Contents
- 1ブレイクダウン/スラミングパートを織り交ぜたブルータル&テクニカル・サウンドで、初期ムーヴメントを支えた関脇級デスメタル・バンドは、メタルコア・クラスタが崇めるデスコアのルーツ神!?
- 1...1デスメタル・ムーヴメント初期を彩る名バンド!?
- 1...2異例の黒人ミュージシャン主導のデスメタル!?
- 1...3ブレイクダウンを用いたブルータル・デス!?
- 1...4注目/再評価の理由ブレイクダウンとは!?
- 1...5ムーヴメント収束〜解散〜再結成のお決まりコース!?
- 1.1SUFFOCATION|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Human Waste|ヒューマン・ウェスト
- 1.1.2Effigy of the Forgotten|エフォジィ・オブ・ザ・フォーゴットン
- 1.1.3Breeding the Spawn|ブリーディング・ザ・スポーン
- 1.1.4Pierced from Within|ピアスド・フロム・ウィズイン
- 1.1.5Souls to Deny|ソウルズ・オブ・デニィ
- 1.1.6The Close of a Chapter: Quebec City Live 2005|ザ・クロース・オブ・ア・チャプター:ケベック・シティ・ライヴ2005
- 1.1.7Suffocation|サフォケイション
- 1.1.8Blood Oath|ブラッド・オース
- 1.1.9Pinnacle of Bedlam|ピナクル・オブ・ベドラム
- 1.1.10...of the Dark Light|...オブ・ザ・ダーク・ライト
- 1.1SUFFOCATIONはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
SUFFOCATION|DISCOGRAPHY
Human Waste|ヒューマン・ウェスト
ミニアルバム:EP (1991年)
デビュー・フルアルバムにも、リレコーディングしたバージョンが収録される3曲を含むミニアルバム。
本作がリリースされた91年は、すでにデスメタルのスタンダードが完成されている時代だけあって、この時期にデビューしたデスメタルバンドの初期作品は、おおむね完成度の高いものがそろっていました。
SUFFOCATIONも例外ではなく、この時点において既に、並みの新人レベルを軽く上回るソツのない仕上がりを見せています。
プロデュースはハードコアな音やアングラ感のある音を得意としつつ、AMORPHISなども手がけたマシュー・ヤコブソン(Matthew Jacobson)。
ハードコア的なローファイ気味の音づくりについては好みが分かれますが、「この音質でこそ!」というリスナーも確実に存在しており、近年では再評価の傾向も強まっています。
|テクニカ度:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★★★
|スラミン度:★★☆☆☆
|大仰/様式度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
スルメ盤
Effigy of the Forgotten|エフォジィ・オブ・ザ・フォーゴットン
オリジナルアルバム – 1作目 (1991年)
数多の名作デスメタル・アルバムを手がけた重鎮、スコット・バーンズのプロデュースによるデビュー作。
いまだ明確な個性の確立にこそ至っていませんが、すでにオーソドックスなデスメタルとしては完成されており、クオリティの高いブルータル・サウンドを余すことなく楽しめます。
近年SUFFOCATIONを語る際に取りざたされがちなスラミング(ブレイクダウン)は、このデビューアルバムの時点ですでに見ることができます。
しかし、それはデスメタルでは当時から比較的よく見られたもので、特に珍しいわけではありません。
その役割も、あくまでも曲にメリハリと変化をつけるための、テクニカルな手法の一環であり、モッシュタイムというオーディエンス向けサービスとして様式化した、デスコア/メタルコア系のブレイクダウンとは、その導入の目的から楽曲への効果まで全く異なるものです。
デスメタル・ファンもメタルコア・ファンも、むやみに“元祖デスコア”などの後付けのコピーに振り回されず、オールドスクールなブルータル・デスメタルの名盤として聴くべきでしょう。
|テクニカ度:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★★★
|スラミン度:★★☆☆☆
|大仰/様式度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 スルメ盤
Breeding the Spawn|ブリーディング・ザ・スポーン
オリジナルアルバム – 2作目 (1993年)
デスメタル・ムーヴメントが爛熟期を迎え、まだまだキワモノ扱いが多いアンダーグラウンドのマニアックなジャンルでありながら、日本のメディアさえも無視できない存在となり、輸入盤店のブースも拡大の一途をたどっていた時期の作品です。
前作に引き続きストレートなブルータル・デスメタル・サウンドですが、楽曲にプラスアルファの工夫を凝らす段階に至っており、ここではイロドリ程度にとどまっているものの、いくぶんテクニカルなアプローチも目立つようになりました。
オールドスクールなアメリカン・ブルータル・デスメタルを嗜むならば、必聴盤に挙げられること必至の名盤のひとつで、バンドの代表作にも挙げられます。
資金難からセルフ・プロデュースに近く制作環境もかなり劣悪で、それによる音質の悪さが批判材料として取りざたされることもありますが、その点以外はすべて前作を上回っており、貧弱な音質を補って余りあるほどの完成度を持つ魅力にあふれたアルバムです。
|テクニカ度:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★★★
|スラミン度:★★☆☆☆
|大仰/様式度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Pierced from Within|ピアスド・フロム・ウィズイン
オリジナルアルバム – 3作目 (1995年)
