドが、大多数を占めていたと言っていいでしょう。

グルーヴメタルはアメリカンハードロック進化系?

上に書いた特徴でもわかるように、グルーヴメタルサウンドは基本的には伝統的なアメリカンのルーツロックミュージックや、USハードロック/ヘヴィロックのなどに特徴的な、米国シーンで人気の高いスタイルに基づいたものです。

グルーヴメタルのパイオニアと呼べるグループの大半は、よく言われるようなスラッシュの進化系サウンドではありません。中には突然変異的なものもありますが、その多くは本来グランジなどと同様に、アメリカ伝統の大陸的で豪放なハードロック/ヘヴィロックを、エクストリーム/オルタナティヴ世代のハードコアなセンスで解体再構築したものと考えるべきでしょう。

そもそもグルーヴメタルのグルーヴって何?

グルーヴとは主にジャズ,ファンク,ソウル,R&Bあるいはブルースなどの、ブラックミュージック界隈で使われるイメージ的なワードです。

あえて言うなら、リズムの間と重低音によるフィジカルにも響いてくるノリの事で、スピードメタルやスラッシュメタルなどの疾走型サウンそのいわゆる“縦ノリ”に対して、そのボトムの効いたリズムのうねりから“横ノリ”とも表現されます。

ヘヴィメタルにとってのグルーヴとは?

ブルーズやファンクがベースにある70年前後のハード/ヘヴィロックでは、グルーヴはごく普通に持ち合わせたものでしたが、ヘヴィメタルの特色がそのルーツミュージック/ブラックミュージック色をそぎ落としたサウンドだったことから、メタルシーンではあまり重視されなくなります。

グルーヴメタルの登場以前のグルーヴを感じさせるヘヴィメタルの多くは、ファンクメタルやラップメタルに代表される、あらためてブラックミュージックのエッセンスを取り入れたサウンドでした。

グルーヴメタルの試みは、これらのモダンなブラックミュージックとの“ミクスチャー”メソッドに頼らずに、ヘヴィメタルならではの独自のグルーヴを表現するものと考えることもできます。

ヘヴィグルーヴサウンド登場の背景と全盛期

80年代の終盤を迎えると、英国発のヘヴィメタルをルーツに持ちながらも米国シーンにチューニングされ、グラムロック的なビジュアルとメインストリーム向けのポップサウンドで覇権を握った、80’sメタルバブルの権化ともいえるグラムメタル/ヘアメタルが収束してオワコン化が進んでゆきます。

一方で、そのカウンター的存在のはずだったはずの初期スラッシュメタルもピークを過ぎ、勢いを失って路線変更を余儀なくされますが、一部のグループはより普遍的なサウンドに移行したことが功を奏して成功を収め、ヒットチャート入りするまでになっていました。

そんな状況の中、よりエクストリームな新世代ヘヴィミュージックとして脚光を浴びはじめたのが、デスメタルでありこのグルーヴメタルというわけです。

グルーヴメタルはこのように、80年代末期にから登場して90年代初期にピークを迎えます。その後、90年代中盤にその発展系ともいえるニューメタル勢が登場、そのブレイクによって取って代わられたり、音楽的にニューメタルに接近してそのシーン活動の場を移して行ったことで、ムーヴメントとしては90年代の中期あたりから収束してゆきます。

グルーヴメタルの第1世代の登場

グルーヴメタルのパイオニアといえるグループが登場するのは1990年を境目とする80年代末期から90年代初頭。この時代にヘヴィメタル,ハードコア,オルタナティヴロックそれぞれのシーンで、ヘヴィネスとグルーヴに重点を置いた作風が注目を集めるようになります。

グルーヴメタルのパイオニア勢は必ずしもヘヴィメタルシーンから登場したものではなく、純粋なヘヴィメタルルーツのバンドはむしろ少数派で、ハードコア,オルタナティヴシーンの方が層も厚くシーンも大きなものでした。

しかし、それらは相互に影響を与えてより音楽性を高めてゆき、ヘヴィミュージックのメインストリームでも通用するポップネスとメジャー感、クオリティと個性を持ち合わせたグループが登場します。
PANTERA(パンテラ)、HELMET(ヘルメット)、BIOHAZARD(バイオハザード)らがその代表的な存在ですが、これらは同時代のグループや後続のグループに大きな影響を与えシーンを牽引してゆくことになります。

