Contents
- 1元祖フィメイル・デスヴォーカルとデスメタリック&ハードコアなエクストリーム・サウンドで、ジャーマン・スラッシュメタルBIG3 存在感を示すドイツのスラッシュ・シーンの影の帝王!!
- 1...1激烈フィメイル・ヴォーカルの夫婦スラッシャー!?
- 1...2過小評価気味なジャーマン・スラッシュの老舗!?、
- 1...3ハードコアからデスメタルまで何でもござれ!?、
- 1...4スラッシュメタルとしてのHOLY MOSES!!
- 1...5クロスオーバーとしてのHOLY MOSES!!
- 1...6デスメタル/グラインドコアとしてのHOLY MOSES!!
- 1...7再結成後は、ネオスラッシュ=モダン・デスラッシュに!?
- 1.1HOLY MOSES|ホリー・モーゼス|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Queen of Siam|クイーン・オブ・サイアム
- 1.1.2Finished with the Dogs|フィニッシュド・ウィズ・ザ・ドッグス
- 1.1.3The New Machine of Liechtenstein|ザ・ニュー・マシーン・オブ・リヒテンシュタイン
- 1.1.4World Chaos|ワールド・ケイオス
- 1.1.5Terminal Terror (Τηεοτοχψ)|ターミナル・テラー
- 1.1.6Reborn Dogs|リボーン・ドッグ
- 1.1.7Too Drunk to Fuck|トゥー・ドランク・トゥ・ファック
- 1.1.8No Matter What's the Cause|ノー・マター・ワッツ・ザ・カース
- 1.1.9Master of Disaster|マスター・オブ・ディザスター
- 1.1.10Disorder of the Order|ディスオーダー・オブ・ザ・オーダー
- 1.1.11Strength Power Will Passion|ストレングス・パワー・ウィル・パッション
- 1.1.12Agony of Death|アゴニィ・オブ・デス
- 1.1.1330th Anniversary: In the Power of Now|30thアニバーサリー:イン・ザ・パワー・オブ・ナウ
- 1.1.14Redefined Mayhem|リディファインド・メイヘム
- 1.1.15Invisible Queen|インヴィジブル・クイーン
HOLY MOSES|ホリー・モーゼス|DISCOGRAPHY
Queen of Siam|クイーン・オブ・サイアム
オリジナルアルバム – 1作目 (1986年)
デスメタルのプロト・タイプと見なされる80年代デスラッシュ系グループはいくつもあり、レジェントと讃えられるバンドも存在します。
しかし、それらの中で技量センスともに際立ったレベルにあり、作品においてもプリミティヴな初期衝動や過剰さを追求するのみならず、純粋に名盤と呼びうるの完成度に到達していた、稀有な例と言える1枚。
デビューアルバムながら名曲佳曲が満載で、聴き応え抜群の充実作に仕上がっています。
アンディ・クラッセンの志向を反映してかハードコア色も強目で、MOTORHEADに近いハード・ロックンロールのテイストも感じさせますし、T-05で披露しているアンディのヴォーカルもレミーに近い感触を漂わせています。
|デスメタ度:★★★☆☆
|ハーコー度:★★★★☆
様式美度:★☆☆☆☆|ファスト度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み
Finished with the Dogs|フィニッシュド・ウィズ・ザ・ドッグス
オリジナルアルバム – 2作目 (1987年)
前作に続いてハードコアの影響が感じられ、そのエッセンスは端々に表出しているものの、比較的オーソドックスなスタイルのスラッシュ・サウンドを展開しているアルバム。
楽曲についても、疾走感と突進力に満ちあふれた高品質なファスト・スラッシュ・チューンが中心で、サウンドはまさに、これ以上ないほどスラッスメタル・ファン好みのに仕上がり。
その作風から、必然的にオールドスクール・スラッシャーからは評価が高く、HOLY MOSESのカタログ中でも特に人気の高い1枚とされています。
|デスメタ度:★★★☆☆
|ハーコー度:★★★☆☆
|様式美度:★★☆☆☆
|ファスト度:★★★★★
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
The New Machine of Liechtenstein|ザ・ニュー・マシーン・オブ・リヒテンシュタイン
オリジナルアルバム – 3作目 (1989年)
