Contents
- 1MEGADETHのデイヴ・ムステインからオファーを受けたほどの腕利きギタリスト、ジェフ・ウォーターズ率いるカナディアンスラッシュメタルバンド!!
- 1...1ギターヒーロー率いるスラッシュ・バンド!?
- 1...2ANNIHILATORはビッグ・イン・ジャパン!?
- 1...3実質程にはウォーターズのソロプロジェクト!?
- 1...4ANNIHILATORのサウンド遍歴は!?
- 1...5北米で一二を争うハードワーク・スラッシャー!?
- 1.1ANNIHILATOR|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Alice in Hell|アリス・イン・ヘル
- 1.1.2Never, Neverland|ネヴァー,ネヴァーランド
- 1.1.3Set the World on Fire|セット・ザ・ワールド・オン・ファイア
- 1.1.4King of the Kill|キング・オブ・ザ・キル
- 1.1.5Refresh the Demon|リフレッシュ・オブ・ザ・デーモン
- 1.1.6Remains|リメインズ
- 1.1.7Criteria for a Black Widow|クリテリア・フォー・ア・ブラック・ウィドウ
- 1.1.8Carnival Diablos|カーニヴァル・ディアブロス
- 1.1.9Waking the Fury|ウェイキング・ザ・フューリィ
- 1.1.10All for You|オール・フォー・ユー
- 1.1.11Schizo Deluxe|スキゾ・デラックス
- 1.1.12Metal|メタル
- 1.1.13Annihilator|アナイアレーター
- 1.1.14Feast|フィースト
- 1.1.15Suicide Society|スーサイド・ソサイアティ
- 1.1.16For the Demented|フォー・ザ・ディメンテッド
- 1.1.17Ballistic, Sadistic|バリスティック, サディスティック
ANNIHILATOR|DISCOGRAPHY
Alice in Hell|アリス・イン・ヘル
オリジナルアルバム 1作目 – (1989年)
このデビューアルバムでは、MEGADETHの影響を受けたというインテレクチュアルなスタイルの、複雑で時に目まぐるしい展開を見せる、テクニカル・スラッシュを聴かせます。
とはいえ、同郷のVOIVODをはじめとした、アートな変態性が大きな持ち味となっているテクニカルスラッシュ勢の中では、それほどフリーキーで&ストレンジに徹しているわけではないので、比較的わかりやすく馴染みやすい作風と言えます。
そのため、マニアックなリスナーには物足りないかもしれませんが、逆にいえば、それがより幅広いリスナー層にアピールできる結果につながっている理由でしょう。
いずれにせよ、ほぼ全編疾走曲で勢いがありますし、荒々しいながらもよく練られて、適度なフックもある粒ぞろいの楽曲がそろった充実作と言えます。
また本作は、ハードコアシーンのカリスマ『ジェロ・ビアフラ』とのコラボレーションでも知られる、カナダのハードコアパンク・バンド『D.O.A』のベーシスト、ランディ・ランペイジがヴォーカルを務めたことも、一部で話題になりました。
ポップネス:★★☆☆☆|テクニカル度:★★★★☆|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Never, Neverland|ネヴァー,ネヴァーランド
オリジナルアルバム 2作目 – (1990年)
本作も前作に引き続きテクニカル・スラッシュ路線ではありますが、いくぶんオーソドックスなヘヴィメタル様式が強まっており、もはや完全にパワーメタル/パワースラッシュと呼ぶべきような楽曲も目につきます。
MEGADETHのアルバムで例えるならば、前作を“Killing Is My Business…〜(1st)”とすれば、本作は“Rust in Peace(4th)”あたりに近い印象といったところです。
前作と比較すると、突進力やテンションといったスラッシュメタルに特徴的な魅力は薄れ、インパクトは大きく弱まりまっていることは否めません。
とはいえ、引き続き緻密に作り込まれた楽曲が満載のアルバムではあり、高水準なテクニカル・スラッシュメタルを求めるリスナーの期待には、100%ではないものの応えてくれています。
ポップネス:★★☆☆☆|テクニカル度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Set the World on Fire|セット・ザ・ワールド・オン・ファイア
オリジナルアルバム 3作目 – (1993年)
すでにスラッシュメタルムーヴメントが完全に収束し、BIG4らをはじめとして現役組が続々と軌道修正して脱スラッシュを図っていた時期のアルバム。
さらにオールドスクールなヘヴィメタル/パワーメタルに接近して、メロウなポップ・バラード・ナンバーまでも披露している一方、ファンキー&グルーヴィーなモダンテイストを取り入れるなど、この時代ならではの試行錯誤がうかがえる作品となっています。
しかし、本来があまりアカ抜けたセンスを持つバンドではないだけに、どうにもメタル様式美とモダン要素の食い合わせが悪く効果を上げていません。
T-01やT-10のようなユニークで完成度の高い楽曲もありますが、トータルで判断するとどうしても煮え切らない印象が強く残り、事実、このあたりから失速気味となっていきます。
ポップネス:★★★☆☆|テクニカル度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 実験作
King of the Kill|キング・オブ・ザ・キル
オリジナルアルバム 4作目 – (1994年)