ヘヴィグルーヴサウンドのブレイクと保守リスナーの反発

グルーヴメタルの第1世代は、先進的で柔軟なリスナーを中心とした多くのリスナーからの支持を得たことで、ヘヴィグルーヴ系サウンドは瞬く間にメタルシーンを席巻してメインストリームへと登りつめます。さらには、全世界規模の歴史的メタルムーヴメントとしてこの時代の一大潮流となり、全ヘヴィミュージックシーン大きな影響を及ぼして革新を推し進めることになります。

結果的に、これらがシーンを塗り替えていったことで、既存ぼメタルバンドもその流れに追従して猫も杓子もグルーグメタルという時代を迎えます。そのため、保守的な様式美至上主義の伝統派メタル保守や、グルーヴメタルの登場で存在感を失った、前トレンドのスラッシュメタルやグラムメタルのファンからは、よりいっそう目の敵にされることになります。

ヘヴィグルーヴミュージックのどこまでがメタルなのか?

ヘヴィグルーヴ系サウンドの肯定派であっても、それらの全てを受け入れていたわけではありません。

グルーグメタルの第1世代にあたる90年前後のグループは、メタルシーンの外から登場したものが大半で従来のヘヴィメタル様式の枠に収まりきらないサウンドが多いことから、聴き手にも意識改革が求められる面がありましたし、それだけに保守的メタルリスナーの反発も大きいものでした。

それらの、ヘヴィグルーヴ系サウンドの全てを新世代ヘヴィメタルとして語るべきか否かについても、語り手によって大きく見解が分かれ、「○○○をメタルと呼ぶのは如何なものか?」、「いや、○○○こそメタルの最新形だ!」と、いろいろな立場でジャンルの枠決めがなされていました。

グルーヴメタルの第2世代とポストスラッシュの登場

グルーヴメメタルは90年代前半ののメタルシーンを席巻し、その影響が世界中に広がってゆきますが、特に影響をダイレクトに受けたのがムーヴメントの終焉を迎えていたスラッシュメタルシーン。
多くのグループはアイデアとセンスを欠いて安易にそのスタイルを真似て自滅してゆきますが、中には水準以上の結果を残すケースもありました。

特にスラッシュムーヴメント終盤に参入してきた若手のSEPULTURA(セパルトゥラ)やVIO-LENCE(ヴァイオレンス)のロブ・フリン(Robb Flynn)によるMACHINE HEAD(マシーン・ヘッド)らは、スラッシュメタルとグルーヴメタルをに巧みに融合した独自のヘヴィグルーヴサウンドを作り出し、PANTERAに次ぐグルーヴメタルの代表的グループとしてシーンを牽引し、その次に来るニューメタルムーヴメントでも活躍を続けます、

また、その影響は米国に以外のシーンにも及び、メタル大国スウェーデンを中心としたヨーロッパエリアや、SEPULTURAのお膝元ブラジルとその周辺の中南米エリア、さらに日本でもグルーヴメタルに準じた音楽性を持つグループが続々と登場しました。

意地を見せたベテランバンド!

グルーヴメタルによって巻き起こったヘヴィグルーヴ・シンドロームは、スラッシュメタルなどの直近ジャンルのグループのみならず、それ以前から活動しているヘヴィメタル黎明期のバンド達やパワーメタルシーンなどの、オールドスクール勢も無縁ではいられませんでした。

しかし、これらオールドスクールな中堅/ベテランバンドは、あるものは積極的にあるものは必要に迫られてやむなくヘヴィ化を試みては、多くのスラッシュメタルグループ同様無残に爆死していきました。

そんな中でJUDAS PREAST(ジューダス・プリースト)のヴォーカリストメタルゴッドことロブ・ハルフォードのFIGHT(ファイト)と、ドゥームレジェンドBLACS SABBATH(ブラック・サバス)のベーシストギーザ・バトラーのG/Z/R(ギーザー)。この2バンドだけは新世代バンドにも劣らない革新的なセンスで奇跡的な名盤をリリースして気を吐いていました。

よりによって、新世代に劣らぬ一線級の作品を生み出せたのが、年寄りの冷や水扱いされかねないほどの超ベテラン2人だったというのはなかなか興味深い事実です。

次ページではヘヴィグルーヴ/グルーヴメタルの代表的なスタイルと、グルーヴメタルを取り巻く問題について紹介!▼リンクはページ下!▼  

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