サビーナのエクストリームなヴォーカル・スタイルこそ大きな変化はありませんが、若干パワーメタル寄りの整合感重視のサウンドに加え、これまでになくテクニカルなエッセンスが濃厚で、曲調もいくぶん複雑で凝った傾向にあります。
また、ドラマティックな展開やメロディアスなギターソロも目につくなど、ある意味でのオールドスクールなヘヴィメタル様式/美意識も強目で、HOLY MOSESとしては異色な仕上がりを見せる1枚となっています。
ハードコア色の強い初期作品を聴いてきた耳には、どうしても違和感が否めない面はありますが、スラッシュメタルとしてのアグレッションは健在ですし、完成度についても軽く水準クリアの出来栄えです。
エクストリームなサウンドに抵抗がある一般メタルリスナーにも、比較的受け入れられやすいアルバムと言えるでしょう。
|デスメタ度:★★☆☆☆
|ハーコー度:★★☆☆☆
|様式美度:★★★★☆
|ファスト度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤 実験作
World Chaos|ワールド・ケイオス
オリジナルアルバム – 4作目 (1990年)
アートワークのセンスやDEAD KENNEDYSのカバー(T-11)というチョイスから容易に予想がつくように、過去最高にハードコアテイストが濃厚になった、クロスオーバー・スラッシュ路線のアルバム。
その作風の変化から、保守派スラッシャーやメタルクラスタからの評価はかんばしくありませんが、前作に続いて、過去作には無い新機軸を取り入れるアプローチを試みた意欲作。
デスメタル色はやや薄めで、再びロッキンでパンキッシュなナンバーも見られるようになっていますが、それに限らず、メタル色の強いナンバーからファストなスラッシュチューンまで…と、多彩な楽曲が並んでいます。
楽曲はいずれも高品質でスキの無いアルバムに仕上がっており、完成度においても文句無し、彼らのカタログ中でも確実にトップクラスに位置する1枚です。
|デスメタ度:★★★☆☆
|ハーコー度:★★★★★
|様式美度:★☆☆☆☆
|ファスト度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
Terminal Terror (Τηεοτοχψ)|ターミナル・テラー
オリジナルアルバム – 5作目 (1991年)
アンダーグラウンドでのデスメタル人気が拡大を見せていた、この時期の趨勢が反映されたのか、本作ではこれまで以上にデスメタリックなサウンドに仕上げられており、リフワークについてもデスメタル寄りのものが目立つアルバムになりました。
また、ヘヴィグルーヴ時代の到来をも視野に入れたかのような、グルーヴメタル寄りのナンバーも見られるなど、方向性については前作とベクトルが異なるものの、多彩な楽曲という意味では前作にも負けていません。
一聴する限りではオーソドックスなようで、その実、HOLY MOSESならではの個性にあふれたハイクオリティな楽曲がそろっており、本作もまたデスラッシュの名盤と呼べる1枚です。
|デスメタ度:★★★★☆
|ハーコー度:★★★★☆
|様式美度:★☆☆☆☆
|ファスト度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Reborn Dogs|リボーン・ドッグ
オリジナルアルバム – 6作目 (1992年)
HOLY MOSESのデスメタル路線に置いてはひとつの極みと呼べるアルバムで、前作に輪をかけてデスメタリックな作風に仕上げてきたアルバム。
ギア全開のファスト・チューンが主軸となった楽曲面から、時にOBITUARYのジョン・ターディあたりを想起させるヴォーカル・スタイルに至るまで、スラッシュをベースにしつつも大胆なまでにデスメタルに接近しています。
もちろん、クロスオーバー・バンドD.R.I.のカバーT-08にも見られるような、これまで同様のハードコア志向も感じさせますが、いずれにせよ過去最高にヘヴィでエクストリームな作品となりました。
当時は、デスメタルの偏見が強い時代だったこともあって、まだまだ一般メタラーの抵抗も激しい傾向にあり、生粋のスラッシャーにとっても賛否両論の1枚ですが、純粋にひとつの作品としてみるなら、これもまた過去作と同様に、高品質でスキの無い仕上がりを見せた名盤と呼び得るものです。
|デスメタ度:★★★★★
|ハーコー度:★★★★☆
|様式美度:★☆☆☆☆
|ファスト度:★★★★★
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
Too Drunk to Fuck|トゥー・ドランク・トゥ・ファック
ライヴ/カバー/レア (1993年)
No Matter What’s the Cause|ノー・マター・ワッツ・ザ・カース
