Contents
- 1メタル&ハードロック・シーンのみならず、オルタナシーンやクラブ、ブラックミュージックまで幅広い信奉者を持つ、ハードロック史上最も裾野の広いブリティッシュ・レジェンド!!
- 1...170年代英国ロックシーンの筆頭格!?
- 1...2大きく引き出しと広い懐が最大の武器!?
- 1...3時代を経ても現れるフォロアーたち!?
- 1...4あらゆるジャンルに影響を及ぼす多面的音楽性!!
- 1...5ボーナム無くして、完全復活は無い!?
- 1.1LED ZEPPELIN|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Led Zeppelin|レッド・ツェッペリン I
- 1.1.2Led Zeppelin II|レッド・ツェッペリン II
- 1.1.3Led Zeppelin III|レッド・ツェッペリン III
- 1.1.4Led Zeppelin IV|レッド・ツェッペリン IV
- 1.1.5Houses of the Holy|ハウス・オブ・ザ・ホーリィ:聖なる館
- 1.1.6Physical Graffiti|フィジカル・グラフィティ
- 1.1.7Presence|プレゼンス
- 1.1.8The Song Remains the Same|ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム:永遠の詩 (狂熱のライヴ)
- 1.1.9In Through the Out Door|イン・スルー・ジ・アウト・ドア
- 1.1.10Coda|最終楽章 (コーダ)
LED ZEPPELIN|DISCOGRAPHY
Led Zeppelin|レッド・ツェッペリン I
オリジナルアルバム – 1作目 (1969年)
LED ZEPPELINの前身にあたる、NEW YARDBIRDS(ニュー・ヤードバーズ)のレパートリーを中心とした、記念すべきデビュー作。
まだ過渡期にある作品で、収録曲の半数は既存のブルーズやトラッド/フォークのカバーや、それらをアレンジ/再構成した準カバー曲が占めています。
さらにクレジット無しの盗用に近い曲やフレーズが多いという批判もあり、それらを理由に否定的な評価を受けることもありましたが、現在では一般的には名盤として通っています。
とはいえ、そもそもカバー曲の多いこと自体は、当時のロックアルバムでは特に珍しいものではありません。
実際のところ本作では、代表曲とされているオリジナルのアップテンポなロックンロール・ナンバーT-07よりも、むしろ、ヘヴィなサイケデリック・アレンジを施したカバー曲の方が聴きどころと言っていいでしょう。
アイデア盗用についてはフォローのしようがありませんが、ポジティブに見るなら、HIPHOPやEDMの登場以降には一般化して、現在のロックシーンではもはや主流メソッドとなっている、サンプリング/ミクスチャー手法の先取りと解釈することも……もしかしたらできなくもないかもしれません。
|ルーツ度:★★★☆☆
|ファンク度:★★☆☆☆
|エスノ/トラッド度:★☆☆☆☆
|サイケ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論 通好み スルメ盤
Led Zeppelin II|レッド・ツェッペリン II
オリジナルアルバム – 2作目 (1969年)
LED ZEPPELINが本格的にブレイクを果たし、英米でチャートの頂点に登りつめたアルバム。オーソドックスなブルーズ・ロック・テイストの強いスタイルながら、同様のスタイルの中でも特に傑出した、持ち味のヘヴィネスとグルーヴが光っています。
もちろん名曲も多く、LED ZEPPELINを代表するキラーチューンのT-01やT-05はもとより、ドラムソロ主体のインストナンバーながらライヴに欠かせないT-08のような重要曲も収録。
それ以外も、やや地味ではあるものの取るに足らないほどの捨て曲は無いため、これといった目立った穴の見られないスキの少ない仕上がりとなっています。
この後に続く2作品があまりにも完璧すぎる上に革新的なために、相対的に印象が薄くなっていますが、歴史的な意義ばかりは揺ぎようがありません。
|ルーツ度:★★★☆☆
|ファンク度:★★☆☆☆
|エスノ/トラッド度:★★☆☆☆
|サイケ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Led Zeppelin III|レッド・ツェッペリン III
オリジナルアルバム – 3作目 (1970年)
フォーク/トラッド/エスニックといった、LED ZEPPELINが時折見せていた一面を深掘りした作風で、アコースティック色が強まったこともあって、リアルタイムでは賛否両論だったとされています。