本作と“Refresh the Demon(5th)”, “Remains(6th)”ら2作は、基本的にはドラム以外のパートは基本的にウォーターズひとりの手によるもので、この時期はいつにも増してソロプロジェクト感が強まっています。
ここで選んだ方法論は、90年代にBIG4が試みたようなアプローチに近く、グルーヴメタルや歌物ヘヴィロック路線をメインにハードロック・テイストを強めつつも、普遍的なヘヴィメタルのスタイルの枠を踏み越えないスタイルです。
この作風は、前作の試みをさらに推し進めたともとれるものですが、方向性が定まらず中途半端な印象だけが残った前作とは異なり、ANNIHILATOR=ウォータース流のポストスラッシュを完全にものにしています。
一方で、スラッシャーやオールドファンからは否に傾きがちな賛否両論で、ポスト・スラッシュの一手としてはやや保守的な印象もありますが、完成度においては彼らのキャリア中でも最上位に位置するアルバムで、ジャケットは微妙ですが間違いなく必聴盤。
全14曲と曲数が多めで、やや似たような印象の曲が多い傾向はありますが、どれもそれぞれアイデアを凝らして練りこまれた楽曲ですし、何よりライヴでも定番のキラーチューンとなっているT-02の存在はあまりにも強力です。
ポップネス:★★★★☆|テクニカル度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Refresh the Demon|リフレッシュ・オブ・ザ・デーモン
オリジナルアルバム 5作目 – (1996年)
前作とほぼ同路線で、ある程度の水準には達したアルバムではあるのですが、どの曲も前作のアウトテイクかと思えるほどに、ソングライティングに冴えが見られず、アイデア不足で練り込みも足りないフックに欠けた凡庸な楽曲が並んでいます。
前作に見られた、突出した仕上がりのアンセム級の楽曲が見らないのは、あまりにも大きすぎる弱点。
加えて、前作以上にダメダメ感をにじませた、NWOBHMのB級バンドと見まごうような微妙なジャケットアートも、冴えない印象を倍増させます。
ポップネス:★★★☆☆|マニア度:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤 実験作 お布施
Remains|リメインズ
オリジナルアルバム 6作目 – (1997年)
ドラムマシン導入からのインダストリアル風のデジタル・メタルにチャレンジしていますが、彼らの資質や支持層を考えれば容易に想像できるように、ANNIHILATORのアルバムではもっとも評価の低い1枚となっています。
確かにインダストリアル路線は間違いなく失敗ですが、前作よりはフックの効いたナンバーも見られ、全カタログ中で見るならば、それほど低い位置にあるわけではありません。
ポップネス:★★★☆☆|テクニカル度:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Criteria for a Black Widow|クリテリア・フォー・ア・ブラック・ウィドウ
オリジナルアルバム 7作目 – (1999年)
スラッシュメタル・リバイバルの動きが顕在化し始めた時期のリリースで、本作はその匂いを嗅ぎつけて初期のスラッシュメタル路線へと回帰したアルバム。
これ以降、80年代スラッシュ・バンドの再結成や初期メンバーでのリユニオンなどが本格的に増えて行くことを考えると、その先鞭をつけた1枚とも見ることもできます。
ほぼウォーターズのワンマン・バンド状態だった直近数作とは異なり、本作にはデビューアルバム“Alice in Hell(1st)”に参加していたメンバーのうち、ウェイン・ダーリー(Ba.)を除く全員が再結集しており、アートワークの女性モデルにも、1stの少女モデルだったキャロル・シルナを起用しています。
基本的には、初期のオールドスクールなスラッシュメタル路線を意識した、ファストチューン主体のスラッシュサウンドですが、楽曲によってはグルーヴメタルやデスメタル以降のアプローチも見られ、音づくりもスラッシュ・リバイバルの主流を占める、同時代的モダンスラッシュに近ものとなっています。
テクニカル・テイストは抑えめのいくぶんストレートな作風で、リフワークにはときおり“借り物感”も漂っていますが、全体を通してみればクオリティは上々ですし、そうでなくても疾走曲が多いので勢いでストレス無く完聴することができます。
ポップネス:★★☆☆☆|テクニカル度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤
Carnival Diablos|カーニヴァル・ディアブロス
オリジナルアルバム 8作目 – (2001年)
Waking the Fury|ウェイキング・ザ・フューリィ
オリジナルアルバム 9作目 – (2002年)
All for You|オール・フォー・ユー
オリジナルアルバム 10作目 – (2004年)
Schizo Deluxe|スキゾ・デラックス
オリジナルアルバム 11作目 – (2005年)
Metal|メタル
オリジナルアルバム 12作目 – (2007年)
Annihilator|アナイアレーター
オリジナルアルバム 13作目 – (2010年)
Feast|フィースト
オリジナルアルバム 14作目 – (2013年)
Suicide Society|スーサイド・ソサイアティ
オリジナルアルバム 15作目 – (2015年)
For the Demented|フォー・ザ・ディメンテッド
オリジナルアルバム 16作目 – (2017年)
Ballistic, Sadistic|バリスティック, サディスティック
オリジナルアルバム 17作目 – (2020年)
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