近年、“元祖デスコア”や“元祖ブレイクダウン”と呼ばれることの多いSUFFOCATIONですが、同時に“テクニカルデスメタル”とラベリングされることも多く、本作はそうカテゴライズされる所以となった作品です。
手の込んだ目まぐるしい展開や複雑なリズムチェンジは、過去作でも見せていたとはいえ、それはデスメタルシーンであれば取り立てて特異とはいえないレベルのものでした。
しかし、ここにきてテクニカルで変則的な楽曲展開に磨きがかかって、特徴的なサウンドに結実しており、高品質なデスメタルでありながらも独自性がやや薄いという、これまでのSUFFOCATIONの弱点が大きく解消されました。
とはいえ、テクニカル系に多い度の過ぎた変態サウンドまでには至っておらず、比較オーソドックスなブルータルデスの枠内で変則的展開を織り交ぜており、絶妙なバランスが維持されています。
また、同時にスラッシュメタルに近いリフワークも目立つようになり、これも楽曲に絶妙な緩急をつけることに役立っています。
前作に続いてバンド黄金期の名盤と呼べるアルバムのひとつで、特にSUFFOCATIONならではのテイストを味わえるという点では、ディスコグラフィー中でも群を抜いた仕上がりと言えるでしょう。
|テクニカ度:★★★★☆
|ブルタル度:★★★★☆
|スラミン度:★★☆☆☆
|大仰/様式度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Souls to Deny|ソウルズ・オブ・デニィ
オリジナルアルバム – 4作目 (2004年)
解散前に追求していた、変則的な展開を生かした“変態テクニカル系”の方向性からは軌道修正され、テンポチェンジは控えめに、最初期を思わせるストレートな作風となりました。
T-08で見せるメロデスラッシュ風のフレージングなど、同時代的なサウンドも取り入れていますが、新体制による復帰第一作ということもあってか、やや無難にまとめたような印象が強いアルバムです。
|テクニカ度:★☆☆☆☆
|ブルタル度:★★★★☆
|スラミン度:★★☆☆☆
|大仰/様式度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 スルメ盤
The Close of a Chapter: Quebec City Live 2005|ザ・クロース・オブ・ア・チャプター:ケベック・シティ・ライヴ2005
ライヴアルバム (2005年)
Suffocation|サフォケイション
オリジナルアルバム – 5作目 (2006年)
前作に引き続いて比較的ストレートな作風ながら、MORBID ANGELを思わせるエピック的な大仰な展開や、メロディアスなギターソロを主軸に据えた楽曲など、これまでにない新機軸の導入も見られます。
それらのアプローチ自体は無難にこなしてはいるものの、すでに多々前例があり取り立てて目新しさのあるものではないため、アレンジの妙が問われるところ。
しかし、これについては、特筆するような独自の味付けはできていません。
この変化については、メンバーチェンジの影響もあるのかもしれませんが、ようやく自分たちのものにしつつあった、変則的テクニカル・ブルータル路線を捨ててまでやるべきサウンドか?という点では疑問が残ります。
そのあたりにこだわらなければ、傑作とは呼べないまでも水準以上のデスメタルとして楽しめるでしょう。
|テクニカ度:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★☆☆
|スラミン度:★☆☆☆☆
|大仰/様式度:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 実験作
Blood Oath|ブラッド・オース
オリジナルアルバム – 6作目 (2009年)
前作で見られたMORBID ANGEL風のスタイルを推し進め、初期のサウンドとは完全に異なるエピック系様式美デスメタル・サウンドへと変貌を遂げたアルバム。
デスメタルとしての水準はクリアしたクオリティと、聴きやすくわかりやすい作風が功を奏してか、再結成後のアルバムとしてはかなり人気の高いアルバムとなっています。
しかし、初期作品を支持するリスナーには積極的におオススメはできる作品かとなると、大いに疑問が残ると言わざるをえません。
|テクニカ度:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★☆☆
|スラミン度:★☆☆☆☆
|大仰/様式度:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 賛否両論
Pinnacle of Bedlam|ピナクル・オブ・ベドラム
オリジナルアルバム – 7作目 (2013年)
再結成後のエピックデス・テイストも健在ながら、やや原点回帰をも志した気配があり、それら双方のスタイルが同居したようなアルバム。
大枠では、初期作品の基本ラインだった、ストロングスタイルのテクニカル・デスメタル系のスタイルが基調となっており、前作でのMORBID ANGELフォロアーぶりはかなり払拭されています。
|テクニカ度:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★★☆
|スラミン度:★★☆☆☆
|大仰/様式度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論
…of the Dark Light|…オブ・ザ・ダーク・ライト
オリジナルアルバム – 8作目 (2017年)
前作に続いて、初期のSUFFOCATIONスタイルの突進型テクニカル・ブルータル・サウンドに、再結成後の第2期ならではの新味をプラスした作風。
新規リスナーが期待するであろう彼らの代名詞、スラミング/ブレイクダウンを意識し過ぎて、曲によってはミッド〜スローの展開にややあざとさが感じられる部分もあります。
とはいえ、アルバムを通して判断するなら、そのアプローチもマイナスよりもプラスにはたらいている面が強いので、ここでは結果オーライというところでしょう。
|テクニカ度:★★☆☆☆
|ブルタル度:★★★★☆
|スラミン度:★★☆☆☆
|大仰/様式度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 実験作