しかし、ここでのアプローチが代表作である4作目にもフィードバックされたほどの重要作であり、また、アコースティックな新機軸のみならずこれまで通りのヘヴィロックチューンも交えた多彩な作風で、その全てが名曲というまさに捨て曲ナシの傑作アルバム。
作風こそ違えど、一般的に名盤と見なされ名高い次作と比較しても、甲乙つけがたいほどの充実ぶりを誇る1枚です。
中でも、バイキングをテーマにした元祖エピックメタル・チューンともいわれる、雄々しいおたけびから始まる勇壮なT-01は、バンドの代名詞たる1曲であり、映画などでもたびたびフィーチャーされていまます。
この曲は、日本を主戦場としていたプロレスラー『ブルーザー・ブロディ』のテーマ曲に用いられたこともあって、日本では最も知られているZEPPELINナンバーかもしれません。
|ルーツ度:★★★★☆
|ファンク度:★☆☆☆☆
|エスノ/トラッド度:★★★★★
|叙情度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み 実験作
Led Zeppelin IV|レッド・ツェッペリン IV
オリジナルアルバム – 4作目 (1971年)
便宜上“Led Zeppelin IV”と呼ばれていますが、実際はタイトルの無い『無題』のアルバムで、裏面に収録曲と併せて表記された4人のメンバーの4つのトレードマークから、“フォー・シンボルズ”などと呼ばれることもあります。
LED ZEPPELINのキャリアの頂点に位置しており、内容もまさに、これまでの総決算といったところ。
グルーヴィーなヘヴィロックやアッパーなハードロックから、ドラマティックなバラッド、フォーク/トラッドテイストのナンバーまで、バンドの代名詞ともいえる定番のキラーチューン満載で一切の捨て曲なしの、驚異的な1枚です。
セールス面でも全キャリア中で最高記録を叩き出しており、名実ともにLED ZEPPELIN代表作と呼ばれるにふさわしいアルバムで、それはすなわち、当時のブリティッシュ・ロックのシーンでも最上位に位置すると同時に、ロック史に燦然と輝く名盤ということでもあります。
|ルーツ度:★★★☆☆
|ファンク度:★★☆☆☆
|エスノ/トラッド度:★★★☆☆
|叙情度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Houses of the Holy|ハウス・オブ・ザ・ホーリィ:聖なる館
オリジナルアルバム – 5作目 (1973年)
妙にサワヤカなほどソフィスティケイトされた、フュージョン・プログレ風ポップサウンドの異色曲からスタートする本作では、中盤からはファンキー&グルーヴィーなミクスチャーセンスが発揮され、ファンクロックやレゲエロックのプロトタイプや、トリッピー&ドリーミーなサイケチューンなど、90年代オルタナシーンの原点にもなったサウンドが展開されています。
そのため、のちに 興るブラック・ミュージックやクラブ・ミュージック、オルタナティヴ・ロック界隈での、LED ZEPPELIN再評価においては、次作と共にピックアップされること目立ったアルバムです。
本作からは、わかりやすいハードロック/メタル的展開があまり見られなくなり、メタラー人気もいまいちになっていきますが、高品質で名曲/重要曲も多いので守備範囲の広いリスナーなら必聴と言えます。
ヒプノシスによる幻想的なアートワークは、グラミーのパッケージ部門にもノミネートされた傑作ですが、表現のレーティング/コードの厳しいエリアでは、差し替えやオーバースリーヴ処理が施されています。
|ルーツ度:★★☆☆☆
|ファンク度:★★★★☆
|エスノ/トラッド度:★☆☆☆☆
|叙情度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
Physical Graffiti|フィジカル・グラフィティ
オリジナルアルバム – 6作目 (1975年)
アナログLPのボリュームはもとより、CDパッケージでさえも2枚組に及ぶ大作アルバム。
そのボリュームのわりにはやや抑揚が少なく、ハードロック的なわかりやすいダイナミズムやドラマ性を持ったトラックに乏しいことから、メタル界隈ではさほど評価が高くなくスルーされがちなアルバム。
その反面、前作に続いてソウル/ファンク、などブラックミュージックのエッセンスが強い作風で、ややミニマルで濃厚なグルーヴを感じさせることもあり、のちに前作と共にブラック・ミュージック/クラブ・ミュージック界隈での再評価が盛り上がった作品です。
メタラー向きの曲を欠くとはいえ、グルーヴ・ファンクのキラーチューンとしてステージでは必須のT-05や、エスニックでトランシーなニューエイジ・シンフォプログレのT-06といった重要曲もあり、ハードロック・ジャンルにこだわらないのならば、ぜひとも押さえておきたい1枚です。
|ルーツ度:★★☆☆☆
|ファンク度:★★★★☆
