Contents
- 1デスメタル黎明期からの古参バンドでありながら、プログレッシヴでテクニカルなデスメタルの原型を創り上げてたフロリダン・テックデスのパイオニア!
- 1...1プログレ/テック・デスをリードした古参バンド!?
- 1...2ATHEISTがいた90'sテック・デス・シーン!!
- 1...3ブレイクを逃した早すぎたバンド!?
- 1...4新世代プログレブーム到来で奇跡の再結成!!
- 1.1ATHEIST|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Piece of Time|ピース・オブ・タイム:時の断片(かけら)
- 1.1.2Unquestionable Presence|アンクエスチョナブル・プレゼンス:比類なき存在
- 1.1.3Elements|エレメンツ:万物の要素
- 1.1.4Unquestionable Presence: Live at Wacken|アンクエスチョナブル・プレゼンス:ライヴ・アット・ヴァッケン
- 1.1.5Jupiter|ジュピター
- 1.1.6Best Of|ベスト・オブ
- 1.1.6.1◎ ATHEISTはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
ATHEIST|DISCOGRAPHY
Piece of Time|ピース・オブ・タイム:時の断片(かけら)
オリジナルアルバム – 1作目 (1990年)
スラッシュメタルの奇形的進化系として、エクストリームな過激さと異形性を競っていたデスメタルが、もはや露悪趣味と初期衝動の音楽としての切り口だけでは語れなくなった時代を象徴する1枚。
この時点ではまだ、これ以降の明確にデスメタルを超越したサウンドとは異なっており、時にスラッシーなエッセンスも見られるものの、音楽的にはあくまでもオールドスクールなテクニカル・デスメタル・サウンドの枠の中にとどまっています。
しかし、その中にも様々なアイデアが凝らされており、ジャズなどの素養があることも感じられます。いずれにせよ、当時のテックデスバンドとしては、米国でも最高峰のステージに位置するだけのクオリティへと到達しています。
|プログレ度:★★☆☆☆
|テクニカ度:★★★★☆
|叙情メロ度:★☆☆☆☆
|ジャジー度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Unquestionable Presence|アンクエスチョナブル・プレゼンス:比類なき存在
オリジナルアルバム – 2作目 (1991年)
プログレ様式美だけを導入したデスメタルや、ヴォーカルがデスヴォイスなだけのプログレメタルとは異なり、フリージャスなどを取り入れつつも、異形の音楽デスメタルのギリギリその枠の中で、変則的なテクニカルサウンド追求することで生まれたさらなる異形のサウンド。
ここで聴けるオールドスクールなテクニカル・デスメタルは、同様のスタイルを志したグループの中でも最高峰に位置クオリティに達しています。
本作を含むこれらのテックデスサウンドは、この当時はそれほどの人気や知名度を得ることはできせんでしたが、ポストメタル/ポストハードコア/マスコアなど、その後のエクストリームな新世代プログレッシヴロック/メタルの原型として、最重要ジャンルのひとつに数えられるようになります。
|プログレ度:★★★☆☆
|テクニカ度:★★★★★
|叙情メロ度:★☆☆☆☆
|ジャジー度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Elements|エレメンツ:万物の要素
オリジナルアルバム – 3作目 (1993年)
前作と比較しても、エクスペリメンタルな変態度が大幅に増強されており、フリーキィな路線ではATHEISTのひとつの頂点といえるアルバム。
フリージャズ/フュージョン/ラテン/プログレなど様々なマテリアルがミクスチャーされた、オーストリアの〈DISHARMONIC ORCHESTRA〉などにも通じる“雑食万華鏡コラージュ・スタイル”で、もはやデスメタルの枠には収まりきれない特異な世界が展開されています。
逆に、デスメタルの枠を取り除いて見れば、この手のものとしては比較的オーソドックスなアプローチとも言えますが、当時のエクストリームメタル界隈ではまだ十分に先鋭的で実験的と呼べる作品でした。
いずれにせよ、心地よい変態サウンドが展開されており、同様のスタイルの中では最上位に位置するアルバムで、これもまた傑作と呼ばれる1枚であることは間違いありません。
|プログレ度:★★★★★
|テクニカ度:★★★★★
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|ジャジー度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Unquestionable Presence: Live at Wacken|アンクエスチョナブル・プレゼンス:ライヴ・アット・ヴァッケン
ライヴアルバム (2009年)
Jupiter|ジュピター
オリジナルアルバム – 4作目 (2010年)
リユニオン時のライヴアルバムを挟んでの、再結成後では初となるスタジオ・フルアルバム。
変則的なリズムや複雑な曲展開をメインに据えたエクストリームメタル、……という意味ではこれまでと変わりはありません。
オーソドックスなテック・デスから逸脱した、フリーキィなサウンドは前作を引き継いだものですが、雑多なサウンド・コラージュ的な展開は姿を消し、複雑なリズムと目まぐるしい曲展開だけで聴かせるスタイルへと変化を遂げており、ある意味ではシンプルになったとも言えます。
結果的に、曲の感触はテック・デスというよりも、いわゆる“カオティックなマス・コア”に接近したようにも感じられるものとなっており、これについては、特にオールドファンからは評価が分かれるところかもしれません。
しかし、この“マス・コア風”の曲調もすでに前作の時点でときおり見られるのもで、時代性を考えればむしろ彼らがマス・コアに影響を与えてリードしたというべきでしょう。
ということで、作風についてはに避難は好き嫌いのレベルでしかありませんし、クオリティについても、彼らなら当然とはいえ、水準を超えるレベルには仕上げてきています。
とは言っても、あえてここで新作を出すのであれば、さらに大きく踏み込んだ逸脱を見せて、予想だにしない展開で変態の矜持を見せてほしかったとことです。
|プログレ度:★★★★☆
|テクニカ度:★★★★★
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|ジャジー度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
入門盤 賛否両論 通好み
Best Of|ベスト・オブ
ベストアルバム (2017年)
◎ ATHEISTはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
作品数が少なくいずれもトップクオリティなので、すべて筆調盤!…と言いたいところなのですが、それぞれ作風が微妙に異なるので、好みに合ったものを入口にすると良いでしょう。
オーソドクスないにしえ系テック・デスが好みなら手始めに『Piece of Time(1st)』を手に取るといいでしょう。
もっとフリーキーな変態路線をお望みなら、『Elements(3rd)』から入るのががオススメです。
その2作の間に位置するといった塩梅の『Unquestionable Presence(2nd)』は、バランスの良さという意味では最も万人受けしやすい作風かもしれません。
ポストハードコア、ポストメタル、マスコアなどの比較的モダンなサウンドが好みなら、黄金期を過ぎた再結成後の作品ですが『Jupiter(4th)』から入るのもいいでしょう。