オリジナルアルバム – 7作目 (1994年)
一時解散を迎える前のラストアルバムで、実質的にはアンディのソロプロジェクト体制にある作品。
アンディに加え、当時はBRUTAL TRUTHで勢いに乗っていたダン・リルカー(Dan Lilker)と、ドイツのストロングなメタリック・ハードコアRYKER’Sのスヴェン・ハーウィッグという、実力派3名によるパワートリオとなっています。
アンディとサビーナとは前作リリース後離婚していますが(現在も姓はクラッセンを使用)、バッキング・ヴォーカルというかたち名を連ねており、T-11ではリードヴォーカルを担当しています。
音楽性は、その顔ぶれからも想像できるようにアンディのハードコア志向が強く現れており、ほぼグラインドコアと呼べるスタイル。
余分なものをそぎ落としたミニマルで荒々しいサウンドということで、必然的にオールドファンやスラッシャーには評判のよくないアルバムですが、高品質であることに変わりはなく、熱心なサビーナファンではなくハードコアもイケる口ならが、十分に堪能できるはずです。
|デスメタ度:★★★★★
|ハーコー度:★★★★☆
|様式美度:★☆☆☆☆
|ファスト度:★★★★★
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
Master of Disaster|マスター・オブ・ディザスター
ミニアルバム (2001年)
サビーナを除いては新規メンバーのみで構成された、新生HOLY MOSESとしての初作品。
アンディはバンドメンバーとしては参加していませんが、プロデュースやエンジニアとしての他演奏サポートや楽曲提供などで、大きな貢献を果たしています。
ここでは、スウェディッシュ系の新世代デスラッシュやメロディックデスメタル、ヘヴィグルーヴなどのモダンサウンドを視野に入れた、いわゆる“ネオスラッシュ”に近い同時代的なスラッシュ・サウンドを展開。
その作風の変化については賛否が分かれるところですが、再起を目指して持てる力のすべて注入したことがうかがえる、気合い十分の野心作であることは確かで、それに見合った高品質な楽曲が並ぶ充実ぶりを見せています。
ミニアルバムということで、全5曲とコンパクト内容とであることも影響してるのでしょうが、復帰後の作品の中では圧倒的な完成度を誇っており、また、後のフルアルバムとも収録曲が重なることはないので、解散前のアルバムを別にすれば、間違いなく最優先で押さえておきたい必携の1枚と言っていいでしょう。
|デスメタ度:★★★★☆
|ハーコー度:★☆☆☆☆
|様式美度:★★★☆☆
|ファスト度:★★★★★
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Disorder of the Order|ディスオーダー・オブ・ザ・オーダー
オリジナルアルバム – 8作目 (2002年)
フルレンスとしては、記念すべき復活後の第1弾となるアルバム。
先のミニアルバム『Master of Disaster』と同様に、北欧系のメロディック・デスメタルやネオスラッシュと呼ばれる新世代デスラッシュを取り入れ、現代的なスタイルへとチューニングされた作風となっています。
その『Master of Disaster』と比較すると、密度が薄く感じられますが、それは、フルアルバムということで曲数が多くなった反動だけでなく、純粋に楽曲面で1枚落ちることによるという印象です。
とはいえ、同様のスタイルにおいいては一般的な水準の遥か高みを行く、高品質なモダン・スラッシュ・アルバムであることには変わりありません。
ここでも、アンディ・クラッセンが裏方ながら多大な貢献を見せており、彼が関わっていない次作以降のアルバムと比較すると、その力量とバンドにおける重要性が確認できます。
|デスメタ度:★★★★☆
|ハーコー度:★☆☆☆☆
|様式美度:★★★★☆
|ファスト度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論
Strength Power Will Passion|ストレングス・パワー・ウィル・パッション
オリジナルアルバム – 9作目 (2005年)
Agony of Death|アゴニィ・オブ・デス
オリジナルアルバム – 10作目 (2008年)
30th Anniversary: In the Power of Now|30thアニバーサリー:イン・ザ・パワー・オブ・ナウ
ベストアルバム (2012年)
Redefined Mayhem|リディファインド・メイヘム
オリジナルアルバム – 11作目 (2014年)
Invisible Queen|インヴィジブル・クイーン
オリジナルアルバム – 12作目 (2023年)