|エスノ/トラッド度:★★☆☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Presence|プレゼンス
オリジナルアルバム – 7作目 (1976年)
他の名盤と比較してしまうと、取り立てて存在感があるわけでも評価が高いというわけでもありませんが、ヘヴィメタルを語る上では避けて通ることのできないアルバム。
その理由は、“Led Zeppelin III”収録の”Immigrant Song”をブラッシュアップしたような、10分超の大作ナンバーT-01″Achilles Last Stand:アキレス最後の戦い”の存在につきます。
これは、神話/ファンタジーを題材としたコンセプトと、壮大でドラマティックな疾走感溢れるサウンドも相まって“元祖エピック・メタル”とも呼ばれており、DEEP PURPLEのスピードメタルとは異なるベクトルで、後のヘヴィメタル/パワーメタルの原点となった、プロト・ヘヴィメタルの重要曲。
LED ZEPPELINとしてはやや異色の1曲ですが、こういった作風の名曲を生み出していることも、彼らの懐の深さを示ていますし、様式美メタル原理主義者がLED ZEPPELINを切り捨てられない理由にもなっています。
それ以降は、ファンクロックからブルーズ・バラードまで、毎度おなじみの作風のナンバーが並んでおり、特に際立ったキラーチューンは見られないものの、後期作品の中ではダイナミクスと躍動感が強調されているため、メタラーでも飽きること無く聴き通すことができす仕上がりです。
また、本作については、ジミー・ペイジのフェイバリットという話も囁かれています。
|ルーツ度:★★☆☆☆
|ファンク度:★★☆☆☆
|エスノ/トラッド度:★★☆☆☆
|叙情度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論
The Song Remains the Same|ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム:永遠の詩 (狂熱のライヴ)
ライヴアルバム (1976年)
[Remastered]”]In Through the Out Door|イン・スルー・ジ・アウト・ドア
オリジナルアルバム – 8作目 (1979年)
LED ZEPPELINのカタログ中では、一般リスナー/評論家共に最も評価のかんばしくない、事実上のラストアルバム。
凡百のロックバンドであれば、余裕で十分に水準以上の出来栄えではあるのですが、LED ZEPPELINの作品と考えると確かにやや低調で地味な印象は拭えません。
また、当時は大きなトピックだったシンセサイザーを導入したサウンドも、確かに80年代に先駆けたものではあるのですが、今となってはそれほどのインパクトはありません。
とはいえ、T-06はメロウなポップバラードの名曲ですし、トロピカルなラウンジテイストのT-03や、USプログレハード的なT-05などの毛色の変わった異色曲もあり、全編に漂う妙に能天気な明るさの違和感も含めて、やや通好みでマニアックながらも捨てがたい魅力のある珍品です。
当時は全6種類ジャケットパターンがあり、パッケージを開けないと確認できないシークレット仕様だったので、中古市場でも微妙なジャケ違いが確認できますが、これも、ややインパクトに欠ける弱点をカバーするための話題作りかと勘ぐりたくもなります。
|ルーツ度:★★★☆☆
|ファンク度:★★★☆☆
|エスノ/トラッド度:★★☆☆☆
|叙情度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Coda|最終楽章 (コーダ)
オリジナルアルバム – 9作目 (1982年)
ラストアルバムと紹介されることもありますが、実際は、ボーナムに対する追悼盤としてリリースされたアルバムで、内容は過去の未発表音源を集めたコンピレーションとなっているため、カタログ中での位置付けはややイレギュラーなものとなります。
そういった経緯もあって、バンドの看板曲として往年の名曲と肩を並べるような、際立ったキラーチューンこそ見当たりませんが、中盤以降のLED ZEPPELINアルバムとしては、ヘヴィネスやアグレッションも強めでロック的ダイナミズムも持っているので、メタル/ハードロックリスナーでも比較的聴きやすい1枚と言えます。
特に、グランジをはじめとした90年代ヘヴィ/ハード・シーンへの影響力において、見逃すことのできないアルバムで、本作を聴くとSOUNDGARDENをはじめとした後年の多くのヘヴィロックバンドが、どれだけLED ZEPPELINサウンドをその血肉としているかが再確認できます。
|ルーツ度:★★☆☆☆
|ファンク度:★★★☆☆
|エスノ/トラッド度:★☆☆☆☆
|叙情度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 賛否両論 通好み スルメ盤